第2話 ペテルギウス聖騎士団
「そこまでだ、『星神教』!!」
ケフェウスが声のする方を向くと、白い鎧を着た、白髪の、騎士の格好をした男がいた。
周りを見ると、騎士の鎧を着た人達が、黒装束と戦っている。
「ちっ、『シェダル』の犬か。」
アクエリアスは、いっそうイラついた態度をとる。
「貴方達は?」
ケフェウスがそう聞くと、白髪の男はケフェウスの方を見る。
「私は、『ペテルギウス聖騎士団』団長の『オリオン』だ。ここまでよく耐えてくれた。」
オリオンは、ケフェウスに少し笑みを見せた後、アクエリアスの方に向き直り、叫ぶ。
「『星神教』、お前らの悪行もここまでだ!」
「あぁ!!この俺に、俺に都合の悪い犬共が!!俺に都合の悪い結果を、持ってくるだァ!!」
アクエリアスは、相当イラついている様子。
アクエリアスが叫んでる時に、赤髪で、赤い鎧(腹の部分や足、腕にはつけてないが)を着た(と言うより付けた)、短剣を両手に持つ女性が、アクエリアスに向かって走る。
「オリオンは無駄多くて仕方ねぇ。話している間にアイツらの首ぐらい取れるだろ?」
他の騎士達も女騎士を追うようにアクエリアスに向かっていく…が、
「ウザったいんだよ!!」
アクエリアスが、虫をはらうように左腕を横に振る。
するとアクエリアスの前に、沢山の水滴が現れ、騎士達に向かって、飛んでいく。
「避けろ!!」
ケフェウスは、村人がアクエリアスの出した水で首を飛ばされたことを思い出し、騎士たちに向かって叫ぶ。
その声を聞き、女騎士は急いで水滴の飛んでこないところまで転がり、他の騎士たちは盾で防ぐ。
しかし、水は盾にとめられたものの、鎧の隙間にいくつか入ってしまう。
水滴をくらった騎士は、出血し倒れる。
「うーわ、まじかよ…」
その状況に女騎士は声を漏らし、他の騎士たちは慌てる。
「小さな村のガキが、余計なこと言うんじゃねぇ!!」
アクエリアスはまた、腕を振り上げる。
同時に、1人の黒装束が、アクエリアスに何かを耳打ちした。
それを聞きたアクエリアスは、腕を下ろし、イラついた顔をやめる。
「お前ら撤退だ!!『流星』が手に入った!!」
それを聞いた黒装束達は、どうにか騎士達から離れ、アクエリアスと共に帰っていこうとする。
「待て!!」
オリオンはアクエリアスを追いかける。
すると、アクエリアスはまた、イラついた顔で振り向き…
「しつこいんだよ!!」
腕を振。水滴を出す。
オリオンはそれを避けたが、アクエリアスはその隙に少し細めの腕を隠し、逃げてしまう。
「逃がしてしまって、すまない。」
オリオンは申し訳なさそうに、ケフェウスの方へ歩いてきた。
――――――――――
その後、村の生き残りを探していたが、ケフェウスは他の村の人を、見つけることは出来なかった。
しかし、騎士の一人が叫んだ。
「生存者を1人、見つけました!」
皆が声のした方へ集まる。
そこには、震えているケフェウスと同年代ぐらいの少女がいた。
「メダ!無事だったか。」
ケフェウスは、少女を抱きしめ、慰める。
「よく知っている子なのか?」
オリオンがそう聞くと…
「メダ…アンドロメダは俺の幼なじみです。」
とケフェウスは答える。
しかし、生存者はケフェウスと、アンドロメダしかおらず、ケフェウスと、アンドロメダがどうしようかと話していると、オリオンが来る。
「君たちさえ良ければだが、私達の都市、『シェダル』に来ないか?生存者の保護も仕事だし、出来ればだが、奴らの話も聞きたい。」
ケフェウスとアンドロメダは2人で顔を見合せ、答える。
「はい、お願いします!!」
そうしてケフェウスと、アンドロメダ、騎士達は死体を運びつつ、村を離れた。