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割りに合わない家族  作者: 白菜
第一章
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第五話

突然の校舎の火災。


パニックになりながらも避難した僕達は教師の指示に従い、自宅に帰宅する事になったんだけど……。


「おや、そこの可愛いお嬢さん。ちょっとセクハラしてもいいですか?」


「にゃはははっ! 面白いね、君!」


何故か孝一だけここにいた。


「どうして孝一がいるの!? っていうか、ファーストコンタクトがセクハラで由々はいいの!?」


「甘いですね、青海君。ファーストコンタクトだからこそ、セクハラをすると自分はそう心がけているのですよ?」


「最悪の心がけだ!」


「私はファーストコンタクトだからこそ、それが例え、宇宙人や変態だとしても笑って友人関係を築くと心がけてるんだよ!」


「宇宙人はいいとしても、変態とはそんなものは築かなくていいよ! 寧ろ、築くな!」


「言葉責め、ご馳走様です!」


「しまった! 変態を喜ばせる結果に!?」


「それにしても、貴方とは息が合いそうですね。棡原 孝一です。是非、お付き合いを前提に婚約を結んでください」


「にゃはははっ! 綾崎 由々だよ! 浮気はするけど構わない?」


「そしてまさかの意気投合!? 本当に意味分からないよ!?」


なんて会話だ。

ツッコミが追いつかない。


「……蒼波、お腹減った」


「リリサは本当にマイペースだね……」


僕達の横でテレビを見ながら、腹をさするリリサ。


たけど、今はこのリリサの状態が微笑ましい。


仕方がないので、何かを作ろうと冷蔵庫を探ると、


「あ、蒼波君。私は炒飯がいいんだけど?」


「なら自分は焼きそばをいただきませんか?」


変人共の勝手な要求。


本気でここから追い出したい。


「……わたしはハンバーグ」


リリサまで……。


どうやら僕に拒否権は無いらしい。

作ればいいんだろ、畜生!





「にしても、本当に何だったんだろうあの火災……」


冷蔵庫に残った材料で作ったあり合わせの料理を食べながら、呟く僕。


「その火災ってそんなに酷かったの?」


こちらは要望通りの炒飯を美味しそうに食べる由々。


「いえ、自分らが避難をした後、すぐに消防隊が来ましたので、そこまででもなかったみたいですよ? 幸い、怪我人も誰一人いなかったそうですし」


焼きそばをちゅるちゅるとマナーの悪い食べ方をするのは孝一。


「けど、なんで火災が起きたかまでは分からないんだよね……」


「先生達の話によると、火災は二階の家庭科室から起きたようですが……そもそも、この部屋には誰かが使ってたどころが、誰一人として部屋にはいなかったらしいですよ?」


「え? それって本当、孝一?」


「ええ。間違いないです」


それなら、おかしな話だ。


誰もいなかった教室から火災が発生するなんて……。

一体どうなってるんだろう?


「そうだ! きっと犯人は超能力者だったんじゃないかな!」


「それはない」


「じゃあ、魔法使い」


「それもないよ」


「なら、蒼波君だ!」


「一番無いよ!」


「ま、まさか青海君、貴方が犯人だったなんて……!」


「よーし、そこの変態。少し黙ろうか」


「自分に黙秘を要求しますか。褒美にしかなりませんけど、いいんですか?」


グフフと不気味に笑う孝一。


いや、本当に黙ってくれないかな?


「まぁまぁ、まだ詳しい事は分かってないんだし、そんな話はどうだっていいでしょ?」


「それはそうだけど……」


「ねぇ、それより、火災で部活もなくなったんでしょ?それなら、どこか遊びに行こうよ!」


由々が子供のようにはしゃぎながら提案する。


……思うんだけど、由々の元気の良さは一体どこからきてるんだろうか?

謎の火災よりも気になる。


「それはいい提案ですね。どこに行きます?」


「そうだねー、暑いし、プールなんてどうかな?」


勝手に話を進める由々達を僕は慌てて、止めた。


「ちょっと待ってよ、由々。僕には予定が――」


「コンビニのバイトなら、夕方からでしょ? なら、大丈夫!」


「なんで僕のバイト予定について由々が知ってるんだよ!?」


「それは乙女のひ・み・つ♥︎」


うわっ、うぜぇ。


「……わたしは、プールで、いいと、思う」


一方、冷凍食品のハンバーグを頬張りながら、いつものように目を輝かせてるのはリリサ。


……1対3じゃ分が悪いな。

仕方ない……今日の所は付き合うしかないか。


僕は両手をあげ、降参した。


「分かったよ。プールでもどこでも行けばいいんでしょ」


「さすが蒼波君! 物分かりがいいね!愛してるぅ!」


「って、どうして抱きつくのさ!」


腕に引っ付く由々を即座に引きはがす。


「にゃはははっ! ゴメーン! 少し、興奮しちゃってさ!」


「全く、もう……」


孝一がいる前でそんな事するなんて……。

噂になったらどうするつもりなんだ。







「……!」



ん? どうしてだろう? 殺気をどこからか感じるんだけど。


ふと、後ろを振り返ると、孝一が変わらないポーカーフェイスで僕に言った。


「いやはや……鈍感というのは青春ですね」


「? 何の事?」


「いえ、青海君はまだ気づかなくてもいいと思いますよ」


「え? そうなの?」


何の事だかさっぱりだけど、どうやら言いふらされる心配はないみたいだ。


よかった、よかった。


「じゃあ、皆、行き先はプールに決定でいいかな?」


「あ、うん。僕はそれで構わないよ」


「自分も問題ないです」


「……(コクン)」


「それなら、決まりだね! 全員、隣町のプールまで、武器みずぎを着て、そのまま全力で突入するよっ!!」


「頼むからそれだけは止めろ」


家を出て、二秒で捕まる外出は嫌だ。


「隊長さん! 武器フンドシ装着しました!」


「凄い!! 確かに武器だ!! けど、間違ってるからね!? 人として!」


「青海君のもありますよ? あえてひと回り小さくしてますが」


「要らないよっ!!」


「ば、馬鹿な……! 武器みずぎも着けずに戦場プールに向かうつもり……?」


「誰もそんな事言ってないよね!? 普通の奴を借りるよ!」


「フンドシをですか?」


「トランクスタイプのだよ!」


「テッテロリーン。アオウミはもっこり度が7あがった」


「だから着けないって言ってるよね!?」








……この、フンドシ着けるか談義は三十分程続いた末、僕はトランクスを死守する事が出来た。


本気で助かった……。

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