63話 お見通しなのですっ!
お疲れ様です。
いつも応援有難う御座います。
ブックマーク等をして頂き感謝です。
これからも楽しく読んでもらえるように頑張ります。
今回は63話ですね。
白斗が調子に乗ったばかりに・・・orz
それでは、63話をお楽しみ下さい。
白斗は自ら聖獣だとバラしてしまい緊張していると・・・
(ふぅ。こうなったら、ラウルがあらかじめ用意した、
聖獣との出会い編ってのを話すしかないな)
(な、なんでんの?その作り話は?)
(お前がきっと、やらかすって思っていたみたいでさ、
一応、そういうシナリオを用意してたって話だよ)
(へ、へぇ~・・・流石創造神様やな?)
(いいか?しっかり頑張れよ~?)
(ら、らじゃっ!)
悠斗と白斗は念話で段取りを話し、打ち合わせを終える。
「まぁーワシは、こんななりしとっても、立派な聖獣な事に変わりはありません。
簡単に言いますと、危ない所を主に助けてもらった時に、
創造神様からこの主に仕えろと・・・まぁ~そう言う話ですわ」
説得力があったかどうかわからないが、
グレイン達は納得した。
「それにしてもユウト・・・お前は計り知れないヤツだな?」
「ははは・・・いやいや、買いかぶりでしょ?」
二人で話していると、ライトが白斗とジャレていた。
「あっそうそう、それでさ、俺達は結局どうやってアシュリナに?」
「あ、ああ・・・すまねぇ。すっかり忘れていたぜ」
そう言うと、グレインはメンデルを呼んだ。
「メンデル、話してやってくれ」
「わかりました」
温厚そうなメンデルがグレインに代わり話を始める。
「まず、私達は夜中に移動する事になります。
それは単純に、動きやすいからなのですが・・・
この森を抜けた辺りに、アシュリナ家の馬車が来る事になっているので
その馬車に乗り込み、一度アシュリナ領主の屋敷に直接向かいます」
「ん?メンデルさん・・・。アシュリナ領主の屋敷って、
港町の中にあるんじゃないんですか?」
悠斗の疑問にロジーが答えた。
「街の中にはありません。少し離れた場所に屋敷がありますので
先に屋敷の方へ来られた方が、何かと都合が宜しいかと思います」
悠斗はグレインに視線を送りながら考える。
「ん?どうしたんだ・・・ユウト?」
悠斗はグレインを手で制する。
(ははーん・・・こいつ、また何か思いつきやがったな? )
グレインは前にこの仕草を見てわかっていた。
だからグレインは悠斗の言葉を黙って待つ。
それを不思議がったミレイは・・・
「団長・・・どうしたのよ?そんな「ニヤニヤ」して?」
「ここはユウトに任せろって・・・」
そう言うと、グレインはウインクして見せた。
「だ、団長がそう言うのなら・・・」と、ミレイも従った。
悠斗は目を閉じると・・・
(白斗?)
(なんでんの?)
事情を話した悠斗は、白斗の意見を聞く。
(あ~・・・ここの下級騎士ってのが、信用できまへんな?)
(だよな~・・・もしそうなった時はお前がロジーを守るんだぞ?)
(シッシッシッ♪ワシが完璧に守って見せますわ♪)
(任せたよ♪あと・・・イリア達にも小声で伝えてくれ)
(小声でって・・・そらまたなんで?)
(多分・・・俺達以外に誰か居るからだ・・・)
(ほんまかいなっ!)
(だから・・・さ♪)
(了解しましたわ)
そして悠斗はグレインを呼ぶ。
「おっ?何かいい手を思いついたのか?」
「グレイン・・・それと・・・あっ、ライトさぁーんっ!
ちょっとこっちへ来てもらえますかぁー?」
悠斗はライトも呼ぶと、教会の中へ入っていった。
「ユウト・・・俺達をこんな所へ呼び出してどうしたんだよ?」
「ああ、それに俺まで・・・?何かあったのか?」
周りを見渡しながら、グレインもライトも緊張感がにじみ出た。。
悠斗は振り返ると・・・
「二人共・・・俺が合図を出したら、お互いに両サイドの壁に走ってくれ」
グレインは何か言おうとするが、悠斗がウインクして見せたので、
静かに頷くと・・・
「此処ってこんな感じだったか~?」
と、わざとらしく話し始める。
「お、お前急に何を言って・・・」
ライトは突然関係ない事を話し出すグレインに言葉を掛けるが、
グレインは見向きもせず、何やらライトにハンドサインを出していた。
「なぁ~団長?此処って整備すれば、拠点に出来るんじゃないか?」
ライトは悠斗にウインクして見せると、悠斗は笑って返した。
グレインとライトはお互いに交差するように歩くと、ゆっくり壁に向かった。
悠斗はタイミングを待っていた・・・
グレイン達が壁に向かう事で、注意を引きつけると・・・
「シュッ!」っと、音を立て両サイドにいた何者かの体に、
悠斗の投げたナイフが突き刺さる。
「ぐあっ!」と呻くと、その何者かが姿を現し、膝を着き体の自由を奪った。
グレインとライトはすぐさま駆け寄り、黒装束の何者かを拘束する。
「はっはっはっ!流石だぜっ!ユウトっ!」
グレインは大きく笑うと拘束した黒装束の何者かを引きずってくる。
「・・・嘘だろ?まだこんなガキが・・・い、いや・・・子供が、
俺達も気付かない相手を目抜くなんて・・・夢じゃないよなぁ~?」
ライトもまた黒装束の何者かを引きずりながら話していた。
引きずってきた者達を悠斗の前に投げると・・・
「君達・・・何者?」
威圧を込めながら話したが何も話さなかった。
「まぁ~当たり前か・・・」
グレインは「ニヤニヤ」していたが、ライトは違っていた。
「おい団長っ!ユウトに尋問させる気かよ?まだ子供なんだぜ?」
「はっはっはっ・・・ライト~もうわかったろ? こいつは只者じゃねぇーんだ。
恐らく・・・尋問も・・・なぁ~ユウト。出来るんだろ?」
ライトはグレインの言葉に驚き悠斗を見ると愕然としていた。
それはグレインの問いに、悠斗が冷笑を浮かべていたからだった。
「ええ、まぁ・・・でもその必要はないと思いますよ?」
グレイン達は悠斗の思っても見なかったセリフに驚いた。
「ちょっと待てよ?ユウト。こいつは情報源だぜ?黙って見過ごすってのかよ?」
「ああ、団長の言う通りだぜっ!出来ないなら俺がやるっ!」
ライトが近づこうとすると、悠斗が手でライトの歩みを止めた。
すると、教会の入り口のドアが開き、
イリア達が黒装束の者達を引きずって入ってきた。
一番最後に入ってきた、ミレイとメンデルは顔色が悪かった。
その二人はグレイン達に駆け寄ると・・・
「なんなのよっ!この子達って!」
「ああ・・・私も様々な者達を見て来ましたが、こんな経験は初めてですよ」
ミレイもメンデルもあっという間に事を終わらせた
イリア達の行動に驚愕せざるを得なかった。
「何だお前ら?手伝わなかったのか?」
グレインが含んだ笑いをしながら、ミレイとメンデルに聞いた。
「そんな隙すらなかったわよっ!ほんっとにっ、一瞬だったんだからっ!」
「ええ、恥ずかしながら・・・私も同じでした」
グレインは悠斗を見てつぶやく。
「格の・・・違いってヤツか」
その言葉の意味は、ミレイもメンデルもわからないが、
ライトにはその言葉の意味がわかった。
「・・・お前達は、あの嬢ちゃん達が動いてやっただけだが・・・
俺と団長はそうじゃなかったんだ」
「そうじゃないって・・・何それ?」
「あいつは・・・ユウトは俺達の力量を理解して、俺達を使ったんだよ」
その言葉にグレインは「ニタリ」と笑い、ミレイとメンデルは驚いていた。
「はっはっはっ!これでお前らもユウトの実力がわかったろ?
せっっかく俺がよ、酒場で色々教えてやったのに・・・信じねぇからだよっ!」
グレインはいつになく上機嫌だった。
まだ成人仕立ての子供が、百戦錬磨のA級冒険者の上を行く。
そんな存在と出会えた事が嬉しかったのだ。
(ユウトはまだまだ伸びる・・・これからが楽しみなヤツだ)
グレインは次世代の男に目を閉じ・・・「ふっ」と、笑った。
悠斗達のパーティーの実力が自分達の遥か先を行く・・・
その現実を見せつけられた時、ミレイは・・・その場に座り込むと・・・
「な、何んなのよぉ~・・・この子達って・・・」
杖にしがみつきながら、体を支える事で精一杯だった。
そして・・・悠斗達は・・・
「ねぇ、ユウト・・・よくわかったわね?」
「そうにゃ、私にも全然分からなかったのにゃ?」
(恥ずかしながらワシにも・・・)
悠斗はイリアの目を見て言った。
「前にさ・・・この手の雰囲気に出会っただろ?」
「えっ?わ、私?」
暫く考え込むが全く思い出せないでいた。
「暴走馬車を止めた後・・・だよ?」
悠斗の言葉にイリアは思い出した。
「あぁぁっ!あの時に聞こえた声っ!」
「俺は聞いてないんだけど、でも・・・あの時の気配は覚えているからね。
この冷たい感じの気配・・・でも、そいつは居ないみたいだね」
悠斗達が話していると。グレイン達が近づいてきて・・・
「なぁ~ユウト?こいつら何なんだ?」
「多分・・・まぁ~俺的には決まりなんですけど・・・
あの暴走馬車の一件と同じヤツらの・・・配下でしょうね?」
流石のグレインも悠斗の言葉に驚いた。
「・・・って言う事は?」
「・・・恐らく今回の事はバレバレって事ですかね?」
全員がざわめき出した。
何故なら、今回の作戦を知る者は限られていたからだった。
「ユ、ユウトっ!お、俺達はお前を裏切ってはっ!」
グレインは必死に弁解しているつもりだが、
自分がから回っている事にも気付いていた。
それぞれが動揺を見せるが、悠斗は全く気にしていなかった。
「あははは、ちょっとみんな気にし過ぎだってば。
俺はこの中に裏切り者だとか、敵が居るなんて事、思ってないんだけど?」
「ユウト?どうしてそう言えるのよ?」
「そうなのにゃっ!信用し過ぎるのはよくないのにゃっ!」
白斗が黙っているのは、悠斗の考えを理解していたからである。
だが、悠斗はどう説明していいものか悩むのだが・・・
「主・・・こればっかりは、説明しようがありませんで?
気道をやっとるもんには、わかりやすいねんけどな~?」
「ユウト・・・その気道ってヤツはなんだ?」
「んー・・・それもまた説明が・・・あぁぁぁっ!もぅっ!
面倒臭いので、俺の考えをとりあえず話す。
そしてアシュリナ領主の屋敷についたら・・・頑張って説明してみる」
「主・・・そんな、頑張ってって・・・まぁ~ええですわ。
話の続きどうぞ」
白斗は半ば呆れていたが、今はそれほど話している暇はないのだ。
「とりあえず・・・。まずは森の出口付近で待ち合わせて、
それから領主の屋敷に行くんだよな?」
「ああ、そうだ・・・領主の配下の者達の護衛付きだから大丈夫だろう」
ここで悠斗は溜息を吐いた。
「・・・俺はその護衛達は信用してないよ?」
「ん?それは会った事もないからってだけの話だろ?」
悠斗はロジーに目線を移すと・・・
「領主はいい人なんだろうけどさ・・・部下?配下?その人達はどうなんだ?」
「どうなんだって・・・そう言われてもな~?」
「下級騎士達はクズが多いんだっけ?」
その言葉にライトも引っかかると・・・
「すまねぇ団長。俺もユウトの意見に賛成だ。領主や側近達ならいざ知らず、
下級騎士となると・・・な?」
ライトの言葉に全員が考え始め、イリアも今までの事を考えると・・・
「そうね・・・確かに、領主は兎も角、下級騎士は・・・」
そんな中、ロジーがようやく口を開いた。
「わ、私は・・・お父様の事は勿論信じています。
ですが・・・いいえ、私は下級騎士であろうと、私は信じたいです」
悠斗の事をまっすぐ見てくるロジーに微笑むと・・・
「ロジーの気持ちは、その上に立つ者にとって、とても大切なんだと思う。
でもね・・・人は欲に弱い・・・そういう生き物なんだ」
「それでも私はっ!」
悠斗はロジーの頭を撫でると・・・
「だからロジーはそれでいいんだよ?君は君の・・・
信念を持っていればいいんだ。
俺はロジーの信念を挫こうとする者達を排除していくよ」
「は、排除・・・ですか?」
「ああ、怖いかな?でも・・・しっかり見るんだ。
それを見て学べばいいと思う。
でもさロジー・・・今回は間違いなく俺達は襲撃に会う」
悠斗の言葉にライトも続いた。
「ロジーお嬢さん、こいつの言う事が当たりだと思うぜ?
こんな連中が、このまま俺達を放おっておく訳ないからな?
そう言う事なんだろ?・・・ユウト」
悠斗は何も言わずただ・・・頷いた。
するとグレインが悠斗に声を掛ける。
「ユウト・・・俺達はこれからどうすればいい?」
その一言に驚いたのは、荒波の旅団のミレイとメンデルだった。
「ちょっ、ちょっと団長っ!どうしてこんな坊やに聞くのよっ!」
「わ、私もミレイと同意見です。理由を聞かせて下さい」
グレインを問い詰める二人を、ライトが止める。
「お前達・・・まだわからないのか?」
「な、何をよ?」
「ユウトの実力をさ・・・」
「実力ってっ!こ、こんな事くらいじゃわかる訳ないじゃないっ!」
ライトはミレイに呆れると、ユウトの元へ歩き出す。
そして、ライトは跪き・・・頭を垂れた。
「「「なっ!!!」」」
グレイン始め、ミレイもメンデルも戸惑う。
「ユウト・・・もしかして・・・だが・・・」
「・・・はい」
「お前は・・・い、いえ、貴方様は・・・神の使徒様なのでは?」
この時ライトは、頭を垂れながら悠斗を感じたのではなく、
悠斗の仲間達を頭を垂れた隙間から見ていたのだった。
何も反応を示さなかった悠斗に対して・・・
イリア達全員がその反応を示した。
(やはり、ロジーお嬢様は知っておられたのですね?)
ライトの様子を伺っていた悠斗は・・・
「あははは・・・バレちゃいましたね?でもまじで内緒にしてくださいね?」
苦笑しながらライトにお願いしていた。
グレインはイリアの顔を見ると・・・「コクリ」と小さく頷く。
そして、すぐさま悠斗に駆け寄り、頭を垂れた。
「ユウト・・・いや、使徒様とは露知らず、大変御無礼を・・・」
ミレイもメンデルもそれに習うのだが・・・
悠斗の反応は違った。
「あー・・・もう・・・無理。面倒臭い・・・疲れた」
教会の天井を見つめながら文句を言い始めた。
「ライトさん・・・俺の反応じゃなくて、イリア達の反応を見たんですよね?」
悠斗の問いにライトは頭を垂れたまま・・・
「はっ、お見通しだったとはっ・・・失礼致しました」
悠斗は軽く息を吐くと・・・
「もう頭を上げて下さい。色々と面倒なので?
もっと俺は楽に生きたい・・・」
悠斗の嫌そうな顔を見ていたイリア達が大笑いしていた。
そして・・・
「グレイン・・・言いたい事は分かるけど、普通に接してくれ。
あと、みんな・・・この後の作戦なんだけど・・・」
その時の悠斗の笑顔は、とても楽しそうな顔をしていた。
(あー・・・これはアレね?また何か悪巧みしている時の顔ね?)
そんなイリアの考えを見透かしたのか・・・
「お見通しなのですっ!」
何故か決め顔で笑顔になっていた悠斗だった。
ラウル ・・・ 僕は思うのだけれど・・・?
ミスティ ・・・ 何をお思いになるのでしょうか?
ラウル ・・・ 悠斗君って、平穏な日の過ごし方が謎なんだよね?
ミスティ ・・・ そうですわね?何かと巻き込まれ体質だったりしますので。
ラウル ・・・ 平穏な日常を一度は見てみたい気もするが・・・
ミスティ ・・・ ふふふ♪確かに私も興味ありますわね?
ラウル ・・・ きっと僕と同じでダラけているのだろうね~♪
ミスティ ・・・ ・・・・・自覚・・・は、あるみたいですわね?
ラウル ・・・ ・・・ぼ、ホクはしっかりと仕事しているけどねっ♪
ミスティ ・・・ それを議題に一度神達に招集をかけますわ♪
ラウル ・・・ ご勘弁を・・・orz
ってなことて、緋色火花でした。




