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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
91/407

75話 情報と悲しみ

お疲れ様です。


最近涼しくていい感じです^^

さて今回は75話です。


いよいよ公爵家がご登場な回となっております。

暫く硬い話が続きますが、宜しくお願いします。


それでは、75話をお楽しみ下さい。

悠斗達は修練を終え、食事を取りそれぞれが自由な時間を過ごした。

今、悠斗はイリアの申し出により、再び修練に付き合っていた。


「ねぇ、ユウト?私の中にある力って青い炎の他に青い風って言うのかしら?

 どうやって引き出せばいいのか・・・正直わからないの」

悠斗はイリアの悩みは理解できるのだが、

今はもう少し潜る事に集中してほしかった。


「まぁ~その先の事はまだ扱えないから、すぐに限界を迎えてしまう。

 だからまずは青い炎の威力の上げ方を模索した方がいいと思うんだけど?」

イリアは少し不満気に答えた。


「強い力があれば私も一線で戦えるのにな~」

「まぁ~気持ちはわかるんだけどね・・・

 俺みたいに飲み込まれたら洒落にならないからな?」

「クスッ♪そうね・・・力に取り込まれたら意味ないもんね?」

「ああ、そうだね♪まず青い炎の練度を上げて、威力を増す方法を見つけないとね?」


この日よりイリアは本格的な修練に励むのだった。


そして翌日・・・

朝食を取り終えいつものティータイムを楽しんでいると、

どうやら正面ホールが騒がしい。

リディ達メイドは様子を見にホールへと向かうと、

暫くしてリディがゼノを連れ戻ってきた。


「やぁ~ゼノ殿よく戻った」

サウザーは席を立つとゼノの元へ歩いて行く。

ゼノは片膝を付くと礼を取り、豪華な箱を取り出しサウザーへ渡した。

「サウザー子爵様、ベルフリード公爵様より書状を承って参りました」

「ご苦労様でした」

サウザーは箱を開け、内容を確認して行く。

内容を確認したサウザーは溜息を吐くと悠斗を見た。


「あ~・・・嫌な予感しかしないんだけど?」

悠斗は顔を引きつらせながら面倒臭そうに言った。

「・・・ユウト様、公爵は信用されていないようです」

悠斗は顔を伏せたまま手を挙げて、それを返事とした。

そして顔をあげると・・・

「よしっ!殲滅して排除するかっ!」

思い切った発言をすると、イリア達なら兎も角、

近衛騎士達まで「うおぉぉぉぉぉっ!」っと、何故か戦う気でいた。


その様子に焦ったゼノが悠斗の元へ走り片膝を着けると説得してきた。

「ユウト様、違うのです。全てを信用しなかった訳ではありません。

 こうして私が生きている事が、何よりの証明です」

「・・・で?俺にどうしろって?」

「はっ!ユウト様にはベルフリード様の聖騎士隊隊長と闘って頂きます」

悠斗はがっくりと項垂れる。


「はぁ~・・・まぁ、俺がやった事だからやるけどさ・・・

 どうして人間達は同族で争いたがるのかな?」

その返答にサウザーもゼノも返答出来ずにいた。

悠斗は散々愚痴った後・・・

「俺の相手・・・聖騎士だっけ?どんな人?」

ゼノは一瞬顔を強張らせると、声を絞り出すように答えた。


「はっ・・・ベルフリード聖騎士隊・隊長・ナイアド・ベルフリード様です。

 剣神様と同じ赤髪で、剣神・アマルテア様より剣聖の称号と加護を与えられた方です

 剣の腕も確かではあるのですが、ちょっと血統にこだわる方なので・・・。

 しかしながら、騎士道精神を重んじる御方だとも聞いております」

(アマルテアねぇ~・・・その人は大丈夫なのかな?

 剣聖ねぇ~・・・強い気がしないんだけど?)


悠斗は一抹の不安がよぎるが、「剣神より強いって事はないよね?」っと、

ポツリとつぶやいたのだった。

「あっ、後、その公爵ってどんな人なんだ?」

「はい。名をグラフィス・ベルフリード様と言い、

 人格的には、武を好むため、世間で知られる名は、「武王」です。

 そして、味方には甘く、敵には・・・そういう御方です」


「・・・にゃるほど♪色々と面倒臭そうな人達だな~」

悠斗はあっけらかんとそう言っていたのだが、周りの反応は違っていた。

イリアは悠斗に近づくと・・・

「ユウト・・・本当にやるの?」

「ん?どうしたんだ?」

「だって・・・アマルテア様の・・・」

イリアはアマルテアの魔方陣の件が気になっているようだった。


「んー・・・多分大丈夫じゃないかな?

 俺も一応気をつけてはみるけどさ・・・」

「貴方がそう言うのなら、もう何も言わないけどね?」

イリアは悠斗の反応を見て安心したかのように微笑んでいた。

すると今度はサウザーが悠斗の心配をして話しかけてきた。


「ユウト様、大丈夫かと思われますが・・・万が一もありますので、

 油断なさらないよう御気を付けください」

リディやステアもサウザーの意見に同意を示していた。

「わかったよ、気をつけますから♪」

「はい、本当にそうお願いします」

「あ~・・・ところでいつやるんだ?」

悠斗がそう聞くと、サウザーがもう一度日時の確認をした。


「そうですね・・・。明日の正午の予定となっておりますが?」

「そっか・・・で、公爵様御一行はいつ到着するのですか?」

悠斗はゼノに視線を移すと、ゼノは再び頭を垂れ答えた。

「はっ、夕刻の予定となっております」

「わかった。ありがと♪」

日時を聞いた悠斗はイリアを誘い、いつもの訓練をするため外に出ていった。


近衛兵の修練場へ向かう途中も騎士達に声を掛けられ、その声に答えて行った。

「ははは、すっげー心配されてる~・・・やれやれ」

「クスッ♪それだけユウトが人気があるって証拠じゃない♪」

「・・・なんだろ?微妙な気分なんだけどね」

「全くもう!贅沢なんだからっ!」

二人はいつも通りに修練に励み日々力を付けていった。


そして夕方・・・

正面の門が騒がしくなってきた。

二人も修練を終了し、正面の門へと向かう。


悠斗とイリアが正面の門に着いた時には、

既に50名近い騎士達が門から入ってきていた。

そして豪華な馬車とそれに追随する豪華な装飾品を着けた馬が入ってきた。


何気なく悠斗は見ていたのだが、豪華な装飾品を着けた馬の騎士が

悠斗を見ていたのだった。


「あの人が聖騎士の隊長さんかな?」

「そうね~・・・私も見たのは初めてなんだけど、

 そういう雰囲気は持ってるわね?」

悠斗とイリアは一通り確認すると屋敷に戻って行った。


悠斗はイリアは修練の汗を流すべく風呂場へと向かう。

「それじゃ~ユウト、また後でね?」

「ああ、ゆっくり浸かってきなよ~♪」

そう言って、二人は別々の入り口へ向かった。


頭と体を洗った悠斗はかけ湯をして貴族特有の広い風呂に浸かる。

「あぁぁぁ~・・・この瞬間がたまんないよね♪」

悠斗はお湯に浸かりながら目を閉じた。

すると・・・


突然「ガラッ!」っと、風呂の中へ誰かが入ってきた。

(ん?知らない気配だな?)

そう思いつつも目を閉じ風呂を楽しんでいると・・・

「おいっ!貴様っ!使用人の分際で何をさぼっておるっ!」

突然怒鳴られたので目を開けて見ると・・・


悠斗の頭の上で、腰にタオルを巻いた男が二人立っていた。

「何か御用でしょうか?」

悠斗の言葉が気に入らなかったのか、怒鳴り散らしてきた。

そして再び「ガラッ!」と、風呂場へ誰かが入ってくると・・・


「お前達・・・もっと静かにできないのか?」

その男は赤髪の隊長だった。

「隊長っ!この使用人が無礼な態度をっ!」

「そうなのですっ!使用人の分際で風呂などっ!」

(こいつらめちゃくちゃな事言ってるなぁ~?どうしようかな?)


悠斗は癒やしの時間でもある風呂を邪魔され、少々気が立っていた。

赤髪の隊長は悠斗を見ると・・・

「ああ~・・・正門に居たな?」

「・・・ですね」

悠斗の態度に少し目を細めたが、部下を(たしな)め、

体を洗いに行った。


(折角の憩いの場が・・・)

悠斗はのんびりする事を諦めると、風呂場を出て行こうとしたその時・・・

再び「ガラッ!」と、風呂の中に入ってきた人物がいた。


(わおっ!この人って・・・公爵じゃね?)

威厳と風格を纏っていた男が入ってくると悠斗に頭を下げた。


「部下達が騒がせてしまったな?申し訳ない・・・」

「いえ、これが貴族社会の典型的な態度だと、改めて認識致しましたので・・・」


悠斗は公爵に皮肉を込めた言い回しをすると、

公爵は小さく「ふっ」と、笑った。

悠斗は「失礼致しました」と、頭を下げると風呂場を後にした。


グラフィスは洗い終わると湯船に浸かる。

そしてナイアドに声を掛けた。


「ナイアドよ、先程の男をどう思った?」

ナイアドは訝しげな顔をして答える。

「はっ、無礼とは思いましたが、良い目をしておりました」

「そうか・・・」

グラフィスは薄く笑うと、風呂で疲れを癒やしていくのだった。


部屋に戻った悠斗は薄く笑いながらバルコニーに出た。

「あははは・・・もはや隠れる気ないんだね?」

そう言って悠斗は椅子に腰掛けているセルンを見た。

「要件は?」

「あらっ?今日はせっかちなのね?」

「ごめん、悪かった」

「いいわ♪・・・貴方に情報を伝えに来たのよ?」

「情報?ベルフリードの情報か?」

「ええ、そうよ♪」

悠斗はセルンにコーヒーを手渡した。

「で?情報料はいくらかな?」

「ふふ♪そんなのいらないわよ~♪馬鹿ね♪」

「ありがと♪」

セルンは悠斗の笑顔に顔を染めたのだが直ぐに横を向いてしまった。

「ベルフリードの事なんだけどね?」

セルンが言いかけた時、悠斗は手で制して話した。

「森の近くで軍を隠してるって事かな?」

悠斗の言葉に当然驚く。

「えっ?ど、どうして知ってるのよ?」

悠斗は「ニヤリ」と笑い説明した。


「公爵様って、普通話し合いに来るのに、どうして大勢連れてくる必要があるんだ?」

「それは公爵の威厳とかじゃないのかしら?」

「いや、違うよ?此処を労せず奪い取る為だよ?」

「なるほどね・・・そういう事なのね?」

「ああ、50名以上も連れてくるなんて正気の沙汰じゃないしね?」

「ユウトはお見通しだったって事ね?」

「ああ、ゼノを無傷で戻した時からなんとなく・・・ね?」


セルンはそう言うと、椅子から立ち上がった。

「今日はこれくらいにしておくわ♪ユウト・・・何かあったら手伝うから

 その時はちゃんと言ってよね?」

「わかったよ・・・セルン。ありがとな♪」

セルンは悠斗にコーヒーカップを渡すと・・・

「ごちそうさま♪」そう言って、闇に溶けていった。

「さてっと・・・楽しくなりそうだな♪」


そう言って、ベルフリードの軍をただ笑って見つめていた。


そして次の日・・・

今日は大切な日だと分かっているはずなのだが、

リディとの朝の恒例行事で騒がしくなっていた。


そして朝食を食べ終わりティータイムが終わると、

悠斗は目を閉じ中庭のベンチに座っていた。


すると此方に向かってくる足音が二つ・・・

一つはサウザーの足音・・・

(知らない足音だな?)

そう思っているとサウザーから声がかかる。


「ユウト様・・・お(くつろ)ぎ中申し訳ありません。

 公爵閣下がお話になりたいようですので、どうか此方へ・・・」

サウザーは応接間で話そうとしているようだが、悠斗はそれを断った。

「別に此処で話してもいいのではないですかね?

 丁度俺の向かいのベンチは空いていますけど?」


そう言うとサウザーは困った素振りをしていたが、

しかしグラフィスは大笑いすると、悠斗の正面に設置されている

ベンチに腰を降ろした。

そして悠斗は目を開けると・・・


「・・・話の分かる人のようですね?」

「ふむ・・・昨日の風呂の借りもあるしな?」

二人の会話に、サウザーは「オロオロ」する事しか出来なかった。


「サウザーさん、俺の横にでも座ってくださいよ?」

「あっ、は、はい・・・わ、分かりました」

サウザーが悠斗の横に座る頃、テーブル二つを出すと設置した。

サウザーとグラフィスには紅茶を出し、自分の分はコーヒーにした。

そして悠斗がベンチに座り直すと、グラフィスが話を始めた。


「昨夜の風呂の小僧が使徒・・・だったとはな?」

「これでも15歳なんですけどね?」

悠斗はコーヒーに口を付けながら淡々と話していく。

「それで・・・俺に何か用ですかね?」

「いやなに、身の程知らずの顔を見ておこうとな?

 だがしかし・・・こんな小僧とは・・・笑わせる」

「・・・それはアレですかね?俺に喧嘩を売っていると思っていいんですかね?」

「わっはっはっ!喧嘩にもなりはしないだろう?」


グラフィスは悠斗を煽りに煽っていた。

「・・・公爵様・・・それ以上は・・・後に引けなくなるよ?」

「後にだと?小僧・・・付け上がるなよ?

 貴様を殺した後、アシュリナも終わる事になるからな?」

「わかったよ。グラフィス・・・これまでだな?」

そう言うと、ベンチから立ち上がり、グラフィスに背中を向けた。


「グッ!き、貴様っ!不敬だぞっ!」

「おい・・・いいか人間?お前はもう終わったからな?

 ただで済むと思うなよ?」

悠斗は振り返ると威圧した。

「ぐぁぁっ」っと、小さく呻くも悠斗を睨む事は忘れていなかった。

「ふんっ!き、貴様などに敗れるはずもなかろうっ!」

「最後に言っておくよ・・・この国は俺がもらう」


その言葉を聞いたサウザーとグラフィスは固まってしまった。

「サウザーさん・・・ごめんね?この国が此処まで腐っているなんて、

 俺は本気で思いもしなかったよ・・・悲しいね、ほんとにさ」


この時、サウザーは悲しみに染まる悠斗の横顔を見た。

(わ、私にも出来ることが必ずっ!)

そして悠斗は中庭を後にした。


その後悠斗は、イリア達と話し合い、最悪を想定して動く事になった。

そしてセルンにも、悠斗は折り紙魔法で連絡をつけたのだった。


悠斗は青空を見上げると・・・

(・・・ラウル、ちょっと俺は賭けに出るよ。やつらを試す事にした)

そう言って、準備に取り掛かるのだった。




ラウル ・・・ さていよいよ公爵家登場だね~

ミスティ ・・・ 貴族ってほんとにロクな人がおりませんわね?

ラウル ・・・ まぁ~ある意味、それは僕達も悪いんだけどね。

ミスティ ・・・ もう戦いは避けられませんわね?

ラウル ・・・ この先は、血肉沸き踊り髪の毛を毟る戦いが待ってるね?

ミスティ ・・・ 何やら一つ余計な言葉が混ざっておりますが?

ラウル ・・・ 気にしない気にしない♪ドーンとっ行こ~~~♪



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんかとんでもない展開になってきましたね。 いったいいつアシュリナへ。。。とは思うものの、 こういうアレやコレやも今後必要な要素かもですね。 イリアに力の制御を悠斗が諭すシーンなんかも、…
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