57話 悠斗の正体とミランダの想い
お疲れ様です。
今日の天気やばかったですね><
久々に雷の音を聞いた気がします。
さて、今回は57話ですね。
皆さんが少しでも楽しめればいいのですが・・・。
気に入ってもらえたのなら幸いです。
58話はいつも通りアップしますので、宜しくお願いします。
それでは、57話をお楽しみ下さい。
悠斗が散歩から戻ると、食堂はいつもの通りに戻っていた。
「ただいま」
そして、いつも通りに「おかえり」と、気持ちよく出迎えてくる。
悠斗が席に座りミスティにコーヒーを頼むと、
いつも通りに、ミスティは微笑みコーヒーをいれてくれた。
「・・・みんな、無理してね?」
全員が頑張って空気を和らげていたのに、
それを正面からぶち壊す悠斗。
これもまた、予定調和である。
「主・・・ほんまに頼むから空気読んでくれへんかな~?
色々と皆さん悩んでやっと・・・前に踏み出したんやさかい。
・・・ほんま頼んまっせ?」
「はっはっはっ・・・ほんと、すみません」
「もう君とは、やっとれんわっ!」
そのセリフを白斗が言うと、悠斗と白斗はアイコンタクトする。
「どうも、有難う御座いました~・・・って、ワシだけかいっ!!」
悠斗は最後の締めには乗らず、美味しそうにコーヒーを飲んでいた。
(あ~美味しい♪)
「ほら~主っ!ワシだけスベってるやんかっ!」
白斗は猛烈な抗議をするが悠斗はスルーしていく。
「ほんま、せっしょうやわ・・・」
悠斗は悠斗、それは何時、何処で、何をしていても悠斗なのであった。
そんな二人を見ていたラウルが口を開く。
「悠斗君、さっきは取り乱してしまって、すまなかった」
ラウルは悠斗に頭を下げるが・・・
「気にする事ないってば。ああなって当然だと思うよ?
だけど俺は醜態とは思わない・・・それだけ皆が真剣に思ってたからだしね」
「君はすごいな?創造神の・・・
いや、此処に居る神々があんなに狼狽えたのに、
君はいつも通りだ・・・正直すごいと思うよ」
ラウルと悠斗の話に耳を傾けていた全員が頷いていた。
悠斗はイリアの視線を感じた。
「ん?イリア・・・どうした?」
「あの・・・どうしてそんなに平気そうなの?」
イリアの言葉に全員が頷く。
「平気って・・・そんなふうに見えるんだ?」
「えっ、ええ」
「平気って訳じゃないよ?人の命がかかっている訳だし。
んー。俺が此処に来た理由は、もう皆知ってるよね?
それに俺は、俺自身知りたいと思っている事があるんだ。
だから・・・俺は前に進む・・・諦めない。ただそれだけ」
それを聞いたイリアは・・・
「私は・・・私に出来る事をして行くだけ・・・。
仲間の為だけじゃない。このまま黙って好き勝手にされるのは嫌っ!
だからユウト様・・・私も一緒に連れて行ってください。
お願いします」
セルカも目に力が戻ると・・・
「わ、私もなのにゃ、自信はないにゃ・・・
でも、このまま黙っていられないのにゃっ!
私も意地でも付いて行くのにゃっ!」
ロジーも黙ってはいられず口を開く。
「ユウト様、私には戦う力は・・・残念ながらありません。
しかし、皆さんをサポートする事なら出来ますっ!
私も一緒に連れて行っていただけませんか?」
それぞれがそれぞれに思う事はあるようだった。
「んー。みんなの気持ちはわかった。有難う。
そこまで思っているのなら・・・一緒に行こう。
でも、ロジーはお父さんに聞かないとね?
楽しい旅ではないはずだから・・・」
「わ、わかりました。父に相談してみます」
そして夜も更けてきた・・・
食堂に集まった者達は、ここでの最後の晩餐となる。
そして食事を済ませた後・・・ラウルが立ち上がり挨拶をする。
「えー、今日で悠斗君達は此処を去って行く事になったけど、
僕達神々はいつまでも君の味方だからね?
だから何かあったら相談してほしい。」
悠斗は少し照れくさくなりながらも「わかった」と、答えた。
和やかな雰囲気の中・・・
「ユウト様・・・そろそろ梟が戻って来ますのにゃ。
一緒に来てもらえるかにゃ?」
「わかった、行きますか」
悠斗とセルカは立上がると食堂を出て隠蔽を使い丘を登った。
丘には障害物がない・・・
そして今はとても心地いい風が吹いている。
「あっ・・・来ましたにゃ♪」
梟は「ホッホォー♪」と鳴くと、音もなくセルカの手に舞い降りた。
舞い降りた梟の口には二通の手紙が咥えられていた。
「戻ったら内容の確認だね?」
「はいにゃ♪」
二人は丘を下り、岩場の聖域へと戻って行った。
「ただいまにゃ~♪」と、戻ってきた事を告げると
「おかえり♪」と、気持ちよく迎えてくれた。
悠斗達はテーブルを囲むと一通をロジーに渡し、
もう一通は悠斗が開いた。
悠斗は手紙の内容を確認すると、その手紙をイリアに回した。
ロジーもまた内容を確認した。
「とりあえず俺達は、このまま作戦通り丘を抜け、森に入り、
廃墟でグレイン達と待ち合わせる」
「後はグレイン達が上手くやってくれるはずにゃ♪」
ロジーは父親からの手紙の内容を話してくれた。
「皆様の事はアシュリナの領主として迎えるそうですので、
街に入ってからも安心していいそうです」
「そっか~・・・それは心強いな。
でもまずは、冒険者ギルドで登録してからだな」
話がまとまり落ち着いたところで・・・
「さて、悠斗君・・・これから始まるね?」
ラウルは優しく微笑んでいた。
「ああ・・・やっと・・・だね?
俺もいつアシュリナに着くんだっ!って、何度思ったか♪」
その悠斗の言葉に全員が大笑いする。
しかし一人・・・たった一人だけ・・・負のオーラを放つヤツがいた。
・・・・オウムアムアだった。
「どうした?オウムアムア?」
「わ、我・・・も、い、一緒に・・・」
ラウルはオウムアムアの様子が気になって声をかけた。
「・・・ん?君?泣いているのかい?」
ラウルの言葉に全員がオウムアムアを見つめた。
「ほ、ほんまや・・・めっちゃ泣いとる・・・」
「・・・亜神・・・お前、まじか」
「にゃいたらダメなのにゃっ!私もにゃいてしまうのにゃぁぁぁ!!」
「・・・オウムアムアさん、戻って来る日を待っています」
「亜神・・・あんたも魔法の練習しなくちゃね?」
「・・・必ず合流する日が来ますわ♪」
それぞれがオウムアムアを慰める。
悠斗はオウムアムアの肩を叩くと・・・
「弟子っ!必ず真の亜神となって一緒に旅をしようっ!
それまで・・・しっかりと修練するんだぞ?」
「は、はいっ!師匠っ!・・・わ、我は・・・我はっ!」
オウムアムアは座ったまま、悠斗の腕の中で泣いた・・・
オウムアムアにとって、この数日は、初めて味わう満ち足りたモノだったのだ。
「悠斗君・・・君はいい弟子を持ったようだね?」
「ああ、そうだな。自慢の弟子・・・だからな♪」
悠斗の言葉に再び号泣するオウムアムア。
それから暫くしてラウルはイリアとセルカに声をかけた。
「やぁ、二人共・・・これから大変だとは思うけど、
しっかりと悠斗君を支えておくれ。頼んだよ?」
「はい。ラウル様・・・必ずやユウト様の御力になると誓います」
「はいにゃ♪ユウト様は私達が守りますにゃ♪」
「頑張ってね♪」
そう言うとラウルは、イリアとセルカに手をかざした。
そして一瞬「キラッ」っと光ると・・・
「あ、あの?これは一体?」
「なんなのにゃ?」
「はっはっはっ・・・僕からのプレゼントだよ?
君達にもマジックボックスを与えたから、旅に役立てておくれよ」
あまりの嬉しさに、二人は手と手を取り合って喜び・・・
「はっ、有難う御座います。しっかりと役立ててユウト様の御力になります」
「私も頑張って役立つのにゃ♪有難う御座いますなのにゃ♪」
「君達にも本当に色々と迷惑かけちゃって申し訳なかったね?
でも、君達も充分戦えるとわかったはずだよ?
だからこのまま一生懸命努力する事を忘れないでほしい」
「「はいっ!」にゃっ!」
そんな騒がしい食堂の中に悠斗は居なかった。
一人岩場の聖域を歩いていた。
「ふぅ~・・・騒がしいのはやっぱり慣れないな~」
悠斗はカロンと戦った場所に来ていた。
そして破壊された壁を見て思い返していた。
(カロンとの戦いはキツかった・・・ギリギリ過ぎたからな~
もっと何か出来たはずだしな)
悠斗はカロンに言われた事を思い返しては、自問自答していく。
「人間風情か・・・はは・・・俺は人なのか?」
そんな時・・・
「フフフッ♪」っと、笑い声がした。
声がした方を見ると・・・
「ミランダ・・・そんな所で何してるんだ?」
夜風に揺れる銀髪がとても美しかった。
悠斗はミランダに近づいて行く。
「ねぇ、ユウト様?・・・私の事ってどう思う?」
「はい?いきなりそんな事を言われてもな」
「私はご存知、邪神の女神よ?私が人族に惚れるなんて、
本来なら・・・ありえないわ」
ミランダの声が冷たくなった。
ミランダは邪神槍を構えた・・・。
「何のつもりだよ?」
「知れた事ね。勝負しましょう・・・ユウト様♪」
「・・・本気なんだね?」
「ええ、勿論よ♪」
「理由を聞いてもいいかな?」
「今は・・・話す事はないわ」
(ユウト・・・貴方の正体を暴いてあげるわ)
「・・・わかったよ」
「心配しないで?此処にはバレないように結界を張ってあるし、
それに・・・時間も止めてあるから♪」
「わざわざ・・・ご丁寧にどうも」
悠斗とミランダは対峙する・・・。
そして悠斗は銀のロッドを取り出すと構えた。
「フフッ♪いい構えね?」
「ありがと」
二人は間合いを計りながら詰めて行く・・・
靴が地面の土を削る音がする。
「ジャリ・・・ジャリ・・・」
そして二人の間に風が吹き抜けた時・・・
一気に駆け出した。
悠斗はミランダの動きを感覚で追いながら、
自分の周りに結界を張る。
(この間合に一歩でも踏み入れたら・・・そこは俺の領域となる)
ミランダは悠斗の周りに怪しいゆらぎを感じ飛び退いた。
(何あれ?・・・あのまま踏み込んだら・・・やられてた?
フフ。何それ~・・・面白いわね♪)
ミランダはその怪しいゆらぎの中に入る事を決めると・・・
「アクセレレイション」
ミランダの速度が更に増す。
悠斗の結界を無視するかのように踏み入ると・・・
「もらったっ!」
悠斗の一撃がミランダの脇腹を捕らえた。
捕らえたはずったが、その場所にミランダの姿はなく
「ぐあぁぁっ!」
背後からの攻撃に悠斗が吹き飛んだ。
「ぐっ・・・ま、まじか・・・」
瓦礫の中に埋もれた悠斗の前を微笑みながら歩いてくるミランダ。
何処か妖艶で悩ましげなそのスタイルをアピールするかのように・・・。
「ユウト様~?これくらいで終わったりしませんわよね?」
瓦礫を押しのけ立上がると・・・
「ああ・・・そんな勿体ない事するはずないじゃん」
「フフッ。嬉しいわ♪さぁ~♪もっと楽しみましょ♪」
(今は理由を考えている場合じゃな・・・集中しなくちゃ・・・)
「コオォォォォ」
悠斗の呼吸音が変わる。
「気道・一之書・操術」
悠斗は気道を使うと・・・「縮地」そうつぶやき
一気にミランダに接近するとロッドで足を狙うが一瞬遅く空振る。
微笑みながら躊躇する事なくミランダは踏み込んでくると・・・
「フフッ♪ロッドですものね?接近されたらどうするのかしら?」
ミランダは踏み込んだ勢いのまま悠斗の両肩を掴むと、
そのままの勢いで体を沈み込ませ、悠斗の顔をミランダの足が襲う。
「ちっ!」
直撃はしなかったものの顔をかすめると、悠斗の顔に擦過傷の跡がつく。
(ふう~・・・さすが邪神の女神)
「ねぇ~?ユウト様~?こんなモノなのでしょうか?」
「はは・・・言ってくれるね~」
「フフッ。これくらいでは・・・女を満足させる事など出来ませんわよ?」
「・・・わかったよっ!満足させてやるよっ!」
「気道・一之書・操術・弐・流水」
悠斗は再び一気にミランダに接近した。
「フフッ。同じ手なの?がっかりね♪」
ミランダの邪神槍が悠斗の体を貫いた・・・
「て、手応えが・・・」
慌てて悠斗の姿を追うミランダは悠斗の体が不自然に揺らいでいるのを見た。
「はぁぁっ!」
何度も槍を突き刺すが、川の流れに槍を刺すが如く、手応えがない。
「からのぉ~・・・体術・六・破岩っ!!」
「ぐはっ!!」
突然の衝撃にミランダは膝を着く。
その時ミランダが見たモノは・・・側面からミランダの脇腹に
悠斗の拳がめり込んでいるところだった。
「ば、馬鹿な・・・一体・・・何処から・・・?」
ミランダはめり込んでいる腕に向かい、槍で突くが、
その拳でさえも流水の如く流れ消えゆく。
脇腹を押さえながら立上がるミランダ。
(ろ、肋骨が・・・5本も・・・)
「無理しないほうがいいんじゃね?」
「フッ・・・まだ、これからよっ!」
(このままでは、ユウトを捕らえる事ができない・・・)
「はぁぁぁっ!」
ミランダは魔力を全身に流し始めると・・・
「身体強化っ!そしてっ!霧の漣」
ミランダの周囲から高密度の霧が発生し、その霧は波紋状に広がった。
そして、目を閉じるとミランダが集中し始める。
(何だ?この霧は?)
悠斗は一度後退して様子を見るが、ミランダの動きに変化がなかった。
この霧に危険はないと判断すると、悠斗はその霧の中へ踏み入れた。
(居たわね)
「氷魔法っ!フリージング・ショック!」
ミランダの魔法によって、一瞬で周囲が氷結していく。
「ぐぁぁぁっ!」悠斗は氷漬けにされた。
ミランダはその場から、氷漬けになった悠斗に話し掛ける。
「ユウト様~?もし、此処で貴方が亡くなったら・・・
私がこの生命にかえても・・・貴方の後を継ぎ、
必ずや敵を殲滅させますので、どうかご安心を~♪・・・♪」
ミランダは邪神槍を構えて・・・膨大な魔力を流すと・・・
「さようなら・・・我が愛しきユウト様
このミランダ・・・心よりお慕い申し上げておりました♪」
ミランダは邪神槍を悠斗に放った。
しかし邪神槍を放った瞬間に凍結したはずの悠斗の氷は割れた。。
「おっと・・・危ね」
邪神槍は難なく悠斗の手で受け止められていた。
「はぁ?えっ?な、何?どうして?」
「ははは・・・返すよ」
悠斗は「ニヤリ」と笑うと、邪神槍を返した。
「ど、どう言う事か説明しなさいよっ!」
ミランダの顔は怒りで真っ赤になっていた。
「えっと・・・凍結膨張って知ってる?」
「と、とうけつ・・・な、何?」
「はは・・・・まあーいいや・・・今度はこっちから行くよ?」
悠斗は集中していく・・・。
「コオォォォォォォォォォォ!」
悠斗の呼吸音が再び変わる。
「気道・魔導・・・合一っ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
(ぐぅっっっ!ま、まだ・・・きつっ!)
「・・・魔導鬼っ!」
悠斗の体から赤銅色の気が溢れ出す。
「そ、それは・・・お、おのれぇぇぇっ!アイス・ブリザードっ!」
悠斗は正面に手をかざすと、氷の嵐を片手で防いでいた。
「・・・う、嘘でしょ?!」
(さてっと・・・ここからが問題だな)
悠斗は体に巡らせている鬼を制御していく。
(い、今なら・・・使える気が・・・する)
ミランダは邪神槍に全ての魔力を凝縮していく・・・
「ならば私もそれに応えるわっ!」
二人の力がぶつかり合い障害物が砕けて更地と化していく。
(ま、まだ・・・力が上がると言うの?!)
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」
「魔導鬼・・・操術・・・・ぐっ・・・十・至伝・神威」
悠斗は操術の至伝・神威を発動させると・・・
ミランダは悠斗の姿どころか気配すらも感じなくなった・・・
「ど、どこだっ!!」
かすかな音もなく、かすかな揺らぎもなく・・・
悠斗は目の前から居なくなった。
「あ、ありえないわ・・・神の眼を持ってしても・・・見えないなんて・・・」
その頃悠斗は鬼の制御で必死だった。
(ぐぉぉぉっ!!まじ・・・きつ・・・い。ぐあぁぁぁぁっ!)
悠斗はあまりの苦しさに膝を着く。
ミランダは一瞬の揺らぎを感知すると邪神槍を持つ手を引いた・・・
そして、膝を着き姿を現した悠斗に向け・・・
「パ、パープル・フ、フレイム・・・イグニッ・・・ションっ!」
その言葉と共に邪神槍が紫色の炎をあげた。
止めの一撃を躊躇するかのように・・・ミランダの心は揺れていた。
「うわぁぁぁぁっ!ビーラ・ブレイクスルーっ!」
ミランダの投げた邪神槍は悠斗に当たると・・・衝突音と共に砕けた。
「えっ?!・・・ど、どう・・・して?」
その場に立ち竦んでしまうミランダ。
そして悠斗は邪神槍の穂先を握り締めて笑っていた。
「・・・フフフフフフ」
その笑いにミランダは恐怖し、その場に崩れ落ちた・・・
悠斗の体からは赤銅色の気が異常なまでに溢れ・・・
そしてその肌もまた・・・赤銅色に染まっていた。
悠斗は己の体が変化している事に気付くと・・・
「・・・ははは。お、俺・・・化け物じゃん。あ、ありえねぇー・・・
な、何だよ・・・それ・・・何なんだよっ!!」
悠斗の怒りを込めた一撃は更地になった地面に、
大きなクレーターを作っていた。
ミランダは己を防御結界で守っていたにも関わらず負傷していた。
(な、なんて力なのよ・・・)
土煙が消えミランダが見た悠斗の姿は、クレーターの中心で崩れ泣いていた
悠斗の悲しげな姿だった。
ミランダは己にパーフェク・ヒールを使い、悠斗の元へ駆け出す。
「ユ、ユウト?!ねぇっ!ちょっとっ!ユウトっ!」
ミランダによって何度も揺らされるが、ユウトからの返事はない。
「・・・ユウト」
ミランダは責任を感じていた。
そしてミランダも悠斗の横に座り話し始めた。
「ユウト・・・私はね?!貴方の正体が知りたかったの?
私は邪神の女神・・・人に惚れる事なんてありえない事なの?
だからね・・・あの時見た貴方の・・・赤銅色の力に、
私は心が踊ったの。歓喜と言っても過言じゃないわ。
貴方も私と同じ・・・忌み嫌われる存在なんだって・・・。
ごめんね?私のせいで貴方を傷つけてしまって。
私は・・・貴方を支え続けるわ・・・何があっても・・・ね。
貴方がもし、このままあいつらと戦うって言うのなら・・・
私も貴方と一緒に戦うわ。
・・・・・・こんな事しておいて今更だけどね。
ユウト・・・貴方を愛してる」
そしてミランダは悠斗の肩にそっと、頭を預けていた。
時の止まったこの空間の中で、ただ、静寂だけが二人を包んでいた。
ラウル ・・・ ミランダ・・・ちょっとやり方が強引なんだけど?
ミスティ ・・・ ・・・・・。
ラウル ・・・ な、何?い、一体どうしたのさ?
ミスティ ・・・ ・・・・・・・・・・。
ラウル ・・・ まじ怖いから、何かしゃべってよっ!
ミスティ ・・・ ミ、ミ、ミ、ミミミミミミミミミ
ラウル ・・・ こ、怖いってばっ!ミミミミって、君はセミかっ!
ミスティ ・・・ ミランダぶっ殺すっ!!
ラウル ・・・ ・・・がくがくぶるぶる。
ミスティ ・・・ あら、嫌ですわ♪テヘッ♪
ってなことで、緋色火花でした。




