猫の写真を
手紙を出した
つらい仕事で
苦しそうにしているきみに
ぼくのまずい字で
ひとりよがりの
ズレた励ましの言葉をつづるより
猫の写真か何かだけを
入れたほうが良かったかしら
一緒にいて
安らげる人が良い
「息を吸って
吐いても良い?」
って聞いたら
「当り前だよ」と
笑ってくれる人が良い
耳、ではなくて
なぜ心にまで届くんだろうと
感心してしまうくらい
棘のある言葉を
放ってこない人が良い
そして
きみも同じ人物像を
ぼくに求めていて欲しい
ぼくには過去へ戻る力はない
きみの傷痕を祝福する覚悟もない
だけどきみのからだに
新しい傷が増えることを
何よりも恐れる
望むらくは
ぼくの言葉が凶器にならないことを
沈黙が
波風を立たせないための
最適解かもしれない
だけど
黙っていることはできなかったから
手紙を出した
つらい仕事で
苦しそうにしているきみに
次からは
猫の写真も入れます