会議
えー。これより、被告人イエローサーモンに関しての法廷を始める」
五つ目のヒラメ王は、珊瑚の玉座にきっちりと座り、会議の開始を宣言した。 周囲には、色とりどりの魚たちが傍聴人として詰めかけている。 空気は厳粛だ。
「まず、被告人は『違法能力使用』の罪に問われている」
さて、どうなるか。 俺は固唾を飲んで見守る。
「ただ、担当看守の証言によれば……被告人は、川の上流で産み落とされ、ここまで流されてきた『余所者』らしい」
はいはい。そうです。
「そうして、過酷な自然界で自分の身を守るために使っていた能力が、この文明社会では違法になるとは……知らなかったらしい」
そうだね。俺の(嘘の)証言はそうだけど……。
「さらに。被告人は、罪を犯したことは事実なので、『他の魚も捕まっているのに、自分だけ情状酌量で釈放されるのは不公平だ』と……自ら申し出たらしい」
うん? 王の声が震え始めたぞ? 少し風向きが……。
「それはッ!! なんて、健気で……おかしなことなんだろうッ!! こんなッ、生まれながらにして不遇の境地に立っていた稚魚がッ!! それでも正しくあろうとしているのに、罪に問われるなんてえええええええええええええええええ!!」
!?
「おかしいだろおおおおおおおおッ!!」
はい?
「俺はぁああああああああ!! この湖の王としてええええええ!! 法律を変えええええええええ!! 今からッ! 『違法能力使用』は罪に問わないものとするううううううううううううううううう!!!!」
やりすぎぃぃぃぃ!!
重すぎるって! 政治判断!!
会場が揺れた。
「グスっ……王のおっしゃる通りだ!!」 「そうだそうだ!! そんな悲しい法律なんて、変えちまえええええ!!」 「うおおおおおおん!! かわいそうだあああ!!」 「こんな魚を裁く法律なんて、今すぐぶっ壊してしまえええええ!!」
「「ぶっ壊せ!!」」
「「「「「ぶっ壊せええええええええええええええええ!!」」」」」
いや、お前らも重すぎるんかい!!
感情の質量が重すぎて、ブラックバッファロー三十体分ぐらいはありそうだなあああああ。
というか、人として、いや、魚として、その場のノリで法律を変えて大丈夫なの? ここ、法治国家じゃなかったの? 情治国家なの?
こうして。 俺は無実の罪で釈放されるどころか、国の法律そのものを変えて釈放されたのだった。
たった一匹の魚のために。
??? (この世界、重すぎてチョロすぎないか?)
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