第65話 面と向かって
前回のあらすじ
ジェミニ―の使用した手りゅう弾は不発に終わった。ケフェウス達は十二座集が倒れても逃げなかった黒装束の襲撃を受けつつも彼らを倒す。
黒装束の攻撃で撃たれた矢には、星神教教祖を名乗る、サジタリウスからの、招待状がつけられていた。
ケフェウス達は『シェダル』に帰ると、カシオペア女王の元へ、ジェミニ―との戦いについて報告しに行った。
「『スン』の調査で、『星神教十二座集』の『ふたごの座』である『ジェミニ―』との戦いになりました。
そして、その戦いでは多くの犠牲を出すことになりましたが、『流星』と、ジェミニ―が制作したという、魔法武器を手に入れることが出来ました。
武器の方は既に、武具制作チームへと渡してあります。」
オリオンの言葉に、カシオペアが頷いて言った。
「ご苦労。ステラ、『流星』の確認をお願いできるか?」
カシオペアの言葉を聞いて、ステラは読んでいた本を置き、『流星』をまじまじと見た。
「それは、本物だな。これでやっと3つか。」
ステラがそう言うと、ベラトリクスが独り言のように言った。
「残りの4つは『星神教』が持っているのかもな。だから、アタシ達を呼んだ。罠にハメてアタシらを殺した後、ここを狙うつもりなのかもしれんな。」
オリオンは彼女の言葉を聞いて、頷いた。
「なるほど。その可能性はあるな。
しかしそうなると…。」
オリオンは少し貯めた後、騎士達に向かって笑顔を見せる。
「猶更、今度の戦いは負けられないな!」
──────────
騎士達は報告を終えた後、食事をとり、各々の部屋へと帰って行った。当然、ケフェウスも同じである。
ケフェウスが「ふぅ。」とため息をしながらベッドへと倒れこんでいると、突然ノックの音が響いた。
「ごめん。私。今、時間大丈夫?」
中に入って来たのはアンドロメダだった。
「メダ!大丈夫だけど、どうした?」
ケフェウスが質問すると、アンドロメダが答える。
「ジェミニ―さんとの戦いの時に、彼女に言われたこと。ちゃんと面と向かって聞きたくて。」
ケフェウスが「言われた事?」と聞き返すと、アンドロメダが「ポルックスさんに嫉妬してたって話。」と答える。
「私。あの子に嫉妬してた。『私は、彼女のせいでケフェウスに嫌われたのに、なんで彼女はケフェウスと仲良くしているの。』って。
それで、2人に対してつんけんしてさ…。」
アンドロメダは悲しそうに笑う。
「私、子供っぽいよね。私とケフェウスはただの幼馴染ってだけなのに…。それも、子供に対して嫉妬するなんて…。」
アンドロメダは、笑顔のまま少し目を開き、「幻滅した?私、ケフェウスに嫌われちゃったかな?」と聞く。
その目は、涙ぐんでいた。
ケフェウスは答える。
「別に嫌わないよ。いつも冷静そうで、実は結構負けず嫌いで、子供っぽいのは、今に始まったことじゃないし。むしろ俺の方が子供っぽかったよ。メダはせっかく忠告してくれたのに、『ポルックスは仲間だ。』って言ってメダを否定しちゃった。」
ケフェウスが落ち込むところを見て、アンドロメダは涙目ながらも、いたずらっ子のような笑みを見せた。
「ケフェウスって、昔から頑固だもんねぇ。でも、あんな言い方は無いんじゃないかなぁ。」
アンドロメダの言葉が、ケフェウスの心に刺さる。
「そんなに言うなよ…。俺だって、反省してるんだから。」
「ふ~ん。本当に反省しているなら、これからもずっと私と一緒にいてよ。絶対にいなくなっちゃ嫌だからね。」
にやにやと笑いながら、自分の胸の前で腕を組み、そう詰めるアンドロメダに、ケフェウスは「あ、ああ。勿論だよ。」と引きながらも笑顔で返した。
「じゃあ、私。もう、行くね。話を聞いてくれて、ありがとう。」
アンドロメダが、ドアを開けて、振り向いた。
「そうだ!私、ケフェウスの事が好きだよ。」
アンドロメダの言葉に、ケフェウスは「ああ。俺も好きだぜ。」と笑顔で返した。
アンドロメダは、部屋から出ると同時に、呟く。
「違うよ。ケフェウス。幼馴染としてじゃなくて。本当に…。」
その言葉は、ケフェウスの耳に入ることは無かった。
次回予告
いよいよ、サジタリウスの元へと向かうケフェウス達。
彼らの前に、黒い影が忍び寄る。
次回 第66話 狩人を殺す毒




