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割りに合わない家族  作者: 白菜
第一章
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第三話

何故か謎の幼女、リリサと従妹の由々と暮らす事(と言っても由々は隣の部屋)になった僕。


そんな僕だけど、今はリリサと二人で学校に来ていた。


リリサを由々に預けても良かったんだけど、リリサが由々を嫌がったので、こうして僕と一諸にいるわけだ。


……まぁ、リリサが由々を嫌がるのも分からなくはないんだけど、拒否された由々の落ち込みようは尋常じゃなかったとだけ言っておこう。


「あんな由々初めて見たなぁ……」


「……」


僕がそう呟くと、リリサはバツの悪そうな顔をして、顔をそむけている。


どうやら、少し反省してるみたいだ。


「リリサ、後で由々に謝るんだよ?」


「……うん、分かった」


おずおずと頷くリリサ。


うん。基本的には素直なんだよね、この子。


僕はリリサの手を握り、二人で校舎の中へと入っていった。





「おはようごさいますーって、まだ誰も来てないのか……」


「……」


一応、先生に見つからないよう気をつけながら部室まで来た僕達だったけど、少し早かったみたいだ。部室に人は見当たらなかった。


仕方ない、待つ事にしよう。


そう思い、中央にあるテーブルのそばにあるイスに腰を掛けた。


「リリサ、この部屋から出ちゃ駄目だよ」


「……うん」


今にも部屋から飛び出しそうになっていたリリサに釘を刺す。


見つかったら怒られるのは僕なんだから……。


「……蒼波、これ何?」


「ああ、それ?トロフィーだよ」


「……トロフィー?」


「うん。コンクールとかで優秀な成績とか残すと貰えるんだけどね」


「……多い」


そう。リリサの言う通り、ここにある賞状やトロフィーはかなり多い。

だけど、それらは全てこの部の部長のもので、その全てが最優秀賞といった優秀な成績を収めている。


部長は俗にいう天才だ。

それはもう僕なんかじゃ比べ物所か見向きもされないくらいに。

ただ、残念な事にーーーー


「あの人はいつも変な事ばかりして……行動が意味不明なんだよ」


「……変な人なの?」


「それはもう、超絶が付く程にね」


部室の中でならまだしも、部長は校外でも平気でおかしな行動をとる。

毎回巻き込まれる僕の身にもなってほしい所だ。


「バカと天才は紙一重とはよく言ったもんだよ」


冗談気味に僕が苦笑すると、リリサが「あ」と声を漏らした。


「? どうしたの、リリサ?」






「……青海後輩。それは私に対する挑戦状として受け取っても構わないな?」


耳元から、殺気がこもった冷ややかな声が聞こえた。


「ぶ、部長……?」


僕の後ろには白衣を着た長い黒髪の美少女、もとい、この部の部長である、上神うえかみ 楊花ようかさんが立っていた。


「折角、雑用係だが、英気溢れる部員を手に入れたと思ったのだがな。……残念だ」


「ひっ……!」


背後から伝わる殺気から首も動かせなくなる僕。

そして、何故か僕の頭の中で僕がミンチになるイメージしか思い浮かばない!


「オマケに幼女を誘拐して……随分と楽しそうじゃないか」


「違っ……!これはおじさんから預かった子で……!」


「言い訳無用!青海後輩!その腐った根性、私が直々に鍛え直してくれる!」


「ひぃぃぃぃぃぃっ!!」


駄目だ!話を聞いてくれない!


「鉄拳制裁!」


「うわあっ!」


放たれた拳を僕は必死で避けた?(イスから転げ落ちた)

しかし、体制を崩した為、二発目の拳は避けられない。


「そこっ!」


「ごふっ!」


ブチョウの攻撃!アオウミに54のダメージ!


「さ、さすがです、部長……今ので僕のHPが61まで減りましたよ……」


「何の話だ?」


「部長、RPGをやらないんですか?」


「興味はないな」


今すぐ全国のドラ○エファンに謝ってほしい。


「さて、どうする青海後輩。謝るなら今の内だが?」


殴られ、ダメージを負った僕に降伏を促す部長。


でも、そういうわけにはいかなくなったんですよ。


「何を言ってるんですか部長!謝るのは部長の方でしょう!全国の子供達の夢に興味がないなんて!」


「……すまない青海後輩。私にはお前が何を言ってるのか分からない」


あれ?おかしいな?どこで話が変わってしまったんだろうか?


「まぁ、とにかく死んでくれ青海後輩」


「その言葉を笑顔で言える部長に感服しましたよ」


「馬鹿言うな、有望な部員が死ぬなんて私だって嘆かわしいんだ。笑顔になるわけないだろう」


「部長、鏡って知ってます?」


部長の顔はこれ以上ないくらいにいきいきとした笑顔をしてると言っておく。


ジリジリと部長が僕に近づき、あっという間に部室の壁際まで追い込まれてしまった。


「さぁ、覚悟はいいか?」


全然良くありません。勘弁して下さい。


泣目になる僕に拳を構える部長。

絶体絶命だ。


「……待って」


あと数秒で部長の拳が僕の顔面にめり込む所で、横から制す声がした。


「リリサ?」


「む。お前は青海後輩に攫われた幼女ではないか」


「だから違いますって!事情を聞いて下さいよ!」


そう必死に誤解を解こうとする僕の前にリリサが立ち、プルプルと体を震わせながらも部長に立ちはだかる。


「……蒼波をイジメるのはやめて。蒼波は私を攫ってなんていない」


リリサは無理をしながらも、部長に向かって真剣に訴えた。


その様子に部長も何か思う事があったのか、

リリサの顔を覗き込み、聞いた。


「……それは本当なんだな?」


「……(コクン)」


「ふむ……。青海後輩、そうなのーーーー」


「だから!始めから言ってましたよね!?」


「むぅ……すまない」


本当に申し訳ないと思っているのか、弱った目をし、頬をかく部長。


まったく、相変わらずの変人ぶりを見せつけて……。


ひと段落をついて疲れたのかイスに座る部長。

それに続いて座る僕達。


「改めて謝罪すると共に自己紹介しよう。まずは先程の件、二人共、本当にすまなかったな」


「本当ですよ。僕なんて殴られたし……」


「ところで、青海後輩。バカと天才はーーーー何と言ったか?」


「すいませんでしたッ!」


土下座した。

うん、あれは悪かった。


「私はこの『科学研究会』部長、上神 楊花だ。リリサと言ったか?よろしく頼む」


「……」


握手を交わす二人。

だけど、さっきの事もあってかリリサの動きがぎこちない。


「ちなみに得意な事は空手を少々と……青海後輩を世話する事か」


「いつから部長は僕の飼い主になったんですか?」


平気な顔をしてボケる部長にツッコミをいれる僕。


リリサが勘違いしたらどうするんだ。


少し不安に思い、リリサの方を見てみると、


「……!」


頬を膨らませ、部長の事を睨みつけていた。


何うえ!?あまりに部長がふざけてるから嫌いになったのか!?


「む?どうした、青海後輩?」


そして、それに気づかないバカ部長。


わざと!?わざとやってるの!?


どうにかこの状況をどうにかしようと、慌てていると、部長がケロリと質問をした。


「ところで、リリサはどうして青海後輩といたんだ?」


よし、チャンスだ。この質問に答えてこの場の雰囲気を変えられればーーーー


「ああ、それは部長ーーーー」


「……わたしが蒼波のママだから」





瞬間、顔面が凹んだ。

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