第5話 新人聖騎士
ケフェウスとアンドロメダが『ペテルギウス聖騎士団』に入りカシオペアと別れると、オリオンがケフェウス達が騎士団に入ったと改めて騎士団の兵士達に伝えた。
その後解散すると、赤髪の女騎士がケフェウス達に近よる。
「よ!お二人さん、改めてよろしく。
アタシは『ベラトリクス』だ。」
「これからよろしくお願いします。ベラトリクスさん。
あの時は俺の意見に賛同してくれてありがとうございます。」
ケフェウス達がお辞儀をすると、ベラトリクスは笑って…
「いやいや、なんの。
って言うかそういう堅苦しいのいらないから。」
すると黒髪で大きな鎧を身につけた男が鎧をガシャガシャ鳴らしながら駆け寄ってくる。
「ベラトリクス!!
お前がこの子達を騎士団に招き入れたって本当か!?
正気かお前!!」
「正気だよ、タビトは怪我した兵士達を治療室に連れて行ってて知らないんだろうけど。
この子達から入りたいって言ってたんだぜ。」
「だとしてもだ!
普通止めるだろう、そんな危険な事に子供たちを巻き込むな!」
「あの女王ちゃんの命令だぜ。」
「は!?」
そういうと黒髪の重装騎士は腕を組み少し悩む。
「なら仕方ないか。
俺は『タビト』だ。お前らの村を護れなくてすまなかった。
だが、必ずお前らの事は護ってやるからな。」
タビトが真剣な眼差しで言うと…
「そんな過保護じゃダメじゃないかい?
戦場じゃ自分の身は自分で守らないと。
タビトだって1人しかいないんだから、護りきれないこともあるしね。」
とベラトリクスが言った。
「なんて無責任な。
お前が騎士団に引き入れたのに護らないって言うのか?」
「タビトは堅物なくせに夢の見すぎなんだよ。
それに自分の身を守るのは騎士団から抜けても役に立つだろ?」
「騎士のなんたるかも分からんのかお前は!
いつも騎士にあるまじき衣服でいるし!」
「アタシはアンタと違って味方を護るんじゃなくて敵を倒す事で民を護ってるんだ。
そんな重たい鎧つけてちゃ出遅れるんだよ。」
突然始まった喧嘩にケフェウス達がどうしたら良いかと慌てていると…
「なんだ?また2人は喧嘩してるのか。」
と声がして、ケフェウス達が振り向くとそこには、呆れ顔のオリオンがいた。
オリオンはケフェウス達の方を見て言う。
「ケフェウス、アンドロメダ、2人に来てもらいたい。
武器を選んでもらおうかと思ってな。」
「はい、分かりました。」
「で、でも良いんですか?
あのお2人をそのままにして…」
アンドロメダが悩んだ顔で言うと、オリオンはまた、呆れた顔をして言う。
「いつもの事だ。放っておけ。」
そして、ケフェウスとアンドロメダは武器庫についた。
「どうだ。
何か使えそうな武器はあるか?」
オリオンが聞くとケフェウスは剣に手を出して…
「村の狩りでは俺は剣を特に使っていました。」
と言って右手で剣を持とうとしたが、思っていたより重く慌てて左手をそえた。
「おも!?どうして…」
オリオンはそれを見て言う。
「ケフェウスの村の剣の刃は何でできていた?」
それを聞いたケフェウスは不思議そうな顔をして答える。
「石で作られてましたけど…」
それを聞いたオリオンは合点がいった風に頷ずく。
「なるほどな。
それじゃあ重く感じても仕方ない、 騎士団の剣は鉄製だ。
その重さに慣れてもらわないとな。」
それを見ながらアンドロメダは…
「わ、私は弓ぐらいしか使えないので…」
と言い弓を手に取り、引いてみる。
「かなりしっかりしてますね…糸が外れる事ってあまり無いんですか?」
とアンドロメダが聞くとオリオンは…
「無いとは言えないが、そういう事は少ないな。
その点は安心してくれ。」
と答えた。
ケフェウスとアンドロメダの2人は村の狩りの武器と騎士団の武器の違いに驚いているとオリオンは口を開く。
「よし、2人の使う武器は分かった。
部屋は用意しておいたから、今から帰って休んでくれ。
明日から訓練をしよう。」
「はい!!」
次の日から、ケフェウスは他の騎士に混ざり剣の素振りや模擬戦に参加した。
アンドロメダは弓兵達に混ざって的当てをした。
ケフェウスは、はじめ剣の重さで動きが鈍かったが、慣れてくると兵士たちを驚かせる程成長した。
アンドロメダもはじめは緊張で、どうにもならなかったが。
元々弓を使っていたこともあり周りを驚かせる程の弓の扱いを見せた。
しばらくして、ケフェウス達を含む騎士団が会議室に呼ばれ集合する。
「よし、皆揃ったな。
それではこれから作戦会議を始めたいと思う。」