67話 襲撃と出会い
お疲れ様です。
今回は本編67話ですね~。
悠斗がどう立ち回るのかを見ていただけたらと思います。
これからもこんな感じで話が進んで行くと思いますが、
応援のほど、宜しくお願いします。
それと、ブックマークなどの登録も有難う御座います。
これからも頑張って行きたいと思います^^
それでは、67話をお楽しみ下さい。
悠斗達は作戦決行までの間に親睦を深め
時間が迫るのを待つ。
悠斗とグレインはロイサム達、アシュリナの民達と話していた。
「ロイサムさん・・・貴方達は暫く此処で待機していてもらえませんか?」
「待機ですか?」
ロイサム含め民達全員が曇った表情をする。
「おいおい、みんな一体どうしたってんだよ?」
「いえ・・・もう数日帰っていないので、妻や店の事が心配で・・・」
ロイサム達も家族もいれば仕事もある。
数日空けた事を心配するのは当然だった。
「まぁ~そりゃそうだよね・・・心配だよね?」
「はい、ですからユウト様・・・何とかなりませんか?」
ロイサムの願いは悠斗もわかっていたので優しく微笑むと・・・
「ロイサムさんの願いはもっともな事です。
一応今回の作戦の中にもロイサムさん達の事も含まれていますからね♪」
その話を突然聞かされたグレインは驚く。
「おいおい、聞いてねーぞ?」
「うん・・・まだ言ってないからね?」
グレインは頭をさすりながら溜息を吐くと・・・
「どうして黙っていたんだよ・・・」
「一応念の為に言わなかっただけなんだけど?」
「念の為って何だよ?」
「この中に敵が居る可能性・・・かな?」
悠斗の言葉にグレインは周りを警戒しだすが・・・
「ははは、この中に居ない事はわかったからもう大丈夫だよ」
「お、おう・・・そうか。お前が言うなら大丈夫なんだろうけどよ?」
「じゃ~本格的な作戦会議しますか?」
「わかった。皆を呼んでくるぜ」
グレインが立ち上がろうとした時、それを悠斗が止めた。
「な、何だ?どしたんだ?」
悠斗はただ「ニヤッ」と、笑い、グレインを手で制すると・・・
グレインも笑い返し黙って頷いた。
(これはこいつの癖なんだろうな?もう俺も慣れちまったが、
つくづく面白いヤツだぜ・・・)
悠斗は白斗と念話で会話をしていた。
(なぁー白斗?)
(お~主・・・なんでんの?)
(イリアとセルカを呼んでくれる?
勿論白斗も当然その中に入っているからな?)
(わ、わかっとりますがな♪了解ですわ~ほな♪)
白斗はイリアとセルカに伝言を伝えると悠斗と合流する。
「ユウト、一体どうしたのよ?」
「そうにゃ?何か問題にゃ事でも起こったのかにゃ?」
「ちょっと待ってね~、今話すからさ・・・。
グレイン、俺達は馬車には乗らない」
悠斗の言葉に唖然とするグレインは・・・
「お、お前何言ってんだよ?お前達が乗らねーと、
此処に来た意味がねーだろうが?」
「ははは、意味はあるよ?ロジーの護衛って言う意味がね?」
「た、確かに、それはそうなんだが・・・
じ、じゃ~お前達はどーすんだよ?此処に残るってのか?」
少し興奮気味に話すグレインを一度落ち着かせる。
「いいか?俺と白斗、それにイリアとセルカは先行して
襲撃ポイントとされる場所まで行く。
グレイン達の馬車が襲われる瞬間に俺達が飛び出し奇襲をかける」
「ん?ちょっと待てよ?襲撃ポイントに着いたら奇襲をかけないのか?」
グレインのもっとな意見に悠斗は笑うと・・・
「ははは、奇襲ってのはさ基本的に敵側の援軍は想定していないんだ、
だからアオフーの増援が来たら詰んでしまうんだよ」
「わ、わかった。じゃ~俺達が通りがかって敵さんが襲撃してきたら
お前達が逆に襲うんだな?」
「正確的には違うぞ?アオフー達が出て来て確認してからだよ?
アオフーは人数も時間も限られているはずだからな
もし、アオフーに増援がいるのなら、俺が排除するからさ」
此処でグレインは悠斗の言った事を頭の中で整理しはじめた。
「ん?でもよ~人数が多かったらどうすんだよ?
そうなったら根本的に無理が出てくるだろ?」
「人数が多かろうと少なかろうと、別にそこは問題ないんだ。
要するに、アオフーが出てきたら、グレイン一人残して、
馬車には先に行ってもらうつもりだからね?」
「おっおいっ!俺を置いて行かせるって・・・どんな放置プレイだよ」
「あははは、ちゃんとイリア達も居るから大丈夫だよ♪」
グレインの「ニヤ」けた冗談に皆が笑う。
「大切なのは、俺達が囮になり馬車を先に行かせる事。
ライト達は当然一緒に馬車で行ってもらう。
そしてロジー達は屋敷に着くと、アシュリナの人達が乗れるだけの
馬車を用意してもらい、そのまま出て迎えに来てもらう」
「なるほど・・・」
グレインは頭をさすりながら作戦内容を理解した。
「ロイサム・・・それでいいか?」
「は、はい、あ、有難う御座います」
お礼を言うロイサムの目に涙が見てとれた。
そして悠斗達は集まると・・・
「みんな、とりあえず顔は鼻から下は隠しておけよ?」
「ユウト・・・それはどうしてなの?」
「にゃはっ♪そういう事だったのかにゃ~♪」
セルカは暗殺者でもあり冒険者。
悠斗の言った事が理解出来たので、イリアに耳打ちをした。
「・・・そ、そんな事まで考えていたなんて・・・
驚きを通り越して呆れるわね?」
「・・・ひどくね?」
苦笑する悠斗と共に歩き出す・・・
そして馬車が来る時間が迫まり、悠斗達は先に出発する。
悠斗達は二班に別れた。
悠斗は一人で動きイリアとセルカそして白斗。
悠斗達は隠蔽を使いつつ近辺に居た敵を殺さずに倒していく。
これはアシュリナの民である可能性が高いからである。
そしてイリア達は・・・
「しかし今回は、アリエル様に頂いた、
麻痺や睡眠のポーションが役立っているのにゃ♪」
「そうね~ほんとに助かるわね♪ユウトは大丈夫かしら?」
「にゃははは♪元々ユウト様にはあの犬は必要ないのにゃ♪」
「おい、本人がおる前で言うセリフちゃうやろ?
あとで見とけよ~?この猫娘めっ!」
「後で間違って踏んづけても知らないのにゃ♪」
こんな調子でイリア達は突き進んでいく。
一方悠斗の方は・・・
(やっぱりアオフーは人材不足だったな~・・・
でもこの感じだと・・・あのクズ共は増援だろうな?
ヤツも居ると嬉しいんだけどね♪)
悠斗が何故班を分けたのか?
それは挟み撃ちになる事を嫌っていたからである。
そして白斗を一緒に行かせたのは、悠斗と白斗は念話が使えるからだった。
(あー・・・でもスマフォ的なモノは欲しいよな~何か考えてみるか・・・)
悠斗達が目的地にまで残りわずかになった時、
グレイン達荒波の旅団とロジー、そしてメイドのリディが馬車に乗り込み出発した。
ライトは御者台に乗り込み御者の監視をしていた。
(こいつも敵の可能性があるからな・・・)
そして悠斗達の方は、目的地に着き身を潜める。
セルカは高い木に白斗と昇り様子を伺い、イリアもまた身を潜め時を待つ。
暫くすると馬車の音が夜道に響き渡る。
(白斗来たぞ・・・)
(こっちはいつでもOKですわ♪)
そして悠斗達はそれぞれ気配察知を使用し周囲を再び探る。
(居るにゃ~・・・思っていたより少ないのにゃ?)
セルカは襲撃人数の少なさに違和感を感じていたが、
その違和感は白斗によって解消される。
(セルカはん、主から連絡があったんですけど・・・
やっぱり増援は隠れとるようですわ)
(わかったのにゃ♪)
(ほんでな?その増援の方は主が受け持つさかい、
こっちはグレインはんとワシらに任せるって言うとるよ?)
(こっちは任されたのにゃ♪)
(ほならワシはイリアはんのとこへ行ってきますわ)
そうセルカに告げると木を駆け下り、イリアの肩に着地すると悠斗の伝言を伝えた。
一方グレイン達は、襲撃予想ポイントに到達すると・・・
急に御者が馬車を急停止させた。
「「きゃぁぁぁっ!」」
中で座っていたロジーとリディが悲鳴を上げた。
そして御者台に設置されていたランプを御者が落とした時、
「こいつっ!」
ライトが叫びつつ、御者を殴り排除すると手綱を握った。
「グレイン敵だっ!出てくれっ!」
ランプが地面に落ち燃え広がると黒装束の連中が飛び出してきた。
グレインは扉を開けると外へ飛び出し地面に転がりつつ
「おらぁぁぁっ!」
黒装束を大剣の腹で殴りつける。
「行くのにゃっ!!」
そしてまた、イリア達もセルカの声と共に飛び出し敵を倒していく。
手綱を握り再び馬車を走り出させると・・・
「ちっ!この馬車重いぜっ!後は任せたぞっ! 」と、叫んでいた。
馬車が一度急停止する少し前、悠斗は・・・
(・・・下級騎士が8名ってところか、それと・・・)
闇に潜む増援の背後から気配を消して近づく。
(増援が散らばってどうするんだか・・・ふう)
と、心の中で呆れていた。
闇夜でも金属の鎧を着ていれば一目瞭然である。
そして悠斗は行動に移す。
一人ずつ・・・闇夜に紛れ、また一人、気配を消し・・・また一人・・・
音もなく・・・また一人・・・絶命させていく。
隊長格らしい男が手を上げる頃には・・・
7名が絶命していた。
隊長格の男は仲間の気配のなさに気づき振り返ると仲間が居らず
ただ正面に黒い影だが居た。
「おいっ!貴様っ!何があったんだっ!」
薄気味悪い影に思わず叫んでしまう隊長格。
すると、その影がゆっくりと気配もなく立ち上がる・・・
そしてその頃、ランプの炎が燃え広がると夜の街道が明るくなる。
(予定通り・・・だな)
その光でその影が照らされていくと・・・
「お、お前は誰だっ!!!」
その影は仲間ではなく、顔半分を布で隠された悠斗だった。
隊長格の男が剣の柄に触れた瞬間・・・声を挙げる事もなく絶命した。
闇夜に照らされた悠斗は立ち止まると・・・
「・・・おい、居るのはわかってるよ」
背後を振り向かず、悠斗の眼球だけが動いていた。
火に照らされた闇夜の空間が揺らぐと・・・
「・・・何者なのかしら?」
「俺か?俺は・・・通りすがりの配管工だけど?」
「は、配管工?ふ、ふざけているのかしら?」
「えっと・・・すみません。ふざけてました」
「・・・・」
「で・・・?貴女は誰ですか?」
「答えると思っているのかしら?」
「・・・ですよね♪」
悠斗の物言いに苛立ちが隠せなくなった女は・・・
初動作もなく、ナイフを投げてきた。
「おっと・・・危ないな・・・」
「ちっ」
悠斗は絶命した隊長を蹴り上げるとその死体にナイフが突き刺さっていた。
「・・・やるじゃない?私と一緒に来ない?」
女の顔は悠斗と同じく鼻から下を隠して居たので表情まではわからないが、
だが、その瞳は鋭く光っていた。
「・・・行く訳ないじゃん♪」
「・・・でしょうね?ならば・・・此処で死になさい」
その言葉と同時に女は剣を抜き悠斗と間合いを詰める。
悠斗は腰からロッドを引き抜くと伸ばし攻撃を防ぐ。
女が何度か攻めるが悠斗は全て防ぎきる。
「なぁ~あんた・・・もう止めにしないか?」
「この状況で何を言っているのかしら?」
「んー。俺の敵な事には間違いないんだけどさ・・・
矛盾してるけど、敵な気がしないんだけど?」
女は一瞬目を細めた。
「何か訳ありっぽいしさ・・・違うか?」
「あ、あんた・・・馬鹿なの?」
「殺気はあるが殺意が・・・感じられないからさ?」
女は悠斗の言葉に唖然とした。
「でもさ・・・あの魔方陣はいただけないよ?」
「へぇ~♪気付いていたのね?」
「そりゃ~気付くさ・・・」
「どういう事?」
「・・・一度会ってるしさ。直接じゃないけどね♪
あんたのその魔力と気配・・・俺は知っているんだよね」
(私が知ってる人物なの?でもこんなヤツ知らないわ)
「・・・・・」
悠斗のあっけらかんとした物言いに、女は気が削がれた。
「・・・ふぅ。馬鹿馬鹿しくなったわ」
「あははは・・・で・・・?」
「で?とは何よ?」
「何か訳有りなんだろ?」
「どうしてあんたに話さなくちゃいけないのよ?」
悠斗はマスク代わりにしていた布を外す・・・
女は驚き言葉を失っていた。
「・・・・・」
「馬車の一件以来だよな?」
(こ、この男って・・・あの時の坊や?じゃあ・・・こ、コイツが?)
「忘れたのか?イリア・・・いや、ロジーの事監視してたよね?」
「そう・・・バレてたのね?」
「気配だけ・・・だけどね?」
「どうしてマスクを外したのかしら?」
「んー・・・さっきも言ったが・・・敵じゃない気もするし、
隠す必要性が感じられなかった・・・から?」
「はぁ・・・」
悠斗の無謀な言動に女は毒気が完全に抜かれた。
そして・・・
女はフードを取り、頭に巻いていたターバンとマスクを外す。
悠斗の目の前に現れたのは、透き通るような白い肌、美しいロングのブロンドヘアー
そして長い耳・・・彼女はエルフだった。
「エルフか・・・」
「ええ」
その言葉が聞こえた瞬間、エルフの女の背後から現れエルフの女に襲いかかる。
エルフの女は一瞬突風が吹き目を閉じた瞬間に事が終わっていた事に
気が付かなかった。
「グァァ・・・ゲッゲ・・・ゲ・ゲ」
エルフの女の背後で翼の生えた怪物が絶命していた。
慌てて振り向いたエルフの女の背後に悠斗が剣を握り締め立っていた。
「あ、あんた・・・助けてくれたの?」
「あー・・・っと、助けてしまった・・・ね?」
「どうして疑問形なのよ?」
「・・・さあ?」
悠斗の態度にエルフの女は吹き出し笑っていた。
「ぷっ・・・あっはっはっはっ・・・変な男ね?」
「よく言われるから慣れてます」
二人共自然と笑みが溢れると・・・
「俺の名は、ユウトだ・・・宜しく」
「私の名は・・・セルンよ。宜しく」
悠斗は転がっている怪物に視線を移すと・・・
「狙われているのか?」
「ソレは私の監視者ね?マスクを取ったから・・・かしらね?」
死が迫っていたにも関わらず女は平然と話した。
「でも、ソレは報告せず来たのだろうから、心配はいらないわ」
「こいつは何者なんだ?」
「そいつは・・・ただの魔族よ」
「・・・魔族か」
悠斗は軽く息を吐くと視線をセルンに戻した。
「なぁ?セルン・・・また会えるか?」
「・・・そうね。考えておくわ、ユウト」
セルンはそう言うと、魔石を取り出し・・・
「今、みんなを解放するわ」
「いいのかよ?後で問題にならないのか?」
「平気よ。それに・・・私が解放してあげないと、後々困るでしょ?」
セルンは悲し気な顔をして答えた。
「いや?俺・・・その魔方陣、解呪できるんだけど?」
セルンは口を開けたまま固まってしまうと・・・
「はあぁぁぁぁぁぁぁ???」
「いやいや、まじで解呪できるよ?」
「ほ、ほんとに?出来るの?」
悠斗の笑顔に全てを悟ったセルンは大きく溜息を吐くと、
魔石に魔力を流し込み破壊した。
「これで・・・みんな解放されたわ」
「ありがとな」
「ふふ、いいのよ・・・こちらこそ、ありがと」
二人が話していた時、後方から悠斗を呼ぶ声が聞こえた。
「ねぇ、ユウト?また会いに行くわ」
「わかった。待ってるよ。それとさ・・・助けがいる時は声かけてくれ」
「・・・そうね。そう・・・するわ」
セルンが闇に消える間際・・・
「私達の組織の名前は・・・グローリーよ。気をつけなさい?
それと一応、貴方の解呪の話は報告するわね?情報も送るわ♪じゃ~ね♪」
そう言うとセルンは闇の中に消えて行った。
闇夜に一人佇む悠斗はセルンの甘い残り香だけが漂っていた。
(・・・香りが残るのって・・・まずくね?)
悠斗は何処まで行っても、悠斗だった。
ラウル ・・・ いよいよ行動の時だね?
ミスティ ・・・ そうですわね♪楽しみですわ♪
ラウル ・・・ いざって時は僕も参戦しなくちゃね?
ミスティ ・・・ 介入なさるのでした、そもそも悠斗様をお呼びする必要が・・・?
ラウル ・・・ それは言わない約束でしょう?
ミスティ ・・・ そのような約束などしておりませんが?
ラウル ・・・ 君・・・ひょっとして機嫌悪い?
ミスティ ・・・ いえ、ただ・・・悠斗様成分が足りないだけですわ♪
ラウル ・・・ ・・・君はやっぱり乙女だね?
ってなことで、緋色火花でした。




