64話 アシュリナへの道は、1日にして成らず
お疲れ様です。
64話ですね~
色々な事が起こってます。
そして少し悠斗も怒ってますw
そんな感じですw
これじゃ~何もわかりませんね^^;
それでは、64話をお楽しみ下さい。
悠斗達は廃墟となった教会から孤児院跡へと移動する事にした。
その移動中にグレインが話しかけてきた。
「な、なぁーユ、ユウト・・・」
「グレイン・・・何度も言ったけどさ、普通に接してくれると嬉しいんだけど?」
「い、いや~しかしだな、こう見えて俺は信心深くてよ~」
「・・・その顔でか?」
「なっ!そ、その顔って・・・顔は関係ねぇーだろうがっ!」
悠斗は怒るグレインの顔を見ると笑い出した。
「あっはっはっ・・・俺はこういう人間だからさ・・・だから頼むよ?
それに公の場って訳でもないんだからさ♪」
グレインはこの時、一瞬悠斗が悲し気な顔をした事に気付いていたが・・・
「ふんっ!わかった・・・お前がそう言うのならなっ!」
グレインは悠斗の頭を「グリグリ」しはじめた。
その後ろを歩くライトは・・・
(流石使徒様とだけあって・・・人間が出来ていらっしゃる)
実はライトはとても信心深い教徒だった。
そして孤児院跡の中に入ると・・・
「な、何だよ・・・此処は・・・すぐにでも使えるじゃねーか!」
驚いているグレインの背後からイリアが声を掛けた。
「ふふ♪すごいでしょ?セルカと悠斗が使えるようにしたのよ♪」
「ああ~そうだ・・・イリア・・・さんよ」
「イリアでいいわ」
「そ、そうか・・・それじゃ~・・・
あんたはかなり様子が変わったみたいなんだが、
俺達と別れてから何かあったのか?」
イリアは部屋の隅の方へ移動すると・・・
「グレイン・・・あの後の事、少しは知っているんでしょ?」
「何言ってんだ?俺達はアシュリナへ帰ったじゃねーか?」
「駄目よ・・・嘘はね?」
「嘘?」
グレインはイリアから一瞬視線をはずした。
「ユウトも気付いているはずよ?私が気付くぐらいだもん♪」
そう言って、イリアの視線は悠斗の姿を追っていた。
グレインもまた・・・頭をさすりながら・・・
「あ~・・・そのな・・・。悪いな、その通りだ。
だが悪気はねーよ?心配だったんだ・・・」
「ええ、わかってるわよ?だからユウトも放置したんだから・・・」
「だよな~・・・あいつなら気付くよな?」
「そうね。それで私達の事はなんて聞いてるの?」
グレインはバツが悪そうにそわそわしはじめた。
「いや~・・・俺達が知っている事と言えば・・・
ユウトのヤツが、あの隊長を殺った・・・それくらいだな?」
「それだけなの?」
「ああ・・・うちのもんの話では・・・気が付いたら気絶させられていたらしい。
恐らくそれって・・・?」
「そうね・・・。ユウトだと思うわ」
グレインはイリアに向き直ると・・・
「すまんっ!本当に・・・勝手な事して悪かったっ!」
イリアに対して深々と頭を下げていた。
「クスッ♪」っと笑うとみんなの元へ戻って行った。
(あー・・・やっぱバレてたか・・・。後でユウトにも謝るか)
グレインは頭をさすりながら窓の外を見ていた。
そして会議が始まった。
「えーっと・・・実はですね?」
悠斗が「ニヤ」っと笑いながら・・・何故か一度外へ出た・・・
しかも、窓から・・・。
そして戻ってくると・・・「グレインとライト、手を貸してもらえる?」
窓から顔を出す悠斗の元へ行くと・・・
「な、何だよこいつらはぁぁっ!」
グレインの大声で全員が窓際へ集まった。
そしてそこから見た光景は・・・
ロープで縛られた数人の黒装束がいた。
驚いたのは全員なのだが、一番驚きが隠せないのは、イリア達だった。
何故なら、悠斗とはずっと一緒に居たからである。
「ねぇ・・・ユウト?どう言う事なの?」
「えっと~、説明すると・・・。あの森へ入ってから、
数人うろちょろしてたからさ~・・・
だから一度眠ったフリをして、此処を抜け出し捕まえておいたんだ」
イリア達は素直に驚いていた。
冒険者でもあり暗殺者でもあるセルカと、
聖獣の白斗が一緒に居て、全く気付かなかったからである。
「・・・う、嘘にゃ?わ、私全然気付かなかったのにゃぁぁぁっ!」
「それはワシも同じでっせ?聖獣の立場あらへんがな・・・」
二人共すっかり落ち込んでしまっていた。
そしてまだこの状況にもなって、信じられない人が居た。
それはミレイである。
「嘘でしょ?こんな坊やが?」
その言葉にカチンときたライトが声を荒げた。
「おいっ!ミレイ・・・お前っ!まだそんな事言ってっ!!」
「だってそうでしょ?この子はまだ15歳なんでしょ?
いくら使徒だと言っても・・・無理に決まっているでしょ?」
二人の険悪なムードに溜息を吐いたのは、意外にもロジーだった。
「貴方達・・・いいかげんにしてっ!そしてミレイさんと言いましたか?
貴女の態度は使徒様にとても無礼ですっ!」
悠斗達もそうだが、グレイン達もまた・・・
そんな形相で怒鳴るロジーを見た事がなかった。
「私は幸運にも、ユウト様の戦闘を何度も見る機会がありましたっ!
ですから分かるのですが・・・。
この連中など、一瞬で終わらせられる事くらい分かるのですっ!」
グレインは流石に一瞬とは行かずとも、悠斗には出来ると思っていた。
あまりの剣幕にミレイも黙るかと思ったのだが・・・
「お嬢様?貴女はまだ本当の戦闘など、見てはいらっしゃらないのでは?
ですから、坊やの戦闘を見てそう思ったのではありませんか?」
「貴女は何を聞いていたのです?何度も・・・と、私は言いました」
どちらとも譲らず膠着状態になると・・・
「あの~?もういいですかね?」
悠斗はあくびをしながら口を挟んできた。
「ユウト・・・空気読みなさいよ?」
イリアに言われて視線だけ合わせるが、態度を返るつもりはないようだった。
「あのさ・・・俺一人でやったとかさ、別にどうでもいいからね?
今大切な事って何だよ?話し合って行動に移す事なんじゃないの?」
悠斗の正論に何も言えなくなるのだが、
ミレイは悠斗の態度が気に入らなかった。
「ユウト・・・貴方調子に乗ってるのかしら?
使徒ってだけで・・・まだガキじゃない?大人を舐めないでよね?」
その場に居た全員が凍りついた。
何故なら背後・・・つまり部屋の外に居たはずの悠斗が
ミレイの背後に立っていたからだった・・・。
それに気付かないミレイは話を続けていた。
「だいたいね~貴方みたいな坊やが偉そうに・・・って・・・あれ?」
悠斗の姿を見失ったミレイは悠斗を探すと・・・
「俺は此処だけど?」
悠斗の冷たい声が背後から聞こえた。
「ぞくっ」と、体に悪寒が駆け抜けた。
ゆっくり振り返ると・・・悠斗が後ろに立っていた。
「う、嘘で・・・しょ?」
「まだ・・・やる?もしくは・・・俺と闘ってみる?本気でさ・・・」
あまりにもしつこいミレイに少々苛立っていた悠斗は、
ミレイの足を氷漬けにしていた。
(氷漬けって、相変わらずやる事がエグイわね?)
(・・・めっちゃ魔法上手くなってますやんっ!
やっぱりアレでんな?今までの戦闘での成果ってヤツでんな?)
この事に気付いているのはイリアと白斗だけだった。
それにまだ気付かないミレイは、悠斗から離れようとしたが・・・
「あ、あれ?・・・えっ?!足が・・・私の足がっ!いつの間にっ!」
悠斗の目つきが一段と鋭くなったのをグレインが気付くと・・・
「す、すまなかったっ!ユウトっ!こいつにはちゃんと言って聞かせるからよっ!
だから、だから・・・い、命だけはっ!」
悠斗はグレイン達に背中を向けると・・・「パチン」と、指を鳴らした。
みんなはただ唖然としていたが・・・
「なぁ~ミレイさん・・・足、見てみなよ」
顔だけ振り返った悠斗は笑顔で舌を出していた。
ミレイは言われたまま足を見ると・・・
「あれ?足が・・・どうして? 私の足が・・・」
ミレイの肩を「ポンッ」と、叩くとイリアが笑顔で話した。
「ふふ♪ミレイさん・・・あれは幻術よ?」
そして再び悠斗は姿を消し、外に立っていた。
「だからさ~早く手伝ってってばっ!」
まるで子供のように怒る悠斗だった。
この中で一番恐怖したのは・・・紛れもなくミレイだった。
(魔法使ったのにも気付かなかった・・・ほ、本当にあの子って・・・?
わ、私はなんて・・・馬鹿な事を・・・)
小刻みに体を震わせているミレイを見た悠斗は・・・
「ミレイさん、もう気にしなくていいからさ、・・・
だから・・・みんなお願い・・・早く手伝ってくれぇぇぇっ!」
そして捕らえた者達は全員で尋問していった。
勿論・・・尋問出来る人だけなのだが・・・。
でもその中に、ロジーが知る者がいた。
「あ、貴女は・・・リディ・・・ど、どうして此処に?」
悠斗が捕らえ者の中にロジーの知り合いが居た。
「ロジー・・・この人が誰か説明してくれるかい?」
俯き目に涙を溜めていたロジーは黙って頷いた。
一度全員を集めみんなで聞く事にした。
「この人は、アシュリナ家に仕えているメイドです」
「お、お前・・・リディなのか? 」
グレインも面識があったらしく驚きを隠せないでいた。
悠斗はリディと言うメイドに話を聞く。
「リディさん・・・話してもらえますか?」
「・・・・・・」
「まぁ~、話す訳ないか・・・さてっと・・・」
悠斗が決めかねていた時、ロジーが悠斗に懇願してきた。
「ユウト様、お願いです。どうかリディにお情けを・・・」
「んー。正直俺は殺すつもりはないよ?
だけど、俺は黙って殺されるつもりはないからね?」
(甘い事は言いたくないんだけどな・・・現状、生かしておくと危険が増すしね)
悠斗が思案に悩んでいると、グレインが話しかけてきた。
「な、なぁ?ユウト・・・リディは俺に預けちゃくれねーか?」
「えっ?まぁ~グレインの知り合いでもあるみたいだけどさ
理由を聞かせてもらえるかな?」
「わかった。このメイドはサウザーの信頼が厚くてな?
そもそも裏切るとは思えねー。
それに、俺が言うのも可笑しい話なんだが・・・
この女がリディと同一人物な気がしねー」
グレインの話を聞いていると、ロジーが悠斗の足にすがりついてきた。
「使徒様、わ、私もグレインと同じで、リディが同じ人物とは到底思えません」
「二人の言う事はわかったんだけど・・・
でもそれだけの理由じゃリスクは侵せない・・・。
わかるよね?その甘さで、この中の誰かが死ぬかもしれないって事をさ」
悠斗の言う事は紛れもなく正論だった。
だがグレインとロジーには、リディに対して違和感が拭えなかった。
すると、他の場所で尋問していたセルカが戻ってきた。
「ユウト様~。ちょっといいかにゃ?」
「ああ、何かわかったの?」
「わかったって言うか・・・にゃんかおかしいのにゃ?」
「おかしいって?具体的に言える?」
「にゃぁ~・・・私も同じ暗殺者としての勘・・・みたいにゃものにゃんだけど、
暗殺者にしては、手が綺麗すぎるにゃ」
セルカの言葉にある種の可能性が見えた。
「手が綺麗って・・・嘘だろ?足は見たのか?」
「にゃぁ~♪流石ユウト様にゃ♪勿論足も見たのにゃ♪」
「で・・・?」
「なかったのにゃ♪」
悠斗はセルカの報告を聞くとロジー達に向き直った。
「二人共・・・殺さなくて済むかもしれないよ?」
その言葉に二人共喜んでいたが・・・
「ところでユウト、その足ってのは何なんだ?」
「ああ~・・・んー・・・ちょっと見た方が早い・・・かな?」
悠斗はセルカの方を見ると頷いていた。
「じゃ~・・・グレイン。ちょっと靴を脱いでもらえるか?」
「あ、ああ・・・わかった」
「そしてロジーもね?」
「わかりました」
二人共靴を脱ぐと・・・グレインの足から異臭が・・・
「グ、グレイン・・・もっと足を清潔にしろよな・・・」
グレインが靴を脱いだ瞬間、その部屋に異臭が拡散していった・・・。
「このハゲの足・・・物凄く臭いのにゃぁぁ・・・は、鼻が壊れるのにゃ」
隣りにいたロジーも同様に苦悶の表情をしていた。
悠斗は鼻を摘み手をかざすと・・・クリーンを使用した。
「・・・ふぅ~・・・苦しかった」
グレインの足の匂いはさておいて・・・。
「ロジーの足の裏とグレインの足の裏を比べるとさ・・・」
「おいおい、俺とお嬢と比べるのは無理があるだろ?」
「そうじゃないのにゃっ!このハゲっ!」
「セ、セルカ・・・てめぇー・・・」
グレインは抗議しようとするが、現状を考え抗議をやめた。
「俺が言いたいのは筋肉の付き方だよ?」
「筋肉?」
「ああ、足の裏の筋肉ってさ、
足底筋群って言うんだけど、
一般人と、まぁ~簡単に言うと鍛えられた人達の筋肉と全然違うんだよ。
それが戦闘職なら尚更だ、常に武器を持ち、体重が掛かる足のほうが
筋肉が必然的にでかくなる・・・
だけど、一般人の利き足等に掛かる体重は知れているからね?」
「・・・そう言われると確かにそうなんだが?」
「おい、ハゲ・・・そのメイドの足をよく見るのにゃ?
その足が暗殺者・・・戦闘職の足に見えるのかにゃ?」
ロジーもグレインも改めて確認すると悠斗の話に納得したようだ。
「使徒様・・・しかし、ならば何故、リディはこのような姿で
このような場所に居るのでしょうか?」
「そう言えばロジーはあの時はまだ目覚めてなかったんだっけか?
まぁー簡単に言うけど、そのメイドさんには魔法が掛けられている。
そのせいで、この現状って事なんだ」
「えっ?魔法って・・・そんな・・・」
「ユウト・・・その話ってのは本当の事なんだろうな?」
グレインは悠斗に疑いの目を向けるが・・・
「俺もまだ核心はないけど・・・多分そうだと思うんだよね?
あの独特な雰囲気もあるしさ~・・・あとは匂いかな?」
「ユウト様、匂いって何なのにゃ?私はわからにゃかったんだけど?」
「えっと・・・これだけ近かったら、きっと覚えていると思うよ? 」
そんな話をしていると、別の部屋で騒ぎが起こった。
「あぁぁぁぁぁっ!もうっ!何時になったらアシュリナに行けるんだぁぁぁっ!」
悠斗は思いの丈を叫ぶと・・・
「ああ~スッキリした~。アシュリナへの道は、一日にして成らずってか?」
そう言って騒ぎが起こった部屋に向かった。
「ユウト様もストレスで一杯なのにゃ~♪」
何故か笑っているセルカもその部屋に向かった。
ラウル ・・・ 彼はトラブルに愛されているようだね?
ミランダ ・・・ お邪魔するわよ~
ミスティ ・・・ ちょっ、ちょっとミランダっ!?
ラウル ・・・ い、一体此処に何をしにきたんだっ!
ミランダ ・・・ 何をって・・・ラウル、私のアレ・・・どうなったの?
ラウル ・・・ ああ~っ!アレかぁ~?ほんとに使うのかい?
ミランダ ・・・ 当然でしょっ!
ラウル ・・・ わ、分かったからっ!ちゃんと作るからっ!
ミランダ ・・・ ふふ~ん♪じゃ~後は宜しくね~♪
ミスティ ・・・ ラウル様アレって・・・まさか?!
ラウル ・・・ そのまさか・・・だよ。
ミスティ ・・・ 此処でそんな話をされては?
ラウル ・・・ あっ!此処・・・あとがきだったっ!
ミスティ ・・・ ふぅ~・・・私もっ・・・ふふふ♪
ってなことで、緋色火花でした。




