第67話 愛しの彼の為に
前回のあらすじ
サジタリウスの館へと突入したケフェウス達。彼らの前に現れたのは、サジタリウスではなく、『星神教十二座集さそりの座』を名乗る『スコルピオ』だった。
「団長になるほど手柄を取ったオリオンなら、布に染みた毒だけでも即死するかもしれないわね。」
スコルピオのその言葉に、ケフェウス達は驚いた。
「何故、俺の名前を!?」
オリオンがそう言った。
ケフェウス達も同じ疑問を持っていた。
何故、敵であるスコルピオが、オリオンの名前を知っているのか。ヴァルガリアが、わざわざ名前を聞いてきたことを考えると、『ペテルギウス聖騎士団』の名前が、『星神教』にバレているとは思えない。
そんな疑問に、スコルピオはあっさりと答える。
「私はダビーと…。いや、カプリコーンと同じ、『キーストーン』の生き残りなの。あの暗殺組織は、『シェダル』の騎士の命令で動いていた。
団長の情報ぐらいは私の元にも入っているわ。」
スコルピオの言葉に、ケフェウス達はさらに驚く。
「『シェダル』の騎士の命令で動いていた!? オリオンさん達がお前達みたいな、暗殺組織と組んでるなんてありえない‼」
ケフェウスがそう言うと、オリオンが頷く。
「その通りだ!!我々が、貴様らを使っていたというのなら、その証拠を出してみろ!!」
オリオンの言葉に、スコルピオは無表情で答える。
「そんなものは無いわ。雇い主はいつも、黒装束を着ていて顔を見せなかったもの。
ただ、彼は自分の事を『シェダル』の騎士と言っていた。ついでに、団長達の名前も聞かされてたのよ。いずれ、標的にするかもしれないからと。」
スコルピオの言葉に、ベラトリクスが笑った。
「ふん!つまり、本当にアタシらに雇われてたかは、知らねぇってことじゃねぇか!
語るに落ちたな!」
ベラトリクスは、スコルピオに向かって走り出す。
さらに、靴につけられた風の魔法石の力で、まるで瞬間移動するかのように、スコルピオの背後を取る。
「っと、行き過ぎた。はえぇなこれ。」
ベラトリクスが急いで、振り返って、スコルピオを斬ろうと飛ぶ。
それに対して、スコルピオは、ベラトリクスの方を見る。
「貴方。かなり足が速いのね。でも…。」
ベラトリクスが、剣を振り下ろす直前。スコルピオは姿を消した。
「な!? 消えただと!?」
しかし、そうではなかった。
スコルピオは、ベラトリクスの背中にいた。
「でも、自分の速さを制御できないなら。脅威でもなんでもないわね。」
ベラトリクスは「何!?」と驚いて、後ろを振り向く。
「私も、『キーストーン』の端くれ。カプリコーンほどの握力はないけれど、速さなら。あの子を超えるわ。」
スコルピオの言葉に、ベラトリクスは舌打ちをする。
「とっとと、あいつを突破して、教祖野郎をぶっ潰さなきゃいけねぇのに!」
ベラトリクスのその言葉を聞いて、アンドロメダは自分達がすべき本当の目的を思い出す。
「そ、そうです!皆さん!! ここは『星神教』の基地です!
私達が、ここにあるはずの『流星』を回収してしまえば、その力を使って、彼女を無力化することも出来るはず!!
なら、彼女を倒すのではなく。彼女を抜けて先に行くこと優先するべきです。」
アンドロメダの言葉を聞いて、スコルピオが自身の両手をこすり合わせる。
「そんなこと、させると思っているの?」
「するんです!」
アンドロメダは風の魔法を、ケフェウス達にかける。
そして、先端に火をつけて目立つようにした矢を構えると、スコルピオに向かって放つ。
風の魔法で、速さを上げた火矢を避ける。
その瞬間、アンドロメダが叫ぶ。
「皆さんには風の魔法をかけています!今のうちに、走って!!」
その言葉を聞いて、ケフェウス達はスコルピオを抜けて走る。
「逃すわけないって言ってるでしょ!」
スコルピオが、毒液をケフェウスに放つ。
しかし、それは突然現れた土の壁によって防がれる。
「これは!?」
ケフェウスが、突然廊下を遮断するように現れた壁を触って言う。
そして、アンドロメダが言う。
「急いで土の魔法で壁を作ったの!彼女のことは私が、足止めしてるから、ケフェウスは先に行って!」
アンドロメダの言葉に、ケフェウスは叫ぶ。
「何言ってんだ!メダもこっちにこい!」
しかし、アンドロメダは壁を消すことはせず、続ける。
「誰かが足止めしないと、彼女は追いかけてくるでしょ!
大丈夫。無理はしないから、ケフェウスは先に行って!」
それでも、ケフェウスは彼女を止めようとする。
「メダを置いていけるか!」
ケフェウスの静止を、アンドロメダはきかない。
「いいの!行って!大切な君を、守りたいの!」
ケフェウスは、言うことをきかないアンドロメダを説得するのを諦めて、彼女を信じて走る。
「必ず再開しろよ!俺にとっても、お前は大切なんだ!」
その言葉に、アンドロメダは静かに笑う。
「ふふ。私と君じゃ、大切の意味が違うんだけどね…。」
その姿を見て、スコルピオが言う。
「貴方。彼に片思いしているの?」
その言葉を聞いて、アンドロメダが赤くなって照れる。
「な、何言ってるの貴方!!」
「分かるのよ。私だって、片思いしてる相手がいるんだもの。」
顔を隠すスコルピオを見て、アンドロメダが「貴方もなの!?」と驚く。
「ええ。鈍感な男って、嫌よね。
まぁ、けれど…。」
ため息をした後、アンドロメダに向かって構えるスコルピオ。
「ええ。私達には、やらなければならないことがあります。」
アンドロメダも、弓を構える。
そして、2人は同時に叫ぶ。
「「愛しの彼の為に、私は貴方を打ち倒す!!!」」
次回予告
スコルピオとアンドロメダが戦う中、ケフェウス達はサジタリウスと出会う。
そして彼は、『星神教』を作り出した理由を述べる。
次回 第68話 ひとつ話をしましょうか




