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相談屋のはじまり
「貴方はとても優しい人よ」
「優しくなどない」
「いいえ、優しいわ。そうでなきゃ、私と恋仲等にはなれなかったでしょう」
「っ……」
「ふふふ、顔真っ赤よ。私ね、貴方を愛せて、貴方に愛されて幸せだったわ。これは綺麗事のように聞こえてしまうかもしれないけれど、私の本心。貴方はどう?」
「俺は……」
「そんな困った顔しないで、言葉に出来ない立場だと言うことをすっかり失念してたわ。ごめんなさい」
「××が謝らなくていい。謝らないでくれ。俺はこんな立場だが、君に出会えて良かったよ」
「ありがとう。私もよ」
「こんな出会い方で出会いたくはなかったが……」
「そうね」
「それでも幸せを感じてしまっている俺は残酷だ。すまない」
「…貴方一人で背負おうとしないで。私も同じ」
「そんなっ!だって俺は……これから!!」
「私、今まで不幸だったわ。自分で言うのもアレだけどね。でも、貴方と出会ったことで幸せになれた。ありがとう。だから、苦しまないで」
「××……」
「ありがとう。大丈夫!これからも私は貴方の傍にいるわ。だから、大丈夫」
「……ああ」
「ありがとう。私の大切な人」
「クリビア」