33話 使徒と豹変
お疲れ様です。
展開が遅く申し訳ないと思ってますが
これからもマイペースで行きたいと思ってますので
食事を終え、コーヒータイム中・・・
「ユウト、イリア・・・色々と世話ににゃっているから
私が知っている事を話すにゃ」
「えっ?セルカ・・・話して大丈夫なの?」
「大丈夫にゃ。今回の仕事はロジー様の救出と敵の暗殺にゃ」
簡単に仕事内容を教えてくれたセルカ
その表情は少し困った顔をしていた・・・。
「ん?セルカ・・・どうして困った顔になってるんだ?」
「えーーっとだにゃ。じ、実は・・・今話した事が全部にゃ♪」
「「はぁぁぁーー??」」
悠斗もイリアもセルカに気を遣っていただけに
怒りもまた・・・それに比例する。
「ちょ、ちょっと・・・セルカぁぁぁぁ!!」
「ほ、ほう~・・・私の情報が、なんたらかんたらって話は?」
(怖いにゃぁぁぁ!め、目がまじにゃぁぁぁ!!)
怒りに震える悠斗とイリアは静かに剣を抜いた・・・。
「あわわわわ・・・ちょっ、ちょっとま、待つにゃ!
ふ、二人共・・・剣を・・・剣をにゅくにゃぁぁぁ!!」
「ほう~・・・言い残したい事はそれだけか?」
「ふふふ♪蜂の巣にしてあげるわ♪」
悠斗とイリアはセルカに「ジリジリ」迫る・・・。
「ちょっと・・・ほ、本当に・・・ま、待つ・・・にゃ」
「ふーん。じゃ~どうして私達に着いて来たのかしら?」
「そ、それは・・・」
イリアの剣がセルカの喉元に迫った時、
悠斗が何か「ゴソゴソ」しているのが見えた。
「ユウト・・・?あんた、何やってんのよ?」
「ん?ああ~これか。いや、まずは土魔法でゴーレムでも・・・
そう思ったんだけど~・・・んー何か違うな~って思ってさ」
「違うって何が違うのよ?」
「・・・それなんだが。土魔法で「アイアンメイデン」的な?
そんな拷問道具が作れないかと思ってさ~♪」
爽やかな笑顔で、とんでもない事を言い出す悠斗。
「ねぇ・・・。あいあんめいでんって、何よ?」
「・・・・」
「ん?どうしたの?」
「えっと・・・ギロチンって知ってるか?」
「ええ、勿論知ってるわよ」
「それで何故、アイアンメイデンを知らないんだ?」
「そう言われても・・・」
セルカは二人が話している間に逃げようと動くと・・・
「ドスッ!」っと、セルカの目の前を通り、
ナイフが壁に突き刺さる。
「・・・・にゃあぁぁぁぁぁ!!」
セルカは腰を抜かし、へたり込んでしまった。
「んー・・・。って言うか・・・
折角助けたのに、今更殺すってのもな~・・・」
「そうね・・・確かにそれは言えてるわね」
悠斗とイリアは視線を合わせると・・・
「もう面倒だから許してやるかっ!」
「め、面倒って・・・。でもまぁー私もそれでいいわ」
「・・・・・・・」
セルカを見てから再び視線を交わす悠斗とイリア。
「ぷっ・・・あははははは♪」
「あははは!」
「そんな事が理由で殺すはずないじゃない♪
もう、セルカったら面白いんだから~♪」
目を何度か瞬きした後・・・。
「にゃ?冗談なのかにゃ?で、でも・・・冗談にしては・・・」
「んー?なーにぃー?冗談に決まってるでしょ♪」
セルカは顔が引きつりながらも笑い、
イリアもまた大いに笑っているが・・・
「なぁ、イリア。冗談・・・だったのか?」
その瞬間、聖域の空気が一気に凍りついた気がした。
「ユ、ユウト?あはは・・・冗談よね?まさか本気だったの?」
「ユ・・・ユウ、ト・・・。ま、まじにゃのかにゃ?」
悠斗は一度二人から視線をはずし、後ろを振り向いた・・・。
「ふっふっふっ・・・冗談かって? 」
「「ゴクリ」」
「あーあ・・・殺したかった・・・な・・・
とてもとても美味しそうだったのに・・・フッフッフッ」
そう言うと、悠斗は二人に顔を向けると・・・
悠斗の目は・・・白くなっており、笑顔もまた・・・不気味だった。
そして・・・恐ろしいほどの魔力を垂れ流していた。
「ヒ、ヒィィ!!」
イリアは腰を抜かしガタガタと震えており
「にゃ・・にゃ・・・にゃぁぁぁ!!」
セルカはガクガクしながら、四つん這いで逃げようとしていた。
「なーーんてな!冗談だよ冗談!わっはっはっ」
「「へっ? 」」
「いや~・・・一応こういうのはさ、
やっておいたほうがいいのかな~って思ってさ♪
ははは。やってみると面白いものだね~」
イリアとセルカは俯くと「ブツブツ」と、何か言い始めた。
「ユウトー!!!ほんとに怖かったんだからぁぁ!!」
「お、お前・・・やっぱり、あほだにゃぁぁぁぁぁ!
く、空気を読めにゃぁぁぁ!!」
「ん?空気嫁?俺には必要ないが・・・?」
「「・・・・・」」
イリアとセルカはふか~~~い溜息を吐いていた。
「ふむ・・・じゃー気を取り直して、コーヒーでも飲もう!」
「・・・こ、こいつ・・・普段は間違いにゃく、ポンコツにゃ!」
「・・・あー。私もそう思ったわ」
「ははは・・・皆ひどいな~」
「「お前が言うなっ!!」」
「ご、ごめんなさい」
二人の勢いに圧倒されて、素直に謝る空気の読めない悠斗だった。
暫くの間、何とも言えない空気の中コーヒーを飲んでいたが、
悠斗の空気の読めなさにあきらめる事にした。
「にゃー二人共?アシュリナの御領主様を知ってるかにゃ?」
「いや、名前くらいは知ってるけどさ・・・。
確か・・・天帝の人だっけ?」
「にゃ?天帝?」
「ああぁぁ!ゴホンッ!それはこっちの話だった。
サウザー・アシュリナ様・・・だっけ?」
「そうにゃ、そのサウザー様からの仕事だったのにゃ」
「ねぇ、セルカ・・・。それじゃ~サウザーさんは、
ロジーに降りかかる事がわかってたって言うの?」
「まぁーそうにゃるにゃ。だから私が来たのにゃ・・・。
だけど、あの馬車が速すぎて追いつけなかったにゃ」
(あー。あの馬車はヤバかったな。それにあの魔法陣・・・
やっぱりロックバルの馬鹿息子絡み・・・ってところだな)
イリアはあの時の暴走馬車の事を思い出していた。
「それにしてもユウト?あなた・・・どうしてあんなに速いの?
人族があんなスピードで走れるなんて、聞いた事ないわよ?」
「んー。この国はどうかは知らないけど、
俺より速いヤツなんて、結構それなりにいるぞ?」
「ほ、本当なの?あなたの国って・・・化け物王国なの?」
「化け物王国って何だよ!」
イリアもセルカも大いに笑っている。
「改めてってのも変にゃ感じにゃけど・・・
アシュリナでBランクの冒険者をやってるセルカにゃ♪
武器はショートソードやナイフを使うにゃ。
因みに、猫人族にゃ♪スピードには自信あるのにゃ♪
今後とも宜しくにゃ♪」
(・・・今後とも?どういう事?)
イリアは悠斗の顔を見ると自分を指差したので頷いた。
「私はイリア。嘆きの森に住むダークエルフよ。
武器は剣と弓かしらね?
それと、魔法もそれなりに使えるわ♪
これからも宜しくね♪」
悠斗を見ながら自己紹介してきたのだが・・・
(・・・もう知ってるし。)と、イリアのアピールタイム終了。
「えっとー。俺は悠斗。東の果ての国から旅をしてきた。
この国の事はほとんど知らないけど、これも何かの縁って事で
今後とも宜しく」
丁度改めて自己紹介が終わった頃に、雨が激しくなってきた。
「うわぁ~・・・結構降ってきたな」
「そうね・・・。明日は降らないといいけど・・・」
「あのにゃー二人共・・・私もいくつか説明してほしい事があるにゃ」
「んー。説明出来る事と出来ない事あるんだけど?」
悠斗の言い方に違和感を感じたイリアとセルカだったが・・・
「ユウト、それはこの聖域に関しての事かしら?
それとも・・・貴方の強さに関してかしら?」
「どちらかと言うと・・・この聖域に関してかな?」
「やっぱりこの場所にはにゃにかあるのかにゃ?」
(ラウル・・・なんて説明したらいいんだ?
ラウルの使徒って事は言わないほうがいいんだよな?
二人共すっごいこっちを見ているんだが・・・)
一応心の中でお伺いを立ててみたのだが
当然メールなんて来るはずもないと思っていたら・・・
「ピローン」とメール音がした。
悠斗は怪しまれないようにメールを開くと・・・
「件名 何を悩む必要があるんだい?」
(いやいや、普通悩むだろ?)
そう思いつつも続きを読む。
「悠斗君は忘れてしまったのかな?
メインステータス画面を見てみなよ?
創造神の使徒って言う称号があるよね?
だからもうバレバレなんだけど♪じゃー頑張ってねー♪」
悠斗はラウルからのメールを見て溜息を吐いた・・・。
(・・・今まで悩んだのは何だったんだよ)
深い溜息を吐いた事で、イリアもセルカも
悠斗の事を興味深く見ていた。
「ふぅ。わかった、わかったよー。許可が出たから教えるよ」
「許可って何にゃ??」
「いつ許可が降りたのよ」
(まぁ、そういう反応になるよな)
悠斗はステータス画面を開くと二人に見せた。
「えっ?見てもいいの?」
「ああ、いいよ」
イリアが悠斗に気を遣ってくれているらしく
申し訳なさそうにしていた。
「遠慮しなくていいから、しっかり確かめてくれ」
「わかったわ。ユウト・・・ありがとね♪」
そして二人はまじまじと悠斗のステータスを見る。
悠斗がコーヒーに口を付けると、二人の様子が可笑しい。
「ん?二人共どうしたんだ?」
悠斗が声をかけると、まるで「ブリキのおもちゃ」のように、
「ギクシャク」しながら悠斗を見てくる。
「ユ、ユウト・・・あ、貴方・・・」
そこまで言うと、イリアは黙ってしまった。
「いやいやいや、おいおい!最後まで話せよ!」
「ユウト・・・さ、様?」
「セ、セルカさん?急に「様」付けって・・・どうしたんだ?」
悠斗が二人の様子が変わるのを見て慌てると、
イリアとセルカが地面に正座し、頭を下げてきた。
ま・さ・に!豹変である。
「二人共・・・何のマネだよ?急にどうした?」
「はい。まさかユウト様が創造神様の使徒とは知らず
今まで大変御無礼な言動を謹んで謝罪致します。
誠に、申し訳け御座いませんでした」
「ユ、ユウト様。命を助けて頂き誠に有難う御座いましたにゃ。
この恩は、このセルカの一生を賭けて返させて頂きますにゃ」
二人の態度が豹変して、流石の悠斗も慌ててしまう。
「えっと・・・二人共さ、そんな所に座ってないで、
い、一緒にコーヒーを飲もうよ」
悠斗の言葉を聞いても土下座を崩さない二人。
その様子に悠斗は項垂れてしまう。
(ラウル・・・。こんな展開になるとは思ってなかったんだけど?
それに・・・使徒って事を一般公開しても良かったのか?)
「ピローン」と、再びメールである。
「件名 いいから、いいから、気にしなくていいからね♪」
(いやいや、この態度の変わりようだよ?普通気にするだろ!)
「やあやあ悠斗君、君と再びメールできて・・・
僕は今、感動に打ち震えているよ!と、まぁーそれは置いておいてっと、
(感動していたんじゃないのか!置いておくんかーいっ!)
あーそうそう。「使徒」ってバレた方が、君が動きやすくなると思うんだよ。
貴族と関わり合いたくなければ、神の命により・・・とかね。
だから存分に「使徒」をアピールしてくれてもいいんだよ?
君が何か悪い事をするとは思えないしね。
天然な君は、きっと面倒臭がるだろうからね。
だから、使徒である事をステータスを見せて、手間を省こうと・・・。
まぁ、そう言う事だからさ、頑張ってねー♪でわでわ♪」
(・・・メール、長いよ。あと、俺は天然じゃないから!)
悠斗は再び溜息を吐くと、未だに土下座したままの二人を見た。
(あー・・・。面倒臭い・・・まじで・・・)
悠斗はいいかげん面倒臭くなってきたので・・・
(ここはアレだな・・・)
「えー。コホン。俺達もう仲間だろ?だからそんな事やめろ」
イリアとセルカは土下座したままお互いの顔を見合わせると・・・
「「有難う御座います。ユウト様」」と、二人仲良くハモってきた。
「あー。「様」」は付けなくていいからね?
普段からそんな事をされると、面倒臭い事になるだろうしさ」
「はい。確かにそうですね。以後、気をつけたいと思います」
「わかりましたにゃ。私も気を付けたいと思うにゃ」
(あー。これ、まじどうしよう・・・)
雨が激しく降る外を見ながら心の中でボヤくのだった。
(英二先輩より面倒臭いかも・・・)
ラウル ・・・ ふっふっふっ♪出番増えたW
ミスティ ・・・ それはそれは大変宜しかったですわね。
ラウル ・・・ えっと・・・。負のオーラは出さないでくれ
ミステイ ・・・ 私もユウトさんに恋文の一つでも・・・
ラウル ・・・ 恋文って・・・いつの時代の神だよ
ミスティ ・・・ 雅な感じが致しますでしょ?
ラウル ・・・ あー。雅って僕わかんないや。あははは
ミスティ ・・・ くたばれっ!(ボソッ)
ラウル ・・・ いやいや、聞こえたからね?
ってなことで、緋色火花でした。




