第57話 絶望の再来
前回のあらすじ
カプリコーンの第二の能力『自分は先輩達の為に』はなんと死んだ十二座集の魂を自分の体に憑依させ、その能力を使うことができるようになる力だった。ケフェウス達はカプリコーンに勝つことができるのだろうか。
「そう何度も隙をさらすかよ!俺を殺したお前らをぶっ殺してやる!!」
カプリコーンは、タビトを指さし、言った。
「とくにお前!! 俺をぶっ殺してくれた張本人だ!絶対に許さねぇからな!」
カプリコーンに睨まれたタビトは、銃槍を構える。
「また、撃ち抜いてやろうか!」
タビトが、弾丸を発射する。
カプリコーンはそれをいとも簡単に避ける。
「てめぇの遅い弾丸なんか、脱水症状が出てなきゃ簡単に良けれるんだよ!」
「緩急のある攻撃には追いつけるか?」
ベラトリクスがそう言うと、カプリコーンに向かって走り始める。
「ちっ!邪魔くせぇ!!」
カプリコーンは腕を振り、水飛沫を飛ばす。
ベラトリクスは、それを地面を転がり、避ける。
「くっ。」
カプリコーンは頭に手を当て、片膝を付く。
「今だ!」
騎士の1人が、カプリコーンに向かって走ろうとするが───
「っ。あめぇよ!! 」
カプリコーンは、すぐに騎士の前に移動し、騎士の首を掴む。
「ギリギリの状態でも、まだこんなに動けるとはな。頭は使えねぇ奴だったが、体は使えるようだな。」
カプリコーンが、手に力を入れる。
すると、騎士の手や足の鎧が落ち、ミイラになった手と足がのぞく。
そして、騎士の首がすぐさま吹き飛んでしまった。
「ちっ。力を入れすぎたか、少し扱いずらいなこの体も。」
カプリコーンが自分の手のひらを見ている隙に、ベラトリクスが、カプリコーンの頭を蹴る。
「よそ見してんじゃねぇよ!!」
「うっ。」
カプリコーンは、頭を押さえ、立ち上がろうとする。
「しまいだ!!」
ベラトリクスが、剣を振り、カプリコーンの頭を狙う。
「『ウールウエポン・棘兜』」
しかし、突如カプリコーンの髪が、剣山のようにとがり、彼女はそれで剣を受け止めた。
ベラトリクスは、後方に飛び、下唇を噛む。
「この能力は!」
ベラトリクスが睨む先で、カプリコーンはゆっくりと立ち上がり言う。
「ああ。やっとどいてくれた。ボクだって、結構この体を奪おうと頑張ってたのに。アクエリアスの野郎。恨みが強すぎて、この体を譲らねぇんだもんよ。
ま、ひとまず君達には感謝するよ。御礼にぶっ殺してあげるよ。とくに、そこの弓兵。」
カプリコーンはアンドロメダを指さす。
指をさされたアンドロメダは、唾をのむ。
「くっそ熱い火の中にぶち込んでくれたもんなぁ。君にも同じ苦しみを与えてやるよ。」
アンドロメダを睨むカプリコーン。
彼女に向かって、剣をふり、走るケフェウス。
「させるかよ!そんなこと!」
「はぁ⁉ ボクが珍しく、目標に向かって頑張ろうとしてるってのに、君はそれを否定するんだ!腹立つなぁ!!」
カプリコーンは、ケフェウスに向かって、頭突きをする。
ケフェウスはそれを、剣を使って受け止めるが、カプリコーンの勢いに負け、吹き飛ばされてしまう。
「ちっ。吹き飛んだってことは、防がれたか。っていうか、この帽子が、邪魔なんだよ!前が見えねぇんだよ!なんで、こんな邪魔なもん大切に被ってんだよ。」
カプリコーンは、そう言うと、『♡A』大きく書かれた帽子を脱ぎ、真後ろへ投げ捨てる。
「ていうか、短いんだよ髪が。ボクなんて、この能力のために、髪を伸ばし続けて、手入れして、邪魔にならねぇようにアフロにしてたってのに。
しかもこの体、全然眠くねぇから『ドリームパンデミック』も使えやしねぇ。
全く使えねぇ体だよ。全く。」
カプリコーンがそう、悪態をつくと、彼女は突如、髪を元に戻し頭をおさえ始める。
そして、その行為をやめたカプリコーンは、静かな声と眼差しで言う。
「なら、僕に貸してくれ。僕も彼女に一泡吹かせたいからね。」
「あ、貴方は…。誰ですか…?」
アンドロメダは、自分の事を見る、カプリコーンに質問する。
カプリコーンは、両手のひらを彼女に向け、言う。
「僕はレオだ。命を捨てても、民の命も、国の名誉も、星神教の野望も守れなかった、あまりにも小さく弱い王だ。
まさか、忘れたわけではないだろう?弓と魔法を操る、新たな魔法使いよ。」
アンドロメダは、持っている弓を強く握る。
「ええ。忘れてません。貴方の魔法の強さの事も。」
「そうか。まず最初に、君に謝罪しなければならないな。君は正真正銘、魔法使いだった。しかも、武器と魔法を同時に操る魔法の発展につながる魔法使いだ。魔法武器使いなどという、侮辱を謝ろう。
そして、感謝しよう。新たな魔法の使い道に、僕も試そうではないか。『強力な魔法を使うことのできる』僕の知識と、『強力な肉弾戦が出来る』カプリコーンの肉体。これが合わされば、今まで以上に戦えるだろう。」
カプリコーンはそう言うと、魔法を放つ準備をし始める。
しかし、彼女はすぐに『王の狩猟』が発動してしまう。
「くっ。この体には魔力がほとんどないのか。
よく考えたら当たり前だ。あんな暗殺技術があるんだ。魔法など学ぶ暇もなかったか。しくじったな。
彼女の思いを無下にして、申し訳ないが、他人の体で犬死するわけにはいかんな。この体は彼女に返すか…。」
下を向いてそう呟いたカプリコーンは、すぐに顔を上げ、アンドロメダを睨む。
「しかし、その前に、驚異的なモノは排除しておくか。」
そう言うと、カプリコーンは突如消え、皆が気が付くと、アンドロメダの隣におり、彼女の肩に手を置いていた。
「嘘!」
びっくりするアンドロメダを、攻撃するでもなく、再び元の位置に戻るカプリコーン。
アンドロメダは、カプリコーンに問う。
「な、何をしたんですか…!?」
カプリコーンは、静かに笑い、問いに答える。
「忘れたか?『獅子の座』のもう一つの能力を。
『百獣の王』。紋章を通じて魔力を移動する能力。
この紋章は、能力を与えられた者の手の甲に、必ず出現する。ゆえに、カプリコーンの体にもあるだろう。」
カプリコーンはそう言って、自身の両手の甲についている、紋章を見せる。
「そして、能力を持つものが、人に触れ、紋章を与えることを念じれば付けることができる。
今、君の体には、この紋章が存在する。つまり。」
カプリコーンが、両手のひらを騎士達に向ける。
「こういう使い方が出来るって訳だ!」
カプリコーンの紋章と、アンドロメダの肩に付いた紋章が光る。
そして、カプリコーンの手から、複数の火の玉が発射される。
騎士達は、その魔法をよけたり、盾で受けたりした。
放たれた魔法は、そこまで威力が無く、周りが火の海になることや、騎士達に被害が出ることは無かった。
「くっ。」
アンドロメダが、力が抜けたように座り込んでしまった。
「これは、魔力切れの症状…。まさか!」
アンドロメダの言葉に、カプリコーンは答える。
「ああ。君の魔力を全て使わせてもらった。騎士の数を減らせなかったのは悔しいが、君のトリッキーな術はこれで封じた。
この体は返すとしようか。」
そう言うと、カプリコーンは再び頭を押さえ始める。
「また、入れ替わるつもりか!させねぇぞ!!」
ベラトリクスが、カプリコーンに向かって走り、両手の剣を彼女に叩きつける。
その刃は、カプリコーンに直撃した。
しかし、カプリコーンが頭を上げ始めると、彼女の頭に傷が入るどころか、ベラトリクスの剣が押し返される。
「なっ!!」
「キャハハハハ。その声、聞き覚えがあるっすよ。」
カプリコーンはにやぁっと笑った。
次回予告
次々と切り替わる十二座集に苦戦するケフェウス達。しかし、彼らにも、カプリコーンが作ってしまった、付け入る隙があった。
次回 第58話 カプリコーン達との決戦




