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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第一章 岩場の聖域編
42/404

35話 オウムアムアと悠斗

お疲れ様です。


今日はすこーしだけ涼しかった気がします。


さて、今回の35話は決着編ですね。

相変わらず展開は遅いですが、自分のペースで頑張りますw


ブックマーク及び感想など、宜しくお願いします。


それでは、35話をお楽しみ下さい。

悠斗は笑みを浮かべながら男に迫る。

「ジャリ、ジャリ、ジャリ」

男はその足音にすら恐怖を感じていた。


「さっき俺に言ったよな?・・・立てよ」

赤銅色に染まった悠斗は歩みを止める。

「さっきの威勢はどうしたんだよ?」

「くっ・・・この化け物めっ!」

苦悶の表情を浮かべた男は、自分の足が恐怖で震えている事がわかった。

(ば、馬鹿な!たかが人族如きに・・・わ、我がっ!)


雄叫びをあげながら立上がると・・・

「我が全力を出すことなど・・・」

呻きながらつぶやくと男の体の筋肉が膨れ上がった。

「はっはっはっ!行くぞ人族!」

男はパワーが増し勢い付いた。


「あるある展開が好きなヤツだなー!」

「行くぞ・・・人族っ!」

「ああ、来いよ。付き合ってやるよ」


男は一足飛びに悠斗の懐に入ると、膝蹴りを放った。

しかし悠斗はそれを読んでいた。

男の両肩を掴み飛び上がると後方へ着地した。


「そんなモノ・・・当たるかよ」

背中を向けたまま男に言い放つ。

「ぐぬぬぬぬ」

男は怒りの形相で悠斗を威圧するが、

今の悠斗には通用しなかった。


(こやつ・・・進化してるのか?)

自分の言葉を掻き消すように頭を振る。


今度は悠斗が仕掛けていく・・・

「おらぁぁ!!」

悠斗は頭部へ蹴りを放つ。

「遅いわぁぁぁ!」

男が頭部をガードした瞬間・・・

悠斗は片足で地面を蹴り、男の腕を絡め取ると、

バランスを崩し、そのまま前のめりに倒れ込んだ。

「バキンッ!」と、音を立てると男が呻き声を上げた。


「ぐあぁぁぁぁ!!!」

男の腕は肩から折れていた。

苦悶の表情を浮かべる男は悠斗を見る。

だが悠斗の表情は男が思っているモノとは違っていた。

(こ、こやつ・・・何をそんなに驚いて・・・)


悠斗は驚いていた。いや、困惑していた。

ゲートを開いた悠斗は以前よりも増して強くなっていた。

(な、何だ?この力は・・・?)

自分の両手を「まじまじ」と見つめる悠斗。


自分の体が赤銅色に染まっているのを見て困惑していたのだった。

(どうなってんだ俺は?それに、この肌の色は?)

悠斗が困惑している間に、男は立ち上がり悠斗を蹴り飛ばす。

「ぐはっ!!」

悠斗は岩に叩きつけられると口から鮮血が飛び出した。

口の中に血の味が広がり鉄の匂いが絡みつく。


「フッ。戦いの最中に惚けるなど・・・人族風情がぁぁ!!」

「へっへっ・・・ごほっ。ごほっ。まぁ・・・そう言うなって!」

お互いダメージを追いながら笑っていた。


「貴様、名は何という?」

「ん?俺の事を誰かに聞いて来たんじゃないのか?」

「人族の名などに興味はないからな」

「へぇー。じゃー今は違うってのか?」

「フッ、ああ・・・そうだな。貴様に興味が湧いた」


お互いボロボロになりながらも話は続く。


「俺の名か?俺は悠斗。神野 悠斗だ。で・・・あんたは?」

「ユウトか・・・覚えておこう。我か?」

「ああ、俺だけに聞いておいて、あんたは言わないってか?」

「ふむ。すまぬな。我の名は、オウムアムアだ」

「オウムアムアか・・・わかった」


(よく見ると、こいつ・・・でかいな。

2m超えているんじゃないのか?顔もいかついし・・・

 でも微妙に、人の気配はあるんだよな~・・・なんなんだ?)


冷静になった悠斗は今更ながら相手を観察していた。

「ユウトよ、もう戦う気がないのか?」

「ん?どうしてだ?」

「貴様の肌の色が・・・元に戻っているからだ」

「ん?色って・・・?」


悠斗は自分の両手を見ると、赤銅色ではなくなっていた。

「あれ?いつの間にか元に戻ってるな」

「フッフッフッ。おかしなモノだなユウトよ。

 もはや我は決着をつけようとは思っておらぬ」

「何だよ、逃げんのか?」

「猛なユウトよ。自覚が無かろうが何だろうが、貴様は我を超えた・・・」

「いやいやいやっ!ちょっと待て!俺は意味わかってないんだけど?

 俺の力かどうかはわかんないけどさ、納得いくかよっ!」


オウムアムアは声を高らかに笑った。


「わっはっはっはっ!!愉快、実に愉快だ!」

「こらこらこら!勝手に愉快になるなよ!」

「貴様の未知なる力・・・あれに我は恐怖した。

 我の完敗と言えような・・・」

「だーかーらー!一人で納得するんじゃないってーのっ!」

「ふむ、ではどうする?」


悠斗は改めてどうしたいのかを考えた。

「さっきの力が自分のモノかどうかはわからないけど・・・

 俺には俺の力がある。まだそれを使ってない」

オウムアムアは悠斗の言葉に頷くと・・・

「では・・・我に貴様の力を見せてみよ!」

「はっ!上からモノを言いやがって・・・」


悠斗はオウムアムアに手をかざすと・・・

「ヒール」を唱えた。

オウムアムアの体は緑色に包まれると傷が全快する。


(ん?このヒールは、我の知っているヒールではないな?

ユウトか・・・人族にしては実に興味深いヤツだ)


悠斗は自分もヒールを使い全快すると・・・

「オウムアムア。続きをしようぜっ! 」

「フッ。律儀な人族めっ!おおおおお!!」

悠斗の言葉にオウムアムアは雄叫びをあげた。


悠斗は「ニヤリ」と笑うと・・・

「気道一之書・操術・伍・陽炎!」

「コオォォォォ!仕切り直しだ・・・本気で行くぜ」

悠斗の呼吸音が高音に変わると、体が何重にも重なる。


オウムアムアは悠斗の異質な空気に身構える。

(むっ?先程とは違う別の力を感じる。これが本来の力なのか?)


悠斗は一瞬でオウムアムアとの距離を縮めた。

「なっ!」

「さぁ、行こうか・・・」

悠斗は再びゲートを開くと拳をオウムアムアの腹に突き立てた。


「ドゴーンッ!」っと、鈍い音が響く。

「ちっ!」

悠斗の拳はオウムアムアの膝で防がれた。

オウムアムアはお返しにと拳を見舞う。

「おおおおお!!」

雄叫びをあげ、気合の入った渾身の拳が迫る。

悠斗は「ニヤリ」と笑い・・・。

「気道ニ之書・纏術・伍・・・からのぉー!杭打ち!!」

悠斗がそう叫び、体を捻り回転させるとオウムアムアの拳めがけ

渾身の一撃を放った。


「グシャャャ!! 」

「ぐわあぁぁぁぁ!!」


悲鳴をあげたのはオウムアムアだった。


悠斗の「纏術・伍・杭打ち」は、右腕だけに気を纏わせ一点集中。

硬い岩盤をも打ち抜く・・・言わば、「パイルバンカー」である。

しかも体を捻り回転を加えての一撃。


右腕を抑え膝を着くオウムアムア。

「わ、我の・・・負け・・・だ・・・」

潔く負けを認めたオウムアムアは悠斗にそう宣言した。


「ふぅ~・・・なんとか勝ったな」

引きつった笑みを浮かべる悠斗。

不思議に思ったオウムアムアは悠斗の腕を見ると・・・

悠斗の拳が「ボロボロ」に裂けていた。


「ユ、ユウト・・・貴様・・・それは一体?」

「あはははは・・・いきなり「伍」なんて使ったから

 反動で拳がね・・・いてててて」

苦笑いをする悠斗に釣られて、オウムアムアもまた苦笑いを浮かべた。

(このような男が人族とはな・・・あの御方が気にするはずだ)


オウムアムアは心の底から負けを認めていた。

(亜神である我を・・・フフフ今から楽しみだ)


オウムアムアは確かに渾身の拳を放った。

しかしそれは、亜神としての力ではなかった。

満足そうに天を仰ぐオウムアムアは満ち足りていた。


悠斗はオウムアムアと自分に「ヒール」を唱えた。

傷が完治すると、オウムアムアの前でしゃがみ込む。

「なぁ、オウムアムア・・・あんた、力を解放してないだろ?」

笑みを浮かべた悠斗が訪ねてきた。


「フッ。ああ・・・そうだな。確かにそうだ」

「だろうな~」

「ならば・・・もう一戦するか?」

「あははは。いや、止めておくよ。とりあえずだけどさ、

 自分の立ち位置がわかったからね。それだけ分かれば問題ないよ」

「フフッ。そうか・・・」


悠斗が満足そうに笑うと、オウムアムアも満足そうに笑っていた。


「でさ・・・。あんた何者なんだ?」

「ふむ・・・我は「亜神」だ」

「亜神って・・・何?」

「ふむ、元獣人族であったが、神の御心により人を超えたのだ」

「神の御心・・・ね」


今、悠斗の頭の中には、ラウルのニヤつき顔が映っていた。

「ラウルか・・・」

「ふむ。そうだ・・・ラウル様だ」

「あんたは自ら「亜神」とやらになるのを望んだのか?」

「うむ。ラウル様より亜神になって、

 「異形の魔」とやらの討伐をと・・・我は元々力を欲していた、

 故に・・・我は亜神になる事を望んだのだ」

「そかそか。それならいいんだ」


悠斗は無理矢理ラウルによって亜神にされたのではないかと

疑っていたのである。


「ふむ。我がそうのぞ・・・」

オウムアムアが話している途中で横槍が入る。

「悠斗君・・・ひどいな♪」


へらへらと笑いながらこちらに近づいて来る。

その後ろにはミスティまでも居た。

「んんん???ラウル・・・ミスティ。一体どうして?」

悠斗の発言にしてやったりと微笑むラウル。

ミスティは申し訳なさそうに頭を下げていた。


「オウムアムア。色々とすまなかったね?」

オウムアムアは座して礼を取ると・・・

「いえ、ラウル様。我が見誤っておりました。

 数々の非礼をお詫び致します」

「あはは。いいよ、いいよ。わかってもらえて嬉しいよ」

「はっ!もったいなき御言葉・・・」


悠斗は二人の様子を見ていると、ミスティの視線に気付いた。

「悠斗さん、この度は色々ご迷惑をかけてしまいましたね」

「は、はぁ・・・。まぁ、途中からそんな気はしてましたけどね」

「ふふふ♪私も拝見しておりましたが、まさか亜神に勝利するとは、

 正直申しまして、思ってもいませんでしたわ♪」


ミスティの言葉に苦笑しながらも満足していた。

「オウムアムアは亜神の能力を使用していませんでしたからね。

 個人的な事を言うと・・・勝てたとは思ってませんよ」

「あら、そうなのですか?いくら能力を使用していないとは言え、

 既に人を超えた者ですから、値千金かと思いますわ♪」

「あはは、そうだといいのですけどね」


悠斗とミスティは久方ぶりの会話を楽しんでいた。

二人が話していると、ラウルが近づき・・・


「やっぱり君はすごいね♪見ていて本当に楽しかったよ」

「楽しかったって・・・こっちは必死だったんだけど?」

「あははは。それはそれは、すまないね~♪」

二人は軽快にやり取りをしていたのだが・・・


「で、ラウル・・・そもそも今回の狙いは何だったんだ?

 いいかげんに、話してくれてもいいんじゃないか?」

ラウルは苦笑混じりに答える。

「えっと・・・。正直に言うよ。

 君の本気の能力(ちから)を見たかったんだ・・・それで今回の事をね」


悠斗は溜息を吐く・・・

「あのなー。そんな回りくどい事せずに話してくれよ。

 オウムアムアだって迷惑な話だろう?」

「あははははは・・・はぅ」


悠斗の言葉に少し落ち込んだラウル。

「待て、ユウト」

「ん?何だよ」

「我がラウル様の御言葉を信用できず、勝手にやった事だ。

 従って、ラウル様に罪はないのだ」

「んー。それをわからせる為に説得するのが上司じゃないのか?」

「ん?上司と言うのは何だ?」

「あー・・・。その説明がいるのか。やれやれだな。

 上司っての言うのは・・・んー、簡単に言うとだな・・・

 自分よりも立場が上の人の事を言うんだよ」

「ほう~そうか。それは勉強になったな。感謝するぞ、ユウトよ」

「いや、そんな感謝いらないから!」


悠斗とオウムアムアの会話を二人の神は楽しそうに見ている。

「おい! ラウル!笑ってる場合かよ!あんたが元凶だろうがっ!」

ラウルはその言葉に苦笑いを浮かべる。

「ユウトよ。ラウル様に不敬であるぞ!」


オウムアムアにとっては、絶対的な神であるが故、

馴れ馴れしく話す悠斗の言動が我慢ならなかったのだ。


「不敬って・・・あのなー」

「オウムアムアよ。少なくとも、悠斗君と僕とミスティにとっては、

 対等な立場だからいいんだよ。

 僕が認めたと言うよりも、僕から悠斗君にお願いしたんだよ」


オウムアムアは心底驚いた様子だった。

「ラウル様とユウトが対等とは・・・」

「対等ね~?何処まで本気なんだかね?」

悠斗はラウルをジト目で見ると、そっぽ向かれた。


「絶対に何か隠してるよな?」

「か、隠し事なんて・・・あ、ある訳ないじゃん」

額に汗が浮かんでいるラウルに説得力の欠片もない。


「まぁーいいけどさ」

「悠斗さん、ラウル様は決してそのような事は・・・

 た、多分御座いませんわ。・・・多分ですけど・・・

 いえいえ、ひょっとしたら・・・と、言う事も御座いますが・・・」

「ミ、ミスティさんや・・・僕ってどれだけ信用ないの?」

「あははは・・・ですわ♪」

「いや、全然意味わかんないからね?」


敬愛する二人の神達と悠斗の会話に、ただただ驚くオウムアムアだった。


「ラウル様、では、ユウト・・・いえ、ユウト様に対しては・・・」

「まてまて!オウムアムア!「様」付けすんなっ!」

「いや、しかし我としては、神々と対等であるユウト様には・・・」

「だからっ! 「様」付けすんなってーのっ!」

「し、しかしですな・・・」

「しかしも、かかしも、写◯眼もねーつーのっ!」

「写◯眼というのは、一体どのような?」

「あー、そこ、気になるんだ?そこは触れないで・・・プリーズ」

「謎で・・・あるな」


しかし、断固として譲らないオウムアムア。

それを見て苦笑する二人の神。

「亜神に「様」付けされたら今後悩みの種になるからっ!

 説得しろよ!あんたの部下だろうーがっ!」


必死に訴える悠斗の言葉に、二人の神は仕方がなく折れてしまい・・・


「間を取って、ユウト殿・・・にすればいいんじゃね?」

「いやいやいや、間取れてないからね?

 今後絶対に問題出てくるからね?」


悠斗の説得も虚しく、ラウルの無責任発言で、呼び方が決定してしまった。

項垂れる悠斗とは対象的に満足げなオウムアムアだった。


「ところで悠斗君。君の仲間達を僕とミスティに紹介しておくれよ?」


ラウルの発言に悠斗は・・・

「あー・・・。また面倒臭い事になりそう・・・いや、なるな」

と、悠斗の心は荒んでいくのだった・・・。

ラウル ・・・ 久々の出番キタァァァァ!

ミスティ ・・・ 私も出演しておりますわ♪

ラウル ・・・ やっぱり僕が出ないと花がないよね?

ミスティ ・・・ 花とは・・・ラフレシアでしょうか?

ラウル ・・・ 僕・・・そんなに臭いの?

ミスティ ・・・ まだ・・・大丈夫ですわ♪

ラウル ・・・ まだって・・・何?

ミスティ ・・・ 「・・・・・・・・」

ラウル ・・・ えっ?僕・・・大丈夫だよね?

ミスティ ・・・ えっ・・・・と・・・・・はい♪

ラウル ・・・ ボディーシャンプー買ってきますっ!!


ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] やった♥︎ミスティ来てくれた♥︎ ラウルはどーでもいいけど(笑) この後楽しみにしてまーす♥︎
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