3話 異形の魔
ちょっと予定変更です。
異世界に転移するのはまだかかりそうです。
もう少し上手く書ければ・・・「がくっ」
少しの沈黙があってからラウルは思い出したかのように口を開いた。
「あー、ちょっと質問させてもらっていいかな?」
英二と悠斗は「コクリ」と頷く。
「君達の仕事ってどういうものなのかな?」
どういうもの・・・英二は変な聞き方をするなーとは思うものの答えた。
「えー、俺達の仕事は日本に居る魔を狩ることですかね。
古来より狩っていたみたいなんですけどね、
俺は血統の一族ではないので詳しいことはわからないんですけどね・・・」
ラウルは「へぇ~」っと言うだけだった。
「まぁ~俺はねそうなんですけど、悠斗は血統の一族なので俺よりは詳しいはずですよ」
英二は視線を悠斗に送りながら「話せよ」と言っているようだ。
悠斗は頭を「ポリポリ」と掻きながら面倒臭そうに話し始めた。
「あ~・・・言っていいのかどうか悩むところなんですけど・・・。
昔は「魔」ではなく「鬼」だったみたいですよ」
そう言うと英二が「鬼って、あの物語に出てくる鬼か?」
「ええ、まあー英二さんが知らないのも仕方がないとは思うんですけどね。
直系にしか知らせてないらしいですし・・・」
「魔・・・と、鬼は違うのかい?」と、ラウルは質問してくる。
「えっと、魔と鬼は全く違うカテゴリーみたいですよ?
親父の話しだと魔よりも鬼のほうが強さのケタが違うらしいです。」
「君達二人は鬼に会ったことはないんだね?」
悠斗と英二は無言で頷く。
「魔よりも鬼のほうが強い・・・・ふむ」ラウルはそう言うと腕を組み考え始めた。
二人は紅茶を飲みながら創造神が話し出すのを待つことにした。
暫く考えたあと「悠斗君、君はその鬼を狩る一族の血統なんだね?」
ふいに聞かれたので「え、ええ」と答えると・・・
「改めてお願いしたい。悠斗君僕に・・・いや、僕の世界を救ってはくれないだろうか?」
とてもまっすぐな目で聞いてくる。
「僕が貴方の世界で何ができるのですか?どうして僕なのでしょうか?」
ラウルのまっすぐな目に対して正直に言おうと思い疑問をぶつけてみた。
薄く笑ったラウルは静かに話し始めた。
「僕の世界の魔を討伐してほしい・・・」
眉間に皺を寄せながら苦悶の表情になった。
「どう言う事でしょうか?」
「先程の話・・・もしかすると、その魔の正体は、鬼・・・かもしれないんだ」
悠斗も英二もその言葉に黙ってしまう。
黙ってしまった二人に言葉を続ける。
「そう思い至ったのは、魔よりもケタ違いに強いってこと・・・
それと似た気配を悠斗君・・・君からも感じたんだ。」
悠斗はどう言う事なのかわからなかった。
それを察したラウルは「僕と最初に出会った時、君は気という独特な結界を張ったよね?」
悠斗は顔を少し顰めながらも黙って頷いた。
「ただの結界ならば僕も驚かなかったけどさ、
最初に張った結界は全体的にゆらゆらと白い結界だったのだけれど、
英二君の前に躍り出た時の結界は、
激しく吹き上がるような赤い色をしていたんだよ」
そう言われ悠斗は何言ってんだ?と思い英二を見るのだが
英二もまたあの時の事を思い出して「はっ!」っと悠斗を見た。
「・・・悠斗、た、確かに創造神の言う通りだ。
あの時のお前の結界は・・・確かに赤かった」
「いやいやいや、そんな訳ないじゃないですか!
だいいち、結界に色って数種類しかないし、
赤・・・だなんて聞いたこともないですよ?」
結界の色とは・・・御札や呪符の場合「青」、森羅万象の結界は「緑」
人の気の結界は「白か黄」なのである。
「赤」と言うモノは存在しない・・・・はず・・・で、ある。
しかし代々継がれる当主やそれを補佐する者、
そして長老と言われる老人達の数名しか知らない事実が存在している。
血統である悠斗が知らない事はまだたくさんあるのだ。
自分の気が赤いと言うことにショックで黙ってしまう悠斗。
「悠斗君、僕の世界を・・・ノーブルを救ってくれないか?」
混乱しているであろう悠斗に聞くのは忍びないのだが
こちらも手の打ちようのない現実があるのである。
悠斗の様子を見ていた英二が口を挟む。
「創造神様、俺も連れて行ってもらっていいですかね?」
その言葉に驚くラウルは少し考えるものの「すまない」と答える。
「な、何で俺はそのノーブルって所には行けないんスかっ!
創造神様・・・俺とこいつはセット売りしかしてねぇーぜ?」
「いやいや、英二さん・・・セット売りって・・・」
「はっはっ!俺達相棒じゃねぇーか?
だからお前が行く所は、当然俺も付いて行くんだよっ!」
そんな会話をする2人に、ラウルは申し訳無さそうな顔をすると・・・。
「すまない・・・。君を連れて行く事は無理なんだ。
僕達神の世界にも、当然ルールと言うモノがある。
君を連れて行く事は、この地球の神々が許さなかったんだよ」
ラウルの言葉に英二は勢いよく立ち上がると、
テーブルに手を激しく打ち着けた。
「な、何だよそれっ!悠斗だけにあんたの世界を守らせる気かよっ!
バカな事言ってんじゃねぇーぞっ!
こいつ1人で何が出来るってんだっ!」
英二の言い分も当然理解出来るのだが、神にもルールがある。
勿論・・・それを犯す事はタブーとされる。
ラウルは目を閉じると、英二に対し・・・深々と頭を下げた。
「・・・本当にすまない」
ラウルの心からの謝罪を感じると、力なく椅子にもたれ掛かった。
そして英二は両膝の上にある拳を「ギュッ」っと握り締めるのだった。
悠斗は英二の悔しそうな顔を見て・・・
「わかりました。僕で良ければ創造神様の力になります」
その言葉にラウルと英二は違う反応を示す。
「ありがとう!悠斗君!」と、喜ぶラウルに対し
「何言ってんだよ!」と怒鳴る英二。
英二の怒りを想像していた悠斗は・・・
「英二さん、確かにいきなりこんな話をされても・・・って思いますけど、
創造神様も切羽詰まってのことなんだと思います」
「だからって、お前じゃないと駄目ってことでもねーだろうがっ!」
少し困ってしまう悠斗だが・・・
「俺じゃないと駄目な理由は・・・
恐らく、さっき話しが出た赤い気・・・じゃないですかね?」
「はっ!」っとなる英二。
「創造神様はきっと何かを知っていて僕に話している・・・そう言うことでしょ?」
そう言いながらラウルに視線を向けた。
「ははは、君にはかなわないな」
乾いた声で笑うラウルだが目つきは真剣そのものだった。
「悠斗君、今はまだ君自身の本当の力は目覚めていない。
その力って?って、聞かれても今はまだ答えられないんだよ。
それは地球の神々達の約束でもあるからね・・・」
悠斗は軽くため息を吐くのだが「わかりました」と、静かに答えるだけだった。
英二は苦悶の表情を浮かべながら
ただ・・・二人の会話を聞いているだけしかできなかった・・・。
ん~・・・もう少しコメディ的に書きたかったのですが
暗いな~っと思う今日この頃でした。
・・・お腹空いたな。
緋色火花でした。




