6話 時空神ミスティ
今回長くなってしまいました・・・
読み苦しいかとは思いますが宜しくお願いします。
ご意見ご感想等があれば気軽に宜しくお願いします。
二人が光に包まれ、そして・・・消えた。
悠斗は少しの間頭を下げたままだった・・・
残された悠斗は再び椅子に座り直しお茶を飲む。
座ったまま「んん~~」っと背伸びをした後
何かの気配に気づき辺りを見回す。
(ラウルのような強い存在感が・・・)
「カツン、カツン、カツン・・・」足音がその空間に鳴り響く。
(ヒールの・・・音か?)
やがて目の前の空間に螺旋状に黒い物体が広がっていく。
席を立ち、少し身構えると螺旋状に広がった穴らしきモノから
一人の女性が出てきた・・・
その女性は銀髪で頭部にクリスタルらしき薔薇をあしらったティアラをしていて
瞳の色は銀色だろうか・・・吸い込まれるような感覚を覚える。
服は白いローブのような生地の薄い服。
整った顔立ちに透明感のある白い肌、見た目は20代後半くらいか・・・そして・・・
(胸・・・でかっ!)
歩いているだけなのに揺れているのだった。
悠斗は釘付けになってしまい固まっていると
その胸のでかい・・・コホン!違った・・・美しい女性がこちらを見た。
少し首を傾げながら「貴方はどなたですか?」
艶っぽい声が悠斗の耳をくすぐる・・・。
「あ、あの、えっと・・・神野 悠斗と申します」
少し慌てて答えてしまった姿を見て
「クスッ」っと笑うと「私は時空神ミスティ、貴方が神野 悠斗さんね?」
悠斗が頷くとこちらに歩みを進めた。
「そう硬くならず座ってくださいますか?」
悠斗が座ると何故か椅子を悠斗の方に寄せ座った。
(・・・何故横に??)
そう思う悠斗に構わず何もない空間からティーカップを取り出すと
お茶を入れて飲み始めた。
一口飲んだ後・・・「冷めてしまってますね」
そう言って空間から先程とは違うティーポットを出して注ぎだした。
「悠斗さん・・・と、お呼びしても宜しいでしょうか?」
そう言いながらティーポットを悠斗に向けると
「どうですか?」とお茶を勧めてくるので、カップに残っていたお茶の残りを飲み干し
「お願いします」そう言って、ティーカップをソーサーに置いて前に出した。
少し前かがみになった時空神の胸元に視線が行く・・・
(ち、ちかっ!でかっ!)
その視線に気づいた時空神だが微笑むだけで嫌そうではない。
「男性のそういう視線も久々ですわね」
左手を口元に添え笑う姿もまるで絵画のようだった・・・。
「す、すみません」悠斗はそれ以上言葉が出なかった。
悠斗はお茶を一口飲むと、その温かさに「ふぅ~」と安堵の吐息を吐いた。
「だいぶ緊張していたのかしら?」微笑む時空神。
「え、ええ、こんなに美しい女性を僕は知りませんから・・・」
悠斗は照れながら答えた。
「お上手ですわね」満更でもない時空神の微笑み。
「悠斗さん、私の事はミスティとお呼びください」
「わかりました、ミスティ様」
「・・・違いますよ?ミスティです。「様」付けなんて他人行儀ですわ。」
少し拗ねているようだった。
「は、はぁ、え~とっ・・・わかりました。ミスティ」
時空神は何やらご満悦のようである。
ミステイは悠斗におかわりのお茶を注ぎながら
「私共の世界に行って頂けるのですか?」
「はい、僕に何が出来るのかはわかりませんし、保証もできませんが・・・」
少し自信無さ気に応える姿を見たミスティは
「最初から出来る方は神であっても不可能です。
ですからご自由になさってください。
ラウル様もノーブルの世界で自由にしてもらいたい・・・
そうおっしゃっていましたから」
(異形の魔は驚異なんだろうけど、頻繁には出ないってことなのか?)
そう思いながらも不安は隠せない
ミスティは「あっ!」と言いつつ手を「パンッ」と叩き
「後で渡そうと思っていたのですが、今、お渡ししますね」
「ん?」と悠斗が思っていると
ミスティは悠斗に左手をかざすと・・・
悠斗が淡く白い光に包まれた・・・
「えっ?」思わず立ち上がり自分の体を見るが何か変わった所はないようだ。
なんだろ?と思っているとミスティは微笑みながら
「悠斗さんにマジックボックスを与えました」
「マジックボックスって言うと・・・まさかの異次元収納ってヤツですか?」
ミスティは悠斗の言葉に少し驚くが
「はい。よくご存知でしたね?そのボックスの容量は無限大となっております」
何やら自重しない神様のようだ・・・
「しかも、その中では時間が停止しておりますのでモノが腐ることはないですわ」
(あはは・・・まさに、ラノベあるある!)
少し乾いた笑いをするしかない悠斗だった。
ミスティは悠斗を「じぃー」っと見つめ
「悠斗さんはお料理等されるのでしょうか?」唐突に聞かれたので
「い、いえ、されません」困った顔に思わず笑ってしまうミスティ
「ご、ごめんなさいね、見た感じお料理をされない方なのでは?そう思ったものですから」
(あ~・・・笑ってらっしゃる・・・まぁ~料理はインスタントくらいですけどね)
仕事の時はベースキャンプでサポートしてくれる人達が居る。
だから基本しないのだが・・・野宿の時は携帯食なのでできなくても困らないのだ。
「私の趣味はお料理なんです。」
(全然時空神と繋がりのない趣味キタァァ!!)
等と思いながらご満悦そうなミスティを見ていたら・・・
「で・す・か・ら♪、私の手料理で恐縮なのですが
ボックスの中に入れて行ってくださいませ♪」
(あーなんだろ?・・・見た目とギャップが・・・orz)
「なんだか、楽しそうですね?」そう聞く悠斗にミスティは勢いよく立ち上がり
「よく聞いて下さいました!」何やら少し怒気が・・・
そう思う悠斗を他所にミスティが不満をぶちまける!
「実はですね。私の趣味は料理ですから、
他の神々に食べて頂こうと沢山作るわけなんです。
最初の頃は皆さんとても喜んで「美味しいよ」
なんてことを言ってくださっていたのに!!」
(ああああ!!このく、空間が・・・黒く染まって・・・行く・・・)
「それなのにですよ!最近は「そんなにいつもいつも食べないから」とか!
「神は食べなくても基本死なないから」なーーーんて事を言うのです!
どう思いますか?「また作ってくれよ」と、まで言っていたのにぃぃ!
一体どう言う事なのでしょうか!」
(か、雷が・・・鳴り始めたし・・・急にか、風・・・が・・・い、息が・・・)
「私の善意を一体何だと思っているのでしょう!
殿方というモノはそういうモノなのでしょうか!ねぇ・・・悠斗さん、どう思いますか?」
(い、意識が・・・俺は・・・が・・・・俺はこんな所で・・・)
悠斗の意識が途切れそうになった時、ミスティは正気を取り戻した。
「はっ!!」「悠斗さん!一体何が・・・何故、このような事に・・・」
ミスティは悠斗の様子を見て完全に取り乱してしまっている・・・
「だ、誰かー!誰かー!」
そう叫びながら悠斗はミスティに体を「ブンブン」揺さぶられ続けた。
(し、死ぬー・・・き、気持ちわる・・・い・・・)
今度は悠斗を「ギュッッー!」と胸に抱き締め
(ぐはっ!や、柔らかい・・・でも、 ち、違う意味で・・・
し、死ぬ・・・い、息が!で、でも、ちょっと幸せ・・・かも?
あっ・・・でも死ぬーーー!!)
そんな悠斗の声は届かない・・・
これが後々神界で語り継がれる事となった
「狂乱の時空神が、召喚した神野 悠斗を殺しかけた件」・・・で、ある。
・・・そして、運良く命を取り留めた悠斗は、この時の事を全く覚えていなかった。
(ミスティちゃんが記憶いじったからね・・・by 創造神)
・・・・目が覚めた悠斗・・・・一体何が・・・?
ふとテーブルの方に顔を向けると
ミスティが何食わぬ顔でお茶を飲んでいた。
「・・・何か悪夢を」そうつぶやくと
「お目覚めになりましたか?少しお眠りになられていましたよ」
やや黒がかった笑みを浮かべている。
「ありがとう・・・ござ・・・います?」
何かを思い出そうとしていた時ふと声がかかる。
「悠斗さん、お食事の事ですが・・・」
そう言われ話がすり替えられるのであった・・・。
「あ、ああ~料理の・・・話でしたよね?」
しれっと・・・「ええ」と答える時空神。
「私の料理で宜しければ、ボックスに沢山お入れしますわよ?」
「それはとても有り難いですね。ご負担でなければ宜しくお願いします。
料理の事はわからないので、人間が食べられる物で宜しくお願いします」
ミスティは少し考えた後・・・
悠斗にかざした手が光った・・・
「ボックスの中に色々と入れておきましたよ?例えばキャンプ用品的な物ですとか・・・」
「あの、マジックスボックスの使い方を教えて欲しいのですが?」
「ああ~そうでしたわね」
そんなこんななやり取りがありミスティと談笑していると・・・
「ただいま~、おや?ミスティ来ていたのかい?」
そう言いながらこちらに向かってくる創造神・・・ラウルが歩いてきた。
ラウル ・・・ 君、悠斗君に何やってくれちゃってるの?
ミスティ ・・・ あ、あの・・・ふ、不可抗力でして・・・はい。
ラウル ・・・ 何か言うことあるよね?
ミスティ ・・・ 誠に申し訳ありませんでしたっ!
(とう! ジャンピング土下座中)
ラウル ・・・ 次はないからね
ミスティ ・・・ そう言えば、ラウル様も私の料理食べなくなりましたね・・・ふっふっふっ
ラウル様の責任でもあるのですよっ!
ラウル ・・・ ま、まさかの・・・逆ギレ!
緋色火花でした。