45話 女神達の思惑
お疲れ様です。
45話ですね~・・・
此処からとんでもない事になったりします。
不快な表現が多々ありますが
温かい目で見守ってください。
ブックマークや感想など宜しくお願い致します。
評価も頂けたら幸いです。
それでは、45話をお楽しみ下さい。
「で・・・ミスティ。この方達は?」
悠斗の目の前には、跪きうつむいている者達が居た。
「あ、ああ~・・・そちらの方達は、一応・・・神ですわ」
「ん?一応神って?」
「このゴツイ男・・・名を武神カロンと言うのですけど・・・」
ミスティは言いかけたまま、跪くカロンを見下ろしていた。
「ん?言うのですけど・・・の、続きは?」
「ありませんわ。神でなくなる者に、
悠斗様が気になさる事などございませんわ」
流石に悠斗もミスティの変貌ぶりには驚いた。
「ど、どうしたのさ?俺で良かったら話くらいは聞くけど?」
ミスティは悠斗の話に、ゆっくり首を振る。
「今はその様な事をしている時間はありませんわ♪」
ミスティは自分の中で何かを割り切ったのか、
いつも通りの笑顔になっていた。
「でさ・・・。紹介の続きをお願いしてもいいかな?」
「はい♪かしこまりました」
ミスティは跪くアリエルの元へ行くと・・・
「この神は、魔法神・アリエル・・・以上です♪」
ミスティの紹介が速攻で終わると、
一同が「ガタッ」と、再び「コケ」るのであった。
「いやいや、ミスティ・・・流石にわからないからね?」
アリエルもまた、「ワナワナ」と体を震わせていた。
(だよな~、そんな紹介の仕方されたら俺だってな~)
悠斗は神の心情を思い声を掛ける・・・。
「あ、あの?アリエルさん・・・ミスティも悪気があって・・・」
悠斗が片膝を着き、アリエルの様子を伺おうと
屈んで顔を見ると・・・
「ぐはっ!」
(よ、喜んでるっ!よ、喜ぶ要素なんてあったか?)
悠斗が屈んだまま驚愕していると・・・
「悠斗様・・・このアリエルは・・・ただのヤンデレなのです」
「・・・はぁ?」
「皆さんも驚きの事とは思いますが、
これ以上皆さんの大切なお時間を割く訳には参りません。
よって、このまま受け持つ担当の者を決めますので
その者の指示に従い訓練なさってください。
・・・話は以上です」
ミスティは的確な指示を与えていく・・・
「悠斗様とオウムアムアはカロンが着きますので、
とても嫌だとは思いますが、どうか堪えてやってくださいね♪」
「「は、はい」」
「カロン・・・わかっていますわね?」
「あ、ああ・・・しっかりやって見せますよ」
(・・・見てろよ)
「宜しい・・・」
ミスティは悠斗にお辞儀をすると、そそくさと退出した。
イリアにはミスティが担当となり、セルカにはアリエルが、
そして、悠斗とオウムアムアにはカロンが担当者となった。
「えっと・・・カロンさん。宜しくお願いします」
「カロン殿ご無沙汰しております。本日は宜しく頼みます」
カロンは不機嫌だったが、今後の挽回のチャンスを考えると
ここはどうしても成果をあげないといけなかった。
だが・・・。
「お、俺は武神・カロンだ・・・宜しくな」
「はい。俺は神野 悠斗です。宜しくお願いします」
「我は・・・オウ・・・」
「亜神・・・お前は知っているから自己紹介はいらねぇー」
「は、はい」
カロンは悠斗を睨む・・・
(コイツがユウトって人族か・・・ちっ!てめぇーのせいでっ!)
カロンは今の自分の現状を悠斗のせいにしていた。
(・・・どうして俺、睨まれているんだ?何かやったっけ?)
カロンは二人を連れて外へ出ると・・・
「なぁ、ミスティさんよー。
こいつらの指導は俺に任せてくれるんだよな?」
「ええ、全てお任せ致しますわ」
「わぁーった」
(フッ。任されたぜ・・・全てな)
カロンがミスティの横を過ぎ去る時、
ミスティの目はとても鋭かった。
(悠斗様・・・お気をつけて・・・)
カロン達はミスティ達から少し離れて陣取ると・・・
「ユウトと言ったな?」
「はい」
「お前は魔力制御ってどこまでできんだよ?」
「何処までって・・・」
悠斗が説明に苦しいんでいると、オウムアムアがフォローしてくれた。
「カロン殿、悠斗様は・・・」
オウムアムアが説明しようとした時だった。
「ドスッ! 」っと、カロンの一撃がオウムアムアの腹に決まった。
「ぐはっ!グッ・・・い、いきなり何を・・・?」
悠斗は突然の出来事に動けなかった。
「亜神・・・貴様には聞いてねぇ」
「は、はい」
悠斗はオウムアムアに対する仕打ちが気に入らなかった。
だが悠斗はオウムアムアを助けなかった。
(これはカロンの挑発だよな・・・すまんなオウムアムア
助けてやれなくてさ。
今、動いたらカロンの思いのままになりそうだしな)
悠斗は目でオウムアムアを気遣うと、オウムアムアも軽く頷いた。
(師匠、やはりこうなりましたな?
今は我慢の時・・・しばし耐えられよ)
カロンは動く気配がなかった悠斗に、心の中で舌打ちしていた。
(ちっ!この野郎!全然動かねぇーな。
ビビって動けなかった可能性はあるな・・・
これからもっと、指導・・・してやるぜ)
カロンが背中を見せた瞬間、笑っていたのを見逃さなかった。
(・・・てめぇ・・・きっちり借りは返すからな)
悠斗達がカロンの指導を受けている頃。
ミスティとアリエルはカロンの仕打ちに気付いていた。
(ねぇ、ミスティ・・・てめぇ・・・カロンのヤツ放っといていいの?)
(ええ、悠斗様もこれから忍耐の見せ所ですわね♪)
(放っとくつもりなの? ユウトって子・・・潰されちゃうわよ?)
(ふふ♪悠斗様ならきっと大丈夫よ♪でも何かあれば・・・
その時はアリエルも宜しくね?)
(わかってるわよ♪その為に私も来たのだから・・・
ラウル様の思っていた展開になりそうね?)
(そうね・・・ラウル様は何処まで見通しているのかしら?)
念話をしながらアリエルはセルカを指導していく・・・
「いいかな~?まずはセルカちゃんだっけ?
貴女の器を知りたいから~両手を出してもらえる~?」
(にゃっ!全然第一印象と違うのにゃ!)
セルカはアリエルの変わりように手を出しそびれると・・・
「てめぇ!さっさと両手を出せっつーんだよ!」
「にゃっ?!」
口調がいきなり変わり固まってしまうセルカ。
「しょうがねぇーなぁー!てめぇーはよぉー!」
アリエルに無理矢理両手を掴まれると・・・
「いいかぁー?まずは私が魔力をてめぇーの中に流すから
体中周り切るまで目を開けるんじゃねぇーぞー? 」
「はいにゃっ!アリエル先生!宜しくお願いしますにゃっ!」
アリエルはセルカの返事に「ジーン」と心に響くと・・・
「は~い。そろそろ流しますね~♪行きますよ~ ♪」
(せ、先生?うおっほーいっ!先生発言頂きましたっ!)
こんな調子で指導されるセルカは全耐久値が
バランスよく勝手に上がるのだった」
そしてミスティとイリアの方は・・・
「はい、それじゃーまず・・・
イリアさんの魔力量を増やすところからですわね?」
「えっ?ミスティ様・・・魔力制御なのでは?」
「イリアさん・・・ミスティ先生・・・ね?」
「は、はい・・・ミスティ先生」
「ふふ♪」
イリアを楽しそうに見つめるミスティは
とても機嫌がよかった。
「先程の質問だけどね。貴女、精霊鑑定使った時、
ごっそりと魔力を持っていかれたわよね?」
「はい。およそ80%は持っていかれたかと・・・」
「その調子ですと、悠斗様にご負担がかかりますわ。
ですから、まずは魔力量を増やすところから始めたいと思います」
「はい。ミスティさー・・・先生」
「ふふふ♪大変よく出来ました♪」
ミスティとイリアは「ふふ♪」と笑い合うと
魔力量を増やす練習に突入するのであった。
そして・・・カロン達・・・
「あー。まずはよー。ユウト・・・全身に魔力流してみろ」
悠斗は立上がると、支持された通り、魔力を全身に流す。
「これくらいならっと・・・」
悠斗は目を閉じ全身に魔力を流した。
「ボコッ!」突然悠斗の腹に痛みが走った。
「くっ・・・なっ、何故?」
カロンはくの字に曲がった悠斗を突き飛ばすと・・・
「くっ!」
「おっとすまねぇ・・・しかしよーユウト。
てめぇーが悪いんだぜ?誰がそんな大量の魔力を流せって言ったよ?
俺は全身に少し纏うくらいの・・・って言ったんだぜ?」
(・・・そう・・・きたか。オウムアムア今は耐えろよ?)
あきらかに話が違っているので、オウムアムアが立上がると・・・
「てめぇーはすっこんでろっ!」
突然蹴られたオウムアムアは壁に激突する。
「おおっとすまねぇ・・・つい力がな・・・はっはっはっ
亜神よ~・・・あまり強く蹴ってねぇーから大丈夫だよなー? 」
痛みを堪えながら立上がると・・・
「はい。我は大丈夫です」
オウムアムアは無意識にカロンを睨みつけようとしたが、
視界に悠斗が入った為、悠斗を見る事で堪える事ができた。
(ほ~・・・この人族。これでも動かねぇーのか?)
悠斗は立上がると・・・魔力を少なく全身に纏わせるつもりで
少量を巡らせていく。
だが魔力に不慣れな悠斗にそんな技術はない
「おらぁーっ!もっとしっかりやれよー!」
失敗する度に殴られ、蹴られ・・・それでも悠斗は堪える。
(ちっ!こいつ・・・まだ堪えやがるのかっ!)
悠斗とオウムアムアの忍耐合戦は続いていく・・・。
カロンは気付いていないだろうと、好き勝手を始めていく。
(ね、ねぇ・・・ミスティ・・・あの子大丈夫なの?)
(そうね。これくらいならまだ・・・)
(で、でもー!カロンのヤツ・・・どうしてこんな事を!)
(理由は簡単よ・・・。ラウル様の激怒を買い、
神の資格を剥奪の上、神界追放となったのは、悠斗様のせい・・・
とてもわかりやすい構図ですわね)
(ちょっと!何冷静に分析してるのよー!あの子がっ!)
(大丈夫・・・まだ大丈夫ですわ・・・)
ミスティとアリエルは証拠を確保するため、
召喚魔法を使い、記録させているのだった。
だが・・・ミスティもアリエルも拳に自然と力が入っていた。
「にゃー!アリエル先生!次は何をするのにゃ?」
「そうですね~・・・中々飲み込みが早いし~
センスも感じちゃうので~・・・そうね・・・
セルカの魔力量を「ババーンッ!」と、上げちゃうかっ!」
口調が急に変わったアリエルを見て・・・
(く、口調が急に変わったのにゃぁぁ!珍しい神様もいるのにゃ?)
「でさー。どーやって上げるかってーとな?
魔力を最大威力で放出させてだなー・・・」
「放出って・・・私は魔力は少にゃいから、
長くは放出できないのにゃ」
アリエルは気持ちの悪い笑みを浮かべると・・・
「ふっふっふっ!気にすんじゃねぇー!
そんな事はわかってんだよ~!いいからヤレっつーのっ!」
「・・・はいにゃのにゃ!」
セルカの修練は激しさを増して行った
そして今度はミスティとイリア組。
「せ、先生・・・もう・・・ま、魔力が・・・」
「ふふ♪ダメよ~?私に嘘は付けないわよ?
まだほんのすこーしだけ残っているわ♪」
「そ、そんな?・・・まだ残っているはずないです」
「いいから?言われた通りにやってみなさい♪」
「はいっ!」
ミスティはイリアの目がまた強く光っているのを感じていた。
「貴女まだ魔力が残っているわ。それをただ、感知できていないだけ。
だからもっと深く・・・意識を内側に向けるの。
そう・・・もっと深く・・・真っ暗な場所にソレはあるわ♪」
イリアはミスティに言われた通り、意識を内側へ向ける。
深く・・・より深く・・・そしてミスティの声が届かない・・・
そんな場所に、青くゆらゆらと揺らめく魔力を見つけた。
(き、綺麗・・・こ、これが私の魔力?
こんな魔力今まで・・・まるで青い炎みたい・・・)
自分の奥底に隠れていた魔力に意識が触れると・・・
イリアの青い魔力が吹き出してきた。
それを見たミスティは驚く・・・
(えっ?こ、こんなに?わ、私が見誤るなんて・・・そんな!)
イリアは吹き出した魔力を体に巡らせ馴染ませていく・・・
(わかるわ・・・これが私の本当の魔力なのね・・・)
今まで使用していた魔力は、イリアにとって、ほんの上澄みだった。
(ふふふ♪この子も私を楽しませてくれるのね?)
ミスティもまた、ご機嫌だった。
そして再びカロン組。
何度も失敗し、全身が軋むほど体罰を受ける悠斗。
「てめぇーは本当に凝りねぇーな? このクズ野郎!」
地面にうつ伏せになったまま動かない悠斗を見たオウムアムアは・・・
(ま、まだ耐えられるのですか?貴方という御方は・・・
な、何故それほどまでに・・・?)
オウムアムアはカロンに願う。
「カロン殿・・・せめて悠斗様にヒールをっ!」
「はぁ?亜神・・・何様のつもりだ・・・恥を知れっ!」
「し、しかし・・・このままではっ!」
カロンはいつまでも挑発に乗ってこない悠斗に苛立っていた。
「うるせぇーっ!」
カロンはオウムアムアを蹴り飛ばす。
ヨロヨロと立上がるオウムアムアは
再びカロンに懇願する。
「ピクッ」っと、悠斗の指が動くと土を掴みながら立上がる。
「ゆ、悠斗様っ!」
悠斗の元へオウムアムアが駆け寄る。
「だ、大丈夫なのですか?」
「はは・・・だ、大丈夫・・・に・・・決まって・・・んじゃん?」
オウムアムアに支えられ、やっと立っている状態だった。
「カロン殿・・・もうこれ以上は・・・」
「はぁ?これくらいで終わる訳ねーだろ?」
「し、しかし・・・悠斗様はっ!」
「てめぇーさっきからいいかげんにしろよ?」
オウムアムアはもう怒りの限界だった・・・
そしてカロンに飛びかかろうと腕の筋肉が「ピクリ」と動いた瞬間。
「ちょっ・・・と、待て・・・」
悠斗が力の入らない手で、オウムアムアを制した。
「ゆ、悠斗様!」
「あー・・・お、俺は・・・まだ・・・ま・・・だいける」
「さ、流石にもう!」
「まぁー・・・まか・・・せろ
って言うか・・・は、話し方が・・・りゅ、流暢になってるぞ?」
「い、今そのような話は・・・」
「あはは・・・」
オウムアムアは何も言えず、ただ・・・悠斗を座らせるしかなかった。
悠斗がカロンを見る目は・・・まだ死んでおらず、
それどころか、妖しく光る輝きが奥底で時を待っているようだった。
ラウル ・・・ ふむ・・・なんだろう?
ミスティ ・・・ いかがなされましたか?
ラウル ・・・ 今回の話・・・重いね?
ミスティ ・・・ はい。
ラウル ・・・ まぁ、君の気持ちを考えたらちょっとね
ミスティ ・・・ ご配慮有難う御座います。
ラウル ・・・ まぁー基本的には僕のせいなんだけどね?
ミスティ ・・・ ラウル様は何処までお見通しなのですが?
ラウル ・・・ そうだな・・・。「まるっと?」or「ごりっと?」
ミスティ ・・・ 伝わりにくいですわね。
ラウル ・・・ そういう時代なのかね~ ・・・orz
ってなことで、緋色火花でした。




