ヒューラン領を占領まで…1
「襲撃者だっー!!襲撃者が来たぞー!!」
ここは、エルスティン魔導師団の本拠地、ドルガー大砦。この大砦ともうひとつの大砦を突破すると、そこはもう王都であり、襲撃者、ウィルは最初にここを落とすと決め、やってきたのだ。
「火炎砲!!氷水流!!雷撃破!!」
魔導師団の人たちは、超級魔法をどんどんウィルに浴びせる。
「はっはっ…どうだ我が軍の力は!」
徐々に砂埃が収まり始め、視界が見えるようになった時には、黒い影がまだ動いていることを確認できた。
「クックック…美味しい魔力だったぞ」
黒い影はそう言うと、手前にいた騎士団を引き込み、捕食?する。
「ギャアアアアアア」
悲鳴が大砦の中に鳴り響き、残されたのはスケルトンだけだった。
「さあ、我が僕達よ!目の前にいる獲物を捕食せよ!!ただし、残りカスはスケルトンにすること!!」
ウィルは黒い影を拡大し、そこの中からスケルトンを大量に放つ。スケルトン達は凶悪な目で魔導師達を見下ろし、次々と同族に変化させて行く。
「さあてと、お前らに問う。俺に従い、俺の支配を許すならば、その地位は安定させよう。だが、従わないなら…」
ウィルが言いかけた時、団長と思われる人は、魔剣と思われるものでウィルの首を傷つけた。
「その程度の斬撃では喰らわんよ。答えは非だな?なら…こうするまでだ!!」
瞬時に団長の右腕は切り離され、鮮血が噴き出る。
「我が望むものは我が敵の命の炎を消すこと…その命の炎をここに実現し、我の願いを叶えよ!!」
団長の右腕、体の各所に火が燃え移り、燃え続ける。
「その炎が消える時、それはお前が消滅する時だ!」
「だったらどうした!!俺は戦う!!我が望むものは、竜さえも耐えれん雷。我が雷の精霊の契約者の望みを叶え、このに雷雲を作り出せ!!」
大砦内に大きな黒い雲が出現し、ゴロゴロゴロゴロ…という音がなる。
「落雷…」
「ふう…見事な落雷だったな。だが、あの程度でもこの俺を殺すことはできない。魔力も少なくなったろ?今度は俺の番だ」
ウィルは拳に魔力を集中させ、瞬時に団長の目の前まで移動し、拳に集中させていた魔力を前方広域に放った。魔力は衝撃波かのように団長の鼻を折り、周りにあったものが消し飛ぶ。その影響で支えがなくなった天井は崩落してき、団長という男は岩の下敷きになった。
「我が望みしものはこの世を喰らい尽くす闇、生の反性な力を持つ闇、巻き込まれれば死を意味する闇。魔神の契約者である我の力を糧に、我が望みし世界を実現させよ、邪悪なる世界」
(これで雑魚どもの処理は終えたな。奥にはこの領地の領主がいる。王国軍と敵対でもさせてリンチで殺すか)
ウィルは鋼鉄の扉を蹴り壊し、執務室へと足を踏み入れる。そこには、レポナルドの姿があった。だが、姿はレポナルドであるが、魔力は全く違い、更には目の圧力、体型が違うかった。
「小賢しい真似を…」
その時、バコンッという音が執務室に響いた。何事だとウィルは振り返る。すると、そこにはーー
「貴様が今回の事件の首謀者だな?私の名前はカルフ・ルグディシュナル。ダーネス家直轄、デーク魔導師団団長。貴様には悪いが、死んでもらおう」
ーーこの国最強の魔導師がいた。
「我が名はウィル・ディフェル。最近、魔王と名乗っている。貴様の提案には乗れない。我はこの国に対しての復讐をしている。邪魔されるわけには行かなーーっとお前は人が話している間に攻撃するのか?」
カルフは眩い光の光線を一直線にウィルに放った。だが、光線は当たらず、後ろにあった鉄の机を綺麗に溶かした。赤い色をした液状の鉄は床の上を流れていく。
「ほう…避けたか」
「悪いか?」
「いや、最高だ」
カルフは無詠唱で大砦を揺らし、破壊し、ウィルに攻撃する。ウィルは、それを避け、反撃しながらこの大砦から脱出しようとする。
「戦闘中に逃げるってか?腰抜けめ」
「馬鹿野郎。ここでやったら危険だ。それに…俺はこの砦が囮だということを知っている。ここにいても何の特にもなりゃしねぇ」
カルフは、逃げようとするウィルを追いかけ、窓の淵に掴まり何の仕掛けはわからないが、壁に垂直に立ち、様子を伺っている。ウィルは、巫山戯た動作をし、挑発している。だが、ウィルはあるものを見てしまった。それは…カルフの服が、風に揺られていた時、地味に胸に膨らみがあったということを!
「お前、女なのか?」
「私は男だが?まあ、まだ棒状のようなものは生えて来てないがな?」
(棒状って男の…アレだよな…ってことは男娘!?)
ウィルは意味を理解してしまい、驚く。まさか、アレが生えてくるものだと思っているとというところが特に驚いているみたいだ。
「なら、お前は女だな。まあ、そんなことはどうでもいい。我が望みしものはこの世の真実。かのものの性別を示し、かの者に絶望を与えよ」
ウィルの使った特に意味のない魔法は、カルフが男か女か判定する。もちろん、答えは女の性だった。
「そ、そんな…この私が女、だと…」
カルフはあまりにもショックが大きく、地に手をついて落ち込む。
「魔導師団団長、失格だ…」
(………。どれだけ、ショックなんだよ…たかが性別が変わったことだけで…だいたい、トイレの時どうやって用を足していたんだよ…)
ウィルは哀れみ、地味にそのようなことを思いながら、落ち込んでいるカルフを見る。
「俺の勝ちでいいな?」
「男二言は「女だろ?」……男二言は、ない。殺せ」
ウィルは決心しているカルフの首を撥ね、あっさりと撃退した。この後、ウィルがダンジョンに戻り、生き残りたちが死体を各所に集めている時、カルフが実は女だったということが始めて暴かれた。その記事を見ていたウィルはまたもやびっくりしていた。
同日、某所
「何?カルフが敗れたと?」
少し、黒のかかった髪をした男は、たった今事柄を知らせに来ていた人をその鋭い眼光で睨みついていた。
「はい…それと、エルスティン大砦が落ちた模様です。ヒューラン家も徐々に権威も落ちています。今、攻め込んだ方がいいと思いますが…」
「そんなことはわかっておる。だが、魔王ディフェルは危険人物だ。奴の力は未知数。もし、本気を出されて国ごと消されたらたまったもんじゃない。これから監視を続けるようにと連絡しておけ」
「はっ」
男は眼下に置かれた地図に目を向ける。ヒューラン領と隣接している領は、ダーネス領とフラグレッド領でそれぞれの得意としている属性は闇と炎だ。地図には大きく撃破された街、支配された街を罰印で消し、残った街はもう湖岸都市のみと言っていいほどだった。
「魔王ディフェル…か…敵に回したくないな…」
男はそう呟き、外に出て行った。執務室は闇に染まり、誰もいなくなった。
次回、穢れなき乙女を招きましょう-1
次々回の注意点
※新キャラ登場。だが、キャラ性に問題あり?
そのキャラは、こよなく幼い女の子を愛する、ロリコンである。
ああ、なんであんなキャラにしたんだろう…