53話 名前と過去
お疲れ様です。
53話です。
私の予定にない事が次々とまぁ・・・
修正が大変ですが、日々頑張っております。
暴走しないように気をつけている毎日ですw
ブックマークや感想など書いて頂き有難う御座います。
これからも楽しんで読んで頂けるように
頑張りますので、今後とも宜しくお願い致します。
評価などもして頂けたら幸いです。
それでは、53話をお楽しみ下さい。
聖獣の名前を、先輩である英二の名前を付けようとした悠斗。
「あ、あの~・・・さ、流石にその名前は・・・?」
ミスティは背中に冷たい汗が流れていくのを感じていた。
「なぁ~、主・・・なんやろ?なんかものごっつい拒否反応示すんやけど?」
一同が「うーん」と、唸っていた。
「・・・だ、駄目か?」
悠斗はとても残念そうにしていた。
(名前ね~・・・あぁ~・・・面倒臭いなぁー!)
「なぁ、聖獣?」
「はい?」
「もう・・・イ◯バさんとかマ◯モトさんとかじゃ、駄目か?」
聖獣は顔もモフっていてよくわからないが・・・
こめかみが「ヒク」ついていた。
「なぁー主よ・・・一言言わせてもらってええかなー?」
「ま、まぁ・・・別にいいけど?」
聖獣は大きく息を吸うと・・・
「あのな~主~。ワシはどこぞのロックバンドかいなっ!!
好きやで?確かにワシも好きや・け・ど・なっ!
そこに手~出したら、流石のおてんとうさんも許さへんでっ!」
一同は「ポカーン」としていたが、悠斗だけは腹を抱え笑っていた。
「あーっはっはっはっは・・・・」
「な、何がおかしいねんなっ!」
「い、いや~・・・まさか知っているとは思わないじゃんっ!」
悠斗は満面の笑みを浮かべていた。
その様子を見ていた女連中達は・・・
(ゆ、悠斗様があんなに大声でっ!)と、ミスティは感動し、
(ユ、ユウト様・・・その大笑いするお姿も素敵ですわ♪)
と、ミランダは何故か涙目になり、
(ユウト様・・・初めて声を上げて笑う姿を見たけど・・・
・・・す、素敵だわ♪)
三人は妄想の世界に旅立ってはいたが・・・・
一人はある意味、現実主義だった。
「・・・ユウト様のポンコツが進化したのにゃゃゃ!!」
と、セルカは何故か拝んでいた。
そんな空気を切り裂くように聖獣が冷たい声で・・・
「なぁー主、まじでどないしますん?」
悠斗も流石にジト目で見られたじろぐと・・・
「うーーーん。そうだな・・・」
(俺・・・ネーミングセンスゼロなんだけどな・・・
白いから・・・シロ?いやいや・・・むしろ黒?
んー・・・。まじわかんねー・・・・あっ!!)
「なぁ・・・俺の名から一文字あげるよ」
悠斗の言葉にジト目からにんまり顔になると、
尻尾の揺れが超加速した・・・。
「ほ、ほんまにええのんか?主の一文字もらえるんか?!」
「あ、ああ・・・」
聖獣の食付きにドン引きしている悠斗だが、
あまりに嬉しそうにするので頬が緩む。
「お前の名前は・・・白斗だ・・・どう?」
「うおぉぉぉっ!!まじかぁぁっ!やったーっ!ほんまに嬉しいわ~♪
さっすが主~♪ええセンスしてるわ~♪」
聖獣改め白斗はテーブルの上を駆け回る。
全員がその喜びようを見て、頬が緩んでいた。
暫くすると食堂のドアが開いた・・・
「やあ、みんな・・・お邪魔するよ?」
「お邪魔しまーす」
入ってきたのラウルとアリエルだった。
「よっ!ラウル。一体急にどうしたんだ?」
「どうしたんだ?って・・・それを君が言うのかい?
全く・・・君は恐ろし天然ぶりだな・・・
でも、君が目覚めてくれて良かったよ。安心した」
悠斗は何を言われたかあまりわかっていなかったが
愛想笑いだけはしておいた。
「・・・ま、まあ、いいけどさ。
コホン、僕が来たのは今回の件についてだよ」
ラウルとアリエルは椅子に座ると話始めた。
「カロンの聴取である程度わかった事があるので伝えに来た」
ラウルとアリエルは出された紅茶に口をつけると、話を続けた。
「前置きはいらないよね?」
ラウルの言葉に全員が頷くと・・・
「はっきり言うけど・・・神の中に裏切り者がいる」
その言葉に全員に動揺が走る。
「そ、それは本当なのですか?な、何かの間違いなのでは?」
ミスティもラウルの言葉が信じられずに居たが・・・
「落ち着け、ミスティ・・・これは紛れもない事実よ。
私もカロンの口から聞いたから間違いないわ。
でも・・・私だってまだ、信じられないでいるわ」
アリエルも未だに信じていいものか迷っているようだった。
「で・・・?」
「えっ?・・・で・・・?っと、言うのは?」
悠斗の言葉に首を捻るラウル。
「えっとさ・・・それは俺と何か関係があるのか?って事なんだけど?」
「あ、ああ~・・・そう言う事か。
そうだな・・・今のところ関係はない・・
勿論、断言をする事はできないけれどね?」
悠斗は座ったまま背伸びすると、話を続けた。
「その言い方だと・・・いずれ俺もその件に嫌でも関わるって事?」
「そ、そうなる・・・と、僕は見ているのだけれど?」
「だろうな。あの目玉の件と神の中に裏切り者が居るって話は
間違いなく繋がっていると思うしさ。
だからいずれ・・・あの目玉野郎とはやり合う事になるだろうな。
・・・やっぱり面倒な事になったな~」
悠斗の憂鬱そうな顔に、ラウルは座ったまま頭を下げた。
「す、すまなさい・・・悠斗君。
我々の問題にまで巻き込んでしまうとは・・・申し訳ない」
「ははは、気にするなって事は言わないけどさ、
俺の意思で此処に来たんだから・・・迷惑だなんて思ってないよ?」
「・・・君には頭が下がるよ。本当に・・・ね」
二人の緩んだ雰囲気に全員が沈黙して微笑んでいたのだが・・・
「あっ、そうそう!ラウル。こいつの名前決まったんだよ」
突然雰囲気を自らぶち壊す天然悠斗様は、
戦闘以外では、マジ空気が読めない男だった・・・。
「あ、ああ、そ、そうかい・・・今の空気読めてる?
あぁぁぁ・・・いやいや、読めてる訳ないよね?
あははは・・・つ、続けてくれたまえ」
苦笑に満ちたラウルの顔に陰が差す・・・そんな空気になったのだが・・・
「えっとさ・・・」
と、やはり読めていない悠斗の話は続いた。
「こいつの名前は「白斗って、名前になったから、
今後とも宜しくな?」
白斗は空気が読めるので、こんなタイミングで発表される苦しさが
表情に出ていた。
「あっ・・・えっと、なんかすんまへん・・・うちの主こんな感じで・・・
なぁ、主・・・ものごっつい、言いづらいわっ!
・・・・はぁ~・・・白斗言います。よろしゅうお願いします」
こんな空気の中自己紹介するはめになった白斗は、
白いのに真っ赤になっていた。
それを「にこにこ」と見ていた悠斗は・・・
「あははは、今の白斗は赤斗だね♪」
此処に居る全員が悠斗のセリフに心の窓ガラスが
「ピシッ!」っと、音をたててヒビが入った。
周りの空気がどうであろうと、戦闘以外は無能に近い男である。
そんな空気の中、ラウルは覚悟を決め悠斗に話し掛ける。
「ゆ、悠斗くん・・・ちょっと・・・外で話せないかな?」
「ん?ああ、別にいいけど?」
そう言って二人は出て行くと・・・
食堂の中ではある意味とんでもない会議が行われていたのだが、
今は・・・語るまい。
ラウルと悠斗は聖域を歩いて行く・・・
「なぁ、ラウル・・・何処まで行くんだよ?」
暫く歩き修練用の壁付近に来ると歩みを止めた。
そして振り返ったラウルの顔は、とても真剣な眼差しだった。
「ん?どうした?」
「悠斗君・・・君の力の事を聞きたいんだ。
勿論・・・話してくれるよね?」
悠斗は少し渋い顔をしたが、いずれ話そうと思っていたので
あっさり話す事にした。
「まぁー、ラウルが聞きたいなら話すけどさ。
何から言えばいいかわかんないけど・・・」
「じゃー、まず。気道の事だけど・・・
一之書・操術・六・月光の事からでもいいかな?」
悠斗は頭を搔き毟りながら微笑んでいた。
「あー・・・はっはっはっ。やっぱ分かっちゃうよな?」
「そうだね・・・あの力は君の世界でも異質過ぎるからね?」
「んー・・・とりあえず二人だけの秘密って事で」
「ああ、分かったよ」
悠斗とラウルは適当に選んだ岩に座ると話し始めた。
「昔まだガキの頃にさ、俺の祖父と二人で修行していたんだよ。
その時にさ、魔が突然現れてさ・・・俺を連れて行くって・・・さ。
じぃーちゃんは俺を守る為戦った・・・
引退こそしていたけど、うちの家系最強と言われていたじぃーちゃん・・・
でもさ・・・あっさりと俺の前で殺された。
実はあの時の記憶って・・・跡切れ跡切れなんだよ。
理由はわかんないけど・・・24歳になっても記憶はまだ完全には・・・」
ラウルはそこまて聞くと、紅茶を取り出し、悠斗に手渡した。
「君については僕も色々と調べたんだよ。
でもほとんど何もわからなかった。
そして日本で君を観察していたんだけど・・・
君は・・・人と関わり合うのが怖いのだろ?違うかい?」
ラウルの言葉に一瞬カップが止まってしまうが・・・
「あははは・・・ストーカーかよ。
そうだな~それはそうかもな。俺は皆とは違ってたからな。
身内にも化け物扱いされてたしな。
だけど兄弟達は違ってた・・・ちゃんと俺を見ててくれたよ。
・・・俺は兄弟と仲間には恵まれてたよ」
「それで・・・君の記憶と月光についてだけど?」
「ああ、本来の月光は違うんだ・・・どう言えばいいんだろ?
魔法で言う「認識阻害」になるのかな?
その言い方が一番近い気がする」
「へぇ~本来は認識阻害系って事なのか・・・なるほどね」
「それに使用できる条件ってのがあってさ、
それは「夜」である事・・・なんだ。
だから俺が使っている月光は、全く別物なんだよ」
悠斗はラウルにおかわりをもらうと・・・
「あの時・・・確かにじぃーちゃんは、俺に何かを言ったんだ。
だけど全然思い出せなくてさ・・・
魔も俺に何かを言って・・・うぐっ・・・」
悠斗はあの時の過去を思い出そうとすると、
頭を激痛が襲うのであった。
「だ、大丈夫かいっ!悠斗君っ!」
うずくまる悠斗にラウルは近づくと・・・
「だ、大丈夫・・・だ・・・。
無理矢理思い出そうとすると・・・ね」
「そうか・・・悪い事をしちゃったね?ごめんよ」
「あはは・・・慣れてる・・・から・・・問題ないよ」
少しフラつきながらも立上がると、また岩に座る。
「それとさ・・・瞳術の「渚」だけど・・・
あれはそもそも伝わってない技なんだ」
「いいのかい?そんな話を僕にして・・・」
「あっはっはっ。今更だろ?」
「ははっ、確かにそうだね」
悠斗は頭痛が治まると続きを話始めた。
「あの技は・・・恐らく俺の出生と関係しているのかもしれない・・・
前に聞いた事があるんだ・・・俺はどうしてみんなと違うんだっ!ってさ。
すると親父は・・・「先祖返り」って、ボソッっと言ったんだよね」
「やはりそうか・・・僕もそんな気はしていたんだよ」
「どう言う事だ?」
「日本で君の事を調べていたって言ったよね?
あれは君の過去を溯って調べたんだけど・・・
・・・ある年齢からの数年間の記録が何処にもないんだよ」
悠斗は首を捻っていた。
「・・・記録ってなんだよ?」
「日本で生を受けた者は日本でその者の記録が神によって記録されている。
しかし君は・・・3歳~5歳までの記録が何処にも見当たらなかった。
僕は当然その事について聞いてもみたけど、誰も知らないと・・・
ありえない事なんだ・・・個人の記録が紛失するって事は・・・
神としてありえない」
ラウルは深刻そうに俯き加減で話している。
「それにあの・・・赤銅色だけど。
どうしてあんな力が引き出せたんだい?」
「あ~・・・それさ・・・説明が難しいんだけど、
自分の中に眠っていたって言ったらわかりやすいかも・・・。
だけど、レベルが足りなかったし、そのカギの開け方もさ。
そんな時・・・属性の魔力達がイメージを俺に伝えてきたんだ。
そしてそれを突き詰めて行ったら・・・
「気道と魔導気の融合」って結論に達したんだ」
ラウルは顔を引きつらせると・・・
「あはは・・・よ、よくあの戦いの最中にそんな余裕が・・・」
「これも上手く言えなくて悪いんだけど・・・
ある一定の戦闘を上回るとさ、頭の中がクリアになるんだ。
だから出来たと思う」
「へぇ~そんな特技もあるんだね」
悠斗は目の先にある、壊れた壁を見ながら話した。
「なぁーラウル。俺の出生の事は誰にも言わないでくれ。
それと・・・俺は恐らく・・・あの目玉達と関わり合いがある。
その事も黙っておいてほしい」
「どうしてだい?話してもあの連中なら大丈夫だと思うけど?」
「・・・怖い・・・んだ。多分。だからさ・・・」
「なるほどね・・・わかったよ。
君の出生についてはミスティも少ししか知らないから
安心していいと思うよ」
「ありがとな」
「あははは・・・それくらい構わないよ」
ラウルは少し険しい顔をしながら話し始めた・・・
「悠斗君、君の新しい力はあまり使わないほうがいい」
「えっ?どう言う事だ?」
「あの力はまだ謎が多過ぎるよ・・・
僕はあの力が正直怖かったんだ。
だから約束してくれ・・・頻繁には使わないってさ」
悠斗は隠していても仕方がないと腹をくくり、正直に話した。
「ラウル・・・その約束は守れない。ごめん。
あいつらと戦う時、イチかバチかで使うモノではないはずなんだ、
だから少しでも慣れておかないと・・・
ただ、修練は積む・・・何事もそうだからね」
悠斗の言葉を聞いて、ラウルは悲しそうな顔をした。
その顔はとても悠斗にとって、印象に残った。
「わかったよ・・・悠斗君、もし君に何かあったら、
必ず僕達が助けるから・・・ただ、慎重に・・・その事は忘れないでくれ」
「わかってるよ。ありがとなラウル」
悠斗はラウルの事を信用していた・・・
だからこそ、正直に打ち明けたのだった。
すると・・・
「た、ただいま戻りました・・・悠斗様」
突然聞こえてきた声に「うわっ!」っと、大声を上げた。
その声に驚いたラウルに説明すると・・・
「ねぇ?月読様に僕も一緒に話せるように頼んでもらえないかな?」
悠斗が月読様に聞いてみると、すんなり承諾された。
「まずは挨拶をしなくてはね・・・
初めまして、月読様。僕はノーブルの創造神ラウルです。
これまでも、そしてこれからもきっとお世話になると思いますが、
今後とも宜しくお願いします」
ラウルは悠斗の中に居る月読様に頭を下げていた。
「ご丁寧な挨拶いたみいります。
私の名は月読、陰ながら悠斗様を守る者です。
こちらこそ、何かとお世話になると思いますので
宜しくお願い致します」
二人の挨拶が終わると・・・
「悠斗様・・・意識をなくされていたので伝えられなかったのですが、
解呪を習得致しました。おめでとうございます。
これで、あの女性の意識を取り戻せるでしょう」
悠斗は解呪を習得して喜んだ後、立ち上がろうとしたが・・・
「月読様・・・どうして貴女が悠斗君を守護しているのか、
その事は話して頂けないのですか?」
ラウルは悠斗の背後に目を向けていた。
「・・・はい。その時が来たらお教え致します」
「わかりました。その日をお待ちしております」
ラウルがそう言うと、悠斗におどけて見せた。
「なぁ~月読様・・・そんな頻繁に出てきて大丈夫なのですか?」
月読は「クスッ」っと笑うと・・・
「嫌ですわ。そんな他人行儀な・・・月読とお呼び下さい」
「わ、わかりました・・・」
悠斗もラウルにおどけて見せると、二人して笑っていた。
「私の神力の問題でもありますので、頻繁に・・・と、いうのは
無理ですね。申し訳ありません」
゛「あははは・・・そんなに気にしなくていいからさ、
もっと気楽に行こうよ・・・月読」
「はい。私もそう致します。悠斗様」
そして二人は一通り話し終えると、食堂に戻って行った。
ラウル ・・・ ふむ、今回は悠斗君の話が少し聞けて僕は嬉しかったよ♪
ミスティ ・・・ あまり御自分の事をお話になりませんものね・・・
ラウル ・・・ きっと、面倒臭い・・・そんな感じだと思うんだけどね♪
ミスティ ・・・ ふふ♪これから先もきっと、お変わりにはなられないのでしょうね♪
ラウル ・・・ 悠斗君らしくていいじゃないか♪
ってなことで、緋色火花でした。




