第3話 巨大都市『シェダル』
ケフェウスとアンドロメダは、騎士達と一緒に、『シェダル』についた。
「『ペテルギウス聖騎士団』の帰還だぁ!!」
「お疲れ様です!!」
都市は、騎士団の帰還を喜ぶ人の声で、溢れている。
「結構、慕われてるんですね。」
ケフェウスがそう感想を漏らす。
「ああ、私たちは、都市に悪さをする悪人たちを、退治しているからな。都市の人たちが、みんな笑顔で迎えてくれる。その笑顔が、私は好きだ。」
オリオンは笑顔で答える。
「そうなんですね。」
アンドロメダも状況に驚きつつ、話す。
「とりあえず君たちは、私たちと一緒に『カシオペア』女王の所へ来て欲しい。」
「はい。」
ケフェウス達は都市の奥にある城へと進んでいく。
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「『星神教』は、『流星』を持った状態で、逃がしてしまいましたが、その村の生存者が、ついてきてくれました。」
オリオンは、ケフェウス達を紹介する。
「俺は、ケフェウスです。こっちはアンドロメダです。」
アンドロメダは、目の前の女王にお辞儀をする。
「お辛い中、よく来てくれました。ケフェウス、アンドロメダ。私は『シェダル』の女王、『カシオペア』です。
辛いこととは思いますが、襲撃してきた人達の情報を頂けますか?」
カシオペアの質問にケフェウスは答える。
「はい。
あいつらは『星神教十二座集水瓶の座』、と言ってました。」
「『水瓶の座』、だと!?」
騎士達の驚きの声が広がる。
「どうしたんです?」
ケフェウスのその質問に、オリオンが答える。
「『十二座集』と名乗る輩はかなりいてな。名前の通り12人いると思われる。
その中で最も被害が多く出てるのが、『水瓶の座』なんだ。
もし、あいつだけが動いてたら我々は、『星神教』の企みすら、分からなかったと言っても過言ではないぐらい、あいつらは完璧に目的を果たす。
やつの情報はかなり重要だ。」
「そうなんですね。それじゃあ、あいつの事を重点的に話します。
あいつは『アクエリアス』、と名乗ってました。
俺が村に帰ってきた時には、黒装束の人達だけで、アクエリアスは少したってから来ました。「早く『流星』を取ってこいよ!」と怒った様子で。
そして、あいつが片手で村長の首をつかみ、俺に向かって水を出してきました。俺は避けたのですが後ろの人に当たり、その人の首は取れてしまいました、そして村長はミイラになってました。」
「やつの出した水滴に当たった兵士も、まるで銃弾でも当たったかのような傷をつけて、死んでたな。」
オリオンはあの惨劇を思い出していた。
「『流星』ってなんなんですか?」
ケフェウスがそう聞くと、カシオペアが答える。
「『流星』は天から降ってきた1つの隕石で、地に落ちる時に7つに割れたものだ。あの石を再び7つ揃えくっつけると、どんな願いも叶うとされている。
ただの言い伝えだが、村や都市が危険にさらされる為、我らはやつらの動きを止めようとしている。
まぁしかし、どこに本物の『流星』が落ちたかも分からず、奴らに先を越されるしまつだがな。」
カシオペアが、少し落ち込んだ声で言っていると、突然ケフェウスが勢いよく声を上げた。
「俺達にも手伝わせてくれませんか?」
周囲の人達は、その言葉に驚く。
「俺達の村みたいな惨劇を、繰り返させたくはありません。それに、失礼ですが、アクエリアスの戦い方は俺達の方が、見ているようですし。」
「馬鹿を言うな!君みたいな子供が行った所で、何も出来ず死ぬのがオチだ!」
オリオンは、真剣な顔でそう叫び、周りの騎士たちも、それに同意していた。
しかし、赤髪の女騎士だけは、手を頭の後ろに置きながら適当な感じで意見をする。
「いいんじゃない?実際その子の方が、『水瓶』の兄ちゃんのこと知ってるし。その子の気持ちを無下にするのは、どうかと思うなぁ。
あぁ、けど、戦場に出たら、自分の身は自分で守ってね?それまでなら、いくらでも訓練に付き合うけどねぇ。」
「ベラトリクス!そんなふざけたことを言うな!」
オリオンは怒鳴るが、カシオペアは少し悩み…
「いや、ベラトリクスの意見も一理あるかもしれん。
しかし良いのかケフェウス。戦場では、いつ死ぬか分からぬぞ」と言う。
「もちろんです。村を燃やしたあいつらを許すわけにもいきません!」
ケフェウスは、怒鳴るように答える。
「わ、私も・・・」
アンドロメダは、恐る恐る手を挙げる。
「ケフェウスが行くなら、私も。
私、弓しか使えないけど…あの人たち許せないから。」
オリオンはそれを聞いて少し考え、
「仕方ない、ケフェウス!アンドロメダ!
我々と、共に戦ってくれるか?」
2人は元気よく答える。
「はい!」
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暗い部屋、真ん中に丸いテーブルがあり、それを囲むように、11人の黒装束を着た(頭巾は取っているが)人達が、座っている。
そのうち1人はアクエリアスだ。
アクエリアスは、イラついた態度で、水を飲んでいる。
それを見て、シルクハットを被った男が注意する。
「アクエリアス君、君の力が、水分を使うもの、だっていうことは知ってますが、さすがにそんなに飲んでは…」
「身体に悪い。」
シルクハットの男の話を遮るように、もしくは言いきれない彼の言葉を代弁するように、黒髪の少女が言うが、それを聞きアクエリアスは、よりイラついた顔をして怒鳴る。
「うるせぇな!イライラして喉が乾くんだよ!水!!」
アクエリアスは、後ろに立ってた黒装束に持ってるコップを渡す。
黒装束が水を汲みに行こうと、ドアに近づく。
突然ドアが開き、そこから白いアフロの男が現れる。
「ごめーん、待ったかなぁ。」
「おせぇんだよ、ねぼすけ野郎。お前のせいで、重要な3分、が無駄になったんだよ。」
怒鳴るアクエリアスを、シルクハットが止める。
「ま、まぁ、ちゃんと揃ったんですし、はじめましょう。
『十二座集全体会議』を…」