第50話 『乙女』との決戦
前回のあらすじ
ヴァルガリアとの戦いになるケフェウス達。しかし、ヴァルガリアの能力『絶対服従の命令』によって、『ポリマー』の人々は彼女の手下となり、無理矢理に戦わされる。
彼女を狙って攻撃するも、『ポリマー』の人が庇ってしまい攻撃ができない。彼らは彼女に勝つことが出来るのだろうか。
ケフェウスは、彼を嘲笑うヴァルガリアに向かって走る。
「余裕でいられるのも今のうちだ!」
「学ばない人ですわね。」
そう言うヴァルガリアの前に、再び紫髪の少女が現れる。
「ちっ!」
ケフェウスは再び剣を止める。
「ほんと情けないですわね。そのまま、斬り殺せばすぐに終わりますのに。」
ヴァルガリアの言葉に、紫髪の少女が彼女を睨む。
それを見て、ケフェウスはさらに怒りを強める。
「ふざけたことを言うな!」
「ふざけたことなんて言ってないですわ。事実を言ったまでですわ。」
ヴァルガリアがそう真顔で言った後、ケフェウスの後ろにいた町民が鎌で彼に襲いかかる。
「ちっ!」
ケフェウスはそれを持っている剣で受け止める。
「隙だらけですわ!」
ヴァルガリアがそう言うと、紫髪の少女がしゃがみ、ヴァルガリアが持っている鞭でケフェウスの背中をうつ。
「ぐっ。」
鞭にうたれたケフェウスの背中は、肉がえぐれ血が流れる。
「ほらほら!いつまで耐えられるかしらぁ?」
ケフェウスの背中を次々とうつヴァルガリア。
ケフェウスは怒涛の攻撃に耐え続けるが、その分、剣で受け止めている鎌にさく力が失われ、鎌はケフェウスの首に近づく。
「はぁ!!」
それに気づいたベラトリクスが、ケフェウスの所まで走ってきて、町民を蹴り飛ばす。
「大丈夫か?ケフェウス?」
彼女の問いに、ケフェウスは頷く。
「ほほほ。いいんですの?大切な町民を傷つけて。」
馬鹿にするように笑うヴァルガリアに、ベラトリクスは右手に持った小剣を向ける。
「アタシゃあ、無理にでも町民を守る主義じゃねぇんだよ。殺すことはしねぇまでも、悪を討つ確率が減るんなら、どかすぐらいはするさ。」
ベラトリクスの言葉に、ヴァルガリアが「へぇ~。」と笑う。
「アンタはまぁまぁ、厄介そうですわね!」
ヴァルガリアが、ベラトリクスに向けて鞭をふるう。
しかし、ベラトリクスはそれをいとも簡単に避ける。
「遅いぞ!!」
ベラトリクスが、ヴァルガリアの首を斬ろうとする。
しかし、彼女の前に、紫髪の少女が現れ、ベラトリクスは手を止める。
「ちっ。」
ベラトリクスは舌打ちをして後ろに下がる。
「ホホ。それでも結局。町民を殺せないなら意味ありませんわね。」
ヴァルガリアはそう笑うと、再び鞭を振り上げる。
紫髪の少女がヴァルガリアの前から、横に移動すると、ヴァルガリアは鞭を振り下ろす。
ベラトリクスは、その鞭をかわし続ける。
「今だ!」
ヴァルガリアが、ベラトリクスに夢中になっている隙に、タビトが銃槍から、銃弾を発射する。
「ホホ。手元から離れる武器は途中で止めれなくて、残念ですわね。」
ヴァルガリアがそう笑うと、茶髪の男が、彼女を銃弾から庇い、頭に銃弾を食らう。
「なっ⁉」
絶句するタビトにヴァルガリアが笑う。
「オーホッホッホ。やってしまったわね。アンタは町民を殺したんですわ。」
ヴァルガリアが、小馬鹿にした顔のまま、タビトに近づく。
「アンタが、銃弾なんて撃ち込まなければ、あの方は死にませんでしたわ。アンタのせいで。アンタの誤りで。殺したんですわ。」
「つっ。」
絶望するタビトに、ヴァルガリアは最大限に嫌味な顔をする。
「オーッホッホッホ!滑稽。滑稽ですわ!その表情!さいっこうにワタシ様を喜ばせますわ!」
「人を小馬鹿にして、油断なんていけませんよ!」
ヴァルガリアの後ろから、自身の怪我を治療し終えたアンドロメダが矢を放つ。
「学習しない馬鹿ばかりですわね。」
ヴァルガリアの前に、オレンジ髪の女性が立ち、ヴァルガリアを庇う。
「いいえ、そんなことはありませんよ!」
アンドロメダがそう言うと、突如、矢の下から大きな風が吹く。
そして矢は、オレンジ髪の女性の頭上を越え、ヴァルガリアの真上に飛ぶ。
「なんですの⁉ こんな都合のいい風なんて…。」
驚くヴァルガリアに、アンドロメダが告げる。
「風の魔法で、矢の軌道を変えました。いつまでも学ばない私達ではありません!!」
矢が、ヴァルガリアの頭上で逆さまになり、風の魔法で、ものすごい勢いで落下し始める。
ヴァルガリアは目を見開く。
そして、その少女は小さくつぶやく。
「やだ…。こんな最後なんて…。ワタシ様はもっと、奴隷をこき使いたかったのに…。」
そして、少女の体を、矢が貫通した。
──────────
「お、終わったのか。」
ケフェウスが痛みに耐えながら、つぶやく。
「なかなか、小汚いことをする人だったけど、被害は少なくて良かったのかな。」
アンドロメダが、ケフェウスの治療をしながら、そう言う。
「あ、ああ。その、なんというか。争いには、犠牲が出てしまうものだろ。お前が、気にすることじゃない。」
膝を付き、絶望するタビトに、ベラトリクスがなんとか、励まそうとする。
少しの間、『ポリマー』には静寂が満ちる。
その後、紫髪の少女が、矢で射抜かれた赤髪の少女の死亡を確認する。
そして、少女は、大きく笑う。
「アーハッハッハ!! 死んだ死んだ死んだ!! 死にやがりましたですわ!!」
その声に、ケフェウス達は驚く。
「お、おい。今まで、盾にされてたし、ヴァルガリアから解放されて、安心するのは分かるが…。 あまり、大きく死を喜ぶのはどうかと思うぞ…。」
オリオンが、少女に近づく。
そして、彼女の短髪が、紫から赤に変わっていくのを確認する。
それはまるで、夢から覚めるように、もしくは、何かを覆い隠すかのように。
少女の髪は、真っ赤に染まっていく。
「ヴァルガリアが死んだぁ?ですの?馬鹿なんじゃねぇのですわ!アンタら。」
少女は、オリオンを馬鹿にするように笑う。
「この死体は、ヴァルガリア様じゃねぇんだよ。ですわ!この『ポリマー』の女王。スピカのクズ女に、アタシ様の代わりをやらせてたんだよ!ですわ!」
「ど、どういうことだ?」
困惑するオリオンに向かって、少女が言う。
「馬鹿なアンタに教えてやるですわ。」
少女は、足元にあるスピカの遺体を、右足で踏みつけながら言う。
「アタシ様こそが!『星神教十二座集。乙女の座』!『ヴァルガリア』様って訳ですわ!!」
次回予告
偽物が死に、高らかに笑うヴァルガリア。乙女の座の真の力、それによりケフェウスは、アンドロメダを…。
次回 第51話 盲目たる恋




