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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第二章 港町・アシュリナ編
85/406

閑話 神界 3 平行線と現れた者

お疲れ様です。


今回閑話なのですが・・・ちょっと短いです><

内容的には暗めな感じになってしまいました、

コメディ要素はゼロです><


ちょっと個人的に体にトラブルが発生しまして、

あたふたとしていますが、更新はしていくつもりなので

今後とも宜しくお願いします。



それでは、閑話・神界・3をお楽しみ下さい。

此処は雲海の間・・・


天照は紅茶を飲みながらラウル達の様子を伺う。

(今のこやつらでは、妾を説得する事など出来ようもないの♪

 英二を此方に送らねば・・・妾の・・・)

天照が物思いにふけっていると・・・


「姉貴よ・・・どうしてその英二とやらにこだわるのだ?」

「何じゃお主?たかが人間に興味があるのかの?」


須佐之男自身にはさほど人間に興味はない、

だがしかし、天照が何故その男にこだわるのかが解せなかった。


「その男個人には俺も興味はねーよ?それよりも・・・だ、

 姉貴がその人間にこだわる理由が気になってな?」

「妾は全て悠斗様の為・・・動いておるだけじゃぞ?

 お主と違って、妾は人間の行く末を思っての事じゃ。

 のう・・・ラウル殿?

 これはお主らノーブルの為でもあるのじゃぞ?」


ラウルは眉間にシワを寄せる。

「天照様、先程言ったように、英二君を人身御供にするつもりはありません」

「それは何度も聞いておるわ。しかしの?妾への貸し・・・

 その事は忘れておらぬか?」

ラウルは更にシワを寄せると・・・

「それと此れとは話が違いますっ!人の命を何だと思っているのですか?」

「うむ・・・人の命・・・とな?」

「はい。命とは尊いものなのです。神である貴女にはおわかりでしょうにっ!」

「ラウル殿?そなたの神の中には、その生命を軽んじておる者が

 大勢いると聞いておるのじゃがの?」

「その者達は、後々処分していくつもりです」


天照はラウルの甘い考えに嫌気がさしていた。

「徐々に・・・とはまた、甘い戯言じゃの?

 その結果、ノーブルの人の命が軽んじてられているのではないのかの?」


神達の話し合いは平行線を辿っていく。

その展開に嫌気が差した須佐之男は・・・

「なぁ~ラウルよ?この話し合いもいい加減飽きた。

 姉貴の言う事が受けられぬ場合、その悠斗とやらを此方に返してもらおう」

須佐之男の言葉にラウル達は怒りを滲ませた。


「ひ、卑怯だぞ・・・須佐之男殿っ!」

「卑怯な訳ねーだろが?貴様たちの失態が招いている・・・ただそれだけではないのか?」

「異形の魔と我々の失態と、どのような関係があると言うのだっ!」

ラウルはテーブルを叩きつけると立ち上がり須佐之男に問いただした。


「ほぅ・・・やる気があるのなら、かかってこいよ?」

「・・・いいさ、僕は命を簡単に扱う者を許す事はできない」

二人が睨み合い、雲海の間に雷が轟く。


「・・・ラウル様っ!お止め下さいっ!二人が争っていては、話が進みませんっ!」

ミスティの言葉も当然ラウルはわかっている。

だが、神として引けないものは引けないのだった。


そんな時、何者かの声が雷鳴に混ざり聞こえてきた。

ミスティは立ち上がり周りを警戒する。


「誰ですっ!出てきなさいっ!」

雷鳴轟く中、姿を現したのは・・・淡い色彩の着物を着た黒髪の女性だった。


「お、お主・・・な、何故ここに?」

天照は驚きのあまり立ち上がり・・・

「何故お主が此処におるのじゃ?月読よ」

「・・・姉上の為に来たのではありません」

「ほほう~・・・では此処に何用じゃ?」


月読はラウル達に近寄ると・・・

「私は日本の神、こちらに居る天照の妹に御座います。

 この姿では初めまして・・・ですね?」

ラウルは月読に手を差し出すと・・・

「いつもお世話になっています。月読様」

そう言って二人は握手を交わすと、同様にミスティやアリエルとも握手を交わす。

月読は振り返り天照を見る。


「姉上、いささか悪さが過ぎるようですが?」

「そうかの?こちらにばかり頼ってくる者達よりはましかと思うておるのじゃが?」

ラウルを見ながらそう吐く言葉に、ラウルは拳を握った。


「姉上、正直申しますが、私は英二様のノーブル行きは賛成で御座います」

月読の発言に驚くラウルだったが、まだ話は続いた。

「しかしながら、ラウル様のおっしゃいますように、

 英二様には実力が足りません。

 それを補った後・・・こうして話し合うのが誠ではありませんか?」


月読の真っ直ぐな意見に顔をしかめる天照。

「だがの月読よ?妾達はこやつらに貸しがいくつもあるのじゃぞ?

 少しは返してもらわぬと、道理が通らぬであろう?」

月読は振り返りラウルに話す。


「ラウル様?姉上の言う事にも一理あります。

 私は英二様がその能力に達すれば・・・と、思っておりますが?」

ラウルは頷いて見せると・・・

「はい、ですから僕は最初からそう言ってはいるのですが・・・?」

「ふふ♪本当にそうなのでしょうか?

 ラウル様はこれ以上異世界の人間が死ぬのをただ見たくないだけ・・・

 そうではありませんか?」

ラウルは図星を突かれ言葉を失う。


「なんじゃ?こやつ・・・そんな事を考えておったのか?」

その甘い考えに須佐之男も口を挟んでくる。

「ラウル・・・それで神が務まるのか?

 貴様の言う命を見守る事が出来るのか?戯言ばかり言いよってっ!」

須佐之男が容赦ない言葉をラウルに投げつける。

しかしその言葉に反応したのは・・・意外にも天照だった。


「須佐之男よ・・・うぬは黙っておれっ!

 命を一番軽んじておるのは・・・うぬのほうじゃっ!」

「何だとっ!」

「須佐之男よ・・・貴方にラウル様の事は申せません。

 人間に興味を失くし、何もしなくなった貴方には・・・ね?」

月読の言葉に何も言えなくなった須佐之男は退出して行った。


残された神達が席に座り直すと・・・

「ラウル様?私からも一人ここに送りたい者がおります」

「月読様までなんて事をおっしゃるのですかっ?!」

「ほほ~月読よ?うぬもしたたかじゃの?」

ラウルはもはや何も言えなくなっていた。

(月読様には本当にお世話になっている。

 だがしかし・・・僕はもう日本の人間達に迷惑は・・・)


そんな様子を見ていた天照が口を開く。

「ラウル殿よ、恐れていては・・・何もせぬのと同じじゃ。

 ただこの度の事は、そうも言ってはおられぬであろう?

 命を大切にするのはわかる。

 じゃがの?何も犠牲なくして何事も成す事はできぬのじゃ

 お主とて神・・・それくらいの事はわかっておろう?」


ラウルは苦悶の表情を浮かべる。

「・・・わ、分かっております。ですが・・・私には、そんな非情に・・・。

 英二君にしてもそうです。仲間が居るのですっ!

 無下に、こちらの理由だけで、大切な仲間達と別れさせるのは・・・」


ラウルは自分の不甲斐なさに体を震わせていた。

ミスティとアリエルもまた・・・己の未熟さを痛感していた。

そして・・・

「わ、分かりました・・・英二君ともう一人の方の転移は認めます。

 しかしっ!能力次第で、こちらで判断させて頂きます」

苦渋の洗濯をする事になったラウルの表情は硬い。

ミスティとアリエルもまた同様に苦渋に満ちていた。


「それでの?ラウル殿?もう一つあるのじゃが?」

ラウルはこの際聞いておこうと思い、話を聞くことにした。

「・・・はい、何でしょうか?」

「うむ、それは武器・・・つまりは刀の事じゃ?」

「刀ですか?」

「ノーブルの武器では、悠斗様の力に絶えられぬ・・・

 そもそも武器の性質が違うのじゃ・・・どうかの?」

天照は横に座る月読を見ると、どうやら同じ事を考えていたようだった。

「私も姉上と同じで御座います。刀の転移も宜しくお願いします」


ラウルは軽く息を吐き、呼吸を整えると・・・

「武器に関しては、僕もそうは思います。

 しかし、武器とは、日頃から研鑽し得る物と考えます」

「なるほどの・・・確かにお主の言う事も道理じゃて・・・

 ならば・・・じゃ。英二殿が来る際、持たせる・・・と、言うのはどうじゃ?」

ラウルはミスティ達と相談すると「わかりました」と、了承した。


「それでは、能力が達した時、もう一度我々で話し合って決める・・・

 そういう事で宜しいでしょうか?」

ラウルの言葉に全員が頷くと、その内容で決定された。



ノーブルから戻り竹林の中で二人の神が話合っていた。


「月読よ・・・助けられてしもうたの?」

「姉上・・・隠し事がまだありますよね?」

「そうかの?」

「はい、それに・・・ラウル様を試してもおられました。

 いえ、ノーブルの神々と言った方がいいかもしれませんね?」

天照は月読の問いに笑って誤魔化すが、まだ真の目的を話さずにいた。

それは神々をも巻き込んだ天照の策略はまだ・・・

そう・・・まだ、種を植え付けたばかりだっからでもあった。


(時間はまだある・・・まだあるのじゃが・・・この不安は何処から来るのじゃ?

 数年・・・これは長いのか短いのか・・・妾にもわかるぬの

 ・・・のぅ・・・穂高よ・・・妾のやっている事は正しいのかの?)


雲海に広がる雲を眺めるも、天照の瞳は哀しみに濡れていた。



天照 ・・・ うむ、皆の者、妾じゃ♪

月読 ・・・ 皆様初めまして、月読と申します。

天照 ・・・ 今回はラウル殿が居らぬようじゃが?

月読 ・・・ 姉上が嫌われているからではないでしょうか?

天照 ・・・ なんとっ!妾が嫌われるような事でもしたのかの?

月読 ・・・ 自覚がないようですね?

天照 ・・・ 妾のようなか弱き乙女にそのような要素など・・・。

月読 ・・・ 恐らくそういう所なのでしょうね?

天照 ・・・ ふむ・・・この世は未知に溢れておるの?

月読 ・・・ ・・・・・



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] ふえー。。。 なんかどんどん謎が深まる感じですね。 ギルドに登録すらしてないのに!(笑) お体に気をつけて執筆なさってくださいね。
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