第66話 狩人を殺す毒
前回のあらすじ
ジェミニーを倒したポルックス達は、『シェダル』に戻り、そのことをカシオペアに話した。
その後、アンドロメダはケフェウスの部屋に行き、己がポルックスに嫉妬していることを話す。互いの仲にヒビが入ってないことを安堵したアンドロメダは、ケフェウスに好意を伝えるが、彼にはうまく伝わらなかった。
次の日、騎士達は武具制作チームに呼ばれ、工房へと向かった。そこには、ゴーグルをかけた老人がいた。
「昨日お主らが、持ってきた魔法武器。あれをお主らに合わせてサイズを変えておいた。使いたいからこそワシに持ってきたんじゃろ?」
老人は、ベラトリクスに翼の飾りの付いた靴、タビトには黄色い魔法石の付いた大盾、ケフェウスには、自動式回転刃搭載片手剣、『姉の怒り』を渡した。
「靴の方は、風の魔法石が組み込まれていた。それによって、素早く行動することができるじゃろう。盾の方は土の魔法石で、土の壁を盾の前に生成し、身を守ることができるようだ。故に、以前の盾より小さく動きやすくしておいた。
剣の方は、水と風の魔法石を組み合わせて、電気を生み出し、刃が回転する仕組みじゃった。」
ベラトリクスが靴を履き替えながら言う。
「なぁ、ペルセウスのじいさんよ。この羽は取ることは出来んのか?」
「無理じゃな!その翼に風の魔法石が組み込まれておる。ま、靴を魔法武器にしているんじゃ。そう言う飾りに石を置かねばならんな。」
ペルセウスはそう言いながら豪快に笑った後、髭を触りながら「しかし…。」と続ける。
「かなり技術の高い魔法武器の数々だったな。魔法武器を作って60年のワシでも、少しでも集中を乱されれば作りなおすことは出来んかったじゃろう。
これを作ったやつはどれほどの天才なんじゃ?」
ケフェウスは、ペルセウスに、ジェミニ―の話をした。
すると、ペルセウスは、「何じゃと、齢10程の子供が…。これほどの物を作り出すとは…。」と驚いていた。
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武器を更新したケフェウス達は、手紙に書いてあった『サジタリウスの隠れ家』を目指し、旅に出た。
隠れ家の前にあった深い森では、星神教が所々にいたが、あまりに数が少なく、仕掛けて置く罠としては、あまりにも頼りないものだった。
星神教を倒し、地図に書いてある場所までたどり着くと、ケフェウス達は、その建物の大きさに驚いた。
「はぁ。随分とご立派なところに住んでるなぁ。」
ベラトリクスが目の前の館を見てそう呟く。
オリオンが、騎士達に振り返って言う。
「さ、ここから敵の本拠地だ。移動中の森での戦いからも察せるように、奴らは我々を迎え撃つ準備をしているだろう。皆、気を引き締めてくれ!」
ケフェウス達はそれに答えるように雄たけびを上げる。
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ケフェウス達は暗い廊下を歩き続ける。
蠟燭で出来た小さな光だけが、彼らを照らす明かりだった。
「足元や、壁に注意しろ。」
オリオンが皆に伝える声が、暗く狭い廊下に響く。
突如、最後尾にいた騎士3名が悲鳴を上げて倒れた。
「どうした!?」
オリオンが慌てて倒れた騎士達を見る。
暗くて良くは見えないが、うつ伏せで倒れた彼らの首には、まるで毒針でも刺されたかのような青い痣が出来ていた。
「なんだこれは…?」
オリオンがその痣に触ろうとしたところに、少女の声が聞こえた。
「触れない方がいい。その毒は布程度なら簡単にすり抜ける。」
オリオンが振り返ると、そこには黒髪を短髪にした小柄な少女が天井から降りて来た。
「お前がサジタリウスか!?」
ケフェウスの言葉に、少女は冷めた目で彼を見る。
「いいえ。
私は『スコルピオ』。『星神教十二座集さそりの座』の女よ。」
「別の星神教か!お前、何をした!!」
オリオンの言葉にスコルピオは、何かをこねるように両手を合わせる。
そしてその手を放すと、彼女の両手の間には紫色の粘り気のある液体が伸びていた。
「『針』。特殊な毒液を体から生み出す能力。」
スコルピオが毒液を飛ばす。
「毒だと!?」
ケフェウスが、毒液を避ける。
そして、地面に付いた毒液を見て、スコルピオが言う。
「気をつけなさい。その毒は、生まれて間もない子供のような、人を殺していない人にとってはただの水と変わらないけど、人を殺したことがあればあるほど、強力な毒になるわ。」
彼女は、オリオンを見ながらさらに続ける。
「団長になるほど手柄を取ったオリオンなら、布に染みた毒だけでも即死するかもしれないわね。」
次回予告
ケフェウス達の前に現れたスコルピオ。彼女の能力と過去が、彼らに新たな苦戦を強いる。
そんな中、アンドロメダはとある決意を決める。
次回 第67話 愛しの彼の為に




