44話 それはそれっ、これはこれっ
お疲れ様です。
44話です。
今回の話は・・・U・O・N・・・
ある意味、悠斗にとっては謎の組織ですW
それと・・・この度評価してくださった方達に感謝します。
モチベーションが上がった事が自覚できました^^
これを糧にこれからも頑張って行きたいと思いますので、
今後とも応援宜しくお願い致します。
ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。
評価などもして頂けたら、幸いで御座います。
それでは、44話をお楽しみ下さい。
(今、俺とオウムアムアは食堂に居る・・・
無口なのはとても有り難い。うん、有り難いのだが・・・
何も話さない・・・ずっと、俺の横に居る・・・ただ居るだけだ)
悠斗はあまりの無言時間に痺れを切らしていた・・・
「なぁ・・・オウムアムア?」
「はっ!何か御用でしょうか?」
「いやー・・・オウムアムアさ、そうじゃなくてさ・・・
何か話でもと思ったんだけど?」
「話ですか?はい。我はいついかなる時も、
師匠に従いますれば・・・」
悠斗は肩をがっくりと落とし、途方に暮れていた・・・
暫くすると、イリアとセルカが戻ってきた。
「ふぅ~。スッキリしたわ~♪温泉ってこれだから♪」
「そうだにゃ~♪生き返ったにゃ~♪」
食堂に戻ってきたイリアとセルカは上機嫌だったのだが、
食堂に入ったとたん・・・
「な、何?こ、この雰囲気は・・・?
ねぇ、ユウト様・・・何かあったのですか?」
イリアとセルカが戻ってきても、がっくりと肩を落とした悠斗と、
微動だにせず、姿勢良く座るオウムアムアの姿があった。
「ユ、ユウト様?い、一体にゃにがあったのにゃ?」
沈黙が続く部屋の中で・・・男が二人・・・。
(二人共・・・おせーよっ。2時間も入っているのか?
一体何処を洗うんだよ・・・やれやれ・・・)
悠斗は心の底から湧き上がる気持ちを押さえられなかった。
「イリア・・・セルカ・・・」
消え入りそうな小さな声で二人の名をつぶやくと・・・
「はい?どうかしましたか?」
「どうしたのにゃ?」
「うぅぅぅぅ・・・お前ら・・・
いつまで風呂に入ってんだよぉぉぉ!!」
悠斗の心の叫びが爆発したっ!
「にゃんにゃゃゃ??」
「はいーー??」
「お、おせーんだよ。お前らっ!
2時間だぞ?2時間も何をやっていたんだぁぁぁ!!」
オウムアムアの無言に絶え続け、
風呂待ちで2時間待った悠斗にとって我慢の限界だった。
「だいたい何だ・・・ラウルのヤツっ!
どうして男と女を分けなかったんだっ!
ありえないだろ?ありえねぇーよなぁぁぁ!!」
あまりの迫力に頷く事しか出来ないイリアとセルカ。
「よしっ!女共!上がったな?上がったんだな??
ならばっ!行くぞ!オウムアムアッ!」
「はっ!お供致しますっ!」
物凄い迫力を醸し出しながら席を立つと走って出て行く。
イリアとセルカは口を開けたまま、
悠斗達が消えて行った入り口を眺めているのだった。
「ね、ねぇ・・・迫力に負けてよくわかんなかったんだけど
つまり・・・どう言う事なの?」
「にゃ?!そ、それを私に聞くのかにゃ?」
「「・・・・・」」
食堂は再び沈黙の部屋と化していた。
少しの間沈黙の拘束から逃れた二人は、
イリアが紅茶をいれ、二人でお茶を楽しんでいた。
ふと、セルカは真剣な表情で相談してきた。
「にゃーイリア?さっきのあの模擬戦をどう思ったのにゃ?」
「えっ?いきなり、どうしたの?」
「わ、私は、とても怖かったのにゃ・・・体の芯から・・・」
セルカは模擬戦を思い出したのか、体が少し震えていた。
「私も正直怖かったわ。でもね・・・私には目的があるの。
異形の魔を倒すと言う目的がね?
だから・・・こんな所で挫ける訳にはいかないの」
「そ、そうだったにゃ・・・嫌な事思い出させてしまったにゃ。
ごめんにゃさいなのにゃ」
セルカの申し訳無さそうな顔に、頬を少し緩めると・・・
「私は弱いわ。だから頑張るしか出来ないの、だから・・・」
「わ、私はっ!・・・異形の魔と戦える自信はにゃいにゃ。
だけど・・・きっと・・・きっと・・・
にゃにかは出来るはずにゃ・・・」
イリアはセルカが無理矢理奮い立たせている姿に
自分自身を重ねていた。
「セルカ・・・私もこんな事を言ってるけど、
ユウトに出会う前の私は、ただ強がって倒すって言ってただけ。
だけどね、ユウトと出会って色々あって気付いたの。
ユウトと・・・この人と一緒に居たら、私も強くなれるって。
だからきっと、セルカも・・・」
イリアはセルカを真っ直ぐ見ていた。
自分の弱さを認めて、それでも前へ・・・
その意志がセルカにも伝わっていた。
「イリア・・・私はずっと一人で生きてきたにゃ。
そこらへんの冒険者には負ける気はしにゃいのにゃ。
だけど、ユウトが立ち向かう相手は・・・次元が違うにゃ・・・
でも・・・イリアの意志の強さを私は見習うにゃ!
私だって、もっと、もっと・・・強くなるのにゃ!」
セルカの言葉に力が戻ったのを感じたイリアは
セルカに力強く頷いて見せた。
「セルカ?二人でユウトの力になれるように頑張ろうね♪」
「わかってるのにゃ!子孫繁栄の為に私も気合入れるのにゃ♪」
「・・・・・・」
「にゃ?どうしたのにゃ?」
イリアをよく見ると、眉毛が「ピクッ」っと、動いていた。
「セルカ・・・今・・・なんて言ったのかしら?」
「にゃ?私はにゃにか変にゃ事言ったのかにゃ?」
「・・・・子孫繁栄って、何?」
「それはユウトと結ばれて、子供を沢山作って、
私の種族をたーーくさん作るって事なのにゃ~♪」
イリアから「ピリピリ」とした殺気を感じた。
「に、にゃ?イ、イリア・・・ま、待つのにゃ!
は、はにゃし合えばわ、分かる事にゃのにゃ!」
「セルカァー・・・?
一度ちゃんと話し合わないと、いけないようね?」
「は、はにゃすって・・・な、なんなのにゃ?」
「ふっふっふっ・・・分かるわよね?」
「も、もしかして・・・ユウトとの事にゃの・・・かにゃ?」
「他に何があるってーのよ?」
「イ、イリア・・・すごくこ、怖いのにゃ」
「話し合う・・・わよね?」
「は、はいにゃのにゃ」
こうしてイリアとセルカは・・・
「第1回悠斗の女になる会(Y・O・N)」サミットが
悠斗の知らない間に行われるのであった。
その頃、温泉に行った天然と木偶の坊は・・・
(かぽーん)
「あぁ~~まじで生き返るわ~♪なぁ、オウムアムア?」
「はぁ~師匠・・・誠に生き返りますなぁ~♪
これが師匠の居たニホンブンカですか~素晴らしいものですな~」
「俺が作ったんじゃないんだけどね・・・
(かぽーん)
(あー・・・。コーヒー牛乳が飲みたい)
と、のんきに温泉を満喫中だった。
再び食堂である。
「だーかーらー!普通にアプローチしてもユウトには
通用しないんだってばっ!」
「にゃぁ!どうすればいいのか考えるのにゃっ!!」
「それがわからないから、こうして話しているんじゃないっ!」
「にゃっ!い、いい事思いついたにゃっ!」
「な、何?!」
「にゃっはっはっ!よ、夜這いにゃぁぁぁ!!」
「しーっ!!声がでかいわよっ!」
イリアは慌ててセルカの口を塞ぐと、周りを確認する。
「ふぅ・・・だ、誰にも聞かれてないわね?」
「ご、ごめんなのにゃ」
「よ、よよよ夜這いって・・・ど、ど、どうするのよ?」
「にゃ?イ、イリアって・・・まさか・・・にゃ??
まだ・・・け、経験が・・・?」
言葉の意味がわかったイリアは、顔を真っ赤に染め上げていた。
「い、意外・・・だったのにゃ・・・
イリアは年齢はいくつなのにゃ?」
「え、えっ?・・・128歳ですけど・・・何か?」
「にゃ、にゃるほど・・・でも、もう経験があってもいいお年頃なのにゃ」
「えっ・・・だって、相手とかい、居なかったし・・・」
「にゃははは。思っていたよりも「うぶ」なのにゃ♪」
「うぅっっ・・・だって・・・」
「にゃはははは!」
女同士の下世話な会話は華開いていた・・・
そして温泉では・・・
(かぽーん)
「あぁ~・・・そろそろ上がるかぁ~♪」
「そうですね~師匠・・・上がりますか~♪」
「特訓終わったら、また入ろうぜ~♪」
「はっ!その時は是非っ! 我も♪」
「OK~♪」
(かぽーん)
(あー・・・フルーツ牛乳もいいなぁ~♪)
と、天然と木偶の坊は、癒やし空間から出るのであった。
そして再びY・O・Nの会場では・・・
まだ開いた華は満開中だった・・・。
まさに・・・女心と秋の空。
「それはそれっ、これはこれっ」・・・の、超論理である。
「ふふふ♪その手もいいわね~♪」
「そうにゃ♪この手にゃらきっと・・・にゃははは♪」
そんな満開中の部屋に・・・殺気めいたモノが立ち込める
「?!」
イリアとセルカは椅子から離れ剣を抜いた。
「だ、誰??・・・出てきなさいっ!」
「出てこにゃいと・・・首を落とすにゃっ!」
緊張が走り、セルカの喉が「ゴクリ」と鳴った。
すると・・・
「ふふふ♪ただいま~って言いたいのは山々なのだけれど・・・
貴女達・・・一体何を話していたのかしら?」
威圧・・・ではなく、紛れもない殺気が、二人を苦しめる。
「さぁ・・・洗いざらい話して頂きましょうか?」
そう言って現れたのは、ミスティその人・・・
いや、その神だった。
「「ミ、ミスティ様・・・」」
ミスティは、指を「パキポキ」鳴らしながら歩いてくる。
「で・・・何を話していたの?」
ミスティの殺気に、いとも簡単に話の内容を洗いざらい話す。
話し終わった瞬間・・・ミスティの顔が「パアァァッ」と、輝いた。
「そ、それは素敵なサミットですわね~♪
是非っ!私も参加せねばなりませんわね♪」
イリアとセルカは顔をしかめると・・・
「何か・・・?」と、威圧を放つ。
「い、いえ・・・ミスティ様に入って頂けるとは、
ま、誠に光栄で御座います」
「にゃっ!!」
「ふふふ♪宜しいですわ♪私も貴女達の真の仲間と為るのですね♪」
「「・・・・・・・・」」
そんな会話をしていた時・・・
「おいっ!ミスティさんよー。いいかげん中に入ってもいいか?」
「?!」
「そうよ・・・いつまで馬鹿な話をしているのよ」
部屋の中に入って来たのは・・・
武神・カロンと魔法神・アリエルだった。
※ 魔法神・アリエル あらゆる魔法を司る神。
神界樹を守護し、神界樹で作られた杖、アリス・タルコスを所有する。
その破壊力は、魔王をも一瞬で倒す。
胸はないが頭脳明晰のエリートで、気にいった者には、
過度な加護を与えてしまう。神界ではヤンデレ代表格である。
因みにだが・・・背はかなり低くロリッ娘に見える。
「なぁーミスティさんよー。用がないなら帰りたいんだが? 」
「私はお前がどうしてもと頼むから来てやったのだぞ?」
ミスティは振り返ると二人の神を睨みつけた。
その威圧に二人の神は震え上がり跪くと・・・
「カロン・・・貴方を連れてきたのは、
ラウル様に「どうしても」と、言われたからですわ。
本来なら・・・神で無くなる貴方に用は御座いません」
ラウルからカロン達の事を聞いたミスティの威圧は容赦なかった。
「わ、わかった・・・す、すまねぇ」
(許さねぇ・・・)
「そして・・・アリエル・・・誰も貴女に頼んでませんわ。
嫌なのでしたら・・・早々に消えなさいな」
「・・・・わ、悪かったわ・・・ご、ごめんなさい。
で、でも、魔法の先生役がいるのでしょ?
わ、私が適任じゃないかなぁ~って・・・」
ミスティはアリエルに対しても威圧する。
「ねぇ、そこのロリッ娘・・・消しますわよ?」
「うぅぅっ・・・私は貴女の手で・・・け、消されるのね
つ、つまり、そ、それは・・・死♪うふっ・・・うふふふふ♪」
アリエルの顔が歪み惚けた顔をしていた。
「あー。そうでした。こんな事を言ったら・・・喜んでしまうのでしたわ」
額を押さえ反省していたミスティだった。
「で・・・。ミスティさんよー?俺達は何をすればいいんだ?」
カロンの言葉に睨みを効かせると・・・
「・・・俺達は何をすればいいのでしょうか?」
「・・・それで宜しいですわ」
(今に見てろよ・・・女狐)
イリアとセルカはミスティの変貌ぶりに驚いていた。
「ねぇ、ミ、ミスティ様・・・一体どうしたのかな~?」
「わ、私に聞かれても、分かる訳ないのにゃ!」
二人は囁くように話していた。
その囁きが聞こえたミスティは・・・
「よいですか?貴女達・・・
この二人に魔力制御の特訓をしてもらいます。
二人共・・・いいですわね?」
ミスティの言葉が威圧と一緒にのしかかる。
「「はいっ!」にゃ!」
「宜しいですわ。いいお返事です♪」
ミスティは会話が終わると辺りを見回す。
「あら?悠斗様は?」
慌てたように悠斗を探すミスティは、
先程とは打って変わっって乙女モードになっていた。
跪いたまま、ミスティの変わりように戸惑う二人の神。
「おいっ!どうなってんだよっ!」
「し、知るかっ!私の方が聞きたいわっ!」
優しく気高く厳しいミスティしか知らない二人の神は、
乙女モードのミスティを初めて見たのであった。
「あ、あのミスティ様、ユウト様は温泉に・・・」
イリアがミスティに話した時・・・悠斗達が戻ってきた・・・
「ただいま~・・・あれ?またお客さんですか?」
「我・・・戻った・・・ん?」
ミスティは悠斗の声が聞こえると、華やいだ顔で出迎えた。
「おかえりなさいませ、ご主人・・・い、いえ、悠斗様」
(い、今・・・ご主人って言った?ねぇ・・・言ったよね?)
何故か悠斗は体から血の気が引いていた。
そしてイリアとセルカも・・・
(はい??ご主人って・・・?ご主人って言った??)
(にゃんとぉぉぉ!!ご主人発言にゃぁぁ!!
流石ミスティ様・・・私達とは違う次元におられるのにゃ!)
そして・・・跪いてる二人の神は・・・・
言葉も出ず、ただ・・・汗がだらだらと流れていた。
(あー・・・。もう一人で居たい・・・)
そう思う悠斗であった。
ラウル ・・・ ねぇ、Y・O・N・・・いいな。
ミスティ ・・・ はい?いかがなされました?
ラウル ・・・ いや、だからさ・・・ファンクラブみたいなモノだろ?
ミスティ ・・・ えっと・・・す、少し違うかと・・・?
ラウル ・・・ 僕もファンクラブ欲しい~~~!
ミスティ ・・・ ぼ、募集・・・かけてみますか?
ラウル ・・・ はっ!待って!・・・もし、誰も来なかったら?
ミスティ ・・・ ぼっち・・・と、言う事になりますわね♪
ラウル ・・・ それは困るよぉぉぉ!!
ミスティ ・・・ でもある方が、ラウル様が・・・そ、その・・・
ラウル ・・・ ハッキリ言ってもらってもいいよ~♪
ミスティ ・・・ラウル様がぼっちになるかどうかを気にされている方がいますわ♪
ラウル ・・・ ぼ、僕のフアン・・・なのかな?気になるよね~♪
ミスティ ・・・ ならば、良い行いを普段からせねばなりませんわね♪
ラウル ・・・ いつもしてるじゃん♪
ミスティ ・・・ はぁ~・・・
ってなことで、緋色火花でした。




