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割りに合わない家族  作者: 白菜
第三章
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第十六話

大変遅くなりまして本当にすいませんっ!


皆さんもインフルエンザだけには気を付けてください。

いや、もうピークは過ぎたとは思うんですけどね。


良かったら『地獄行きゲーム』の方もよろしくお願いします。

今は目を閉じている二人を抱え、僕と孝一は孝一の家へと足を運んでいた。


イケメンは金持ちという理論に基づいて、孝一の家は洋風で豪華な家だと思ってたんだけど、意外にも孝一の家は和風でこじんまりとしていた。

……どうやらこの理論は間違ってるみたいだ。


中に入ると孝一の言った通りにリリサと部長が既に居間に座っていて、抱えている二人を他の場所で布団に寝かせると僕達も居間へと座った。


「さて、まずは何から話しましょうか」


ため息を吐くかのように孝一が話を切り出した。


「待って孝一。話を始める前に聞きたい事があるんだけど……」


「何ですか?」


「どうして部長まで呼んだの?」


僕が部長に向かって指を指すと部長がむっとした声で答える。


「何だ青海後輩。私がここにいたら何か不都合でもあるのか?」


「いや、そんなわけじゃないですけど……ぶっちゃけ、部長は由々とは殆ど関係がないわけですし」


「理由がないから気になる、と?」


「あ、はい。そうですね」


まさか面白そうだからとかそういった理由ではないとは思うけど────


「そんな事簡単だ。単に面白そうだったからだ!」


「予想通り過ぎますよ!?」


どこまででも傍迷惑な部長に僕がツッコみをやらざるおえないでいると、横から孝一が割り込んできた。


「部長さんは自分がリリサちゃんの保護も兼ねて、呼んでおいたんですよ。性格はアレですが、頭の方はギャップと言える程凄いですから、何かと役立つと思いましてね」


孝一がそう言った瞬間、孝一の頬に拳が入っていったけど、そこは気にしないでおこう。

……嬉しそうにしてるし。

それより。


「役に立つ? どういう事? 今から何をするつもりなの?」


「そんなの決まってるじゃないですか。綾崎さんとそこの美人さんについて数ヶ月前の事故について調べるんですよ」


当たり前だと言わんばかりにそう言う孝一に僕は驚愕し、目を丸くした。


「あの……ごめん。言ってる事全然分からないんだけど?」


どうして孝一が由々とテレサさんが知り合いだと分かっているのかについても教えて欲しい所だ。


「ああ、青海君にはまだ言ってませんでしたね。それならまずはこれから説明するとしましょうか」


そう言って孝一が取り出したのは複数の紙、どうやら何かの事故についての資料らしいけど……。


「? これがどうかしたの?」


えーっと、何々……起こった事故はバイクの不具合による転倒で、被害を受けたのは2名……奏瀬かなせ 理奈りなさん(15)と中村なかむら 香奈美かなみさん(16)……うん、別に知り合いというわけでもない、どっちも聞いた事のない名前だ。


パラパラと資料をめくるも別に変わった所はないみたいなんだけど。


そうやって僕が首を傾げていると、今度は部長が横から割り込み、僕が持つ資料を覗きこんだ。


「事故現場が隣町の高校になっているな」


「え? あっ、本当だ!」


部長の言う通り、資料には隣町としっかりと明記されていた。

というか、この町って……。


「……由々が通っていた学校」


ボソリ、とリリサが呟いた。


その通りだった。

孝一がこれを出したという事はこの事故にあの二人が何か関わっているのか?


「ようやく気づきましたか。実は自分は初めに綾崎さんに会った時、どこか会った覚えがあったんですが……あまりに雰囲気が違ったせいか先程まで思い出す事ができませんでした」


「って事は思い出せたの?」


「ええ。自分はそこに書かれている事故現場で由々さんに一度だけですが確かに会ったんです」


「え!? じゃあ、何で初めに会った時思い出せなかったの!?」


「……だから言ったでしょう。雰囲気が違ったんですよ。それもまるで別人のようにです」


「別人のようにって……まさかさっきリリサが見た由々みたいな様子の事なの?」


「多分そうです。あの時の由々さんはそれはもう、目を離したら死んでしまうんじゃないかと思う程でした」


「それが本当なら笑えないね……」


そんな話、冗談にもならない。


「それで棡原後輩、綾崎とはどういった経歴で会ったんだ?」


「事故の第一発見者としてです。随分と悲惨な事故でしたから、その時はそれであんな状態になっているのかと思ったんですが、どうやらそれが違うようなんですよね。

……これは後から分かった事なんですが、事故の被害者が綾崎さんと親しい関係だったんです」


「なるほどな。それで棡原後輩はこの事故に何か裏があると考えたわけか」


「その通りです」


納得したように頷く部長。

今の孝一の言葉で何かが分かったようだ。

だけど。


「えっと……僕には何の事だかさっぱりなんだけど」


僕は部長のように頭がいいわけじゃないから、話に全くついていけてない。


「この役立たずが」


そんな僕を蔑むように罵倒する部長。


ううっ、分からないんだから仕方ないじゃないですか……。


「……蒼波、ドンマイ」


「リリサ。優しさが人を傷つける事もあるんだよ……」


特に今の僕にフォローは逆効果だ。

リリサに慰められるなんて……。


「仕方ないですね……役立たずの青海君にも分かるように分かりやすく説明しましょうか」


「孝一は分かって言ってるよね!? 絶対そうだよね!」


「なら、事故の被害者について話すとしましょうか」


うわっ、普通に無視された。

扱いが酷いっ。


「いいですか、青海君? 先程の話で綾崎さんの今の状態はこの二ヶ月前の事故の時と同じだという事は理解出来ましたよね?」


「うん、まぁ、孝一の言葉が本当ならね」


「ならば綾崎さんが事故の時にあの状態に陥ったのも事故の被害者である綾崎さんの友人が何か関係するというのも理解しましたか?」


「うん、したけど……って、あれ?」


由々の友達が原因で由々があんな状態になった……?

それって……。




「まさか……」


「まさかじゃなくてもそうですね。

そこに寝ている美人さんは──その資料に被害者として記録されている奏瀬 理奈さんです」


孝一が指をさした方向は布団をかぶり寝ているテレサさんをはっきりと示していた。

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