36話 時空神の失言とセルカの決意
お疲れ様です。
今日暑い・・・本当に暑い・・・orz
早く本編進めたいのですが、展開が遅くてすみません><
ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。
それでは、36話をお楽しみ下さい。
悠斗はラウルの頼みを嫌々聞き食堂へ歩いて行く。
「あっ・・・」
悠斗は何かを思い出すと振り返りラウルに聞いた。
「あのさ、ひょっとして今、時間って止まってたりするよな?」
ラウルは胸を張りいい感じの声で答えた。
「ふっふっふっ♪これこそがっ!神パーワーなのだっ!
愚民どもよっ!控えおろう!!」
ラウルのセリフに全員が固まる。
「あ、あれ?僕・・・何かはずしちゃった?」
悠斗は深く溜息を吐いた・・・。
「あ、あのなー?日本の文化とか色々とごちゃごちゃになってるけど、
お前はもう、ただの可哀想な子にしか見えないからな?」
悠斗の言葉にミスティ沈黙を持って答えとし、
オウムアムアは首を傾げていた。
二人の様子を見たラウルは・・・「がくっ」っと、
膝から崩れ「ワナワナ」と震えていた。
「な、何故なんだ・・・。悠斗君の為に・・・
日本の文化を色々と織り交ぜ、尚且!歴史まで勉強したと言うのにっ!
な、何故だ・・・。僕は何処で間違ってしまったんだ・・・」
まるで何処かの劇団のような言い回しだった。
「ふぅ。何処で間違ったかって?
それはもう・・・生まれてきた事だと思うぞー?」
悠斗の一言に立上がると・・・
「悠斗君。もう少し僕に付き合ってくれてもいいと思うんだけど?」
「どうして俺が付き合わないといけないんだ?
お前と話していると、やたらと時間だけが過ぎて行くしなー。
なぁ、ミスティ。イリアとセルカの時を動かしてもらえない?
ラウルじゃ、話が進まないからさ」
悠斗に話しかけられた事で、ミスティの表情が明るくなる。
「はい♪悠斗さん♪かしこまりましたわ♪」
ミスティは、悠斗の声に反応すると、
ラウルを・・・「邪魔!」と、言って・・・押しのけた。
「・・・僕って創造神だよ?とても偉いのに」
膝を抱え座り込むラウルの背中を、
そっと擦るオウムアムアが居た。
そんな二人をスルーして食堂へ向かうと・・・
「ミスティ、この二人なんだけど?」
「はい♪おまかせ下さい♪」
ミスティが「パチン」と指を弾くと、二人の時が動き出す。
「あ、あれ?ユウト・・・って・・・この人誰?!」
「あー・・・えっと・・・質問には後で答えるっていうか・・・
俺じゃないヤツが答えるから、黙って付いてきてくれ」
イリアとセルカは顔を見合わせると黙って頷いた。
食堂から出てきた悠斗の姿を見ると、
立ち上がり悠斗達を出迎える。
イリアとセルカは状況が飲み込めていないので、
ラウルに色々と説明をしてもらった。
イリアとセルカはラウルの前に跪くと、
礼を取り敬意を払うと、自己紹介を始めた。
「創造神様、時空神様、ダークエルフのイリアと申します。
創造神の御尊顔を賜り、感謝の極みで御座います」
「創造神様・時空神様。猫人族のセルカと申しますにゃ。
礼儀を弁えず、申し訳ありませんがご容赦下さいにゃ」
「イリアとセルカよ、面をあげよ。
そう硬くならずとも良い。楽にせよ。」
ラウルが実に神らしく振る舞っていて、
悠斗は違う意味で感動していた・・・。
(ラ、ラウルが・・・か、神に見える)
目を「ゴシゴシ」と擦る姿を見たラウルは・・・
「いやいや、悠斗君! 僕・・・神なんだけど?
神に見える・・・じゃなくてー。神なんだってばっ!」
真顔で突っ込むラウルの姿に、悠斗とミスティは笑い出した。
「あはははっ!そ、そうだった・・・ラウルって神だった!」
「ふふふ♪私もすっかり忘れておりましたわ♪
ノーブルの創造神様でしたわね♪」
二人の言葉にラウルは悲しい表情を見せる。
「うぅぅぅ。二人共ー!それはないだろー?
少しは僕の子供達に格好付けさせてよ~」
真顔で懇願してくるラウルに「わかった、わかった」と諭す。
イリアとセリカ・・・そして、オウムアムアは状況が飲み込めていない。
「ね、ねぇ・・・ユウト?創造神様に失礼じゃないの?」
「そうだにゃ!不敬だにゃ!」
こちらの二人も真顔で抗議してくる。
抗議されている悠斗が困った顔をしていると・・・
「あ、貴女達のほうが不敬ですわっ!無礼者っ!」
っと、何故かミスティがキレた・・・。
「ちょっと、ミスティ。落ち着きなよ!」
「きょとん」とする二人に対して更に・・・
「貴女達は悠斗さんがどれだけ悩み苦しんで
此処に来られたか・・・。
御自分の人生を捨ててまで、異世界より来て下さったのに!
貴女方にそんな勇気があるとでも言うのですかっ!
無礼極まりないのは貴女達ですわっ!」
「おいっ!ちょっ、ちょっと待てっ!」と、悠斗は慌て・・・
「こ、こらっ!ミスティ!お前っ!なんて事を・・・」と、ラウルも。
慌てふためく悠斗とラウルを見てミスティは固まる。
「はっ!!!・・・あっ・・・つ、つい・・・」
ミスティの慌て様に、イリアが口を開く。
「ねぇ・・・ユウト?ユウトって・・・」
イリアが言い終わる前に、ラウルが遮るように口を開く。
「はぁ。悠斗君。時間・・・戻そうか?」
「戻すって言われてもな~・・・そんな事できるのか?」
ラウルは少し困った顔をしてミスティを見る。
「当然出来るよ?僕は神だからね・・・
まぁー、ミスティの責任だからね、彼女に戻してもらうさ」
悠斗はミスティに視線を移すと、悠斗に対して、土下座していた。
「も、申し訳ありません。悠斗さん。わ、私が責任持って・・・」
ミスティが涙目になっている事に気付いた悠斗は苦笑していた。
「んー。ラウル、ミスティ・・・このままでいいよ。
だからもう気にするなよ」
悠斗の発言に驚いた二人の神。
「ゆ、悠斗君?だって・・・君が異世界から来た事が・・・」
「そ、そうですわ!これは私のミスですからっ!
だから責任持って時間を・・・」
二人の神の必死な姿に再び笑う悠斗。
「あははは。もういいって。まぁーどうせさ、
いずれバレるか、俺が話しただろうしさ・・・だから気にすんな」
「「悠斗君」さん」
悠斗は跪くミスティに手を差し伸べ立たせると・・・
「ミスティはさ、俺の為に怒ってくれたんだろ?
むしろ怒ってくれた事のほうが嬉しいよ」
悠斗の優しい言葉にミスティは、
涙を流しながら倒れ込むように抱きつく・・・。
(はうっ!む、胸がぁぁぁ!!や、柔らかい・・・
あっ、い、息が・・・に、匂いがぁぁぁ!!)
あまりの産物に悠斗の顔が緩む。
すると・・・「ギチギチ」という、音が耳につく。
そう・・・唸りと共に・・・。
「うぅぅぅ・・・」
「がるるるるる」
イリアとセルカが・・・まさに鬼の形相で睨み、歯を食いしばっていた。
(ユ、ユウトォォォォ!)
(ユウトー!がるるるる)
鬼の形相で睨む二人の視線をはずし、ラウルに移す。
「はっはっはっ!悠斗君、モテモテじゃないか~♪
しかも、ミスティまで落とすとは・・・。
いやはや、君も中々のジゴロだね~♪」
からかうように微笑むラウル。
「ふ、不可抗力ですっ!」
(あーっ・・・でもこれは正義だ)
悠斗は胸の柔らかさと、温かさに浸っていた。
ミスティは少しの間、悠斗の匂いを堪能した後離れた。
(よしっ!録画しておいて良かったですわ♪これで暫くは・・・ふふふ♪)
薄く笑ったミスティの顔を見ていたラウル。
(これだからミスティは・・・悠斗君。君はまだ純粋だね♪)
ラウルは悠斗を見て一人苦笑していた。
そして二人の神は話を戻す。
「えーっと、話はそれてしまったけどさ。
悠斗君は違う世界から、このノーブルに来てもらった異世界人だ。
この事は絶対に言わないようにね?これは神からの命令だよ?」
ラウルの言葉に黙って頷くイリアとセルカ。
「ああ、それとさ。先程君達は悠斗君に「不敬」だと言ったよね?
でも、便宜上・・・創造神の使徒とはなっているけれど、
立場的には僕達神と対等だからね?それを忘れないようにね」
「「わかりました」にゃ」
ラウルは周りを見渡すと・・・
「ミスティ、お茶にしようか?」
ミスティは黙って頷くと、テーブルにクロスを掛け、人数分の椅子。
そして、ティーセットとお菓子を用意した。
「さぁ、情報交換と交流を深めようか」
悠斗達はそれぞれ座り、ミスティが紅茶を入れ始めた。
「ねぇ、ユウト・・・様?」
一瞬悠斗はイリアの「様」付けに「ぞわァァ」っとした。
「イ、イリア・・・今まで通りの呼び方でいいからね?」
「で、でも、ユウト様は神々達と対等で・・・使徒様ですし・・・」
セルカも同様に頷いていた。
悠斗は困ってしまい、ラウルを見るが・・・
「あははは。悠斗君、この子達の好きにさせてあげたら?」
「いやいや、それだと俺が疲れる・・・まじで勘弁してほしい」
ミスティは紅茶を入れ終わると、席に着く。
「悠斗さん、ではこうしてはいかがですか?
公の場以外では普通に呼んでもらう・・・。
その方が宜しいのではないでしょうか?」
「ん。そうだね。この子達もきっとその方がいいかもね」
二人の神の言葉に・・・
「御心のままに・・・」
イリアとセルカは頭を下げた。
(はぁー。どうしてこうなったんだろ?面倒臭いなー)
悠斗の気持ちを知らないイリアとセルカは喜び合っていた。
紅茶を飲み、喉を潤すと・・・。
「実はね、悠斗君を呼んだ理由なのだけれどね」
ラウルの硬い物言いに、皆が姿勢を正す。
「イリア君の件と関連があるんだよ」
「関連・・・ですか?」
イリアはラウルの言葉に、悠斗を見た。
「異形の魔。僕の世界を蹂躙している魔を・・・
その魔の討伐に、異世界にある日本と言う国から
悠斗君を探し出し、そしてノーブルに来てもらったんだ」
ラウルの言葉が終わると、続けてミスティが話す。
「悠斗さんにとっては関係がない世界の事。
それなのに悠斗さんは・・・。
家族や友人達と別れる事になってもいいと・・・。
二つ返事でノーブルに来て頂いたのです」
二人の神が重々しく話すので、イリアもセルカも沈んでいた。
(ユウトにそんな事があったなんて・・・貴方って人は・・・)
(にゃぁぁ!!つらい決断だにゃぁぁ!惚れるにゃ♪)
オウムアムアもまた・・・同じだった。
(ユウト・・・心もまた強者なり!)
そんな空気の中、悠斗だけが汗をかいていた。
(い、いやー。俺はそこまで悩んでないんだけどなー
あー・・・みんな沈んじゃってるよ。
はぁ~。なんだろ?心が少し痛い気がする・・・。)
「あー。この二人がとても重々しく話しているけどさ
俺的には・・・この異世界に興味あったし、
それに確かめたい事も・・・あった訳で・・・。
だから俺は好きでこのノーブルに来たんだからな?
そんな重い話でもないんだからな?」
「にゃー、ユウト様?」
「いや、だから「様」付けはって!」
「今は公の場にゃ♪」
「うっ・・・」
セルカは舌を出し笑っていた。
「ユウトはその異形の魔を討伐したらどうするにゃ?」
「んー。まだ討伐してないからな~・・・まだわからないな」
「にゃるほどなのにゃ♪にゃーユウト。
私も一緒にユウト達と行くにゃ♪」
(戻らにゃいにゃら、ユウトをゲットするにゃ♪)
何処かの心で願望が産声をあげた。
悠斗は驚いていた。セルカが悠斗の仲間に加わる・・・
そう思っていなかったからだ。
それこそ、この脱出劇でセルカは仲間と言う事になってはいるが、
セルカが付いて来るとは思ってはいなかった。
「えっ?だってお前はアシュリナの冒険者だろ?
それに領主との繋がりはどうするんだよ?」
セルカはイリアと悠斗を見て微笑むと・・・
「私はにゃ、ユウトやイリアの温かさに惚れたにゃ♪
だからずっと一緒に居たいにゃよ?」
イリアは膝の上で拳を「ギュッ」っと握ると・・・
「ねぇ、セルカ・・・。
今、ラウル様達から聞いて分かったはずよ?
その魔の危険度が・・・」
「分かっているにゃ♪勇者や英雄、それに・・・騎士団も
歯が立たなかったくらい知ってるにゃよ?」
「だったらどうして! 命の危険が常に付き纏うのよ?
ユウト様と私は戦う理由があるわ。
だから戦えるけど・・・でもセルカはっ!」
イリアの必死の説得に頬を少し掻きながら答える。
「にゃはは♪イリアは優しいのにゃ。
だけど・・・どの道、その魔を討伐できにゃかったら、
皆・・・死んでしまうにゃよ?
だから私もユウト様達と一緒に戦って、皆を守りたいにゃ♪」
セルカの言葉に一同の心が熱くなる。
その中でも・・・オウムアムアは特に・・・。
「おぉぉぉぉ!我・・・感動!まさにっ!感動!
我の心に火が灯るのを感じるぞ・・・セルカよ!」
オウムアムアの勢いにドン引きするセルカ。
「っていうかにゃ?・・・お前は誰だにゃぁぁぁぁ!! 」
二人の神と悠斗は、オウムアムアの紹介をすっかり忘れていた。
「「「あっ!」」」
「ご、ごめん・・・オウムアムア」
悠斗の視線の先に居る亜神は涙目になっていた。
「我・・・いとかなし」
涙を流し天を仰ぐ亜神の姿がそこにあった。
ラウル ・・・ んー。このところ出番が増えて嬉しいな~♪
ミスティ ・・・ そうですわね~♪
ラウル ・・・ 本編まで出られるなんて、英二君に申し訳ないな~♪
ミスティ ・・・ そんな事全然おもってませんわよね?
ラウル ・・・ そんな事ないよ?僕はとても慈悲深いのだよ♪
ミスティ ・・・ それならお仕事もしっかりとお願いしますわ♪
ラウル ・・・ はっ!これから全国創造神会議がっ!
ミスティ ・・・ そんなモノありませんわ
ラウル ・・・ orz
ってなことで、緋色火花でした。




