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異世界転移 ~魔を狩る者~  作者: 緋色火花
第三章・冥界編
396/406

287話 2人の神と突破した者

お疲れ様です。


寒いのか暑いのかわからない緋色で御座います。


ってな事で・・・。

今回も・・・卑弥呼の続きでありますが・・・w

説明するよりも皆さんが読んだ方が・・・ね?w



それでは、287話をお楽しみ下さい。

悠斗と卑弥呼・・・。


2人の模擬戦が終わった直後・・・。



~ とある空間内 ~


「・・・おいおい、絶?

 お前が言っていた『深紅の門』を潜るんじゃなかったのかよ?」


何もないただ闇が支配するその空間で、

悠斗と卑弥呼の戦いを覗いていた者達がいた・・・。


「まさかこんな事になるとはな?」


「全くだよ?

 折角、悠斗君やユウナギ君に合わせて、

 こっちも準備していたってのにさ?」


「・・・・・」


そう文句を言った男は肩を竦ませながら続けた・・・。


「だいたいさ?

 こっちは数千年の間、あの2人を待ち続けて、

 やっっと現れたってのにさ?

 君は一体何をやっていたんだよ?」


再びそう文句を言った男の言葉など聞こえていないのか、

絶は『まさか穂高がな?』とそう呟いていた。


「そうっ!それだよっ!?」


「それ?」


絶はその男に訝し気な顔を見せると、

その男は『ムゥゥ』っと、頬を膨らませながら絶に指を向けながら言った。


「その穂高君だよっ!」


「穂高がどうした?」


「ど、どうしたって?

 き、君ね~?

 この状況・・・勿論分かっていて言っているんだよね?」


「ま、まぁ~な?」


「こっちだって、あの2人に合わせて、

 何度もループさせているってのにさ?

 ちょっとはこっちの身にもなってくれよっ!」


そう説教してくる男に絶は呆れた表情を見せると、

『あのな~?』と言葉を続けた。


「おい・・・やく・・・」


絶がそう言った瞬間・・・。


『しゃら~っぷっ!』と声を張り上げた男に、

絶は『はぁ~』っと深く溜息を吐いた。


するとその男は再び絶に指を差しながら言った。


「今の僕の名は『エイト』だっ!

 何度言ったら気が済むんだよっ!

 全く・・・君と言う男はっ!」


そう言ったエイトに絶は内心『今、知ったんだがな?』と思うと、

エイトは『考えている事バレバレだっちゅーのっ!』と不貞腐れた。


『やれやれ』と呆れていると、再びエイトは口を開いた。


「で・・・?」


「ん?で・・・?とは?」


察しの悪い絶にエイトは『本当に君はさ?』と、

ブツブツ文句を垂れながら続けた。


「君は悠斗君のあの力・・・。

 確か、緋色?それとも・・・不死鳥・・・?

 まぁ~どっちでもいいけどさ~?

 あの力・・・君が見てどうなのよ?」


絶はエイトの問いに『ふむ・・・』と腕を組みながら考えると、

画面の中でアップになっている悠斗を見ながら言った。


「・・・正直、話にならんな?」


「ん?話にならないってどう言う事?」


「俺から言わせればあの不死鳥の力・・・

 つまり緋色の力は『深紅の門』と比べるまでもなく、

 話にならんよ」


そうきっぱりと言った絶にエイトは尋ねた。


「でもさ?あの・・・問題児の卑弥呼に勝ったよ?

 君が話にならんと言ったあの力が、あ・の・・・卑弥呼に勝ったんだぞ?

 確か君が彼女に『鬼の勾玉』を腹に埋め込んだんじゃなかったっけ?」


「あぁ・・・まぁ~そうなんだが・・・」


何か言い淀んでいる絶にエイトが怪訝な表情を見せると、

絶に詰め寄りながら顏を指差しながら言った。


「まさか君・・・?

 僕に何か隠しているんじゃないのかな~?

 絶・・・はっきり言いなよっ!」


詰め寄り指を顔に向けながら言ったエイトに、

絶は『ち、近い近いっ!人の顔に指を差すなっ!』と怒ると、

不貞腐れているエイトに面倒臭がりながらも言った。


「・・・俺が確かにあの女に『鬼の勾玉』を埋め込んだ。

 それは確かに事実なんだが?」


歯切れが悪く何か考え込んでいる絶にエイトは、

『何を考えているんだよ?」と、問いかけると絶は口を開いた。


「・・・俺が与えた力はあんな弱小な力ではないんだがな?」


「・・・はぁ?」


「い、いや・・・。

 俺があの女に力を与えたのは、

 その力を十分に扱えると思っての事だ・・・。

 アスラの配下の者達がいつ来襲してもいいようにってな?」


「ほうほう・・・なるほどなるほど。

 君は再び現れるであろう、あのアスラに対抗する為に、

 卑弥呼君に力を与えたと言うんだね?」


『今、初めて聞いた・・・』と、

言う口ぶりで話すエイトに絶は『お、お前な~?』と呆れた。


「何さ?」


「いやいやいや・・・。

 エイト、お前の所に報告書を渡しているはずだがな?」


「えっ!?そ、そうなのっ!?

 僕はただ部下から話しを聞いただけで何も知らないんだけど?」


そう言ったエイトに絶は頭を押さえると再び深く溜息を吐いたのだった。


「あ、あははははは・・・。

 ま、まぁ~ぼ、僕も色々あるからさ?

 しょ、しょうがないよね?」


「・・・・・」


呆れ過ぎてもはや言葉もなくなった絶にエイトは口を開いて言った。


「ま、まぁ~卑弥呼君の事はこの際、どうでもいいさ。

 だから~悠斗君だよっ!

 悠斗君のあの力がどうして話にもならないって言うのさ?」


自分の事を棚に置いて捲し立てるエイトに、

絶は渋々ながらも答えた。


「・・・あの緋色の力は、

 言わば『真紅の門』の強化版だと言えばわかるか?」


「おぉ~、強化版・・・なるほどね~?

 でもさ?

 実際に卑弥呼君には勝ったじゃないか?

 彼女は『女神』でもないのにこっちの冥界ではさ、

 力の上位ランキングに入るほどの問題児・・・。

 ゲフンッ!実力の持ち主じゃないか?」


問題児と言って咳き込んでなかった事にしたエイトに、

絶はジト目を向けた。


「ゲフンっ!ゲフンっ!

 だ、だから~・・・話をすり替えないでくれよっ!

 僕が聞きたいのは悠斗君っ!悠斗君の話だよっ!」


『わかった、わかった』と子供をあやすように言った絶は、

悠斗の力の事について見解を述べて言った。


「俺の予定では、ヤツは今回間違いなく『深紅の門』を開いていたはずだ。

 だがしかし・・・穂高が何を思ったのかは知らんが、

 あいつはそれを良しとせず、不死鳥の力を与えた・・・。

 これは穂高1人ではどうする事も出来んはずだ。

 つまり・・・だ。

 クロノスの鎖を操れる『あの女神』の仕業と言ってもいいだろうな?」


その話を聞いたエイトが今度は腕を組み顎に手を当てながら考え込み、

ブツブツと何かを言い始めた・・・。


「あの女神は一体何をしたかったんだ?

 悠斗君の邪魔をする理由はないはず・・・なんだが?

 彼女が悠斗君には『深紅の門の力』が危険過ぎると、

 そう願い出てくるのならいざ知らず・・・

 彼女は穂高君の思念体まで使って、一体何がしたかったんだ?」


そうブツブツ言い始めたエイトに絶は、

横目で見ながら同じような事を考えていた。


(確かにそれは言えるな?

 悠斗に力をつけてもらわねば、彼女の世界も危ういはず・・・

 なのに何故だ?)


そう考えつつも絶は、画面越しに見る悠斗の姿を見て、

『何かあるな?』と呟いた。


そしてその考えに同意するエイトは口を開いた。


「確かに悠斗君は一度『深紅の門』に手を触れた。

 その瞬間に都合よく・・・なんて事はないはずだ。

 まぁ~、悠斗君の精神世界だからね?

 いくら僕達が神だからと言って、精神世界までは把握出来ない。

 だけど穂高君があの女神と結託して、

 悠斗君に違う力を与えた・・・。

 確かにあの時、悠斗君の魂から穂高君の力を感じた・・・。

 だから間違いなく穂高君が導き手となって・・・」


そう話すエイトに絶も『あぁ、俺もそう思う』と言った。


「悠斗君のあの緋色の力が、

 君の言う通りの『真紅の門』のただの強化版だとしたら、

 彼は・・・悠斗君はそのうちに・・・。

 いや、確実に・・・負ける日が来るはずだ。

 それは僕達の計画に反する・・・。

 彼は僕達がありとあらゆる世界から選び抜いた男だ。

 だから負けがあってはいけないんだ・・・」


「あぁ、そうだな?

 アスラや他の者達・・・それにその背後にいるであろう黒幕を、

 一刻も早く何とかしなければならないと言うのに・・・

 あの女神め・・・一体何を考えている?」


そう言った絶にエイトは肩を竦めて見せると、

金髪の頭を掻きながら『どうするのさ~?』と嘆いていた。


「ここまで・・・。

 本当にここまで・・・何度も何度も失敗してっ!

 漸く・・・ここまで来たってのにさ~?」


そう嘆くエイトに絶も『そうだな・・・』と、

複雑そうな表情を浮かべていたのだった。



~ 冥界の闘技場内 ~


悠斗は卑弥呼から一振りの刀を渡され、

いつもの癖を見せた瞬間、卑弥呼はそんな悠斗の所作に驚き、

今度は刀での勝負を挑んだ。


一同が驚く中・・・。


悠斗は驚きつつも今、渡されたモノを卑弥呼に突き出しながら言った。


「これ・・・打刀じゃないじゃんね?

 まさか・・・太刀でやれと?」


そう言った悠斗にヴァンが不思議そうな顔を見せながら口を開いた。


「なぁ、ユウト?

 ウチガタナ・・・?

 それしそのタチってのはどう違うんだよ?

 同じ武器じゃねーか?」


そう疑問を口にしたヴァンに悠斗は『はぁ~』と溜息を吐いた。


「根本的に違うんだ・・・。

 俺達の言う刀ってのは、打刀の事を差し、

 刀身の反りは浅いモノが多く、不意な攻撃に対しも、

 抜刀して戦えるってのが打刀。

 太刀っていうのは、基本的に『騎馬戦』を想定して作られていて、

 その大きな反りを遠心力を使って戦うのが太刀なんだよ」


そう簡単にざっくりと説明した悠斗に、

ヴァンは頷きながらも南雲に視線を向けると、

何度か小さく頷いていたのだった。


『なるほどな~』っと・・・。

そうヴァンが言うと、顔を引き攣らせた悠斗が言った。


「俺の得意なのは抜刀術なんだよ?

 太刀じゃ本気で抜けないじゃないかっ!」


そう怒鳴る悠斗にヴァンは顏を強張らせながら思っていた。


(こ、こいつ・・・マジギレしてんのかっ!?

 って事は・・・だ。

 本当にユウトにとってカタナってのは大切なものなんだな~?)


ヴァンはそう考えながらキレる悠斗に、

何度も謝罪すると、卑弥呼は笑みを浮かべながら口を開いた。


「すまんすまん・・・ついな?

 でも悠斗?

 お前、そんな事を言いながらあの所作は見事だったぞ?

 扱えるんじゃないのか?」


そう言われた悠斗は『ま、まぁ~別に使えなくはないけど?』と答えると、

卑弥呼は『がははは』と下品に笑って見せた。


悠斗は『何だよ~』っと不貞腐れていると、

卑弥呼は右手を自分の右肩へと手を伸ばすと、

『朱雀のタトゥー』に触れた。


そして淡く光った後、卑弥呼は『ほれっ】と言いながら、

悠斗に刀を渡したのだった・・・。


再び悠斗はいつもの癖で『くるり』と回ると、

今度は音すらしなかったのだった・・・。


(ま、まじか?)


そう驚く卑弥呼に悠斗は言った・・・。


「いいね・・・これ。

 この刀・・・どうしたんだ?」


悠斗の言葉から意図を読み取った卑弥呼は『ニヤり』としながら答えた。


「それかい?それは私が打ったモノ・・・だよ」


「・・・へぇ~、卑弥呼が打った刀か~?」


悠斗は鞘から本身を引き抜くと改めてじっくりと見ていた。


「刀身に歪みがないし・・・それに・・・ん?」


悠斗は何かを疑問に思いそれを口にした。


「すごく軽いんだけど?」


そう質問した卑弥呼は笑みを浮かべながら自慢げに言った。


「その軽さの秘密はな~?

 この冥界の地の『冥鉱石』を使っているからなんだぜ」


悠斗はこの冥界の地に来てから、何度か『冥鉱石』を見る機会があったが、

その『冥鉱石』で打たれた打刀を見るのは初めてだった・・・。


そう思っていた時、悠斗は何かを思い出し『あっ』と声を漏らした。


(そう言えば以前、ヴァマントから刀を借りたっけ?

 でもコレと比べると・・・)


そう思っていた悠斗は『カチン』と静かに納刀すると、

改めて卑弥呼に『いい打刀だね』と満面の笑みを浮かべていたのだった。


悠斗は太刀を卑弥呼に返すと言った。


『で・・・?』と・・・。


卑弥呼は悠斗の意図を察し『あぁ、勿論だ・・・』と返答すると、

2人は再び互いに距離を取り位置に着いた。


悠斗は腰に刀を差しながら卑弥呼に尋ねた。


「なぁ、卑弥呼・・・」


「ん?どうした?」


「この刀に銘はあるのか?」


その問いに『あぁ~』と笑うと一言・・・。

『ないっ!』とだけ答えたのだった。


悠斗は卑弥呼の返答に『ははっ』と楽し気に笑うと、

身構え、抜刀術の態勢に入った・・・。


その構えを卑弥呼が見た瞬間・・・。


『ゾクっ!』と背筋が寒くなり、悠斗の面構えに驚いていた。


(まじか~?

 悠斗きゅん・・・刀を持つと・・・超カッコよっ!♪)


少し顏を赤らめなからそう考えていた。

 


闘技場内は卑弥呼が鞘から刀を抜き腰を落とすと、

刃を寝かせたまま脇へと引き絞った・・・。


(全く・・・刀一振りでこうも漢の顔になるものなのかね~?

 それにこの威圧感・・・どれだけ修羅場を潜ったんだい?

 ってか・・・何だい?あの構えは?

 まるで獣のような態勢じゃねーか?

 あれでまじで刀が抜けるのかよ?

 まぁ~、悠斗の事だ・・・何かあるって事だよな?

 クククっ!その緋色の瞳・・・滾るじゃねーか・・・)


卑弥呼は背中に冷たい汗が流れつつも、

この緊張感に酔いしれていた・・・。


この状況見ていた周りは緊張感に満たれていたが、

南雲だけは険しい表情をしながら孫である悠斗を見ていた。


(確かにアレは抜刀術のソレじゃが・・・

 し、しかしアレは態勢が低過ぎるじゃろっ?

 それに悠斗のヤツ、卑弥呼殿の事を全く見ておらん。

 あんな獣の如き姿勢で、果たして抜刀出来るものなのかの?

 悠斗、お前が昔から最も得意じゃった抜刀術・・・

 儂がしっかりと見定めてやるぞっ!)


南雲の眼光が鋭くなり、

その一挙手一投足を見逃すまいと凝視する中、

悠斗は目を閉じ精神世界に居た・・・。


扉が開け放たれた『紅の門』が正面にあり、

悠斗はその視線を門の傍で咲く一輪の赤い華を見つめていた。


そして悠斗はその赤い華の隣に座ると、

赤い霧で包まれるこの空間を見ながら語り掛けた。


「穂高・・・お前、昔からそうだよね?

 大切な事はな~んにも言わないでさ?

 いつもズルいんだよ・・・。

 だから俺がいっつも尻拭いする事になるんじゃん?

 今回もさ・・・?」


そう言うと、今の悠斗には当時の様子が頭の中で流れていたが、

『あっ、でも声は消えっちゃったんだもんな?』と呟くと、

突然悠斗は『はっ!?』と何故か驚いた顔をしながら赤い華を見た。


「い、今・・・思い出の映像が流れたんだけど、

 じ・・・字幕っ!?

 字幕なんて有りなのかっ!?

 って言うかさ?

 むしろ・・・日本語の字幕ってレアっていうか?

 あはは・・穂高は字幕でも怒るんだね?

 全くさ・・・」


悠斗はそう文句を言いながら隣で静かに揺れる赤い華を見て、

優しく微笑むと言った・・・。


「そろそろ行かなくちゃ・・・。

 卑弥呼が待ってるからさ?

 ちゃんと決着つけてあげないと五月蠅いだろうしね?

 だから・・・行って来るよ・・・。

 また・・・な・・・穂高」


そう告げた悠斗は精神世界から戻って来ると、

悠斗の正面で不敵な笑みを浮かべる卑弥呼を見て、

内心で『ははっ』と笑っていた。


緊張が凝縮され、今にも破裂しそうな瞬間だった・・・。


『ザァっ!』と地面を蹴り駆け出した卑弥呼は無心で突っ込むと、

『はぁっ!』と気合いを込めた一刀で悠斗の胸元を薙ぎにいった・・・。


『決まるっ!』と卑弥呼が確信した刹那・・・。


卑弥呼の目の前から姿を消し、

横薙ぎにいったその一刀も空振りに終わったのだが、

卑弥呼は身体を震わせながら言葉が口から零れた・・・。


「・・・こ、こんな事が?」


そう卑弥呼が言葉を零した瞬間・・・。


『ドスっ!』と卑弥呼の後方で何かが鈍い音を立てていた・・・。


卑弥呼は震えながら信じられないと言った様子で、

自分の刀へと視線を向けると『いつだ?』と再び言葉を零した。


その卑弥呼の瞳に映っていたのは、卑弥呼の刀の刀身であり、

背後の地面に突き刺さったモノは、紛れもなくその刀身だったのだ。


卑弥呼は折れた刀身を目の前で凝視すると、

『・・・ぶ、武器破壊っ?』と言いながら振り向いた。


そこには既に納刀していた悠斗が立っており、

その緋色の瞳に魅了された卑弥呼は言った・・・。


「・・・ま、まさか悠斗?」


「ん?」


「お前・・・私の刀を・・・?」


そう意味有り気に言った卑弥呼に悠斗は真剣な眼差しを向けた。


゛「あぁ、悪いとは思ったけど・・・斬ったよ」


『っ!?』


その発言にこの場に居た皆が驚き言葉を失っていた。

だが卑弥呼は違った・・・。


「お、お前・・・あの時・・・。

 私の刃が悠斗の胸元を薙ぎいった刹那・・・

 一体何をどうしたんだ?」


そう尋ねた卑弥呼に悠斗は『ふぅ~』と軽く息を吐くと、

卑弥呼から借りた『無銘の刀』を持って再び構えた・・・。


『お、お前・・・、悠斗?一体何を?』


卑弥呼がそう質問するも悠斗は再び無言を貫くと、

『カチっ!』と刀の鯉口を切った・・・。


そしてその場で『くるり』と回転すると、

今度は卑弥呼にわざわざ見せるように、

悠斗の自身の顔の前で『カチっ!』と納刀して見せた。


悠斗の行動に呆気に取られていた一同だったが、

卑弥呼は『フっ』と笑うと、

『よくわかったよ、わざわざすまんな?』と、

頭を下げ礼を述べたのだった。


悠斗は卑弥呼から刀をくるりと手の甲を廻し滑らせ掴むと、

『いい刀だね』と楽し気に言いながら卑弥呼に返したのだった。


卑弥呼は呆れた笑みを見せながら返却された刀を見ると、

双眼を見開きながら『あっはっはっはっ!』と豪快に笑ったのだった。


この場に居た者達は理由がわからない中、

卑弥呼は悠斗から返却された刀を持つと皆に見せた。


『?』と皆が見つめるる中、南雲はそれに気付き『うむ』と呻り、

卑弥呼は『ニヤっ』と笑うと悠斗がしたように、

自分の前で刀を持つと、南雲は一同に言った・・・。


「よく見てみ~・・・。

 卑弥呼の刀の鯉口を?」


『・・・?』


皆がわからないままで居ると南雲は言った・・・。


『実はまだ悠斗のヤツは納刀しておらんかったんじゃよ』


『はぁぁ?』


皆が声を揃えてそう言った時、

卑弥呼は再び『ニヤ~』っと笑みを浮かべると、

『カチンっ!』としっかり納刀した。


すると、先程まで悠斗の居た場所が突然白く光り、

円形状に切断されていたのだった・・・。


それは寸分たがわず真円を描いており、

その速度と精密さに呆気に取られた・・・。


そしてその光景に卑弥呼は再び豪快に笑うと、

悠斗を黙って見つめた・・・。


その視線の熱さを理解した悠斗は言った・・・。


白鷲(はくろ)流・抜刀術・・・天狼』


「・・・天狼とな?」


「あぁ、それが俺の最も得意な技だよ」


「・・・そうか、納得したぞ悠斗。

 凄まじいほどの腕・・・だな?」


「はははっ、まぁ~じぃちゃんのおかげ・・・でもあるけどね?」


そう言った悠斗に卑弥呼は『フっ』と微笑むと、

皆が一斉に我先にと悠斗の所に駆け出して来た。


『げっ!』と顔を引き攣らせる悠斗が逃走しようとした時だった・・・。


突然闘技場の正面扉が『ガガっ!』と開けられると、

男が1人慌てた様子で入って来たのだった・・・。


サンダラーは『一体何事だぁーっ!』と声を挙げると、

その男はサンダラーに対し敬礼をしながら声を張り上げた。


『緊急の報告ですっ!

 イザナミ様御一行がっ!

 冥界の迷宮100階層を突破っ!

 迷宮から抜けて来ましたっ!』


その男の報告にサンダラーと黒犬・・・

そして卑弥呼は驚いた表情へと変わったが、

卑弥呼はすぐさま『ニヤり』と・・・今度は無邪気に笑みを見せると、

悠斗だけに聞こえるように言った・・・。


『・・・いよいよ、試練ってヤツの訪れさね?』


「・・・はい?」


『クククククッ!』


この後すぐ、闘技場での訓練は終了し、

一同全員揃って、サンダラーの王宮へと急ぐのだった・・・。




ってな事で・・・。


今回のお話はいかがだったでしょうか?

楽しんでもらえたのなら言う事はありません^^


それと曲の事ですが・・・。

ある意味、大変な事になっていますが、とても嬉しく思っています。


因みに今回も曲の方はありますので、

また『活動報告』に張っておきますので、

一度聴いてみてください・・・。



ってなことで、緋色火花でした。

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― 新着の感想 ―
また少し見えてきましたがかなり複雑な話みたいですね。。。 この後他のキャラがどう繋がっていくんだろう?て、 パズルみたいに楽しみにしています♪
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