第53話 都市に咲き乱れる赤い薔薇
前回のあらすじ
ヴァルガリアは、『絶対服従の命令』を使い、いよいよケフェウス達を支配下に置く。
しかし、そのタイミングで休暇をとっていた騎士達が応援に来る。
さらに、『メダ』というあだ名を本名と勘違いしたヴァルガリアは、アンドロメダに命令する際、『メダ』を使用する。『絶対服従の命令』の力はあだ名を呼んだ場合は支配できず、ヴァルガリアは、アンドロメダの手によって、その命を散らす。
「っ。俺達は…。」
ケフェウス達は、応援に来た騎士達によって、正気を戻される。
「っ、ヴァルガリアは!?」
ケフェウスの疑問に、アンドロメダが答える。
「ちゃんと倒したよ。ほら!」
アンドロメダが、指さす方には、倒れた少女がいた。
彼女は、正体を明かす前のような、紫髪にボロボロの服、汚れた足は、靴を履いていなかった。
「これが、彼女の本当の姿だったのか?」
「多分。そうね。」
ケフェウスとアンドロメダが、少女の死体を見て言う。
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「助けて下さりありがとうございます。」
正気を取り戻した、町民達は、騎士達にお礼を言う。
ケフェウス達は、背中から明るく見送ってくれる町民を背に、『ポリマー』を出る。
途中でポルックスが振り向くと、町民達が騎士を応援するように、それぞれの道具を天に掲げ、雄叫びをあげる姿が見えた。
彼らは全てが終わったことを示すように───
───道具を振り下ろし、首を地に当て、赤き薔薇が街に咲いた。
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シルクハットの元に、通信が入る。
「はい?どなたですか?」
「オレですオレ!!」
通信の相手は、メガネの子供からだった。
「さ…。」
「詐欺じゃありませんよ!!」
シルクハットが、何かを言おうとした瞬間、言いたいことを察した子供は、先に言う。
「ところで、どうなさいました?」
「ええ。緊急でお知らせしたいことが2つありまして。
1つは、ヴァルガリア様がお死にになりました。」
「あらら、彼女でもダメでしたか。」
シルクハットの言葉を聞いて、近くのテーブルで牛乳を飲んでいた黒髪の少女が静かに驚く。
「はい。そしてもう1つが…。」
「ほう…。やりますねぇ。」
シルクハット達の会話は、少女の耳には届かない。
少女は、私情で隠してしまった、ヴァルガリアの手紙を取り出す。
それは、シルクハットに届いた、封筒の中に入っていた、もう一つの手紙。
そこには、こう書かれていた。
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拝啓、愛しのアンタ。
こっちの手紙に気づいてくれてありがとう。前の手紙では恥ずかしくて言えなかったことを、こっちの手紙に書くね。
まず最初に、アタシを救ってくれてありがとう。それに、文字の書き方を教えてくれて、暖かい場所をくれて。奴隷の証である紫の髪を隠す力もくれたし、通信機の音がトラウマのアタシに気遣って、連絡は手紙を使ってくれたことにすごい感謝している。
それでね、もし。もし、この戦いが終わったら、アタシをお嫁にして欲しい。
好きだよ。
敬具 アンタの未来の嫁より。
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黒髪の少女は、その手紙を再び、懐に隠す。
そして、彼女は悲しげな顔をして呟く。
「どうして私は…。この結果に、よかったって思ってしまうの…。」
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ケフェウス達が『ポリマー』から帰る。
その森の中で、突如。最後尾にいた騎士が「ぐあっ!」と声を上げて倒れる。
「なんだ!?」
オリオンが振り向くが、後ろには、倒れた騎士以外いなかった。
「騎士団長の割に、反応が遅いっスね。」
突然、オリオンの背後から声が聞こえる。
オリオンが、急いで振り向き、剣を振るう。
その剣は、後ろにいた人物の黒装束を掠めるが、その人には当たらなかった。
その人物は、ジャンプをして剣を避けた。
「誰だ!? お前は!!」
オリオンの問いに、その人物は黒装束のフードを取る。
白いキャップ帽の中に、栗色の短髪をしまい、黄色い目をした女性は、敬礼をして言う。
「ちわーっス。自分は『星神教十二座集山羊の座』『カプリコーン』っス。」
次回予告
山羊の座を名乗るカプリコーン。彼女の能力と、戦闘能力は、騎士達を三度の脅威を与える。
次回 第54話 VS山羊の座




