閑話 神界 2 神の企み
お疲れ様です。
今回は第2章へ行く前に、
閑話を続けて出したいと思います^^
楽しく読んでもらえると嬉しいです。
いつも通りの時間にまたアップしますので
そちらも、宜しくお願いします。
それでは、閑話・神界2をお楽しみください。
此処は神界・岩場の聖域門・・・。
天照が戻りイベントが終了した後、
ラウル・ミスティ・アリエル・ミランダは戻ってきた。
そしてそれぞれが自室へと戻り、仕事或いは私用等して過ごしていた。
ラウルは仕事場にて、様々な書類に目を通して行く。
「はぁ~・・・この見積もりじゃ、どうにもならないよ~」
等と、一応創造神らしい仕事をしていた。
すると、ラウルの仕事部屋のドアがノックされ、
ラウルは書類に目を通しながら「どうぞ」と、告げると、
ドアが開けられ中へ入ってきたのは、ミスティだった。
「ラウル様、紅茶をお持ち致しました」
「有難う、そこへ置いておいてくれないか?」
「かしこまりました」
普段この二人のやり取りはこんな感じである。
ところがその時・・・
「コンコン」と、静かにドアがノックされた・・・。
ラウルとミスティはお互いに顔を見合わせると・・・
ラウルの日常には、このようにドアをノックされる事はなかった。
そして、ラウルはミスティに頷くと、ミスティによってドアが開かれた。
「何事ですか?ラウル様はお仕事中なのですが?」
「はっ!誠に申し訳御座いません。日本という異世界の使者がこれを・・・」
下級神により渡されたモノは・・・一通の手紙だった。
「・・・受け取りましたわ。お下がりなさい」
「はっ!」
ミスティが手紙を受け取ると、下級神が下がって行った。
手紙を受け取ると、宛名には・・・天照と・・・
ミスティの目つきが変わると・・・
「ラウル様・・・天照様からです」
「・・・まじ?」
「・・・そのようですわね」
ラウルは椅子の背もたれに体重を乗せ、
「あぁぁぁぁ~~・・・また後で・・・こう言う事だったのかっ!」
「いかがなさいますか?」
「なさいますか?も何も、此方に来ると、言う事なのだろうから、
早急に出迎えを含めての準備をせねばなるまい?」
「はい。かしこまりました。
しかし・・・手紙の内容は確認なさらないのですか?」
「僕は見たくないから・・・君が確認してくれ」
本気で嫌そうにしていたラウルの顔をみて「クスッ」と、笑うと
封を切り内容を確かめた・・・。
ミスティは何度か頷くと・・・。
「ラウル様、天照様は・・・」
「ん?何だってー?」
「お供に弟君の須佐之男様と御一緒に来られるそうですわ」
その名前に鋭く反応すると・・・
「げっ!あの脳筋が来るのかよっ!!」
「え、ええ・・・そ、そのようで・・・」
「あぁぁぁ~・・・あいつ・・・嫌いなんだよ」
ラウルの拒絶反応は凄まじいモノがあった。
「うぅぅぅっ・・・で?何時来るって?」
「・・・そのままお読み致します。
きっと、お主は妾の弟が来ると聞き、さぞや驚いている事だと思う。
お主のその反応から、およそ・・・5分後に到着か・・・のっ!♪
と、書かれております。
のっ!♪の文字だけが、手紙の三分の一を占めております」
ラウルの顔から血の気が引いていた。
「・・・ラ、ラウル様?」
「・・・嫌がらせだ・・・(ボソボソ)」
「・・・はい?」
「ぜっっっったいに僕への嫌がらせだぁぁぁぁっ!」
「はい?」
ラウルはそう叫ぶと、念話でアリエルも来るよう話した。
「ミスティ・・・君もだからね?」
「は、はぁ・・・そ、それは構いませんが?」
「なら、よしっ!場所は雲海の間だっ!各所に伝えてくれっ!」
「はっ」
ラウルはとても慌てながら、「雲海の間」に急いだ。
・・・そして此処は「雲海の間」
ミスティはテーブルと椅子等揃えていく。
そしてセッティングが終わる頃・・・アリエルもやって来た。
「日本の神様が乗り込んで来るって言うのは本当なのですか?!」
慌ててやって来たアリエルが大声で言うと・・・
「ほぅ~・・・妾がなんと?」
いつの間にかアリエルの背後に居た天照が、
扇子で口元を隠しながら須佐之男と立っていた。
ラウル達は天照を出迎えると、席に案内し、紅茶を注ぐ。
「天照様・・・ようこそおいで下さいました」
ノーブルの神達は天照に礼を取ると席に座った。
「して・・・どの様な趣で?」
「まぁ~そう慌てるな、ラウル殿。まずは妾の弟を紹介しようかの」
姉である天照に促されるまま挨拶をする。
「あー・・・そのなんだ。須佐之男だ・・・宜しくな」
「おい、無愛想にもほどがあろう?」
「いや~姉貴よ~。俺は別に来たくて来たんじゃねーよ?」
「わかっておるが、これも悠斗様の為なのじゃ。
お主にもわかっておろうて、悠斗様がどれだけ大切な御方か?」
天照が悠斗を過保護にしすぎるのが気に入らない須佐之男だった。
「いやいや、姉貴よ~・・・あの人族の事を甘やかせるのはやめろっ!」
「何を言っておる? お主の時の方がもっとひどかろうに?」
「・・・お、俺の一体どこがっ!」
来て早々喧嘩始めてしまった二人に何も言えないラウル達。
すると天照と須佐之男は小声で話始めた。
「お主・・・これ以上何かを言うのであれば・・・
ねーちゃん・・・また岩戸に引き込もるからねっ!」
「わ、わかったよっ!も、もうあんな苦労はしたくねーからよっ!」
小声での話し合いが終わると・・・
「おーっほっほっ。待たせたの♪」
「す、すまなかったな」
ポカーンと見ていたラウル達だったが・・・
「そ、それでですね・・・ご用件は?」
「おっ、そうじゃったの♪まぁーラウル殿にはもうわかっておろうが・・・」
「ひょっとして・・・英二君の事ですか?」
天照はラウルから英二の名を聞くと、扇子を畳んだ。
「英二を此方に送らぬのはなぜじゃ?」
「前にも申しましたが、あの者では彼の邪魔になるかと・・・」
「・・・邪魔とは、ラウル殿も言ってくれるわ」
「私は真実を伝えただけですが?」
「あの者はの、今、懸命にもがき苦しんでおる。
英二もまだまだ強くなるはずなのじゃ・・・それなのに・・・と、
そう言う疑問が湧いてしもうての~?
ラウル殿・・・妾にはっきり申せ・・・何を隠しておる?」
ラウルと天照の話に、周りに居た者達は黙って静観している。
物音を立てず緊張を壊すまいと見守っていた。
「ふぅ・・・良いでしょう。はっきり言わせて頂きますが?」
「構わんぞ?」
「・・・英二君では、異形の魔とは戦えません」
「だからあやつも強くなろうとしているのじゃぞ?」
「それは僕も分かっています。ですが・・・彼はきっと悠斗君に甘えて
修練を怠ってしまうでしょう。
私が日本で見てきた限り・・・甘え過ぎていました」
天照は再び扇子を広げ、左目だけ残し、後は覆い隠した。
「なるほどの・・・確かに言われてみれば・・・じゃな?」
「ええ、ですから彼を此方へ来させなかったのです」
暫くの間沈黙が続く・・・
天照は紅茶が入ったカップに手を伸ばすと、口元へ導いた。
そして、一口流し込むと、息を吐きラウルを見つめた。
(確かにこやつの言う事はもっともじゃ・・・英二は悠斗様に甘えすぎるからの
だからそう言われても仕方がない事なのじゃが・・・
何かいい手はないものか・・・の)
沈黙が続く中、ラウルは天照に問いかける。
「天照様、何故そんなに英二君を?」
「んー・・・。そうじゃの。簡単に言うと相性じゃの?」
「相性・・・ですか?」
「うむ。あの二人の相性はとても優れておる。
お互いに足りぬモノを自然と補い合っておるのじゃ。
そのような者を利用せぬは勿体なかろうて?」
ラウルは天照の物言いが気に入らなかった。
そしてまた・・・ミスティとアリエルもその物言いに腹を立てていた。
「り、利用・・・ですか?」
「ああそうじゃ?利用じゃよ?妾は悠斗様が生きてもらえればそれでいいのじゃ。
その血が・・・絶えなくなるのであれば・・・の♪」
「・・・じゃー何ですか?その・・・血の、その血の為だけにっ!
貴女は英二君を人身御供にすると言うのですかっ!」
「姉貴・・・そ、それは流石に俺も感化できんぞっ!」
天照の物言いに須佐之男も我慢ならなかった。
「お主まで何じゃ?目くじらたておってっ!」
「人をそのように使う時代は終わったのだぞっ!そ、それを・・・」
「おい、黙れと言うておろう?」
「しかし・・・」
「おい・・・もう一度だけ言うぞ? 黙れ・・・」
「ぐぁっ! 」
天照の威圧が須佐之男の動きを拘束する。
「天照様・・・何もそこまで・・・」
ラウルは二人の話に割って入ったのだが・・・
「ラウルよ・・・妾に何度も同じ事を言わせるでないわっ!」
この雲海の間全域に天照の放つ殺気が充満していく。
「お、お止め下さいっ!天照様・・・」
「お、お気を・・・お気をお沈め下さいっ!」
ミスティとアリエルも天照に懇願する。
気高く美しい天照の形相は、まるで鬼の如し・・・
到底同じ人物とは思えぬほどの殺気を放っていた。
ラウルは必死に殺気の暴風が吹き荒れる空間で、
天照を止める手立てを考えた。
「お、お止め下さい・・・そのような事をされては、
何も話し合えないではありませんか?
悠斗君の居る、この世界を壊すおつもりですかっ!」
悠斗の名前を出したとたん・・・その殺気は止み、
またその形相もまた・・・美しい天照へと戻っていた。
「おっほっほっほっ・・・妾とした事が・・・」
殺気の拘束を解かれたと須佐之男は、その場に崩れた。
(あ、姉貴のヤツ・・・いつの間にこんな力を・・・
俺でも解けない拘束だと?ありえぬ)
須佐之男の様子を横目で伺っていた天照は・・・
「お主・・・須佐之男よ?妾がいつまでも同じと思うなよ?」
「くっ!」
言葉は柔らかかったが、その言葉に込められた言霊は鋭く冷たいモノだった。
皆が改めて席に着き、再び紅茶を入れ直す。
「確かに此処で暴れれば、流石の悠斗様とて無事とは思えぬものな?
しかしの?妾の考えは変わらぬ・・・よ?」
その恐ろしいまでの霊気に、この場に居る全ての神が恐れた。
「しかしながら・・・英二君を贄にするようなマネは・・・」
扇子で顔を一度覆い、目を閉じると再び目を開けた。
「まぁ~良いわ・・・そなた達の言い分はよくわかったがの?
それなら妾を説得して見せればよいのじゃ?
お主達にそれが出来るか・・・の?♪」
「わ、分かりました・・・ですがっ!人の命をそう簡単に見捨てたりはしないっ!」
「ほっほっほっ・・・お手並み拝見・・・かの?」
何を秘めているのか分からない天照に、
須佐之男を含め、此処に居る神たち全員が岐路に立たされるのであった。
(さて・・・全ての神達よ・・・足掻いてたもれ)
ラウル ・・・ いきなり第2章に突入しないんだね?
ミスティ ・・・ そのようですわね?
ラウル ・・・ この話、僕的にはちょっと・・・
ミスティ ・・・ 私も同じですわ・・・
ラウル ・・・ やっぱり平和が一番だよね?
ミスティ ・・・ 今回は間違いなく同意ですわ♪
ってなことで、緋色火花でした。




