第十話
アクセス数、1000突破!
これからも頑張りたいと思ってます。
『え? 先日の学校の火災についてですか?』
「うん。孝一なら何か知ってるんじゃないの?」
部長と別れた後、家に帰る気分じゃなくなった僕は事件の事を詳しく知ってそうな孝一に話を聞くため、電話をかけていた。
部長に聞いても良かったのだけど、孝一なら部長の知らない事も、もしかしたら知ってるかも知れない。
僕はそう考えたのだった。
『と言われましてもね……警察でもお手上げ状態だという事は青海君にも分かってる事でしょう。ただの変態高校生の自分には分かりません、としか答えられませんよ』
「そっか……」
それはそうだよね。
普通の(コイツの場合は変態がナチュラル)高校生がペラペラと事件の情報を話せるような事件なら、とっくに解決してるよね。
『ところで、どうしてそんな事聞くんですか?』
「え?いや、えっーと……」
どうしよう。
吹聴されたくはないと部長が言った以上は事情を話すわけにはいかないんだけど……。
『まさか、「じっちゃんの名にかけて、この事件は俺が解く!」的なフラグでも立ったんですか?』
「僕はどこぞの名探偵か」
『見た目は子供! あそこは大人! その名も――』
「言わせない! それだけは言わせないからな!」
最悪の下ネタを何とか止める事が出来た僕だった。
『……まぁ、あえて追求はしませんけどね。危ない事だけはよしてくださいよ?』
「分かってるよ。心配してくれてありがとう、孝一」
なんだかんだいって、僕の事を心配してくれる孝一。
やっぱり持つべきものは友達だよね。
『いえいえ、礼ならリリサちゃんのお尻を触らせてくれるだけで結構です』
「お前を友達だと思った僕が馬鹿だったよ!」
どうしようもない友人に町中にも関わらず、大声で叫んでしまう僕。
周りの人達からの視線が僕へと向けられる。
違うんです、決して僕の頭がおかしいわけじゃないんです。
『あ、そういえば思い出した事が一つありました』
「何?」
『青海君にとっては良い情報ですよ。事件の事なのですが、僕から父に頼めば、現場を見学出来るようになると思いますよ?』
「え、本当?」
それが出来るなら、もしかしたら現場から手がかりの一つや二つ、出てくるかもしれない。
それは確かに嬉しい情報だ。
ちなみに会ったことはないが、孝一の父さんは警察のお偉いさんらしく、ある程度の我儘なら聞いてくれるらしい。
どれだけ息子に甘いんだよ、と言いたくもなるが、そこはスルー。
僕が孝一に電話したのも、この事を知ってたからだったりする。
『ただし、自分も同行する事が条件ですが……いいですか?』
「構わないよ。完全にこっちの都合だしね」
『なら、父にそう言っておきますね』
「うん、よろしく」
僕は内心、ガッツポーズ。
よし、これで事件解決に一歩前進した気がするぞ。
みてろよ、部長。
部長が解けなかった事件はこの僕が解いてやるからな!
ふと気がつけば、僕は事件についてこれ以上ないくらいやる気を出していた。
「孝一、それって今日でもいい?」
『今日……ですか?』
「早く事件について調べたいんだ。出来る?」
『えっと……今は、ちょっと』
ばつの悪そうに歯切れ悪く言う孝一。
何か用事でもあるのか、と僕が考えたその時。
電話越しに「きゃああああっ!」と悲鳴みじた声が耳に入ってきた。
「孝一? 今、どこにいるの? 何か悲鳴みたいな声が聞こえるんだけど?」
まさかセクハラの最中とか言わないよね?
そうだったら、友人の縁を切るけど。
そんな中、孝一の返答はあまりにも意外すぎるものだった。
『ああ。先日、電車でセクハラをかました女性と気が合いましてね。今は二人で遊園地に遊びに来てるんですよ』
「はぁ!? 何だよそれ!?」
へらへらと笑うように言う孝一に切れそうになる僕。
どうしてこんな変態が……!
というか、出会い方最悪じゃん!
よくその人、セクハラした奴とデートに出かけられたな!
ある意味尊敬するよ!
「どうして孝一が……! 納得出来ない!」
色々と苦労している僕がモテないで、いつもセクハラをかましてるコイツが遊園地で二人でデートなんて、世の中不公平だ!
『いやぁ、やはり顔じゃないですかねぇ?」
「殺してぇ! 本気で殺してやりてぇ!』
言ったことが事実なのもあるけど、コイツの勝ち誇った声がこれまたムカついた。
ブサイクで悪かったな、畜生ッ!
『そういう事ですので……。また日を改めてもらえればありがたいです、非リア充――青海君』
「今、非リア充って言いかけたな!? 見てろよ! 僕だって本気を出せば一人や二人くらいの女の子にもモテるんだからな! このセクハライケメンが!」
『わー、すごいですねー』
「その声は絶対信じてないな!? くそっ! リア充め! 滅べぇぇぇぇぇッッ!!」
僕は言いたい事だけ叫んだ後、携帯の通話をブチ切った。
くぅぅぅぅっ、悔しいぃぃぃぃっ!
本当に何でアイツなんかが……!
事件解決に近づいたはずなのに、何故か敗北感を味わった僕はそのままフラフラと帰宅し、家で待っていた二人に折檻されるのだった。