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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
95/406

78話 会談と出発

お疲れ様です。


さて、今回は本編の78話です。

そしていよいよ、港町アシュリナに向けて出発ですっ!

いや~長かったです><

港町に行くまで78話も・・・orz


ブックマークや感想、そして評価など頂けたら幸いです。


あと、土日は通常通り、夜中のみアップとなります。


それでは、78話をお楽しみ下さい。

悠斗はサウザーとグラフィスとの話し合いを終え、

近衛騎士の頼みとあって、剣術の訓練をして過ごしていた。

そして次の朝、リディさんとの恒例行事を終え、

食事を済ませると、早々にベルフリードとの会議に出席した。


「と、ここまでの話にベルフリード側は承諾して頂けますかな?」

サウザーは書類の内容を確認しつつ、グラフィスに確認をした。

「ああ、こちらはそれで問題ない・・・」

そう言うとグラフィスは悠斗を見てこう言った。

「いいのか?ユウト・・・こんな事で?」

悠斗は微笑むとこう言った。

「構いませんよ?俺にはやるべき使命ってヤツがあるんですけど、

 それまでは楽しくやって行きたいんですよ」

「しかし、ベルフリードは貴方に叩きのめされました。

 ですから、それに見合った報酬を得るのが当然ではないのか?」


悠斗は面倒臭そうに首を振る。

「嫌ですよ?俺が貴族になるなんて・・・面倒臭いので嫌ですっ!」

するとナイアドが声を挙げて笑い出す。

「あっはっはっはっ!父上、ユウトさんはこういう御方なのですよ?

 無理強いされてはまた暴れかねませんぞ?」

「う、うむ・・・た、確かにこれ以上暴れられてはな?」

悠斗は二人の物言いに訂正するよう求めるのだが、

サウザーもまた二人に同意したので諦めるしかなかった。


「ユウトよ・・・儂はこれから先、貴方の御力になる事を誓う。

 それはベルフリード家の誓いだ。それを違える事はないと思ってくれ」

悠斗は呆れた顔をすると少し冷たく話した。


「グラフィス・・・人の言う事だ、絶対はない・・・」

「し、しかし、我々の誠意は・・・」

「誠意はわかったよ。だけど、書面にしようがどうしようが、

 人は裏切る時は裏切るものですよ?」

そう言われると、グラフィスとナイアドは黙ってしまった。


そんな様子を見ていたサウザーがフォローする。

「ユウト様・・・それが人と言うモノならば、信じる気持ちもまた大切なのでは?

 それが人らしく・・・そう言うモノだと私は思います」

サウザーの優しい眼差しが、悠斗の表情を和らげた。

「分かりました。貴方にそう言われてしまっては、俺も・・・」

「良かったです。これでユウト様はまた・・・手札が増えた訳ですね?」

「ニヤリ」とするサウザーの顔は、してやったりとした「ドヤ顔」だった。

「まいったな~もう・・・」


ベルフリードの二人もまた、喜んでいた。

「でも手札って言いますけど、俺はサウザーさんに力をつけてほしいんだけど?」

サウザーは悠斗の言い方に顔が曇る。

「どう言う事でしょうか?力を付けるとは・・・それは兵力と言う事ですか?」

「はい、ベルフリード家の力添えを得て、騎士団達の能力を挙げてほしいのです」

「理由は・・・おありですか?」

「はい」


そう言うと、コーヒーに口を付け一息付くと話し出した。


「丁度いい機会ですからお話させて頂きます。

 俺の使命とは・・・皆さんご存知だと思いますが、

 異形の魔の討伐・・・です」


異形の魔と聞いて三人共硬い表情をした。

「ユウト・・・貴方に討伐出来るのですか?

 我々は・・・いや、ノーブルに生きる者達が総力を持ってしてでも

 相手にならなかったのですよ?」

悠斗はそう言われ苦笑するとこう答えた。


「今は・・・勝てないでしょうね?

 だから俺はもっと力をつけなければならないんですよ?

 その為には国を滅ぼす事だって(いと)わないですよ?」

悠斗の言葉にグラフィスは、あの中庭での悠斗の言葉を思い出した。


「ユウト・・・貴方はあの時、中庭でこう言った。

 この国は・・・俺がもらう・・・と。あの言葉は本気なのですかな?」

悠斗は頬を「ポリポリ」掻きながら答えた。


「ああ・・・この国が俺の邪魔をするのなら・・・この国は俺がもらう」

そう言い切った。

「ははは・・・儂は今まで貴方のような御方に出会った事が御座いません。

 ですから・・・あえて、儂は言わせて頂く。

 貴方がもしそうしたいのなら・・・儂は貴方に尽力する・・・と」

グラフィスの顔は何時にも増して真剣そのものだった。

「じゃ~その時は、グラフィスが国を収めますか?」

グラフィスは「きょとん」とすると、大声で笑った。


「わっはっはっはっはっ!儂が国をですか?

 儂は権力に溺れた男ですぞ?それはこのナイアドもそうでしょうな?

 ですから儂にその意思は御座いませんぞ?」

グラフィスはナイアドと顔を見合わせると二人して笑っていた。

「ユウトさん・・・私も父と同じなのです。

 魔剣の力を過信したばかりに剣を極めるのをやめてしまった者です。

 ですから、私はもう一度、剣を極める為腕を磨くつもりです」


(うわ~何だろ?清々しい人間になっているんだけど?何故だろ?)

まるで憑き物でも落ちたかのように、グラフィスとナイアドは変わっていた。


サウザーは三人の様子をじっと見ていた。

そして話を切り出した。


「ユウト様・・・まずは報酬のお話でも致しましょう。

 私共・・・いえ、この場合は我々・・・と、言うべきでしょうな?

 つまり、私とベルフリード側と致しましては・・・

 金貨1000枚ほど受け取って頂きたいのです」

「いっ・・・いっ・・・1000枚っ?!」

突然の金貨報酬攻撃の枚数に驚くしか出来なかった。


暫く唖然とすると聞き返した。

「1000枚ですか?」

「はい。これはベルフリードと私からの報酬なのです。

 ですから受け取ってもらえないと、我々も困るのですよ?」

グラフィスとナイアドは「ニヤニヤ」と笑みを浮かべていた。

(これは何を言っても無駄な感じだな~?

 まぁ~マジックボックスもあるし・・・金はあっても困らない・・・か)

そう自分に言い聞かせ渋々承諾した。

「はい・・・分かりました」

「がくっ」と、項垂れる様子を見て三人が笑っていた。


悠斗は少し真剣な面持ちでグラフィスに聞いた。

「グラフィス・・・ヘイルズの件はどうするんだ?」

「はい、既に昨夜のうちに使者を送っております」

「そんなに早く?」

「はい、貴方様に仕えるには、これくらい致しませんとな?」

少し「ニヤ」けた顔でそう言ってきた。

「ははは・・・負けたよ、あんた達にはさ?」

「わっはっはっ!これで喧嘩の借りは返せたようですな~」

笑いながらグラフィスは仕返ししてきた。


グラフィスが笑っていると、息子であるナイアドが悠斗に声を掛けた。

「ユウトさん・・・もし、ヘイルズ家が止まらなかった場合は

 貴方はどうするのですか?」

「ん?どうしてそんな事を?」

「いえ、ただ私は・・・万が一を想定しておきたいのですよ?」

ナイアドの目はとても真剣で茶化す事は出来なかった。


「もし・・・その時は、俺はヘイルズを潰す」

ナイアドは何に満足したかはわからないが、顔が「ニヤ」けていた。

「分かりました。その時は私も御一緒させて下さいませんか?」

悠斗もナイアドの意思を尊重して真剣に応えた。

「ああ、分かった。その時は必ずお前を呼ぶからな?

 腕をしっかりと磨いて置いてくれ・・・」

「はっ!このナイアド・ベルフリード、必ずや御敵を殲滅する事をここに誓います」

「ああ・・・期待してますよ」

ソファーから降り、片膝を着くと頭を垂れ誓いを立て剣を捧げた。

悠斗は剣を取り両肩に当てた。


「これで合ってるか?」と、サウザーに視線を送ると、黙って頷いた。

そしてまた・・・グラフィスも黙って頷いていた。

剣をナイアドに返すとソファーに座るよう促した。


座り治すナイアドを見たグラフィスは・・・

「ナイアドよ・・・いい君主を得たな?」

短い言葉ではあったが、父親としてとてもいい表情をしていた。

「はいっ!父上っ!」

ナイアドもまた、親に似ていい表情していたのであった。

「儂も・・・もっと若かったらな・・・」

と、少し寂しい顔をしていたのが、悠斗には印象に残った。


一段落した時、サウザーが話を切り出した。

「ユウト様、一応これで全て会談は終了しましたが、

 これからどうするのですか?」

サウザーの問いに、悠斗は「ニヤッ」と、笑うと・・・


「それは勿論っ!!港町に行きますっ!」

そう言いながら勢いよく立ち上がったのだった。

「む、向こうでは・・・何を?」

「勿論っ!冒険者登録したいと思いますっ!」

悠斗の立ち姿は、三人にとって、初めて年齢に似合う姿だった。

「あっはっはっ・・・ユウトの年齢に似合った姿なんぞ、初めて見たぞ」

「はい、父上・・・私も同じに御座います」

「私だって・・・ん?毎朝見てます・・・かな?」

そう言ってサウザーは笑い始めた。


「あの・・・ところでサウザーさん?」

「はい、何でしょうか?」

「リディさんは一体何者ですか?」

「リディですか?彼女は流れ者なんですよ?」

「流れ者?」

それを聞いたグラフィスとナイアドも興味があるようだった。

「はい、流れ者とは何かに追われ国中を彷徨う者達の事を言うのです」

「理由は聞かないのですか?雇うのなら・・・そうすると思うのですが?」

そう言うとナイアドがサウザーの代わりに答えた。


「流れ者には必ず理由があります。

 その理由を聞かない代わりに、少し安い賃金で働いてもらう事が出来るのです」

そう答えたナイアドに悠斗は首を傾げながら聞き返す。

「その人が犯罪者って事を隠していても・・・なのか?」

「はい。まず面接は当然ながら行います。

 もし、ユウトさんがおっしゃったように、犯罪者であったのなら、

 面接を行った者を含め家を追放されます。

 ですから、面接を行う側にも真剣に成らざるを得ないのですよ」


ナイアドの話を聞き、悠斗は何度か頷いていたのだった。

「ですから・・・」と、サウザーは話を始めた。

「ですから、私共は信用できる面接官の目を信じております。

 実際彼女はよく働いてくれますし、こちらとしても非情に助かっています」

「分かりました。有難う御座います」

そう言うとソファーに座り直す。


「どうして彼女が気になるのですか?まさか・・・」

サウザーが変な勘ぐりを始めたので、きちんと説明した。

(でもやっぱりあの動きって・・・でもなぁ~・・・セルンに操られていたしな?)

疑問は残るが悠斗は考えるのはやめようと思った。


「ところでユウト様?いつ港町へ行かれるのですか?」

「んー・・・一応明日にでもって思ってますけど?」

「そ、それはお早いですね?」

「港町への道のりがこんなにかかると思ってませんでしたし、

 冒険者登録もしたいので、なるべく早く行きたいのですよ」

サウザーは顎に手を当てると、何やら思案し始めた。


「サウザーさん、どうかしましたか?」

「ユウト様・・・街へ入るには入市税というものがあるのを知っていますか?」

「・・・知りませんでした」

「なるほど、ではお教えしましょう。街へ入るには入市税が必要なのですよ

 アシュリナの場合は銅貨10枚くらいです」

「アシュリナの場合って言いましたけど、街によって違う・・・と、言う事ですか?」

「はい。とは言っても、銅貨10枚~20枚・・・それくらいなのですがね。

 あと、テイムしている動物などは、その証として首輪をつけなければ

 街に入る事は出来ません」


悠斗は白斗を思い出すのだが・・・

「・・・あいつに付けられる首輪ってあるのだろうか?」

「さ、さぁ~・・・あの大きさですからね・・・」


悠斗とサウザーが悩んでいると、ナイアドが話に入ってきた。

「ユウトさん・・・宜しければコレを・・・」

そう言って取り出したのは、赤い首輪だった。

「・・・気持ちは有り難いのですが、その大きさだと・・・」

「あっはっはっ、これはマジックアイテムでして、

 使用した動物や昆虫などの大きさに縮みますのでご心配不要かと・・・」

「なるほど、それでしたら買いますのでおいくらですか?」


ナイアドとグラフィスは悠斗の言葉に驚いていた。

「えっ?・・・俺って何か変な事言いました?!」

「い、いえ、私は貴方様に忠誠を誓う者ですので、金銭を受け取るわけには・・・」

悠斗は項垂れるとナイアドに注意した。

「ナイアド・・・忠誠は受け取ろうと思うけどさ、金銭はちゃんとしなくちゃ駄目だ。

 金銭の事でもめたくはないし、俺も気分は良くないからね?」

「し、しかしですね・・・」


悠斗は根気強くナイアドを説得し、赤い獣魔の首輪を金貨2枚で買い取った。

勿論、その首輪がそんなに安いはずはないのだが、

ナイアドが金貨2枚でと、懇願しはじめたので承諾するしかなかった。


会談が無事終了し、悠斗の旅立ちと、ベルフリードとの和解の記念として、

その夜、盛大なパーティーが開かれた。

悠斗達はパーティーに出席するため、サウザーに服を借り出席。

イリア達もまた、着飾って出席したのだった。

「あっ、セルカ頼みがあるんだけど?」

「にゃ?」

「えっと、梟を飛ばして欲しいんだけどいいかな?」

「何をするのにゃ?」

その問いに悠斗はセルカに耳元で答えた。

「わかったのにゃ♪ユウト様はシャイなのにゃ♪」

「うっ・・・よ、宜しくお願いします」

「らじゃーにゃっ!」


悠斗はセルカに頼みごとを言い終えると、サウザー達の元へ向かった。


そしてパーティー中、かしこまる悠斗の姿を肴に大盛りあがりを見せ、

ゼノに飲み対決を迫られた悠斗は、耐性・全のおかげで、圧勝する事となった。

そしてパーティーも終宴となると・・・


「さて、皆様・・・」と、サウザーが壇上で声を挙げた。

「私達アシュリナ家と、ベルフリード家は同盟を組むことになりました。

 言わばお互いに盟友となる訳です。

 これもひとえに、ユウト様達のおかげだと思っております。

 そしてまた悠斗様は両家にとって、なくてはならない御方なのですっ!

 ユウト様・・・大変お世話になりました」


壇上でサウザーが頭を下げると、会場に居た全ての人達が片膝を着き頭を垂れた。

そしてイリア達もまた・・・悠斗に対して片膝を着き、頭を垂れていた。

今、この会場で立っているのは、悠斗ただ一人だったのだ。

「げっ!み、みんな・・・そう言うのはやめようよぉー!」

全員が頭を垂れてはいるが、悠斗の反応に頬を緩ませていた。

そしてサウザーが・・・

「ユウト様・・・我々一同、貴方様に忠誠を誓います」

「忠誠を誓います」と、サウザーの言葉に一同が続いた。


「か、勘弁してくれぇぇぇぇっ!」っと、会場に悠斗の声が響き渡った。


パーティーが終わり悠斗と白斗は部屋に居た。

「主・・・ええ人ばっかりでしたな~?」

「そうだね。本当にそう思うよ」

「なんや知らんけど、ベルフリードの皆さんも、憑き物が取れた感じやしな~?

 あれは一体なんやったんやろ?」

肩に乗っていた白斗をクッションの上に置くと、悠斗はバルコニーに向かった。

「んー・・・。権力がそうさせるのかもね?!」

悠斗はバルコニーの扉を開けながらそう答えた。

「怖いでんな・・・ほんまに・・・」

白斗はそう言うと、クッションに包まれ眠りについた。


その様子を見ていた悠斗は、頬を緩ませるとバルコニーに出て夜空を見上げた。

澄み切った夜空を眺めながら、ふと・・・昔を思い出した。

「・・・お前にも見せたかったな・・・穂高」


少し夜空を見つめた後、悠斗もまた眠りについた。


そして旅立ちの朝・・・

いつものようにリディが悠斗を起こしに来る。

「ユウト様・・・おはようございます」

「んぁ?・・・はい、おはようございます」

悠斗はフラフラと起き上がり準備をしようとすると・・・

「はっ!リ、リディさん・・・き、今日は旅立ちの日なんですけど?」

「ふふふ♪そうですわね?」

「・・・ま、まだ諦めてないのです・・・か?」

リディは既に、猛獣のような目つきな変わっていた。

悠斗は最終日だからと安心しきっていたので、反応が遅れてしまった。


「リ、リディさんっ!お、落ち着いて・・・・落ち着いてくださいっ!」

「ふっふっふっ・・・悠斗さん・・・今日は逃しませんわ♪」

「は、白斗っ!・・・い、いない!?なんで?!」

「ふっふっふっ・・・さぁ~悠斗さん・・・お着替えのお時間ですわ♪」

「ぎゃぁぁぁぁっ!犯されるぅぅぅっ!」


その頃食堂では・・・

「あぁ~もうっ!ユウトはまだ来ないの?!」

「にゃぁ~♪ユウト様は寝坊助さんなのにゃ~♪」

イリアとセルカが頭を抱えていると、素知らぬ顔で白斗が瞬間移動してきた。

「あれ?ユウト様は御一緒ではないのですか?」

ロジーもまた、悠斗と同じく最後の日くらいはと思っていたのだったが、

無情にも白斗から真実を聞かされてしまう。


「ああ~主は今頃リディはんとファイナル・ラウンドとちゃいますかね?」

白斗がそう言った瞬間・・・

「ぎゃぁぁぁっ!犯されるぅぅぅっ!」っと、悠斗の断末魔が聞こえてきた。

「誰かぁぁぁっ!リ、リディさんっ!そ、そこはっ!!いやぁぁぁっ!」


その叫びにサウザーは勿論の事、朝食に呼ばれたベルフリードの二人は

朝の情景に顔を引きつらせていたのだった。

そして恒例行事も終わり、正面玄関の前で、みんなと握手を交わした。


「サウザーさん、アンナさん・・・リ、リディさん・・・そして皆さん、、

 本当にお世話になりましたっ!」

イリア達も悠斗に続き頭を下げた。

「ユウト様・・・お気をつけて」

ロジーは涙を浮かべ別れを告げる。

「ユウト様・・・いつまでもお帰りをお待ちしております」

「ああ、サンキューな、ロジー」


そういうと、正面玄関の扉が開き外に出ると、大勢の人達が見送りに来ていた。

悠斗の名を呼び讃えてくれていた。

そんな人達の前で悠斗は手を振って応えていく。


「ユウト様、コレを・・・」

「儂からもコレを・・・」

サウザーとグラフィスから渡されたモノは・・・

「コレは何ですか?」

「それは紹介状です。ギルドマスターに渡して下さい」

「儂の方も紹介状と、そのペンダントとは・・・ユウトの後ろ盾になる、

 対面状その方がユウトも動きやすくなると思ってな?」

「あははは・・・気を遣わせてしまったね?有難うもらっておくよ」


グラフィスは顔をクシャクシャになるほど笑っていた。

「あっ、俺からもあるんだった・・・コレを・・・」

悠斗は魔石数個と梟を取り出すと、

サウザー、ロジー、グラフィス、ナイアド、ゼノ・ステア・ルドルフらに渡した。

「コレは一体?!」

「それはいつでも連絡が取れるようにと思って作った、

通信魔法ってやつなんだ。詳しくはロジーに聞いてくれ」

悠斗はロジーに目配せすると、ロジーは頷いていた。

「分かりました。大切にします。」


そして悠斗達は一歩前進すると、人混みにめちゃくちゃにされる事になってしまった。

「お、おのれっ!・・・港町への道は・・・

 こ、こんなにも、き、厳しいモノなのかっ!な、なんて事だ・・・」

名残惜しくなった人達が悠斗達に最後のお別れをしようとして、

混乱を招いていたのだった。


「セ、セルカー!連絡は送ったのか?」

「は、はい・・・な、なのにゃ!こ、こいつら邪魔なのにゃっ!」

「ユ、ユウトーっ!た、助けてよぉぉぉ!」

「ワ、ワシもっ!つ、潰されてしまうっちゅーねんっ!」

悠斗達が四苦八苦していると、正門の方から声が聞こえた。


「ユウトォォォっ!」

「グ、グレインっ!」

正門でグレイン達を見つけた悠斗は・・・

「イリア、セルカ、白斗っ!俺に掴まれっ!」

イリア達はためらいもなく悠斗にしがみつくと・・・


「駄目だったら・・・ご、ごめん」

「えっ?!」

「にゃっ?!」

「ほへっ?!」

「行くぞっ!瞬間移動っ!」

そう叫ぶと、グレイン達が乗ってきた馬車の屋根に瞬間移動した。

「ふぅ~・・・落としそうだった・・・」

そのつぶやきが聞こえたイリア達は・・・

「えっ?!どう言うこと?」

「だ、誰かをお、落とされかけたのかにゃ?!」

「主っ!ワシでっか?」


イリア達の言葉をスルーして、悠斗はグレインに叫ぶ。

「グレインっ!出してくれっ!」

「お、お前なぁー?だ、出すぜっ!はあっ!」

グレインの掛け声と共に馬車は進む・・・

港町・アシュリナを目指し馬車は進んで行く。


すると正門が開きたくさんの人達がデてくる。

悠斗は屋根の上で、両手を大きく振っていた。

「いってきまーーーーすっ!」

イリア達もまた手を大きく振っていたのだった。


「お気をつけてぇぇぇっ!」

「ユウト様、お元気でぇぇぇっ!」

聞こえてきた声に手を振る事で応えていく。

その時ふと・・・セルンの匂いがした。

悠斗は魔石数個と梟を取り出し、匂いのする方へ投げた。

そして悠斗は・・・「またな♪」

その時セルンの笑い声が聞こえたような気がした。


馬車から人だかリが見えなくなると、悠斗は屋根に腰を降ろし・・・

「さぁ・・・行こうかっ!」


街道を突き進む馬車から笑いが木霊していたのだった。




ラウル ・・・ さぁ~出発の朝がきたね~♪やっとだね~♪

ミスティ ・・・ はい♪これで心置きなく出発ですわね♪

ラウル ・・・ 港町に着いたら存分に楽しんでもらいたいね~♪

ミスティ ・・・ でも心配ですわね?

ラウル ・・・ 何をそんなに心配しているのさ?

ミスティ ・・・ お忘れですか?悠斗さんがトラブルメーカーだって事を・・・

ラウル ・・・ ははは、き、君は何をそんな恐ろしい事を・・・

ミスティ ・・・ ああーっ!み、見えますわっ!ゆ、悠斗さんに・・・っ!

ラウル ・・・ な、何が見えるんだっ!ぼ、僕にも教えてくれっ!

ミスティ ・・・ あっ、書類の提出を忘れてました♪では私はこれで失礼しますわ♪

ラウル ・・・ き、き、き、気になるぅぅぅっ!!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ついにアシュリナへ向けて出発しましたね♪ あーでも出発しただけですよね。。。 アシュリナに到着したわけじゃないですもんね(笑) 悠斗さんらしく、もとい緋色先生らしい展開を楽しみにしていま…
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