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この作品に描かれている内容は、
如何なる実在する人物、組織への誹謗中傷を意図したものではなく。
現実世界のいかなる団体、個人を指し示すものではなく、
全て物語でありフィクションであり、実在の人物・団体、実際の事件とは一切
関係ありません。
この作品いかなる犯罪行為を肯定するものでありません。
「えー、ということで引き続き転生者の飛び出しには気をつけるように」
俺の名前は高橋有三、35歳のしがない中距離トラックドライバー。
朝礼では、ここ最近課長から異世界転生志望の人間の
トラックへの飛び込み自殺(ただの当たり屋)へ注意しろとの
警告がなされたていた。
おそらく全国の運送業者への朝礼で似たような警告がされているのだろう。
「でも、ほんと迷惑な話だよな勝手に飛び込んできて気を付けろって。
そんなのか知るかよ」高齢のドライバーの蜷川同僚が悪態をつく。
「昨日のTHE ONEのドキュメンタリー見たか?」中年ドライバーが
話しかけてくる。
「いや、ネットでちょっとだけ広告は見たんですが」
「そうか、すごかったぞ。でもロマンあるよな異世界」
THE ONEは、世界で初めて異世界転生して帰還に成功した人物で日本人のことだ。
帰還後数年は、日本政府に関する陰謀論(異世界などなく転生も
失敗している)という意見が世界中で共有されていたが
今では、世界各国で帰還に成功する冒険者が現れたことにより
その陰謀論はかき消されて行った。
「でも、蜷川のおっさん高橋に人避け方熱弁してなかったかえ?」他の同僚が
ツッコミを入れる。確かに以前、蜷川さんに緊急時の人避け方、その時の
ハンドルの動かし方やミラーの見方、車幅感覚随分丁寧に教えてもらった。
良く悪態をついている先輩だが、かなり面倒見がいい。入社当初この
蜷川さんには随分とお世話になった。
「へへへへ、じゃあ行ってきますは」後ろ姿からは照れていることが分かった。
「おっさん、今日は随分、早くないか? 気合入ってるな?」他の同僚がからかう。
「普通普通」蜷川は、そうそうに事務所を後にする。
「あ、そうだ。高橋君今日急遽ルート変更だったな」
「ええ」
「気をつけろよあそこ事故多発地域だからな」
「ええ。大丈夫ですよ」高速道路の連続工事の関係で迂回路を使う事となった。
今日通る名阪第二国道。
ここは、一時期日本で最も交通事故が多いと言わていた道路だった。
原因は様々あった。
国道にも関わらず実質高速道路並にみな速度を出すことや他にも
オメガカーブと言われる法律ギリギリのカーブは多くの事故を
引き起こしておりトラックドライバーは、もちろん一般のドライバーにも
認知されている危険エリアだった。
ーゆっくりですはーゆっくり、焦ったら負けー
オメガカーブに入る。蜷川のおやじのアドバイスが頭をよぎる。
法定速度厳守でオメガカーブに入る。側を速度違反のトラックが
追い越して行くが無視して速度を維持する。
なんの問題もないような気がした。
突然目の前に、男性が姿を現したのだ。
「ふざけんな! 自動車専用道だぞ!」
こっちにはドライブレコーダーがある!
一なにごとも観察ですはー
しかし、事情は直ぐに把握できた。
手にはスラムのフィギュアにエルフの抱き枕を抱えていた。
「まずい! 異世界転生自殺だ!」
どうする?! ここままブレーキは……。間に合わない……。
ハンドルを切れば……。オメガカーブ……。
崖に真っ逆さま……。
ー何事も訓練訓練ー慣れますはー




