第48話 あまりにも異様な光景
前回のあらすじ
長い戦いの中レオの生命力が限界に近づく。
そして、レオと部下達は全魔力を使い、『レグルス』の究極魔法、『堕ちる惑星』を使用し、戦場である森は黄金色の光に包まれた。
「ケフェウス!!」
魔法の範囲外まで避けたアンドロメダが、叫ぶ。
黄金の光が消え、えぐられた地面だけが広がっていた。
周りに広がっていた木々は跡形もなく消えており、騎士を含め、レオ達の遺体すら消えていた。
「ケフェウス…。」
彼の姿が無いことに、最悪の想定をするアンドロメダ。
しかし、彼女の予想は外れていた。
「無事でした、ギリギリで…。」
気絶しているケフェウスの腕を自身の首に回して運ぶポルックスが、えぐれた地面からその姿を現し、つぶやく。
「ケフェウス!!」
その光景に、アンドロメダ達が喜ぶ。
「ポルックス。お前、あの魔法の中に入ったのか!」
ベラトリクスが驚く。
それに対して、ポルックスが言う。
「助けたかったんです、どうしても。死なせたくなかった、この方を。」
アンドロメダが、ポルックスの言葉を聞いて、彼女を強く抱き締めた。
「ありがとう。ポルックスさん!!」
それを暖かい目で見た後、オリオンが静かな声で言う。
「しかし、酷い有様だな。」
オリオンが改めて確認すると、生き残った騎士は、ケフェウスとアンドロメダ、オリオンとベラトリクス、タビトとポルックスだけだった。
「どうするオリオン?ひとまず『シェダル』に戻るか?」
ベラトリクスに質問された、オリオンは少し考えた後に、答える。
「いや、貰ったのは『緊急救助要請』だ。戻っている時間はない。『ポリマー』に行く途中に、休暇を取っている騎士達に連絡をとり、援軍に来てもらおう。」
皆が、その意見に同意し、5人は『ポリマー』へと向かった。
「良かったです…、
念のために持っていて。
しかし、恐ろしいです、レオ様は。バラバラになってしまいました、50個程の『魔法の威力を殺す石』が。」
5人が歩いていく後ろで、バラバラになった石を捨てながら話すポルックスに、気づく者はいなかった。
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「なんだこれは。」
『ポリマー』に付いたオリオン達は思ってもいない光景を目にする。
「あまりにも…。平和すぎる。」
そこは、『緊急救助要請』が出されてるとは思えない程、平和な光景があった。
まるで、『エルナト』のように、壊れた建物も、血を流した人もおらず、ただ日々を過ごすように笑顔の人々がいた。
「おや?『シェダル』の騎士様方ではないですか!こんなところに、どうしたんですか?」
剣を、大きな槌で叩いていた髭を生やした中年の男が、オリオン達に話しかける。
オリオンが男に答える。
「我々は、『ポリマー』から『緊急救助要請』を受け、こちらに来たのだが、何か危険が来たのではないのか?」
オリオンの言葉に、男は「がはは!」と笑う。
「ここはいつも通り、平和ですよ!装置の故障か何かじゃないですか?スピカ女王様に伝えたほうがいいでしょう。女王様は、そこの城におります。」
「ありがとう。スピカ女王か。今まで手紙や通信機でしか連絡を取ったことがないな。どんな人なんだろうか。」
オリオンが独り言を言いながら城へと向かう。他の5人も彼を追いかける。
男が後ろから話しかける。
「せっかくですし、今日はこの街で、休憩していってください。」
そして、男はゆっくりと槌を持ち上げる。
「永遠にな!!」
男は最後尾のアンドロメダに槌を振り下ろす。
「危ない!!」
男の発言に違和感を覚え、振り向いたタビトが、そう叫び、アンドロメダを庇う。
「ちっ!」
タビトが大盾で槌を防がれた男が舌打ちをする。
「どういうことだ⁉ なぜ『ポリマー』の者が攻撃を⁉」
タビトの言葉に、男が言い返す。
「アンタら言ってたろ?『緊急救助要請』があったってな。」
男の言葉に合わせるように、『ポリマー』の者達が様々な武器をもって、オリオン達の前に現れる。
そして、赤い長髪の少女が、人々の先頭に移動する。
「オーホッホ。アナタ達遅すぎですわ。アナタ達が遅すぎるから、『ポリマー』の者はみーんな、ワタシ様の奴隷になりましたわ。」
ケフェウスが、赤い少女を睨む。
「まさか、お前は!『星神教』か!」
他の『星神教』と違い、黒いドレスを着た少女は、その赤い後ろ髪を手で払いながら、言う。
「そうですわ。ワタシ様は、『星神教十二座集乙女の座』、『ヴァルガリア』ですわ!!」
次回予告
急に襲いだす『ポリマー』の人々。彼らを操るヴァルガリアのあまりにも卑怯な戦い方に、騎士達は苦戦する。
次回 第49話 VS乙女の座




