第36話 キャンサーとの決戦
ケフェウスとアンドロメダが、振り向いた先にいたのは、ポルックスだ。
「ポルックス!ここは危険だ!!」
アンドロメダも、ケフェウスの叫びに続く。
「そうですよ!貴方は、ベラトリクスさんと一緒にいてください!!」
「ええ、そうしますよ。ですが、この『チャンス』は見逃せません。お二人さん、あれを見てください!」
ポルックスが、指さした先には、割れた水晶玉と顔から血を流したキャンサーがいた。
「あれは…?」
ケフェウス達のつぶやきに、ポルックスが答えた。
「メダ様が、撃った矢。あれが、あの人の体を傷つけなかった事を見て、ボクは一つの仮説を立てました。」
ポルックスは、人差し指を立てて、説明をする。
「あの人は、自分には刃が届かない。と言っていましたが、矢は、刃と言えるのでしょうか?言えませんね。今まで貴方達が、行った攻撃には刺突攻撃もありました。しかし、彼女に傷はつかない。」
ポルックスが、指を下げる。
「つまり、彼女の能力は、『刃を通さないもの』でも『斬撃を無効化するもの』でもない。それで、『金属による攻撃によって、傷つかないもの』と仮定して、水晶玉を投げてみました。結果、彼女の顔は、割れた水晶玉によって傷が出来ました。」
ポルックスが、背中から木剣を取り出し、ケフェウスに差し出す。
「我が家に伝わる独自の方法で、制作した木剣です。先程、壊れた家の一部を使って作ったものですが、鉄の剣並の切れ味を持ちつつ、耐久性も、人1人斬る分には文句なしです。これならば、彼女の首を斬り落とすことが出来るでしょう。注意点といえば、鉄の剣より、かなり軽めになっておりますので、取り扱いには気をつけてください。」
ケフェウスが、木剣を受け取りながら、ポルックスに聞く。
「もし、これで斬ることが出来なかったらどうする?」
ポルックスが、笑顔で答える。
「彼女の顔には、貴方達が打撃を行った際にできた痣が、あります。切断が無理なら、叩き潰しましょう。
ボクは、その為のハンマーを作りに戻ります。後は、貴方に任せましたよ。ケフェウス様。」
ケフェウスは、ポルックスが走り去ったのを見たあと、キャンサーの方を見る。
キャンサーは、
「アクーから、何かが流れてる?赤い…赤?アカアカアカアカアカ?なにこれ?アクーの切り傷から、赤?
切り傷?切り傷って何?痛い痛い痛い?何故?アクーの体はもう、切られないはず…切られないはずじゃあありませんか!?」
自分の顔から流れる血を見て、狂ったように言葉を続けていた。
「うおおおぉ!!」
ケフェウスの雄叫びで、自らを斬り殺そうとしている存在が近づいていることに気づく、キャンサー。
「キャハ!この視線は、パピー?… 帰ってきたんだね。」
キャンサーが、笑顔を見せようと目をつぶる。
その瞬間、キャンサーの首が宙を舞った。
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【ひとつ、話をしましょうか。
彼女は、貧民街で生まれた、子供でした。
彼女の家族はあまりに貧しく、彼女を養うことは出来ませんでした。2人の娯楽で、出来てしまった彼女は、奴隷として、とある男に売られていきました。
彼女を買った男は、加虐基質があり、彼女を切りつける毎日を送っていました。
時が経ち、男の家は、男の吸っていた煙草の不始末により、燃えてしまいました。行き場を失った少女に、1人の男が声をかけました。
そして、
蟹の星が輝きだしました。】




