第44話 拝啓、くそシルクハット
前回のあらすじ
『ペテルギウス聖騎士団』は『緊急救助要請』のあった、大都市『ポリマー』へと向かう。
その途中。彼らは、『星神教十二座集 獅子の座』を名乗る少年。『レオ』に襲われる。
シルクハットが紅茶を飲みながら、赤髪の少女の手紙を思い出す。
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拝啓、くそシルクハット。精々ゴミのように過ごせてますか?
まず、これは極秘なのですわ。だからあの黒髪にも、読ませないで欲しいですの。
会議で言ってた作戦のことだけど、あれは嘘なのですわ。
今まで、アタシ様達の動きが知られすぎてるから、十二座集の中に裏切り者がいると思ってついた嘘なのですわ。
で、本当にやりたい作戦は、あの騎士共が『ポリマー』に来る途中で、十二座集の誰かに騎士共を襲って貰いたいですわ。
アンタの事だけは信用できるから、誰を送るかはアンタに任せるですわ。アタシ様には裏切り者が分からないから。
それから、
敬具 アンタの未来の主人より。
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最後の「それから」には何本もの線を入れられており、読めないようにしてあった。無論、その続きは書かれていなかった。
しかし、シルクハットにはその「それから」の文字が読めた。最も、その先の文が分かるほど彼は敏感では無いし、興味もなかった。
『とにかく、騎士が『ポリマー』に向かう前に、襲撃をする。』その作戦だけが彼の頭に入っていた。
彼は考える。
「(そうですねぇ。誰を向かわせましょうか。)」
シルクハットはまず、側近の黒髪の少女。それと、帽子の女性を選択肢から省いた。
「(あの2人は、ダメですね。彼女達は我々の隠し玉。もう少し後でないと意味がありません。)」
そして彼は、次にサングラスの男を選択肢から省く。
「(彼はまず、絶対に私の命令を聞きませんね。)」
最後に彼は、メガネの子供を選択肢から省く。
「(あの子は論外ですね。こんな所で消費するわけにはいきませんし。)」
最後に残るは銀髪の少年。
「(あの子ですね。彼なら、仮に失敗しても、あの2人の活躍の幅が増えますし。生きている限り、絶対に騎士を逃がすことは無いでしょう。)」
「あの子、なんて?」
シルクハットが考え事をしていると、黒髪の少女が、彼に聞いた。
シルクハットは笑顔で答える。
「極秘なので教えられないんですよねぇ。」
「ああ。そう。」
それを聞いた黒髪は、興味なさげにシルクハットから離れる。
そして、彼女はすれ違いざまにシルクハットの足を踏んでいく。
「いった!? 」
シルクハットが飛び上がり、テーブルに彼の膝が当たる。
テーブルの上にあった紅茶と手紙が宙を舞う。
「何するんですか!?」
怒るシルクハットを無視して、歩く少女の足元に、紙切れが落ちる。
「これは?」
少女はそれを拾い、内容を読む。
「ちょっと!聞いているんですか!?」
無視されたシルクハットが少女の肩を掴む。
少女は紙をクシャッと握りつぶし、シルクハットの腹を蹴り飛ばす。
「うるさい!」
「何も蹴ることはないでしょう。あぁあぁ、また壊れちゃったよ。」
壁に飛ばされたシルクハットは、左肩を抑えながら立ち上がる。
少女はそれを見て、ため息をつき、部屋を出ていった。
次回予告
赤髪の少女の作戦により、『ポリマー』に行く前の騎士を襲撃する銀髪の少年レオ。
彼の能力が、再び騎士を窮地に追い込む。
次回 第45話 百獣の王




