66話 作戦会議とシンパ
お疲れ様です。
今回は本編66話ですね。
ロジーが暴走してますね~W
これから先どうなるか・・・心配です。
67話はいつも通りアップしますので、
宜しくお願いします。
それでは、66話をお楽しみ下さい。
ロジーの演説が終わり、アシュリナの民達が落ち着いた頃・・・
漸く(ようやく)悠斗はコーヒーカップを手に孤児院跡から出てきた。
すると突然アシュリナの民達が悠斗に駆け寄る。
「うわぁぁっ!な、何事っ!?」
悠斗は顔を引きつらせながら周りの様子を見ると・・・
ロジーを先頭に、荒波の旅団の団員達も歩いてくる。
悠斗はイリア達に視線を送ると、皆が目を閉じ首を振っていた。
そして悠斗は改めて跪いてる者達を見る。
「あ、あの~?これって・・・何?」
緊張した面持ちで傍に来たロジーに問いかけると、
ロジー達は跪き、悠斗に対して礼を取る。
「ユウト様・・・我々はこれからも貴方に付いて行こうと思っております」
ロジーの大袈裟な態度に首を傾げながらも・・・
「うん、まぁ~いいけど?どうせ一緒じゃないと困るしね?
個別で狙われたらたまったモノじゃないしね?」
ロジーは何度か瞬きをすると再び頭を垂れた。
「い、いえっ!そういう事ではないのですっ!
我々民達は、ユウト様に導いて頂きたいのですっ!」
普通の相手なら充分それで通用するのだが、
だがロジーの相手は悪かった。
何故なら・・・ロジーの相手が悠斗だったからである。
「えっと~・・・導くも何も・・・
あ~・・・これってでも、導く事になるのかな?」
「い、いえ、だからそういう事ではっ!」
ロジーが悪戦苦闘していると、後ろから声が掛かる。
「やめときなはれ?主は天然なんでっせ?
そんなもん、通用する訳ないやろ~」
白斗の言葉でロジーもそれを思い出した。
(そうでした。確か・・・天然と言う最強種族の方でしたわっ!
ならば私が陣頭指揮を取り、信者達を増やさねばっ!
ラウル様・・・私にも出来る事がありましたっ!)
その時何処からか、ロジーの頭の中に声が聞こえた。
(ロジーよ。それは間違っているよ?そう言う事じゃないんだよ?)
(こ、この声はっ!創造神ラウル様っ!わかりました。
このロジー・・・創造神様の天命により、ユウト様にこの生涯を捧げますっ!)
(い、いや、あのね?ロジー・・・話聞いてる?
って言うかさ、僕の声聞こえているのかな?おーいっ!ロジーさんや~?)
目的をある意味、明確に捕らえたロジーは、
己の信念の元に、今後悠斗に尽くすと誓うのであった。
「あ~・・・ほら、ロジーはんの顔見てみー?
もうなんかあかん気がするのって、ワシだけかいな?」
イリア達も・・・「もう諦めましょ?」と、その言葉がやっとだった。
悠斗はそんな中、「ちょっと失礼しまーす」そう言って、
跪く者達を放置し、椅子に座ると・・・
「さてっと・・・話ますか?」
「ニヤリ」と笑うと、コーヒーを入れ直すのだった。
全員が集まり椅子に座ると・・・
「えっとー。だいたいわかりました」
「何がでんの?」
白斗が困った顔をすると悠斗は微笑み・・・
「まず、あの額に浮き出た魔方陣の事についてなんだけど、
恐らく・・・って言うか、間違いないんだけどね?
ロックバルの誰かが絡んでるって事だね」
その言葉にイリアとセルカ、ロジーにグレインが同意を示す。
悠斗は頷くと話を勧めた。
「そして今回の一件・・・どうして騒ぎにならないのか?
それはきっと・・・これも間違いないんだろうけどさ~・・・
アシュリナの下級騎士達が絡んでいる。
だから、何事もなかったかのように・・・騒ぎにならなかった」
悠斗の言葉を聞くと、グレインが手を上げて話し出す。
「じゃ~なんで、俺達みたいな冒険者を拉致らなかったんだ?」
「ああ~、それは簡単、手こずりたくないからだよ?」
悠斗の答えにミレイは手を上げた。
「ユウト・・・さん?手こずるって・・・アレだけの事をした連中よ?
手こずるとは思えないわ」
「あ~・・・その前に、ミレイさん?ユウトでいいからね?」
「は、はい。わ、分かりました。有難う御座います」
悠斗はミレイに笑って見せると話を続けた。
「その・・・なんだっけ?青紫のフードの連中だっけ?
長いな~、面倒なので・・・「アオフー」にしよう」
その言葉にアシュリナの者達も含め全員が・・・「コケ」た。
(あ、主ーっ!どんだけネーミングセンス悪いんでっかっ?!)
(う、うっさいよ~?自覚してるからいいのっ!)
それでも悠斗は構わず話を続けた。
(あ、主・・・ハート強すぎでっせ?)
(うっさいっ!)
「で・・・そのアオフー達は時間を気にしていたんだと思う」
今度はイリアが手をあげた。
「それってつまり、ロジーの身柄と命令書と誓約書の事があるからって事ね?」
「ああ、イリア正解っ!2ポイント差し上げます」
「・・・・・・・・あ、ありがと?」
すると突然悠斗が真面目な顔つきになった。
「これだけの事を僅か数日でやったんだ・・・
これで終わるはずないよね?だから必ず・・・・襲撃がある」
悠斗の言葉にイリア達以外がざわめき出す。
イリア達は悠斗の話で理解できたので「でしょうね?」と・・・。
悠斗はロジーを見ると・・・
「ロジー?此処から君の屋敷まで時間的にどれくらいかかるんだ?」
「そう~・・・ですね?ここの位置は把握できていますから・・・
2~3時間といったところかしら?」
「にゃるほど・・・♪」っと悠斗が「ニヤリ」とすると・・・
「あー・・・もうわかっちゃったんですけど?」
ドヤ顔で悠斗は笑うと説明を続けた。
「襲撃場所は・・・此処と屋敷までの距離の半分くらいの所で襲撃があるはず、
それが分かっていれば・・・なんか・・・余裕?」
グレインは再び手を上げ口を開く。
「どうして半分の距離って分かるんだ?まさか、勘とか言わないよな?」
「勘じゃないよ?まぁ~経験則もあったりはするけどさ・・
んーと・・・俺達が此処から馬車で移動する。
すると前半部分ってのは、俺達皆が警戒して進む事になるだろ?
だけど人間ってのは、そう緊張が長続きしない生き物なんだ?
だから必ず気が緩んで隙が生まれるって訳さ」
悠斗のもっともらしい解答に今度はメンデルが手を上げる。
「ユウト君、しかしそれなら、ア、ア、アオフー・・・
(何故か恥ずかしいのだが?)
そ、その連中が後半過ぎてから襲撃してくる事も考えられるのでは?」
「うんうん、確かにっ!それはそうなんだけどさ・・・
でも考えても見てみなよ?アオフーは時間がなかったんだ。
もし、冒険者たちだったら・・・メンデルさんが言ったように、
後半過ぎ・・・これが確実だろうけど?
いくら魔法で強化されているからって、戦闘力がそう高い訳でもない。
だから後半に入ってすぐ・・・だと思うんだ」
メンデルは顎に手を当て考えると・・・
「た、確かに・・・そうれはそうかもしれないですね?でも・・・」
話を続けようとした時、悠斗は笑うと話し出した。
「あと、後半過ぎに仕掛けて来たとしよう?
いくら人数がいようと、A級の荒波の旅団がいるんだよ?
ちょっと強化されたくらいの一般人でどうするのさ?
だろ?それに・・・屋敷との距離が近くなればなるほど・・・
アオフーは屋敷からの援軍を気にしなければならなくなる・・・
時間がない連中に、その手はまずありえない・・・これでいい?」
笑顔と共に話を終えた悠斗にメンデルは両手を上げ降参するしかなかった。
(いや~参りましたね?本当にすごい御方だ・・・ここまで思慮深いとはね)
メンデルは何気にグレインを見ると、「ニヤリ」と笑っていた。
そしてメンデルもまた、笑って返すのだった。
話が終わり時間までどうするか考えていた時・・・
リディが悠斗に話しかけてきた。
「ユウト様・・・少し宜しいでしょうか?」
「あっ、はい、どうぞ?」
「私もお嬢様と一緒に行かせてほしいのです」
悠斗は少し考えると・・・
「そうですね。屋敷の方なら一緒の方が何かと都合がいいかもしれませんね?」
「あ、有難う御座いますっ!」
リディがそう言うと、跪き頭を垂れてきた。
「あー、いや、そういうのは・・・まじ勘弁してください。
むしろ・・・や、やめて下さい。お願いします。もう何かと面倒臭いので・・・」
悠斗もまたリディに深く頭を下げ、お願いしていたのだった。
それを見ていた全員が大声で笑っていた。
そして今度はミレイが近付いてきた。
悠斗の前に立つと、またもや跪いてきた。
「ミ、ミレイさん・・・まじで・・・ほんとにそういうのは勘弁してください」
「ユウト様・・・本当に申し訳御座いませんでした」
悠斗は呆れ疲れていた。
「気持ちは受け取ったからさ?それに「様」はいらないからね?
皆ももう「様」付けはしないようにっ!」
悠斗の言葉にイリア達が・・・「はーいっ!」とにこやかに返事をした。
ミレイは悠斗の手を借り、立ち上がると・・・
「あっ、そうだミレイさん?」
「は、はい、何でしょうか?」
「錬金に関して教えてほしい事があるんだけど?」
「錬金って・・・ま、まさか・・・ユウトさ・・・
ユウトは・・・錬金も使えるの?」
ミレイはグレイン達に振り返ると、口を「パクパク」させていた。
その様子を見て、グレイン達が近寄ってくると・・・
「な、何だ?どうした?何かあったのか?」
グレインはミレイの肩を掴み揺すっていた。
「・・・ユ、ユウトって・・・れ、錬金も使えるって・・・」
「「「は、はぁぁぁぁぁ?」」」
そして再び驚きの声が木霊した。
「お、お前っ!錬金も使えるのかよっ!」
グレインは物凄い剣幕で悠斗の肩を掴み揺すりだした。
「ま、ま、まままままま、待ててててててっ!待てってばっ!
痛っ!し、舌・・・か、噛んじゃった・・・」
「す、すまねぇ・・・」
「落ち着けよっ!錬金が一体どうしたんだよ?痛っつつつつつ・・・」
荒波の旅団全員が顔を見合わせると・・・
「お前な~・・・何にも知らないんだな?」
グレインは呆れた顔で悠斗を見る。
「前にも言ったろ?俺には知らない事が多いってさ」
「まぁ~聞いたよーな~聞いてないよーな?
まぁ~どっちでもいいけどよー。錬金術師ってのはレアな職業なんだよ?
「レアってだけなんだろ?それに俺は錬金が多少出来るってだけで、
ほとんど分からないんだからな?」
再び呆れた顔をしたグレインは何かを言おうとしたが、
ライトがグレインの肩を叩き交代した。
「ユウト・・・錬金が出来るってだけですごい事なんだよ?
専門職じゃないってだけで貴重な存在なんだ」
(まぁ~貴方の方が貴重なんだけどね?)
「貴重ね~・・・」
「ああ、ある鉱石は錬金と魔力を使用しないと作り出せないんだ」
「なるほど・・・」
「だからさ、魔法師達ではどうしようもないんだよ?」
「って事は・・・、知りたかったら、錬金術師に聞け・・・と?」
「まぁ~・・・そうなるな?」
「わかった。みんな有難う♪」
グレインはまたしても「ニヤニヤ」していた。
悠斗はグレインの顔つきに文句を言っていた。
「な、何だよ?何か言いたい事でもあるのか?」
「いや~なに。お前はすげーヤツだなって話だよ?流石使徒様だなっ!」
悠斗はさっき雑談していた時に、グレインがやらかした事を聞いていたので・・・
「グレイン・・・俺の事、バラしたのはお前なんだってなぁ~?」
悠斗は今度は逆に「ニヤニヤ」していた。
「なっ!!そっ、それはっ!・・・だ、誰だっ!ユウトに教えたのはっ!」
グレインは振り返ると、「はーいっ!」と、ほぼ全員が手を上げた。
その全員の顔は・・・「ニヤニヤ」していた。
「うぐっ」
そう言ってうなだれるグレインだった。
そして此処は孤児院跡の中・・・
そうしたやり取りの一部始終を、妖しく光る目が悠斗を捕らえていた。
それは狂信者にして、その生涯を尽くすと決めた・・・そう、ロジーだった。
(ふっふっふっふっ・・・このユウト様の人気ぶりっ!
この御方が居れば、私達は導いて頂けるのは確実ですっ!
ここまで思慮深い方なのに私共に愛を分けて下さるなんて・・・
慈悲深い御方ですね?流石創造神様が同等・・・と、言われるだけありますわ♪)
ロジーが悠斗の事を見つめる中、その視線に気付いた者が悠斗以外にも二人居た。
そしてその者達は、ロジーに近づくと小声で・・・
「お嬢様・・・そのような視線を向けられますと、
ユウト様がお気づきになられますのでお止め下さい」
「ああ、そうだぜ、お嬢様?ユウト様は只今団らん中なのです。
ここは我らシンパが陰ながら支えませんと?」
ロジーに話しかけてきたのは、ライトエルとリディだった。
「ライトさん・・・私に敬称など不要です。ロジーとお呼び下さい。
貴方と私はユウト様のシンパなのです。」
「ははっ。分かりましたよ。ロジー枢機卿殿♪」
ライトのその言葉にロジーは顔を赤くした。
「わ、わ、わた、私がす、枢機卿?」
「そ、それは素敵ですわ、お嬢様っ!いえ・・・枢機卿様?
貴女の他に誰がその大役を務める事ができましょうか?」
「わ、私が・・・枢機卿?」
「ああ、そうだぜ?ユウト様の為、みんなをまとめる議長が必要だからな?」
この二人の加入によって、ロジーの天命は確実なモノとなった。
「で、では・・・二人共?教団・・・
いえ・・・組織の名前を決めないといけないわね?」
「名前・・・ですか?」
ライトはここでロジーに気になっていた事を聞いた。
「ロジー・・・聞きたいことがあるんだが?」
「なんでしょうか?」
「ユウト様は誰の使徒なんだ?」
「ああ~、そう言えば、言っていませんでしたわね?」
(創造神様・時空神様・魔法神様・邪神の女神様・亜神様・・・
あっ・・・それから異世界の確か・・・アマテラス様・・・だったかしら?)
「たくさん居られるのですよ・・・ユウト様を慕う神々が・・・」
ライトもリディも、想像の遥か上を超える言葉に、ただ、ただ、驚愕した。
「でも、一応名目上は創造神様の使徒・・・と、いう事になっているのですが・・・」
ロジーはそう言うと手招きをして、二人にもっと近づくよう促す。
「創造神ラウル様が私におっしゃいました」
「「創造神様に会われたのですかっ!?」」
「シーッ!声が大きいわ」
「「し、失礼しました」」
「ラウル様は私におっしゃったの・・・ユウト様は我々と同等だと♪」
その言葉を聞いたリディは卒倒してしまい、
またライトは膝を着きユウトに祈った。
「ユウト様を助力する組織ですから、その名に恥じぬよう命名せねばなりません」
「ユウト様は我々を導く御方・・・」
「ユウト様は、我々を照らし出す御方です」
ロジーはリディの言葉にヒントを得て、二人にこう言った。
「組織の名前は・・・イルミネイト。照らすと言う意味です。
そして我々はユウト様のシンパ・・・陰で支えその光で人々を照らす者。
そう・・・我々はイルミネイター・・・」
もう止まらない三人は、留まることなく突っ走るのであった。
そして・・・創造神は言う・・・
「僕のせいじゃないからねぇぇぇぇぇっ!」
ラウルの背後で「ふっ♪」と笑うミスティであった。
ラウル ・・・ さて・・・本当に僕たちはこれから出番があるのかどうかだね?
ミスティ ・・・ ラウル様は声だけの出演があるからいいのでは?
ラウル ・・・ 声だけなんて満足出来る訳ないじゃないかっ!
ミスティ ・・・ 私も出演しとう御座います。
ラウル ・・・ 二人で一緒に・・・祈ろうっ!
ミスティ ・・・ それは最終手段とさせて頂きます。
ラウル ・・・ ふっ・・・恥ずかしがり屋さんだね♪
ミスティ ・・・ 「・・・・・」
ってなことで、緋色火花でした。




