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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
401/406

閑話 運命の糸・前編

お疲れ様です。


突然冷え込み快適になった緋色で御座いますw


さて、今回から・・・。


閑話の前後編となります。


楽しんでいただけると嬉しいです--



それでは、閑話・前編をお楽しみ下さい。


卑弥呼に連れられ悠斗は『時空洞』の中へと消えた・・・。


そして出た先には・・・。


「・・・早かったじゃないか?」


そう言って出迎えたのは誰でもない・・・。


この亜空間を卑弥呼に手伝わされたヴァマントだった・・・。


とは言っても・・・。

神力を持たない卑弥呼ではこの亜空間の地を創る事は出来ず、

ヴァマントが1人で創る事になったのだった。


「お出迎えとはありがたいね~?」


そう言って笑顔を向けた卑弥呼にヴァマントは苛立ちを募らせたが、

その隣で驚いた表情を見せた悠斗に満足すると、

苛立ちを引っ込め、悠斗に向って笑顔で話し掛けた。


「よぉ~ユウト・・・

 お前も変なヤツに絡まれちまったもんだな~?

 でもお前は『トラブル体質』らしいからな?

 これはもう・・・運命と言っても過言じゃないな?」


『アハハハっ!』と豪快に笑い飛ばすにヴァマントに、

『ほんと、まじそれっ!』と悠斗が不貞腐れながら声を挙げると、

卑弥呼とヴァマントは顔を見合わせながら笑ったのだった。


挨拶も一通り済ませヴァマントがセッティングした場所に腰を下ろすと、

卑弥呼はお茶を飲む悠斗に説明を始めた・・・。


「この前もチラっとは言ったが、

 悠斗・・・。

 お前の純粋な鬼の力の事を知りたいヤツが来る」


「あぁ~、確か・・・ミラーズとか言ったっけ?」


そう答えた悠斗にヴァマントは手に持つカップの手が止まった。

そして厳しい眼光を向けながら言った。


「お前は知らんだろうが、ミラーズ様は『元・深淵の女王』だぞ?

 無礼な振る舞いは許さんから?」


そう忠告したヴァマントに悠斗は言った。


「・・・相手の出方次第だろ?」


『っ!?』


悠斗がお茶を口に運びながら素知らぬ顔でそう答えると、

ヴァマントの身体から冥界の神力が溢れ始め、

静かに立ち上がりながら言った・・・。


「いくら魂だけの存在だからと言って、

 言っていい事と悪い事があるとは思わないのか?」


神力を溢れさせながらそう言ったヴァマンとのソレは、

間違いなく怒りによるものだったのだ。


そんなヴァマントを見ながら悠斗は言った。


「教えてもらう立場なんだろ?

 それにさ?別に俺はその人に媚びへつらえとは言ってない。

 普通に接して欲しいだけだ。

 もし、上から目線の態度で来た場合・・・」


一度言葉を区切った悠斗は優雅にお茶を飲む卑弥呼へと向けられた。


「・・・俺は帰る・・・か、

 万が一戦いになった場合・・・。

 相手がどんなに強かろうが関係ない。

 俺は全力で戦うだけだ・・・」


そう言い切った悠斗に睨まれながらお茶を飲む卑弥呼は、

 『フっ』と笑い、それを見ていたヴァマントは驚いていた・・・。


(こ、こいつ・・・相手は元とは言え、深淵の女王だぞ?

 そんな相手にはなっから勝ち目なんて・・・)


そう考えていたヴァマントに、突然悠斗の鋭い眼光が向けられ、

身体を『ビクっ』と振らわせた。


「・・・勝ち負けの問題じゃない。

 神だからどうだとか、人間だからどうだとか・・・

 そんなもの関係ないっ!

 一度死を受け入れた俺だ・・・今更、命乞いみたいなマネはしないし、

 喜んで死んでやるよ・・」


「ユ、ユウト・・・お、お前はまだ?」


そう言い切った悠斗の眼光を見た瞬間、

ヴァマントは心底恐怖が走った・・・。


それはヴァマント自身が悠斗を恐れたのではない。

悠斗の心の奥底にまだ、『死』が存在しているという事だった。


そんな悠斗に何も言えないでいると、

卑弥呼がカップを『カチャ』と置きながら静かに口を開いた。


「・・・ヴァマ?お前は本当に悠斗の事がわかってねーな?」


「・・・なっ、何だとっ!?」


「こいつはただ強いんじゃない・・・。

 ちゃんと、ここにっ!信念ってヤツを持ってんのさ・・・」


そう言いながら卑弥呼は自分の胸の辺りを拳で2度叩くと、

『フっ』と笑みを見せながら今度は悠斗に言った。


「そして悠斗・・・お前もだ」


「・・・どういう意味だよ?」


「お前は『死の匂い』が染みついてやがる。

 資料を読ませてもらったから隠す事無く言うが、

 彼女の死がお前を変えた・・・。

 だがな?

 お前・・・セルンと戦った時、確か言ってたよな?

 『この力は穂高にもらった力だ』とな?

 ならば・・・だ。

 容易く死んでどうするんだ?

 悠斗・・・お前は穂高のそんな気持ちを踏みにじろうと言うのか?」


卑弥呼に確信を突かれた悠斗は俯き、

拳を強く握り締めていた・・・。


そんな悠斗を見ると微笑みながらその頭に手を置き、

『グシャグシャっ』と乱暴に撫でながら言った。


「・・・お前は穂高の為にも死ねねーんだぜ?

 そして私がお前を死なせない・・・」


『えっ?』


卑弥呼の発言に驚いたのは悠斗だけではなかった。


卑弥呼は思わず『あっ』と焦った声を挙げると、

不審がるヴァマントは卑弥呼に尋ねた。


「お前とあろう者が、ユウトをどうしてそこまで?」


卑弥呼は冥界の地でも有名だった・・・。

『大罪人』としては勿論だが、

その本質を知る者達は揃って卑弥呼を擁護する。


しかも擁護する者達は錚々(そうそう)たる者達ばかりだった・・・。


ヴァマントの問いに面倒臭そうにしながらも、

卑弥呼は悠斗を熱い眼差しで見つめながら言った。


「・・・将来私はこいつの愛人になるからな~♪」


『・・・へっ?』


そう言い放った卑弥呼に再び2人の声がシンクロすると、

ヴァマントが顔を赤らめながら吠えた。


「おまっ、おまおまおまおまっ!

 貴様というお前はぁぁぁぁっ!?」


そのつんざくような叫びに、

悠斗と卑弥呼は両手で耳を塞ぐと『うるせー』と声を挙げた。


「貴様の口から何度か『愛人』と言う言葉を聞きはしたがっ!

 ま、まさか・・・本気で言っていたのかぁぁぁっ!?」


顔を真っ赤にしながらそう吠えたヴァマントに卑弥呼は言った。


「当然だろ~?

 こんないい男・・・冥界中探してもそうそう居るもんじゃねーよ?」


「・・・ぐぬぬぬぬむ


拳を握り締めながら卑弥呼から聞いた本音に、

怒りをどうしてよいものか分からないヴァマントだった・・・。


そして悠斗は『はぁ~』っと溜息を深く吐くと、

頬杖を突きながら『・・・まだかな~?』と黄昏ていたのだった。



~ ユウナギ邸・地下室 ~


ここ、ユウナギ邸の地下室には今、

アスティナとミラーズ・・・そしてらぶりんが居た。


「今から古い知り合いに会いに行くから、

 リョウヘイの事・・・お願いね?」


そう話を切り出したミラーズにアスティナは言った。


「2日前にそう言っていたけど、

 それで本当にあいつが目覚めるの?」


そう尋ねたアスティナにミラーズはゆっくりと首を横に振りながら答えた。


「正直・・・何とも言えないわ。

 だけど、可能性はゼロではないと思っているわ。

 だから私はあの人の為にも行かなくちゃいけない・・・」


「・・・ミラーズ」


真っ直ぐと見つめるミラーズの視線にアスティナは溜息を吐くと、

見つめ返しながら言った。


「・・・流石は激情の女王と呼ばれるだけあるわ~

 あいつのどこに惚れているのかはわかんないけどさ~?

 でも、あんたが本気だという事はよくわかったわ。

 だから・・・ミラーズ。

 何でもいい・・・あいつを・・・。

 リョウヘイを目覚めさせる手掛かりを掴んで来て」


そう言ったアスティナにミラーズは静かに頷くと、

今度はらぶりんがアスティナに口を開いた。


「こんな時に私まで・・・本当にすみません」


そう言いながら頭を下げるらぶりんに、

アスティナは笑顔を向けながら言った。


「・・・ちゃんとこの女を監視してなさいよ?

 じゃないとこいつ・・・。

 何がきっかけで暴れるかわかんないんだからねっ!」


そう言ったアスティナにミラーズは、

『・・・あ、暴れる?私が?』と驚いているようだった。


その反応に『やれやれ』と肩を竦めて見せるアスティナに、

らぶりんもまた『クスクスっ』と笑いを堪えているようだった。


そんな2人にミラーズは顔をあからめながら慌てて声を挙げた。


「ちょっ、ちょっとっ!?

 それじゃ~私がいつも暴れているみたいじゃないのっ!?」


「・・・あれ?違うの~?

 ユウナギの事になったら見境なくなるでしょうがっ!」


「うっ」


アスティナにまんまとしてやられたミラーズを見て、

とうとうらぶりんが『あははははっ!』と声を挙げて笑ったのだった。


そんなやり取りが行われた後・・・。


「・・・じゃ、アスティな?

 彼を・・・リョウヘイをお願い」


「・・・私からもお願いします」


「えぇ、わかったわっ!

 バッチリてっちりに私にドドーンと任せなさいっ!」


そう言いながら『ドーン』と胸を叩くアスティナに、

ミラーズは『てっちり?』と頭に『?マーク』を浮かべていたものの、

らぶりんがミラーズの服の袖を引っ張りながら首を左右に振ったのだった。


『・・・行ってきます』


そう言って時空洞の中に姿を消したアスティナは、

虚空を見ながら心配そうに呟いた。


「・・・気を付けて。

 必ずあいつを目覚めさせる手がかりを見つけて来て・・・」


そう言ったアスティナは、

未だ目覚めないユウナギの部屋を見上げるのだった。



~ 嘆きの森 ~


悠斗の身体が眠るこの地では、

神達が人族達と共にその身体を守っていた・・・。


雪がチラつく中・・・。


ここ嘆きの森では外でテーブルを囲み、

神達も共に食事を取っていた・・・。


「で~?今日のシフトはどうなってんの~?」


そう声を挙げたのは『現・深淵の女王』であるミランダだった。


退屈そうにそう声を挙げる中、エルナトはミランダを見上げながら言った。


「ミランダお姉さん?

 パパのお身体を守るの・・・嫌なの?」


「・・・えっ!?」


するとエルナトの声にミアプラのミランダを睨みながら言った。


「へぇ~、ミランダお姉ちゃん、

 パパのお身体を守るのが嫌なんだ~?

 へぇ~・・・そうなんだ~・・・へぇ~・・・」


「・・・・・」


その幼き双子の物言いに食べかけのパンを持ち硬直していると、

『魔法神・アリエル』が呆れて顔を見せた。


「ミランダ・・・貴女ね~?

 守る気がないんだったら、とっとと深淵に還りなさいよ」


ジト目を受けるアリエルにミランダは顔を引き攣らせ、

また、そんな彼女を見つめる双子の姿があった。


「べ、別に~・・・嫌って訳じゃないのよ?

 ほ、ほら~・・・な、何て言うのかな~?

 最近じゃ~魔獣や魔物達もあまり攻めてこなくなったでしょ?

 だ、だから・・・ほら・・・ね?」


『あははは』と引き攣った笑みを見せながらそう言うも、

双子の視線は冷たく、またアリエルの視線も軽蔑の眼差しだったのだ。


すると『退屈だなぁ~』と、そんな声が聞こえ、

姿を現したのは『武神・カロン』だった・・。


テーブルを囲む者達の重苦しい雰囲気に気付くと、

カロンはアリエルに『どうしたんだよ?』と尋ねた。


事情を聞かされたカロンはすぐさま何かを言おうとした時、

双子の突き刺さる視線を感じながらミランダに注意を促した。


「い、いいか、ミランダ?

 俺達は人族と共にユウトの身体を守ると決めたろ?

 だ、だから・・・な?

 こ、ここはあいつに借りを返す為にもだな~?」


そう言い始めたカロンに、双子の容赦ない声が響いた。


「あれれ~?

 カロン様はさっき『退屈だ~』って言ってなかったっけ~?

 ねぇ、エルナト~?

 私の聞き間違いなのかな~?」


ほとんど棒読みでそう尋ねたミアプラに、

エルナトはとても悪い笑みを浮かべながら棒読みで答えた。


「あー・・・確か僕もそう聞こえたような気がするなー。

 ねぇねぇ、アリエル様ー?

 僕達の聞き間違い・・・なのかな~?」


そうアリエルに尋ねながら『なのかな~?』と言った瞬間、

エルナトの怒気が籠ったその視線に、カロンは『ギョっ!』とした。


(こ、こいつら、まだかガキの癖に・・・

 と、とんでもねー殺気をその目に込めてやがるっ!?

 流石はユウトの子だぜ・・・将来が恐ろしくて仕方がねーぜ)


双子の視線に顔を引き攣らせるカロンは、

ふと共に顔を引き攣らせるミランダに目が留まると、

『あれ?』と首を傾げながら口を開いた。


「ってか、おい・・・ミランダ?」


「・・・何よ?」


「・・・お前、確か今日・・・誰かに呼ばれたとか何とかって?」


そうカロンが尋ねた瞬間・・・。


『あっ!』と声を挙げながら勢いよく立ち上がると、

両手で頭を押さえつけながら声を張り上げた・・・。


「わっ、忘れてたぁぁぁぁっ!

 今日、卑弥呼さんに呼び出し食らっているんだったぁぁっ!」


そう声を張り上げた瞬間・・・。


神達は皆揃って驚きの声を挙げた。


『卑弥呼から呼び出しぃぃぃぃっ!?』


神達が驚くのも無理はなかった・・・。


『卑弥呼』と言えば神界にも知れ渡るほどの『大罪人』で、

しかも頭脳明晰、腕っぷしも上位神達が認めるほどの傑物であり、

そんな卑弥呼から呼び出されていると言う事実に困惑したのだった。


するとカロンがミランダの傍へと寄ると、

肩を激しく揺すりながら声を荒げた。


「お、お前っ!?卑弥呼に何かやらかしたのかっ!?

 し、死ぬのっ!?お前・・・死ぬのっ!?

 もしそうなら、お前の屋敷に在る武器をくれっ!」


ミランダの両肩を激しく揺すりつつも、

バカな事を口走るカロンにアリエルだけではなく、

双子もまたジト目を向けていたのだった・・・。


『ガクガクガクっ!』と激しくカロンに揺さぶられるミランダは、

何も言えずに居ると、

突然カロンの頭頂部に『ガツンっ!』と衝撃が走った。


『痛てぇぇぇぇぇっ!』と悲痛な叫びをあげるカロンの背後には、

見回りの巡回を終えた『運命神・チタニア』がおり、

持っていた杖をカロンの頭上に躊躇いもなく打ち付けたのだった。


「・・・カロン?

 今日も脳筋・・・なのですね?

 今の一撃で少しほぐれると良いのだけど?」


引き攣った笑みを浮かべながらそう言うと、

チタニアはミランダに視線を向けながら言った。


「・・・早く行きなさいな?

 遅れると・・・とんでもない目に・・・」


そんなチタニアの言葉に、ミランダから冷汗が流れ落ちた。


「こ、殺されると・・・思う?」


チタニアだけではなく、それ以外の神達に視線を向けた時、

皆が揃って『コクリ』と無情にも頷いたのだった。


するとエルナトがミランダに声を挙げた。


「・・・早く行かないと永遠にパパに会えないかもよ~?」


そう『ニヤり』と笑って見せたエルナトのその瞳は、

笑ってなどいなかったのだ・・・。


(この子・・・怖いんだけど?)


そんな笑っていないエルナトの目を見つめていた時、

チタニアが声を挙げた。


「とっとと行くっ!」


「は、はいっ!」


慌てたミランダは急ぎ自分の『神界の門』を呼び出すと、

慌てながら扉を開け、中へと消えて行ったのだった・・・。


嵐が過ぎ去ったように静寂につつまれた時、

テーブルを囲む神達に向って、

『あっ!』と声を挙げたミアプラが口を開いた。


「ごめん・・・言うのを忘れてたっ!」


その声にエルナトが『話してみなよ?』と尋ねると、

『うんっ!』と元気な返事をしながら答えた。


『パパから連絡あって、

 イリアお姉さんとセルンお姉さん達と会ったって~♪』


『っ!?』


無邪気にそう言ったミアプラに神達ばかりかエルナトも頭を抱え、

カロンはこの静寂に包まれた嘆きの森で絶叫した。


『報連相は大切なんだぞぉぉぉぉぉっ!』


・・・今日も嘆きの森は平和だった。



~ 亜空間内 ~


『ブブゥン』と時空洞の黒い穴が螺旋状に開くと、

姿を現したのはミラーズとらぶりんだった・・・。


卑弥呼とヴァマントに軽く挨拶をすませんたミラーズは、

見知らぬまだ少年と思えるほどの男性に目が止まった・・・。


(・・・ま、まさか、この子が『カミノ・ユウト』なのっ!?)


ミラーズには余りにも衝撃的だった・・・。


まだ幼い面影を残し男か女かもわからない中性的な容姿に、

戸惑いの色が隠せなかった。


そんなミラーズに卑弥呼は笑みを浮かべながら口を開いた。


「ミラ子・・・紹介しよう。

 この男性が・・・神野悠斗だ・・・。

 そして私の『愛人』としての将来の就職先だっ♪」


『・・・はっ?』


卑弥呼の言葉にミラーズとらぶりんは固まったが、

すぐさまヴァマントが卑弥呼を押し退け説明した。


するとミラーズは悠斗を見つめながらヴァマントに聞いた。


「・・・この子・・・コホン。

 失礼・・・この男性が『カミノ・ユウト』なのね?」


「・・・はい、そうです」


そう返答した瞬間・・・。


視線を向けたミラーズに、

悠斗は席から立ち上がると進み寄り右手を出しながら口を開いた。


「・・・初めまして、神野悠斗です。

 貴女がミラーズさん・・・ですね?」


「え、えぇ・・・」


悠斗の態度に目を丸くしたミラーズは、

卑弥呼へと視線を向けると『コクコクっ』と頷いた。


(卑弥呼の話や鬼の気を扱う男と聞いていたから、

 どれほどの猛者かと思ったけど・・・

 ま、まさか・・・こう来るとはね?)


余りにも予想してなかったミラーズは戸惑ったが、

ミラーズもまた笑みを浮かべながら右手を出し、

握手しながら口を開いた。


「・・・ミラーズよ。

 カミノ・ユウト・・・君・・・」


緊張しつつもそう声を開けたミラーズに、

悠斗は笑みを浮かべながら言った。


「・・・ユウトで大丈夫だよ?」


「わ、わかった・・・わ・・・有難う」


戸惑いながらも挨拶し終えた時、

悠斗は傍で控えている女の子に声をかけた・・・。


「やぁ、初めまして・・・俺は神野悠斗。

 宜しくね?」


微笑みながらそう声をかけた悠斗に、

らぶりんは思わず赤面し、握手しながら挨拶をした。


「ら、らぶりんと言います・・・宜しくお願いします」


その光景を見ていたミラーズは、

卑弥呼やヴァマントと念話で会話をしていた。


{・・・予想していた男と全然違うんだけど?}


{はっはっはっ!だろ~?

 すっげーいい男なんだぜ~?}


{どこがだっ!

 ミラーズ様・・・このユウトという男は非常に無礼なヤツで・・・}


{・・・失礼なヤツ?

 ヴァマ・・・少し会わない間に、

 貴女の目は腐ったのかしら?}


{・・・はぁ?}



ミラーズの発言にヴァマントが固まる中、

卑弥呼は念話で爆笑しており、らぶりんと楽しげに話す悠斗を見て、

微笑ましい表情を見せたのだった。


少しの間・・・。


雑談していた時、

ミラーズは卑弥呼に質問した。


「ねぇ、ヒミぞう?

 そろそろ本題に入ってもいいかしら?

 私もリョウ・・・」


ミラーズが事情を説明しようとした時だった・・・。


突然ヴァマントがミラーズの前に身体を滑り込ませると、

念話でこう伝えた・・・。


{ミラーズ様?

 彼は上位神達からの・・・}


{あっ、そう・・・だったわね?

 リョウヘイもそうらしいけど・・・どうして?

 リョウヘイとユウトには一体何があると言うの?

 説明・・・してもらえるのよね?}


そう言いながらミラーズは卑弥呼とヴァマントに睨みを利かせると、

『後ほど・・・』と言う念話がヴァマントから入った。


軽く頷きながらミラーズは了承すると、

再び卑弥呼に質問した。


「で・・・?ヒミぞう?

 そろそろ本題に・・・」


すると卑弥呼は周囲を見渡しながら、

『おかしいな~』と言い始めた・・・。


『どうしたのよ?』と質問するミラーズに、

卑弥呼は続けた・・・。


「いや~ちょっとさ~・・・

 お節介がてらさ~」


そう言う卑弥呼にミラーズとヴァマントは肩を竦めると、

卑弥呼は諦めがついたようで口を開いた。


「まずは悠斗に説明しなくちゃならないからな?」


そう言いながら、らぶりんと談笑する悠斗に視線を向けると、

『あぁ、そうだな?』と真剣な眼差しを向けると、

突然雰囲気を変えた悠斗にミラーズとらぶりんは驚くのだった・・・。



ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?


とうとう悠斗の世界にミラーズがやってきましたっ!

長かったーっ!やっとここまで来たっ!


読者様方も楽しんでいただけたのなら・・・幸せで御座いますっ!


そして次回は『後編』となり、

また、『ミラーズの曲』もアップしますので、

そちらも楽しんでいただけたら・・・と、思います。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
ホントに閑話?て思うような大事なエピソードですよね。 ていうか、最初からここまでを考えてこられたのがすごいですね! 今後の展開も楽しみにしています♪
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