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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
88/406

72話 尋問

お疲れ様です。


今回は72話ですね。


前回捕まえた連中を尋問する話です。

トラブル続きの悠斗の運命は・・・。


ブックマークの登録有難う御座います。

今後も頑張りますので、応援宜しくお願いします。



それでは、72話をお楽しみ下さい。

「さて、ここからが本番だな」


悠斗はそう言うと、アシュリナ邸へ入って行くのだった。

一度着替えに戻り部屋から出ると・・・


「ユウト様、サウザー様がお呼びです。」

悠斗部屋の前で待機していたのはメイドのリディだった。

「わかりました。行きましょう」

悠斗はリディの後を付いて行く。


屋敷を出て兵舎の傍にある平屋の細長い建物だった。

「此処は?」

「此処は捕縛された者が入れられる牢になっております」

悠斗はその建物を観察すると、牢屋ならではの作りとなっていた。

重厚な壁と鉄格子・・・

「此処から逃げ出すには苦労しそうだな?」

ぽつんとつぶやいた言葉にリディは笑っていた。


リディに案内され中に入って行く。

そしてある部屋の前に案内されるとノックをし、中から返事がする。

ドアが開き数人の騎士とサウザーが居た。

「失礼致します。

リディと悠斗が中に入ると、サウザーが笑顔で迎えてくれた。

「やぁ、ユウト君、この度は本当に有難う」

「いえいえ、俺が勝手にやった事なので、ご迷惑になってなければいいのですが?」


サウザーと握手を交わしつつ用意された椅子に座る。

用意された紅茶に口を付けると、サウザーが話を切り出してきた。


「ユウト君、どうして今回の事がわかったんだい?」

サウザーの顔は笑顔だったのだが、だが、その目は笑っていなかった。

「そうですね。まず最初に思った事は、彼女の気配と行動ですかね?」

「気配と行動?」

「はい。あれだけ大勢のメイドや執事が慌てる中、

 彼女だけが洗練された動きになっていた事もありますけど、

 気配・・・そう、彼女の気配だけが消されていたんですよ」

「・・・説明できますか?」

「ええ、勿論出来ます。恐らく密偵や暗殺者特有と言いますか、

 その世界で長く生きていれば、無意識で身に付けてしまうスキルですかね?」

「それが・・・気配と行動と言う事かな?」


サウザーは悠斗の説明に興味津々で話に食いついてくる。


「例えば今回のロジーの一件ですね。ロジーが意識を取り戻し、

 サウザーさんに連絡を取って来るとは思わなかったのでしょうね?」

「それはつまり、ロックバルの事を知っていた・・・と、言う事かな?」

「はい。彼女達を仲介していたヤツが、ロックバルの事を

 事前に教えていたのだと思います」

「なるほど・・・」


一度サウザーは椅子に座り直し、紅茶に口を付けた。

「ロジーがもし・・・此処に戻ってきたとしたら・・・

 それはロジーが意識覚醒阻害魔法の影響で、覚醒しないまま戻るはず・・・

 ところが、ロジーは意識を取り戻し、こうして戻ってきた。

 彼女にとっては驚くのも当然な事なうえ・・・この俺の事です」


「ユウト君の存在が、より彼女を慌てさせてしまい、

 行動に違和感を産んだという事なんだね?」

「ええ、彼女にとっては、想定外過ぎたのでしょうね?

 まさかロジーを助けた者の中に、創造神の使徒が居るなんて、

 誰にも想像つきませんしね?」

「それでユウト君は彼女が怪しいと?」


悠斗は「ニヤリ」と笑うと、首を振って答えた。

「いえいえ、さっきも言いましたけど、最初から怪しんでましたよ?」

「そ、そうなのか?」

「はい。あの足運びと、気配遮断、そしてずっと見られていましたし、

 まぁ~決定的となったのは・・・俺達が応接間に居た時に持ってきた手紙です」


サウザーは驚き、懐に仕舞っていた手紙を取り出した。

「あ~それです、それです」

「この手紙に何かあるのかね?」

「その手紙って、一度開けられた形跡があったんですよ」

「そ、それは本当か?」


悠斗は笑うと、サウザーより手紙を渡される。


「このシーリングスタンプで封をされた場所をちょっと見てもらえますか?」

悠斗はサウザーに封を押された蝋を指を差して見せる。

「ん?これがどうしたと言うんだ?」

「ではまず思い出してください。

 この手紙がどうやって応接間まで運ばれたのかを・・・」

「それは・・・いつも通り箱に入って・・・」

「ですよね?箱に入っていた手紙なんですよ?

 それがどうしてこのシーリングスタンプの上の部分が割れて

 再び引っ付けたような跡があるのでしょうか?

 それに・・・この蝋の片側だけ少し変色しているんですよね」


サウザーは悠斗から手紙を返してもらうと、蝋の部分をよく見た。

「・・・た、確かに割れて繋いだような跡があるっ!そ、それに・・・色も少し・・・」

「普通その部分を触って封にナイフを入れませんよね?」

「あ、ああ・・・た、確かにその通りだ」

「彼女は手紙を受け取ると、慌てていてその部分を触ったのでしょう。

 まぁ~その部分は何かがあって、割れた・・・そういうのもあるかもしれない

 けど、再びその部分だけを繋ぎ合わせるでしょうか?

 そして・・・、この変色の後は、間違いなく火で炙っている証拠です」

サウザーは悠斗の洞察力に驚いていた。


「相手に不敬罪などと手紙を送り付けて来る相手に、

 普通こんな封筒を使いますかね?」

「そ、それで君は・・・君は、彼女が?」

「はい、俺にとっては手紙うんぬんよりも、それ以前の行動で決まってましたからね?」

「な、なるほど・・・流石使徒様だ」


悠斗は一通り説明が終わると、サウザーと共に部屋を出た。

そして移動したのは・・・アシュリナ家でメイドをしていたステアの牢だった。

牢番が牢の部屋を開け中に入る。


中では騎士が二人尋問を始めていた。

中に入った悠斗とサウザーはステアの顔を見る。

「ど、どうして君みたいな優秀なメイドが・・・」

サウザーの言葉にステアは顔をしかめる。

悠斗は尋問していた騎士に代わり椅子に座ると・・・


「ステアさん?まず最初に言っておきます」

「・・・・・」

「貴女の家族は無事ですから安心してください」

悠斗の言葉を聞いたステアは驚きの表情をしていた。

「本当ですよ?こちらで保護してますので、後で必ず会わせますから」

ステアは悠斗の言葉を聞くと俯いた。

そして・・・ポツリ、ポツリと話始めた。


「わ、私は・・・幼い頃に奴隷として家族に売られました。

 売られた先は、金で何でもやる闇ギルド。

 その中で私は様々に暗殺術や密偵として・・・

 お金を稼ぐ道具として育てられました」


ステアは涙を流しながら、自分の身の上話を始めた。

彼女はある日その闇ギルドにガサ入れが入り捕まったが、

ある貴族と契約し、密偵として生きる事になったのだと言う。


そしてその貴族によって、この屋敷にメイドとして

アシュリナ家の情報を逐一報告する任務を与えられた・・・。

しかしそんなある日、彼女の家族だった者達が脅しの材料にされ、

仕方がなく従っていた・・・と、ステアは言った。


「奴隷として売られたのに、そんな家族を守りたくなるものなのか?」

騎士の一人がそう聞いた。

「売られたと言っても、まだ当時は貧困だった為、

 どこの家でもそれは当たり前の事でした」

「家には戻らなかったのか?」

「戻ってはいません・・・それに今の私は穢れている人間です。

 戻れるはずもないわ。

 ただ・・・稼いだお金を置いて行ったくらいです。

 遠くから家族の姿が見られただけでも、私にはそれで満足でした」


ステアはそう言うと、静かに涙を流した。

それから暫く尋問が続くと、一度サウザーと悠斗は外に出て違う部屋に移動した。

サウザーと悠斗は部屋に入ると、悠斗が捕らえた騎士風の男が一人で居た。


アシュリナ家の騎士が二人、尋問していたが、

サウザーの顔を見ると・・・

「サウザー様・・・駄目ですね?

 こいつの身元を証明する物は持っておりませんし、

 この男自身も、知らぬ存ぜぬでしてどうにも・・・」


その騎士風の男はサウザーの顔を見るとまくしたてる。

「あんたが此処の領主だってな?

 一体どういう了見で俺達を捕らえたんだっ!

 これは問題になるぞ?わかっているのかっ!

 我々があの場に居たのはただの偶然なんだぞっ!」


サウザーは返答に困るが、悠斗は逆に笑っていた。

「あっはっはっ!あの現場に居たのは偶然?って・・・

 あんた達馬鹿なのか?」

「き、貴様っ!我々を侮辱するのかっ!」

(さてっと、動揺を誘いますかね?)

悠斗は騎士風の男を見つめると「ニヤリ」と笑った。

それを見た男は一瞬言葉を詰まらせ黙ってしまう。


「えっとー・・・まずはコレを見てもらえるかな?」

そう言って、悠斗はネックレスになったメダルを見せる。

その瞬間、明らかにその男は動揺を見せた。

「き、貴様・・・そ、それを何処で?」

「ん?コレは貴方の持ち物なんですか?」

「わ、私のモノではない・・・知らんな」

男は動揺を隠そうと悠斗から視線を外す。

「そうなんですね・・・知らないのなら皆さんに聞いてから俺が頂きます

 サウザーさん、これを頂いてもいいですよね?」

「あ、ああ・・・そ、それはかまわんが?」

「いや~これを売ればいい額になりそうですよ~。

 まずは鑑定して価値を調べないといけないな~」


悠斗はわざとらしく演技をしてその男を観察する。

「あれ?これって・・・?

 サウザーさん?アルバ家ってご存知ですか?」

サウザーは少し考えると「あっ・・・」と言って悠斗に話しだす。


「確かその昔アルバ家という名門の貴族が居たんだが、

 その権力に溺れてしまい、謀反を起こした挙げ句捕らえられ没落した家だったかな?」

「へぇ~、そんな昔にもやっぱりクズっているんですね?」

「あ、ああ・・・噂ではでっち上げだったと言う説もあるのだが・・・」

「でもでっち上げ程度ならば調べればわかる事ですよね?」

「ま、まぁ~そういう事なのだろうな?」


サウザーは悠斗の勢いに負け、悠斗の話に肯定ばかりしていくと・・・

「ふ、ふざけるなっ!!貴様らに何がわかると言うんだっ!」

その男は鬼の形相となり悠斗とサウザーを罵り始めた。


「貴様のような堕落した貴族がいるからっ!

 俺達のようなまっとうな貴族が迷惑をするんだっ!

 俺がいつまでも馬鹿貴族の言いなりになっていると思うなよっ!」

家名を今更ながらに貶されたその男は我慢の限界だったらしい。

悠斗はその男の目を見て薄く笑う。


「えっと・・・まだ続きが・・・。

 なになに~?メリーヌより愛を込めて・・・だって?

 貴方の知り合いですか?」

男はこの期に及んで「知らん」と、とぼけて見せた。


「サウザーさん?この人って存命されている方ですかね?」

悠斗は男をじっくりと観察しながらサウザーに話した。

「どうなのだろうな?まぁ~元、貴族ともなれば名簿は残っているし、

 もし、存命であるのなら・・・事情を聞く事もせねばならんな?」


その男はサウザーの言葉を聞くと、急に大声を上げ暴れだした。

取り押さえられたその男は、目に涙を浮かべながら懇願してきた。

「な、何でも話すっ!だ、だから頼むっ!メリーヌにだけはっ!」

地べたに押さえつけられたその男は、何度もそう訴えかけてきた。


悠斗はその男の前にしゃがみ込む。

「・・・色々と聞かせて頂けますか?」

悠斗の言葉に無言で頷く。

「わかりました。ではこのお二人に話して下さい。

 後ほどお会いしましょう」

そう言って悠斗は立ち上がりサウザーに無言で頷いて見せた。

部屋を出る際、悠斗は振り返り男にこう聞いた。


「あの・・・貴方の飼い主って、ベルフリード公爵ですよね?」

その言葉に驚き固まると、男は声を絞り出すように悠斗にこう言った。

「エ、エリーヌの身の安全は保証してくれ・・・」

男の言葉に悠斗は無言で頷いた。

「・・・その通りだ」

男からその言葉を受け取ると、悠斗とサウザーはその部屋から退出した。


部屋を出るとサウザーが悠斗の肩を掴むと、

威圧を込めて聞いたきた。


「どうして、ベルフリード公爵の名が出たのだっ!」

サウザーは感情を押し殺すように話す。

「これですよ?」

悠斗は騎士風の男達全員の口の中から回収した、

薄く柔らかい金属で出来たカプセルを取り出した。

「こっ、これはっ!?」

「あの男達の口の中から回収した・・・多分毒物でしょうね?

 これをしっかり噛めば、毒薬が流れ出る仕組みになっていました」

サウザーはその毒物入りカプセルを受け取ると、悠斗を睨んだ。


「どうして私に報告しなかった?」

「これは俺が勝手にやった事ですからね?

 それにもし、都合の悪いモノだったとしたら・・・

 俺が無断で処分していたと思います。

 そしてまた、これを出した事によって、この家に迷惑がかかるのなら、

 俺が無断でした事にすれば、貴方に迷惑はかからない」


そう言うと悠斗はサウザーに微笑んで見せた。

(この御方は全て自分が引き受けるつもりで・・・?

 まだ15歳なのだろ?どうしてそんな笑顔が出来るんだ・・・)

サウザーは悠斗の両肩を掴んでいた手を離すと、深々と頭を下げた。

「数々の無礼・・・謝罪致します」

悠斗は軽く息を吐くとこう言った。

「だから、俺が勝手にやった事ですからね?

 頭を下げられる覚えなんて全くないですからね?」

そう言うとサウザーの肩を軽く叩き次の部屋へ行こうとすると・・・・


「サウザー様っ!ルドルフと言う男が全て吐きましたっ!」

二人はルドルフの名に当然心当たりはない。

「その男が言うには、約束通り全て話したから解放してくれ・・・

 そう先程から喚いております」

その騎士の男の言葉に「ハッ!」っとなったサウザーは悠斗の顔を見た。

すると悠斗はそっぽを向き口笛をわざとらしく吹いていたのだった。


「ユ、ユウト君・・・?何かしたのかね?」

「な、何も・・・しない訳はないのだけど・・・あははは・・・」

悠斗はあからさまにとぼけていた。

サウザーは溜息を吐きながら悠斗を置いて部屋へ向かって行った。

(もう・・・部屋に戻ってもいいよね?)


悠斗はあくびをしながら屋敷に戻って行くのだった。

ラウル ・・・ 今回の話は尋問か~・・・何だか怖そうだね?

ミスティ ・・・ ラウル様も一度経験なさってはいかがですか?

ラウル ・・・ えっ?僕が尋問を受ける側の?

ミスティ ・・・ ええ、そうですよ?他に誰が居ると言うのですか?

ラウル ・・・ 僕って何かした覚えがないのだけれど?

ミスティ ・・・ そうですか・・・では、尋問の前に病院にいきましょ?

ラウル ・・・ ミスティ・・・目が怖いのだけれど?

ミスティ ・・・ さあ・・・逝きましょう・・・

ラウル ・・・ ミスティ、まず漢字が怖いのでやめてください。お願いします。

ミスティ ・・・ さぁ・・・さぁ・・・さぁ・・・さぁ・・・・

ラウル ・・・ ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] すみません、感想書くページ間違えてて、順番が違いますけど。。。 一つ謎が解けたと思ったら、新たな謎が! もうこれは「異世界ミステリーファンタジー」というジャンルですかね?(笑) 悠斗が丁…
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