第69話 射抜け!さそりの心臓を
前回のあらすじ
ケフェウス達と交戦するサジタリウス。彼は自分が『星神教』を作った理由を語り始めた。それは『流星』を使って、願いを叶える『星神』と通信する『星巫女』が居て、彼女はとある都市に捕らえられたため、彼女を救うべく作ったとのことだった。
そんなものの為に、村人達を殺したのかと憤怒するケフェウスに、サジタリウスは、ついでのように、『星巫女』を捕らえた都市の名を『シェダル』と明かした。
「「愛しの彼の為に、私は貴方を打ち倒す!!!」」
アンドロメダとスコルピオが、そう同時に叫ぶ。
直後、アンドロメダは風の魔法を付与し、高速で飛ぶ矢を放つ。
スコルピオはその矢を、消えるように避け、天井に移動した。
彼女は指の力だけで、天井にぶら下がっていた。
「素早いだけじゃなく、指の力も強いんですね。」
アンドロメダがそう言って、再び矢を放つ。
「当然。『キーストーン』の人々はこういうことが、出来るように訓練されてるわ。」
そう言って、天井から指を放し、矢を避けるスコルピオ。
そして、彼女は自身の両手をこすり合わせる。
「さて、今度は私の番だ。」
そう言うと、彼女は斜め上に、毒液を飛ばす。
毒液は、アンドロメダには当たらず、その真上の天井に当たる。
「どこを狙っているのですか?」
不思議そうな顔をする、アンドロメダに対して、スコルピオは再び両手をこすり合わせながら言う。
「『針』の怖さを分かってないわね。天井に付着した毒液は、ゆっくりと時間をかけて、落下する!」
スコルピオはアンドロメダに向かって、毒液を放つ。
それと同時に、アンドロメダの真上の毒液が、落下し始める。
「ちっ!」
アンドロメダは、自分の周りを囲むように、土の魔法でドーム状の壁を作る。
そして土の壁によって、毒液を防いだ。
「なかなかやるわね。」
スコルピオはそう言って、怪しげに土の壁に近寄り始める。
その足音を聞いて、アンドロメダは、土の壁に矢が通るだけの小さな穴を作る。
そしてその隙間から、アンドロメダは矢を放つ。
「ちっ。」
その矢を舌打ちをしながらも、ギリギリで避けるスコルピオ。
彼女が、土の壁から距離を開けたことを確認して、アンドロメダはそこの後ろ側から出てきて、毒液のかかったその壁を消滅させる。
「貴方の作戦。なかなか恐ろしいものですね。ですが、飛び道具の使い方なら、私も負けてませんよ!」
アンドロメダはそう言って、矢を放つ。
「一度避けられた攻撃をするなんて、何を考えているのかしら。」
スコルピオは再び高く飛び、天井を掴み、矢を避けた───。
───はずだった。
「私が、何度も同じ攻撃をすると思っているのですか?」
スコルピオが避けた矢の後ろに、もう1本の矢があった。
後ろの矢は、アンドロメダの風の魔法により、向きを変え、スコルピオを狙って飛んでくる。
「くっ!」
スコルピオは、顔に矢のかすり傷を付けたものの、天井から手を放し、矢が直撃するのを避ける。
「撃った矢の、真後ろに、1ミリのズレも無く、もう1本撃っていたなんて。貴方、ただの村の少女って言うには、無理がありすぎないかしら。」
そう言って、自身の事を見てくるスコルピオに、笑顔を見せるアンドロメダ。
「いいえ。私はただの村の少女です。愛しの彼の為に、貴方を倒す努力をしているだけのね!」
アンドロメダのその言葉に合わせるように、突如、廊下に突風が吹く。
その突風は、スコルピオの背中側から吹いていた。
「この風は⁉」
振り向き、驚きの声を上げるスコルピオに、アンドロメダは答える。
「確かに、私は前の矢の後ろに、同じ軌道の矢を放ちました。けど、何も、本命が後ろの1本なんて言ってませんよ!」
スコルピオの視界に、ものすごい勢いで、風に乗る1本の矢が映る。
「先に撃っていた矢と後ろの矢、別々に魔法を使えば、貴方が後ろの矢に気をそらしている隙に、先の矢の向きを変えることも出来ます!!」
スコルピオは飛んでくる矢に対して、少し体を動かすが、反応が遅れたのか、矢は、ものすごい勢いで、彼女の胸を貫く。
「危ない!!」
その勢いは、スコルピオの後ろにいた、アンドロメダすら、貫かんとする勢いだった。
アンドロメダは、矢を避け「ほっ。」と胸をなでおろす。
「そんなに強くしたつもりはなかったんだけど。」
アンドロメダは不思議に思いつつも、自身が、『スコルピオがケフェウス達を追いかけられないようにする為』に作った壁を消す。
「とにかく、ここは片付いたから、早くケフェウスの元に急がないと。」
アンドロメダはそう言って、廊下をかけ出した。
次回予告
悪い都市の名を『シェダル』と明かしたサジタリウス。そんなものは、でたらめだと言う騎士達。彼らの戦いが幕を開ける。
次回 70話 VS射手の座




