第28話 広がり出す闇
筋肉質の男が手を上げようとしたとき代わりに手を上げたのが白髪をロングにした女性だった。
「おや?キャンサーさん『シェダル』側に立候補ですか?」
シルクハットの男の質問に慌てて筋肉質の男が声を上げる。
「ま、待て!キャンサーが『シェダル』に向かうのは良くないだろう!
『流星』を回収できるかも怪しいだろ?」
「確かに彼女が、複数ある『流星』を回収できるとは思いませんね。」
「だろう?キャンサーには俺が行く予定だった村、『エルナト』の襲撃に回ってもらいたい。」
「とのことですが。いかがいたします?キャンサーさん。」
シルクハットの男が聞いた後、白髪ロングの女性は手を下ろす。
すると白髪ロングが机に置いていたクマのぬいぐるみの首が飛ぶ。
「あ?誰かアクーのことを呼んだか?」
白髪ロングの女性が顔を上げて首をかしげる、その虚ろな赤い目が他の十二座集を見回す。
「ええ、私が呼びましたよ。貴方に『エルナト』で『流星』の回収をしてもらいたいんです。」
白髪ロングの女性は目を細め弱弱しい笑顔を見せる。
「うん、りょうかーい。で、その『えるなと』?ってどこにあんの?」
首をかしげる女性に紙を持って近寄る筋肉質の男。
「地図ならここにある。
ほら、ここの赤い丸のある所だ。分かりずらいならお前の基地からの場所を直線で結ぶか?」
「キャハハ、アク―もそこまでバカじゃないよ?
分かんねぇなら部下に聞いちゃうし。」
白髪ロングの女性は地図を受け取り出口へと向かう。
「んじゃあ、さっそく『えるなと』?の襲撃に向かうよぉ。
ばいばーい皆さん。」
「キャンサーさん、ちゃんと『流星』を回収してくださいね?」
白髪ロングの女性はその質問に答えず会議室から出ていってしまった。
「キャンサー…ちゃんと石回収してくるかな?」
「一応彼女の部下達に回収して貰えるように言っておきますか…」
黒髪の少女の問いにシルクハットの男は苦笑いをしながら答えた。
「それじゃあ会議の終了を待たずにすまんが俺も準備をしておきたい。
先に失礼するぞ?」
筋肉質の男はそう言うと出口に向かっていく。
「ええ、了解しました。今回の会議はこれで終了。としますのでタウルスさんも、キャンサーさんに遅れないように準備してください。」
「すまねぇな。」
筋肉質の男が会議室から出ると、今度は赤髪の少女が席を立つ。
「アタシ様も早急にやらなきゃなんねぇこと出来たから帰る。ですわ。」
「あら珍しいですね?貴方がやることがあるなんて。」
「うるせぇですわ!!誰のために…」
赤髪の少女はそこまで言うと、突然、会議室から走りながら、出ていった。
「突然どうしたんですかね。」
シルクハットの男が席を立ち、倒れた赤髪の少女の椅子を直そうとする。
「お腹でも壊したんスかね?」
帽子をかぶった女性が、シルクハットの男の代わりに、倒れた椅子を直しながら言った。
その様子を見ながら呟く黒髪の少女。
「馬鹿ばっか…」




