第37話 昨日の友は今日の敵
「ふぅ。」
ケフェウスは息をつき、人の骨を斬ってボロボロになった木剣を捨てる。
アンドロメダが、後ろからケフェウスに抱きついた。
「お疲れ様。ごめんね、手を煩わせちゃって。」
ケフェウスが、アンドロメダを睨む。
「本当だよ。一歩間違えたら死んでたぞ。」
そう言われたアンドロメダは、頬を膨らませる。
「それは、ケフェウスも一緒!作戦もなしに、突っ込もうとしたでしょ?」
少し間を置いて、笑い出す2人。
ケフェウスの手には、人を斬った感覚が残っていた。
しかし、ピスケスの時とは違い、先程の恐怖から解放された安心感と、残酷な悪を倒した達成感が、ケフェウスを包んだ。
2人は、ベラトリクスの元へ行こうとする。
途中で、倒れているポルックスを見つけた。
「ポルックス!大丈夫か!?」
ケフェウスが、ポルックスの肩を揺らす。
「おや?倒せましたか、キャンサー様を?」
目を覚ましたポルックスに、ケフェウスは安堵する。
ケフェウスは、ポルックスに笑顔を見せる。
「ああ!お前のおかげだ。ありがとう。」
ポルックスは、ケフェウスの言葉を不思議そうな目で見ていた。
3人は、ベラトリクスの元にいく。
ケフェウスが言う
「オリオンさん達の方も大丈夫だったかな?」
――――――――――
時は少しもどり、キャンサーが襲撃に来た時間、『シェダル』にも黒装束が襲撃に来た。
2人の門番が、黒装束達に槍を向ける。
「お前ら!それ以上近づくと、容赦せぬぞ!」
門番の1人の忠告に、筋肉質の男が前に出る。
「忠告結構!だが、貴様らには言ってあるはずだ。」
門番達が、彼の顔を見て驚く。
「貴方は!」
瞬間、門番同士の頭をぶつける男。
「敵である事が明確な相手に、猶予を与えるな、と。」
――――――――――
『シェダル』の城下町の真ん中、そこで、筋肉質の男が叫ぶ。
「『シェダル』の民共ぉ!聞くがいい!今から、1時間。お前らに、猶予を与える。1時間の間に逃げねぇやつは、全員ぶっ殺す!!」
男の叫びに、『シェダル』の市民は逃げ出す。
途中、足を引きずっている男が倒れる。
筋肉質の男が、部下の黒装束に、顎でサインを送る。
黒装束は、倒れた男を、立ち上げさせ、肩を貸す。
「よし。とりあえずは、皆逃げたな?これなら、多少流れ弾があっても、民が犠牲になることは無いだろう。」
筋肉質の男が、城の門の前に行く。
そこにいた門番2人を片付けると、城に向かって叫ぶ男。
「『ペテルギウス聖騎士団』!『流星』を返してもらうぞ!!」
その声を聞き、オリオンが門から飛び出し、奇襲を仕掛ける。
しかし、男はそれを軽く避ける。
「いきなり奇襲とは、随分見境なくなりましたね。団長!」
男がニヤリと笑う。
「いや、元・団長か。」
オリオンが男を見て、驚く。
「貴様は!! アルデ…」
男が、オリオンの言葉を止める。
「その名は、もう捨てましたよ。今の俺は、『星神教十二座集牡牛の座』、『タウルス』だ!!」




