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Side 勇者 3

 無重力装置を働かせて、ホールを飛び上がり、天井近くの窓から外へ出る。

はめ殺しのガラス窓だったので元素変換鉾で一瞬気体化し、外に出てから元に戻す。

ホールでどよめきが起こったけど、パフォーマンスのひとつです。


 さて、龍の卵はっと。

目的地の設定はh2@;k-でしてきたので、光学ガイドに従って卵のところまでいく。


 よし、目標物、発見。 

どす黒い卵に粒子鉾をうちつけると、卵はさらさらと粒状になって崩れていく。


 あ、これ、中身まで粉末っぽくなってる。

まぁいいか。


 粉末状の元龍の卵を手のひらにとって、再度固める。

証拠としては微妙だけど、現地民もこの場所は知っているみたいだし、不安ならここまで確認にくればいいだけだ。

グラ龍は生まれないんだし、問題ないよね。


 お仕事、終了。

とすれば、こんなところに用はない。

さっさとツガイのところに帰らないと。


 ホールには簡易転移陣を置いてきたので、ひょいっと戻る。


「もどったよ」


 またホールはざわめいているけど、ツガイがびっくりして目を丸くしているのがかわいすぎる。

俺は、ツガイにわらいかけながら、おじさんに卵のかけらを渡す。


「こ、これはグラ龍の……!まさかこの一瞬で……!?」


「破壊したよ。もうグラ龍は孵化しない。確認はしたければしていいけど、その前に報酬をもらおうか」


 やっと彼女に愛を乞える。

君とツガイになりたいんだと言えば、彼女は喜んでくれるだろうか。


 俺は、異星人だ。

この星は通常、異星人とは交流しない。

きっと普通に求婚しても、彼女は俺を愛してはくれない。

だからこその転移許可願いだ。


 この未開の地ではなしえない功績で、彼女の歓心を買おうとしているのだ。

じゃなきゃ、初めから相手にしてもらえないから。


 でも、最初のきっかけがなんであれ、俺は君だけを唯一の人として愛するから。

君も、俺を好きになってほしい。


 生まれて初めて緊張しながら、彼女の前へ立とうとする。


 なのに、なぜかおじさんが俺の前にたちふさがる。

そして、小さい女の子をぐっと差し出してきた。


「勇者よ、これがこの世界でいちばんの美女、わが娘アンリエール王女だ。貴殿の功績を称賛するため、報奨としてこの娘をさしあげよう」


「え?いや、いらないよ」


 めちゃくちゃ真剣な顔をしたおじさんと女の子が、俺の言葉にぽかんとした。



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