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Side 勇者 5

 真っ赤な髪を高く結い上げ、凛々しい目元をしたツガイは、凛として立っていた。

けれど俺の言葉を聞いて、きょとんと眼を丸くする。


 かわいい。


 こんなに綺麗で、凛々しくて、かわいいとか。

はい、優勝。

さすが世界一。

やばやばのやばたんだろ。


 しかもツガイは、しばらく無言で考えてて、数秒後に俺が言ったことを理解したのか、すこしずつ頬が赤く染まる。

 かわいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!


「私、ですか……?」


 はい、あなたですーーーーーーーーーーーーーーーーーー!


「はい、美しい人。あなたのお名前を伺ってもよろしいでしょうか」


「……カミーユ。アッシュバーン男爵の次女、カミーユと申します」


「カミーユ。美しい響きですね。あなたにふさわしい」


 名前すら、完璧だと……!

もうね、これ、やばいから。

やっばい。

やばすぎる。

声まで、よくとおる美声だし。


 はーーーーー。

 こんなかわいい人間っている?

かわいいの天才なんですけど。

美しいでも天才だし。

綺麗の天才でもあるし。

おまけに、にじみ出る人の好さ。

やばすぎん?

実在しているのが奇跡すぎん?


 この美女が、俺のツガイです!

はああああああああああああああああああああああああああああああ。

俺、世界一の幸せものすぎん?


 不思議そうに俺を見るツガイの表情に、俺への嫌悪はない、と思う。

むしろ顔を赤く染めているこの現象は……。

 これは、もしかすると脈ありなのでは……?


 事前にエルクラードの求婚事情とか恋愛事情を調べておいて、ほんとよかった!

他星の女性種に「ツガイだから交わろう」と求婚して3年口をきいてもらえなかったマリウス、お前の失敗は俺の糧になっているぞ!


 期待をこめて、彼女の瞳を見つめる。

ツガイは、俺の恋情を込めた視線を戸惑ったように受け止める。


 好き好き好き好き、好きです!

いっしょう大切にしますんで!

世界でいちばん幸せにしますんで!

 俺のツガイになってもらえませんか!


 じっとツガイの目を見つめ、視線にすべての想いを託す。

あんまりべらべら話すのはよくないって聞いたんだが、こんなんで俺のこの情熱が伝わるのか?


 ちょっと不安に感じつつも、万感の思いを込めて、ツガイを見つめ続ける。

ツガイは俺のそんな熱い思いに気づいているのか、じわじわと頬を赤くしながらも、視線をそらすことがない。


 そして、次第にその新緑の瞳がうるんできた。

ツガイは無言だけど、俺にもその気持ちがなんとなく伝わってくる。

俺の、このツガイへの愛がすこし伝わったんだって。


 そして、いまにも「諾」の返事がもらえそうだと心がうきたつような喜びに包まれつつ、その瞬間を待っていたら。


「カミーユなんかのどこがいいっていうの!?」


 なんともヒステリックな甲高い声でわめきながら、さっきの女の子が俺の腕に抱き付いてきた。



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