37話 正体と真実
お疲れ様です。
話の展開遅くてすみません。
これが私のペースって事でお許しを・・・orz
話をもう少しまとめられるといいのですが・・・。
ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。
それでは、37話をお楽しみ下さい。
すっかりオウムアムアの事を忘れていた
二人の神と悠斗・・・。
「えっと、このでかいのは、オウムアムア。
元、獣人族で今は神によって「亜神」になっている。
因みに、俺が此処でさっきまで戦っていた相手だ」
悠斗によりオウムアムアは紹介されたのだが、
イリアもセルカも気になった事があった。
「ねぇ、ユウト様・・・さっきまで戦ってたって、何?」
「そうだにゃ!此処でさっきまでってどう言う意味にゃ?」
「えっとー・・・だな」
悠斗がどう説明していいものかと考えていると・・・
「それは僕の方から答えよう。
このオウムアムアは、僕の頼みを聞いてもらって、
悠斗君と戦ってもらったのだよ」
「どうして戦わせたのでしょうか?」
「このでかいのと、戦う理由があるのかにゃ?」
「僕は悠斗君の実力が・・・んー。言い換えよう。
悠斗君の本気を見てみたかったのだよ。
一度悠斗君と模擬戦はしたのだけれど、
本気・・・ではなかった気がしたからさ」
ラウルは横目で悠斗を見ている。
その視線を感じた悠斗は苦笑いを浮かべていた。
「あはは。あれはあれで本気だったんだけど・・・?」
「またまた~?僕と模擬戦した時よりも、
強かったように見えたけど?
それに・・・何あれ?操術の伍・・・だとか、
纏術の伍・・・何あれ?・・・僕とやった時は見てないよ?」
ラウルは悠斗の目を真っ直ぐに見ていた。
「あっあれはさ・・・ラウルが剣術のみって・・・」
「あれー?僕そんな事言ったっけー?」
とぼけるラウルに悠斗は抗議するが受け付けなかった。
ミスティにヘルプサインを送ると・・・
「ラウル様、おふざけは程々にして下さいませ。
創造神たるもの、その様な行いはいかがなものかと・・・」
ミスティの注意を受け、頬をふくらませるラウル。
「ふーんだ!僕はただ、皆を楽しませようと
していただけなんですぅーだっ!」
悠斗もミスティも心の中で「駄々っ子かっ!」と、突っ込んでいたら・・・
「あのー?そんな話は今、どーでもいいにゃ。
それよりも説明を求めるのにゃ」
ラウルはセルカの一言に肩を落とす。
「どーでもいいって言われた。あははは
わかったよーだ!ちゃんと説明しようじゃないか!」
空気を読まないセルカの勝ちである。
「えっと・・・何処まで話したっけ?
ああ、そうだ・・・。オウムアムアと悠斗君は戦ったのだけれど
何故か途中から悠斗くんは素手で戦っていたんだけど・・・
ん?どうして素手で戦ったんだい?」
皆の視線が悠斗に集まる。
「なんでって・・・。こいつが素手だったから・・・?」
一同唖然とし、「それが理由?」と、皆が聞き返した。
「それが理由だけど?あー。でもさ、
こいつからはあまり強い敵意は感じなかったしね。
純粋に俺の力が見たかっただけって思ったからな~」
悠斗はオウムアムアを見ながら答える。
「ふむ。我、ユウトのちからの源が知りたかったのだ。
我はただ、純粋に戦いを望んだだけなのだ」
そう言ったオウムアムアの言葉にイリアが反応した。
「でも純粋にって言うのなら、武器はどうして使わなかったの?」
「ふむ。素手で充分だと思ったからだ。
人族風情の力で、我をどうにかする事等、不可能だからだ」
「今は亜神って言っていたけど、元は獣人なんでしょ?」
「ああそうだ。我の正体は元・熊人族だったのだ」
熊人族と聞いたセルカは驚いた。
「にゃにぃぃ!熊人族にゃのかにゃぁぁ!」
セルカの反応に驚く悠斗。
「なぁ、熊人族って何かあるのか?」
「何かあるとかじゃないわよ!熊人族っていうのは、
今から数百年前に絶滅した種族なのよ!」
「そうにゃ!その強さを恐れた別の種族達が絶滅させたのにゃ!」
正直悠斗には、それが原因だとは思えなかった。
「待てよ。そんな事で一種族を絶滅させたのかよ!」
ヒートアップしてきたのを見計らって、ラウルが口を開く。
「はいはい!皆ちょっと落ち着こうか?
僕が「真実」を話した方が良さそうだね?」
ラウルがミスティに視線を送ると、黙って頷いた。
「熊人族はさ、簡単に言うと・・・純粋故に騙されやすかったんだ。
魔人族の一部の連中が、熊人族のそういう特性を逆手に取って、
利用し、そして・・・必要なくなったからと言う理由で、
その他の獣人族や人族をけしかけ滅ぼした。
オウムアムアは熊人族の勇者だったんだけど、
多勢に無勢・・・勝てる訳がない・・・そして、落ち延びたんだ」
再び視線を送り、続きをミスティが話し始めた。
「最初はね、わずか十数人ほどで神々の庇護下の元、
静かな森でくらしていたの。ここ数年程までね」
「ここ数年って・・・この数年で一体何があったんだ?」
「そうですわね・・・」
ミスティは一度、オウムアムアを見ると無言で頷いていた。
それを確認したミスティは、続きを話し始めた。
「熊人族はある事があって、絶滅してしまったの。
私達神が折角生き延びさせたのに・・・。
だからある意味、史実通り、絶滅って事になりますわね」
「・・・ある事って?なぁラウル・・・答えろよ」
悠斗の射抜くような視線が、ラウルに突き刺さる。
「悠斗君。もう想像付いているんじゃないのかい?」
悠斗の目が鋭くなり、その眼光は怒りに満ちていた。
「ああ・・・異形の魔・・・だろ?」
ラウルはカップを口に運ぶと目を閉じた。
「ああ・・・その通りだよ」
そう言うと・・・紅茶を飲んだ。
ミスティは二人を見ながら話を続けた。
「静かに暮らし、その数も少しずつ増えてきたある日の事ですわ」
ミスティが話を続けようとすると、
オウムアムアがミスティを制した。
「時空神様、我が話します」
ミスティは黙って頷く。
「我達種族は少しずつではあるが数が増えて
子供達も元気に育っていた。
そんなある日、我らが村に雷が落ちたのだ・・・」
「い、雷って・・・オウムアムアさん、それって!」
イリアは自分の集落に起こった事と、同じ現象に体を震わせた。
「そうだ。イリアの村でもそうであったか?」
俯きながら頷くイリア。
「その雷の落ちた地点に・・・ヤツが現れた」
悠斗は拳を握り締めると・・・
「そいつが異形の魔か・・・」
「ああ、そうだ。我達は女子供を逃がすため戦ったのだが・・・
何も出来なかった。
我は勇者、勿論戦ったが・・・歯が立たなかったのだ」
イリアもあの日の事を思い出していた。
成すすべなく蹂躙された日の事を・・・
「我には妻子が居たのだ・・・」
その言葉に、悠斗達の顔が引きつる。
「お、お前・・・奥さんや子供が居たのか?」
「ああ、我はまた・・・何も守れなかった。
誠に不甲斐ない。
我はヤツとの戦いの中で気を失ってしまったのだ」
「僕達神もただ見守る事しか出来ない。
それが神々のルール・・・なんだけど・・・ね」
ラウルもまた、その悔しさの為、拳を握っていた。
「そんなルール・・・破れなかったのかよ?」
殺気が漏れる悠斗に視線を向ける。
「ああ、そのルールを破った世界は・・・最悪消されるんだよ。
だから如何なる事があっても、手出しは・・・できない」
ラウルやミスティの悔しさが悠斗達にも伝わってくる。
「僕達神々は本当に悔しかったんだ。
僕達が出来る事と言えば、生き残ったオウムアムアに
亜神としての力を授ける事・・・それだけだった」
ラウルはオウムアムアを見ると、
オウムアムアはラウルに頭を下げていた。
「我は力を欲した。獣人の力を超える力を。
ラウル様達は我に与えてくれた・・・復讐する機会を・・・。
亜神の力ならばと・・・挑んだのだが、勝てなかったのだ」
「まじか?亜神よりそいつは強いのか?」
「ああ、我はまた・・・負けたのだ。
あの一本角の魔に・・・再び負けたのだ・・・」
悠斗はオウムアムアの言葉に違和感があった。
それは、イリアから聞いていた事と少し違っていたからだった。
「なぁーイリア?・・・お前の集落を襲った魔ってのは
何本角だったっけ?三本だったよな?」
悠斗の言葉に全員が気づく・・・。
「ユ、ユウト様・・・た、確かに集落を襲ったのは
三本角の魔ですっ!えっ?一本角?えっ?」
二人の神達も驚いていた。
「ラウル・・・お前達は上から見ていたんだろ?
どうして角の数に気が付かなかったんだよ!」
「そ、それは・・・あの異形の魔が現れた時、
何故だかわからないが・・・白く霞んで見えなかったんだよ」
「白く霞む?どういう事なんだよ?」
「理由はわからない・・・霞むだけじゃなく・・・
気配すらわからないんだ」
悠斗はミスティを見てみると・・・ただ頷くだけだった。
「あ、ありえないだろ?神が・・・しかもこの世界の創造神が
気配がわからない?霞んで見えない・・・って、何だよそれっ!!」
苦悶に満ちているラウルに代わり、
ミスティが答える。
「悠斗さん、本当の事なのです。
私達だけではなく、他の神達も全く同じなのです
ですから、創造神様にこれ以上・・・」
「だけどさっ!何とか・・・」
悠斗はただラウル達神にやつ当たっているだけだと気付いた。
「わ、悪い・・・ラウルすまなかった」
「うん、いいよ。悠斗君。君の言う通りだからさ」
力なく答えるラウルに頭を下げる悠斗だった。
「ユウト・・・我はお前の気持ちが嬉しい。
だから礼を言わせてくれ・・・有難う」
「礼なんていらないから・・・
それと皆にも・・・すまない。
頭に血が昇ったみたいだ」
そう言うと・・・悠斗は全員に対して頭を下げた。
「ねぇユウト様・・・私達も貴方と同じ気持ちです。
私も何も出来なかった。だから頭を上げてください。
お願いします」
「そうだにゃ。頭を下げる暇があるのにゃら、
倒す方法を見つける事が先決なのにゃ!」
二人の神も微笑みながら悠斗を見つめる。
「悠斗君、僕達が不甲斐ないせいで、申し訳ない。
でも、君が来てくれた・・・。
君も何か思うところがあるみたいだけど、
それでも・・・僕は君に感謝をしている。
だから頭を上げて、僕達に協力しておくれよ。
君の力が必要なんだ」
「悠斗さん、貴方の御力をノーブルにお貸し下さい。
私達も精一杯サポートさせて頂きますわ」
「ユウトよ。我もお前と一緒に戦う。
元はと言えば、我のせいでもあるのだからな」
悠斗は皆の気持ちが嬉しかった。
そしてその気持に応えようと、心に誓い前を向くと・・・
「正直話を聞いただけだと・・・俺では勝てない」
その言葉に一同目を見開く。
「だけど・・・それは俺一人の場合だ。
だから皆・・・俺に力を貸してくれ。
頼む!」
悠斗は頭を下げると・・・
「悠斗君。此処に居る全員が君に力を貸す。
いや、協力させてほしい、そう思っている。
だから一緒に戦おう!」
ラウルの言葉に黙って頷く。
悠斗の誓いに力になりたい・・・
そう思ったオウムアムアは、ラウルに申し出る。
「ラウル様・・・お願いがあります」
「急にどうしたんだい?」
「我を神界のあの場所で鍛えて頂きたい」
「えっ?ええっー!!あそこに行きたいのー?」
「はい。我・・・ユウトと共に戦いたい」
「・・・うーん。まいったな~・・・今の君じゃ・・・」
ラウルはかなり困っている様子だった。
「なぁ、ラウル・・・あの場所ってなんだ?」
「あ、ああ・・・あの白い空間とは別に、黒い空間もあってさ
その中に入ると・・・簡単に言うと、強くなれるんだ」
その話を聞いた悠斗は、目を輝かせてラウルを見つめた。
「ゆ、悠斗君?どうしてそんな輝く眼差しで
僕を見つめるんだい?
い、いや~・・・ぼ、僕はノーマルだよ?わかってる?
だからき、君の気持ちには・・・」
ラウルが何か勘違いした発言をすると・・・
背後からミスティが、自分のステータスウインドウで叩いた
「カーンっ!」と、高音が響く。
ラウルは叩かれた箇所を押さえ悶絶中。
「か、か、か、角!!今・・・角で叩いたよね!
すっごく痛かったからね?いやまじで!
角はダメだからねっ!」
「ラウル様、一体何を勘違いされているのですか?
貴方・・・馬鹿ですか?
話を聞いていたら普通わかりますよね?」
ラウルは悠斗達を見ると、あきれた顔をしていた。
「お前な~?勘違いする要素なんて一つもないぞ?」
悠斗は頭を押さえながら呆れて・・・
「創造神様・・・不潔です」
イリアは冷たい眼差しを送り・・・
「創造神様・・・一度悠斗様に埋められるといいにゃ・・・
あれは恐いにゃ」
と、セルカに脅され・・・
「我・・・ラウル様を見誤った・・・不覚」
オウムアムアは天を仰いだ。
今にも泣き出しそうなラウルを見て・・・
「あのなー俺が反応したのは、その黒い空間の方だよ。
その中に入れば、アレだろ?時が止まっていて、
一時間入れば数年分強くなれるとか・・・そういう部屋なんだろ?」
悠斗は再び目を輝かせた。
「いや・・・違うよ?
悠斗君、何?そのチート部屋・・・そんなのあるの?
むしろ僕が欲しいんだけど?」
「えっ?だってさ・・・それっぼい事を言ってたじゃん」
悠斗はオウムアムアの事を見た。
「あー・・・そういう空間じゃないんだよ?
僕が言ってる黒い空間って言うのはさ、亜神だけが入れる場所なんだ。
だけど、亜神としてまだその領域に至ってない・・・
そんな彼ではキツイって話なのさ」
「なんだ・・・がっかりだよ・・・ラウル君」
「ラ、ラウル・・・君?」
「創造神なのに作れないなんて・・・ラウル君・・・がっかりだ」
「そんな空間は無理だって!地球の神々でも作れないからね?
いや・・・まじでっ!頼むよう~もう!」
そんな会話をしていると、オウムアムアが痺れを切らし話し出す。
「で、ラウル様・・・御一考をお願いします」
「空気読まないよね・・・君は・・・。
もう少し考えさせてよ?
その代わりさ・・・神界での特訓に誰か紹介するからさ♪」
「御意、有難う御座います」
そんな二人を他所に、悠斗がミスティに話し掛ける。
「なぁ、ミスティ・・・ロジーの事を聞いておかないとさ」
「そうですわね。まずはあの子を何とか致しませんと・・・」
悠斗とミスティは、ロジーの様子を見に行くと言うと、
イリアとセルカも同行した。
小屋に入りロジーの様子を見るミスティ。
「確かに今の悠斗さんには解呪できませんわね?」
その言葉に納得する悠斗は聞いてみた。
「ミスティが解呪したら駄目なのか?」
「申し訳ありません。この世界の住人には介入できないのです。
頭を下げて謝罪するミスティ。
「あ~。まあ、何となくそんな気はしてたからね。
じゃ~ロジーはどうしたらいいんだ?」
「アシュリナに解呪専門の人族が居りますが、
恐らく無理でしょうね。
ですから、悠斗さんが習得されるしかないと思いますわ」
項垂れる悠斗にイリアとセルカが励ましてくる。
「ユウト様なら・・・きっと出来ます!」
「ユウト様なら余裕にゃ!」
「二人共、勝手な事を・・・はぁ。」
その光景を見て笑うミスティ。
「悠斗さん、魔法の訓練・・・これしか御座いませんわ♪
数日雨の予定ですので、回復系の魔法のレベル上げですわね♪」
「そっかー・・・。その系統だと解呪系もいけるって事か~」
「はい♪」
悠斗は腕を組んで考える・・・
(んー。このまま二人の神が居てくれたら、
簡単に習得出来ると思うんだけどな~・・・駄目かな?)
「ミスティ、神様が時間を止めてくれていたら、
簡単に習得出来るんじゃないのか?」
「それなのですが・・・ラウル様はお仕事も御座いますので、
お伺いを立てなければなりませんわね」
「そっかー。じゃー一度聞いてみるかな?」
悠斗達はラウルに相談する事にしたのだった。
ラウル ・・・ 今回の話はオウムアムアとセルカ君だね。
ミスティ ・・・ そうですわね♪
ラウル ・・・ 君はアレかい?本当に悠斗ガールズに?
ミスティ ・・・ 勿論ですわ♪そして私はそのセンターにっ!
ラウル ・・・ セ、センターって・・・何?
ミスティ ・・・ ま、まさか・・・ご存じない?
ラウル ・・・ はい。ご存知ないです。すみません。
ミスティ ・・・ 創造神とあろう者が・・・ぶつぶつ
ラウル ・・・ やぶ蛇になるから、逃げるっ!!
ってなことで、緋色火花でした。




