プロローグ
あらすじ通り、恋愛モノです。
携帯読者様向けに、一話あたりをできるだけ短く綴っていこうと思っています。
“鍵作品”に大いに影響を受けているので、よく似た場面も多々あると思いますが、どうか暖かい目で見守ってやって下さい。
それでは、『空に馳せる思い』、はじまります。
空――。
この言葉から、何を想像できるだろうか?
暖かい空気? 柔らかな雲? 心地良い風? 澄んだ、蒼……?
いや、一面しか持ち得ない物は、この世には存在しない。そう、いかなるものであろうとも、一つではないのだ。
俺はぼんやりと町を歩きながら、くわえた煙草に火を点けた。
時は夕方。刻限は五時になるくらいだろうか。
秋の夕暮れというのは、何とはなしに陰鬱な気分になるものだが、今日はいつにもまして鬱陶しく感じる。
早くも西に傾いた夕日は輝きを真紅に変え、その光を受けて、人も家も、何もかもが血の色に染まっていた。口先五センチほどのところにある、煙草の火でさえも淡く見える。
ふぅっと、溜め息のように吐き出した白いはずの煙が、やはり血に変わって空へと昇っていく。
俺はやはり、それをぼんやりと目で追って、空を仰いだ。
そこにあったのは、“赤”い空。
そして、その”赤”の中にあってなお、”蒼”を見せる服を着た女の子が徐々に大きくなっていく姿。
ん? 女の子? 何で女の子が空から……って、うわあああ!!
……今思えば、よくもまぁ二人とも無事だったもんだと思うよ。
なにせ、彼女はマンションの四階から飛び降りて、俺はそれを受け止める形になったのだから。
これが俺、天城 空と、空になることを望む”自殺志願者”の女の子、風原 蒼香の出会いだった。
いかがでしたでしょうか……って、まだ序盤もいいとこなので、何とも言えませんよね。ごめんなさい。
更新は不定期になってしまうと思いますが、もし宜しければ今後ともお付き合い下さい。
よろしくお願いいたします。