282話 鬼道vs鬼道
お疲れ様です。
え~っと・・・。
まぁ~色々とありましてですね?
この『魔を狩る者』のOP&EDを作っちゃいましたw
みんなに聴いてもらうにはどうすれば?
と、言う事で、調べておきますので、よければ聴いてやって下さいw
ってか・・・。
誰か知っていたら教えて下さいっ!
それでは、282話をお楽しみ下さい。
『奥義・螺旋車』
悠斗は笑みを浮かべたままそう呟くと、
反応が遅れる卑弥呼へと連続攻撃を放った。
『はぁぁっ!はぁっ!うぉりゃぁぁっ!はぁぁっ!』
卑弥呼が避けようと右へと体重移動した瞬間、
左足の下段蹴り、右足の中段蹴り、再び左の上段蹴り・・・。
まだまだその攻撃が続いた。
変幻自在に左右の足で幾通りにも蹴りを繰り出し、
ガードをする卑弥呼の顏も苦悶に歪み始めた・・・。
(クゥゥっ!い、いつまで続くのだっ!?
け、蹴りが・・・こいつの蹴りが・・・と、止まらないっ!?)
『ヒュンっ!ドカっ!ドスっ!バキっ!』
ガードする卑弥呼の腕が徐々に赤黒く内出血し始め、
途切れる事のないその猛攻に、卑弥呼は耐えるしかなかったのだった。
(こ、これがイザ子の資料にあった『気道』というヤツかっ!?
一撃一撃が重く鋭い・・・ぐぁぁっ!)
『ドーンっ!』と最後に前蹴りを放った悠斗の一撃は、
卑弥呼の身体がくの字に折れ曲がるほどの威力だった・・・。
『ズザァァァァっ!』と闘技場の地面を滑り後退した卑弥呼の顔は、
歪みつつもどこか楽し気だった。
赤黒く変色した卑弥呼は両腕を『だら~ん』と垂らすと、
悠斗に向けて口角を上げながら口を開いた。
「しょ、正直・・・ここまでとはな?」
「・・・まだ続けた方がよかったか?」
楽し気にそう返答した悠斗に、
卑弥呼は苦笑しながら『ぬかせ・・・』と言い返した。
すると悠斗は卑弥呼に言われた言葉を返した。
「・・・まだやれんだろ?」
『っ!?』
卑弥呼自身がそう言った事を思い出すと再び苦笑し、
『あぁ~、こんなもの、屁でもねーさ』と返答した。
そして卑弥呼は『ふぅ~』っと軽く息を吐くと、
変色した両腕を上げながら『見せてやんよ?』とそう言った。
(・・・だろうな?)
そう心の中で呟いた悠斗の顔から笑みが消え、
自然と身構えると卑弥呼の様子を伺った・・・。
両足を軽く開き、その大きな胸の辺りで印を結ぶと声を挙げた。
「見せてやるぜ・・・鬼道というヤツをな?」
「・・・鬼道?って・・・まさかっ!?」
悠斗は『鬼道』という言葉に一瞬耳を疑った。
まさか自分が使う技と同じ名があるとは思わなかったからだった・・・。
印を結んだ瞬間・・・。
『はぁぁぁっ!』という気合を張り巡らせた卑弥呼の身体からは、
悠斗が見慣れた赤い鬼の気が噴き出したからだった・・・。
「や、やっぱり・・・鬼の気だったな?」
誰に言うでもなく、悠斗の口からこぼれた声に、
卑弥呼は赤い鬼の気を噴き出させながら『ほぅ~』と言った。
「神野悠斗・・・。
まさか、お前も『鬼道』が使えるのか?」
そう尋ねた卑弥呼に悠斗は口角を上げると、
『まぁ~ね?でも、あんたのとはちょっと違うけどね?』と返答した。
そう返答した悠斗に卑弥呼はニヤりと笑みを見せると、
『じゃ~まずは・・・その『気道』とやらを攻略しねーとな?』と、
不敵な笑みで言ったのだった・・・。
『行くぜ・・・神野悠斗』
『・・・あぁ、来いよ、卑弥呼っ!』
卑弥呼は赤い鬼の気を纏わせながら駆け出すと、
悠斗は『コォォォっ!』と再び呼吸音を変え、
肉迫して来る卑弥呼を迎え撃つ為構えた。
『神野流・体術・真円蹴り』
肉迫する卑弥呼を迎撃する為、
卑弥呼が拳を繰り出した瞬間、悠斗は跳躍すると、
右胴廻し蹴りを放った・・・。
「そんな蹴りなど意味をなさんっ!」
そう言い放った卑弥呼だったが、
その顔は直後に変化し悠斗の蹴りの違和感に困惑した。
「なっ!?こ、この蹴りは・・・お、遅いっ!?」
卑弥呼は一度放った拳を途中で引き、
悠斗の蹴りに対しガードをするも、その蹴りは未だ届かなかったのだ。
「なっ、何て遅い蹴りなんだっ!?
こ、これじゃ~タイミングがっ!?」
悠斗の蹴りの速度が余りに遅すぎた為、
ガードした腕が邪魔と成り、悠斗の蹴り足が全く見えなかったのだ。
「み、見えないっ!?」
そして一瞬め・・・。
卑弥呼が視界を確保する為、
ガードをほんの僅かに降ろした瞬間だった・・・。
すると突然『ベキっ!』と卑弥呼の首筋に衝撃が走ると、
そのまま飛ばされ地面を転がったが、
悠斗が着地した瞬間、跳ねるように飛び上った卑弥呼は、
悠斗が身構えるよりも早く懐に入った・・・。
『ぶっ飛びなっ!』
『ドゴーンっ!』
『ぐはっ!』
悠斗は態勢を整える暇さえなく、卑弥呼に蹴り飛ばされると、
今度は悠斗が地面を転がったのだった・・・。
「・・・痛ったっ!ま、まじか・・・」
卑弥呼に蹴られた腹部を押さえながら苦悶の表情を見せ立ち上がると、
口角を上げる卑弥呼に言った・・・。
「・・・今の蹴り、俺じゃなかったら致命傷だったよ」
「クックックっ!ぬかしよるわ・・・」
互いに笑みを浮かべながら構えると、
再びすさまじい攻防が繰り広げられた・・・。
鋭い拳や蹴り・・・。
そしてそれを紙一重で躱し、観客と化した面々は困惑の色を濃くしていた。
「ユ、ユウトもユウトだが・・・
それにしてもあの卑弥呼のパワー・・・半端ねーなっ!?」
「メルメルメル~♪
あの2人を見ているだけでウズウズしてくるメル~♪」
「しかし・・・だ。
ユウトの方が卑弥呼のパワーに押されはじめたぞ?」
ヴァン、スターク、虎恫がそう声を漏らす中、
南雲は静観しその戦いを見ていたのだった・・・。
(うむ・・・た、確かに悠斗の戦闘センスは稀有な存在じゃ・・・。
し、しかし卑弥呼殿はそんな悠斗の上を軽くいっておる。
悠斗や・・・このままでは、互角にもなれんぞ?
どうするのじゃ?)
南雲の頬を汗が伝う頃、
悠斗と卑弥呼の攻防は一方的になって来たのだった・・・。
(くっ!?卑弥呼のパワーが半端ないっ!
ふ、防ぐので・・・や、やっと・・・だ・・・)
卑弥呼の身体から噴き出る赤い鬼の気が増すと、
悠斗は次第に押され始め、ジリジリと後ろに下がっていたのだった。
苦痛に顔を歪め始めた悠斗を見ると、
卑弥呼は『チっ!』と舌打ちをすると『ドカっ!』と蹴り飛ばした。
その威力に悠斗は一度弾むとその瞬間態勢を立て直し、
『ズザザザザァァァっ!』と地面を滑った・・・。
『がはっ!』と息を吐き切ると『ユラ~っ』と立ち上がり、
ゆらゆらと揺らめきながら身構えて見せたのだった。
(・・・何かあるのか?)
卑弥呼は悠斗の妙な気配にその表情を引き締めると、
悠斗は『・・・丁度いいか?』と呟いたのだった・・・。
(丁度いい?な、何の事だ?
こいつは一体何をしようと?)
不穏な空気が卑弥呼と悠斗の間で張り詰めると、
悠斗は『ビタっ!』とその動きを止めた・・・。
「そっちが鬼道なら、俺も負けてらんないな?」
両足を肩幅よりも少し大き目に広げると、
双眼を閉じ大きく深呼吸した・・・。
「あの時・・・。
絶とやりあった時以来だな?」
悠斗は過去の出来事を巡ると笑みを浮かべ声を挙げた。
『はぁぁぁぁっ!鬼道・一之門・・・解っ!』
『バシュっ!』と悠斗の身体から赤い鬼の気が溢れ出し、
その瞳が赤く染まった・・・。
その光景を見た卑弥呼は、憧れに似た表情を見せると、
自然と口から言葉が零れた・・・。
「こ、これだ・・・これだよ・・・。
本物の・・・これが本物の・・・鬼の気っ!」
卑弥呼は純粋な鬼の気を見た瞬間、
胸元で印を組みながら駆け出した・・・。
『鬼道・術式展開っ!
鬼纏い・・・鬼人変化っ!』
そう声を挙げながら高く跳躍すると、
卑弥呼の身体が変化していき、その頭部からは小さな角が生えたのだった。
そして落下と同時に悠斗に対し蹴りを放つが、
卑弥呼のその落下攻撃は、赤い鬼の気に阻まれた・・・。
『ガンっ!』と大きな鈍い音が響き、
着地した卑弥呼の右足首はあらぬ方向へと曲がっていた。
「これほどとはね~?
でも・・・そうでなくっちゃ~・・・楽しくねーよな~?」
その瞬間『ゴキンっ!』と音を響かせると、
あらぬ方向に折れ曲がっていた卑弥呼の右足は復元し、
更に胸元で印を結び始めた・・・。
(・・・復元って?
まじで鬼の気が使えるんだな?
なら・・・遠慮はいらないよね?)
悠斗は『はぁぁぁっ!』と気合いの声を挙げると、
印を結び終わる卑弥呼へと駆け出した・・・。
『鬼道・双爪・烈火狂乱っ!』
突っ込んで来る悠斗に対し、卑弥呼は両手の爪を伸ばすと、
卑弥呼の爪に炎が纏い、接近する悠斗に斬りつけた。
『烈火っ!』
『ボフっ!』と猛った炎を斬りつけるも、
悠斗は平然と卑弥呼の両手の手首を掴むと、
一瞬にして『ゴキっ!』と卑弥呼の両手首を追ったのだった。
『うぐっ』と卑弥呼の悶絶する声が零れたが、
悠斗は構う事無く前蹴りを放ち蹴り飛ばすと、
跳躍した悠斗が回り込み、連打が始まった・・・。
『ドカっ!バキっ!ドスっ!メキっ!ドスンっ!』
闘技場の上空で幾つかの打撃音が聞こえ、
サンダラーや黒犬は兎も角、
ヴァンはギリギリ目で追う事が出来たのだった。
「はっ、速過ぎるんだよっ!ちくしょうめっ!」
その隣で見ていた南雲はしっかりと目で捉えるも、
尋常ではないその速さに舌を巻いた・・・。
(・・・お、鬼の気とは冥界の力を凌駕するとは聞いてはいだか、
まさか本当にこの目で拝める日が来るとはの~?)
南雲やヴァンの内心は別として、
悠斗の一方的な攻撃はまだ終わらなかった・・・。
『ドスっ!ベキっ!ガーンっ!』
『ぐはっ!』
上空で卑弥呼の悶絶する声が響いた途端、
『ヒュンっ!』と高速で叩き落された刹那・・・。
『ドゴーンっ!』と爆音と共に土煙りと砂塵が散った。
『スタっ!』と着地した悠斗は土煙りと砂塵が舞う中、
そこにいる卑弥呼へと声を掛けた。
「・・・こんなもんじゃないよね?」
そう言った悠斗は笑顔ではあった・・・。
だがその赤く染まった瞳の奥は笑っておらず、
凍てつくような赤い鬼の気だけがユラユラと溢れていた。
すると・・・。
『ガラっ』と未だ晴れぬ土煙りの中から音が聞こえると、
『クックックっ・・・』と笑い声がした・・・。
「・・・余裕そうじゃん?」
笑みもなくそう言った悠斗に、卑弥呼は『楽しいね~?』と言いながら、
土煙りの中から出て来たのだった・・・。
その姿を見た悠斗は顔色一つ変えずに『着替えるか?』と言ったが、
卑弥呼は『気にするな』と言うと、指を『パチン』と弾いた瞬間、
ズタズタになっていた花魁歌風の衣装は、
傷1つなく復元されたのだった・・・。
「・・・いいな~それ?」
悠斗の羨ましがる姿に卑弥呼は『プっ』と吹き出すと、
『今度教えてやんよ』と返答された。
「・・・有難う」
「律儀なヤツは嫌いじゃないよ?」
そう言って互いに口角を上げた瞬間、
再び激突し激しい攻防が始まった。
悠斗は鬼の気で卑弥呼の攻撃を弾きながら、
連撃を繰り出すも、今度は卑弥呼が鬼の気で悠斗の攻撃を弾いたのだった。
そして互いに後方へと飛び退き距離を取ると、
悠斗は笑みを浮かべながら『パクったな?』と言い、
卑弥呼は『ケチケチすんなよ?』と笑みを見せた。
そして悠斗が1歩前に踏み出した時だった・・・。
『フっ』と地面を見ながら笑った卑弥呼は、
指を『クンっ!』と上に跳ね上げた瞬間・・・。
『ドカーンっ!』とまるで地雷のような爆発が巻き起こり、
悠斗はその爆発が直撃し片膝を着いたのだった・・・。
「こ、こんな・・・技もあるんだな?」
悠斗の着ている衣装はボロボロ状態ではあったものの、
その擬体は思っていたよりも頑丈だったようで、
故障の類は見受けられなかった・・・。
(・・・この擬体頑丈だな?
でもまぁ~・・・ラッキーだったとしか・・・。
もう少し爆発の威力が強かったらって考えると・・・
卑弥呼・・・怖いな~♪)
怖いと言いつつも笑みを浮かべた悠斗に、
卑弥呼は最中に寒気が走った・・・。
(・・・この子、かなりヤバい部類に入るバトル・ジャンキーかっ!?
って~・・・私が言うのもなんだけどね~?)
寒気が走ったものの、卑弥呼はゾクゾクが止まらず、
早く本気で戦いと思い始めていた・・・。
(・・・純粋な鬼の気ってのがどんなモノか、
確かめるだけで良かったんだけどね~?
どうにも・・・クックックっ・・・。
私もどうやら同じ穴のムジナの類らしいね~?)
卑弥呼は自らがバトル・ジャンキーだと認めると、
悠斗に『そろそろ』と声を掛けた。
「ちんたらとやっていてもしょうがねーよな~?
なぁ、神野悠斗・・・。
まだ・・・隠している力・・・あんだよな~?」
そう言いながら卑弥呼は印を結びながら『解っ!』と声を挙げると、
鬼人化していたその姿は元の妖艶な女性へと姿を戻したのだった。
その姿に悠斗は小さく何度か頷くとこう言った。
「卑弥呼もその上・・・あるって事でいいのかな?」
そう尋ねた悠斗に不敵な笑みを見せた卑弥呼は、
『・・・当然だろ?』と言い切ったのだった。
すると卑弥呼に釣られたのか、悠斗は不敵とも言える笑顔を見せると、
『・・・俺もあるよ』と答え、
両者が流れるように構え、卑弥呼が再び別の印を結び始めた瞬間、
悠斗は『はぁぁぁぁぁっ!』と赤い鬼の気を吹き出させながら声を挙げた。
『・・・第二之門・解っ!』
『ギィィィィィィっ!』と、悠斗の魂の中で『鬼魂之門』が開き、
その門の中から夥しい真っ赤な鬼の気が流れて来た。
印を結び終わった瞬間、
卑弥呼は悠斗から溢れ出るその鬼の気を感じると、
何故か無意識に膝が『ガクガク』と揺れ始めた。
(なっ、何だっ!?ど、どうして私の膝がっ!?)
戸惑う卑弥呼の様子を見ていたサンダラーが呟くように話した。
「あの女・・・何度か鬼に出会った事があるらしいな?」
「あぁ・・・。そう聞いているが、
でもまぁ~実際、卑弥呼の身体からは鬼の気が出でいるんだ。
嘘ではあるまい・・・」
サンダラーの呟きにそう答えた黒犬は、
悠斗の力に内心ワクワクが止まらないでいた・・・。
(・・・俺も一度手合わせ願いたいもんだぜ?
鬼の力か・・・実に厄介な力だな?)
そう思いながら腕を組んでいた黒犬の爪が、
皮膚を突き破り血が流れ、それを見たサンダラーもまた、
己の中にも同じ思いがあるようで苦笑いしたのだった。
ってな事で・・・。
今回のお話はいかがだったでしょうか?
2人共、立派なバトル・ジャンキーだと思いますw
楽しそうですね~?
緋色も久々に模擬戦とかしたくなりましたよw
ってなことで、緋色火花でした。




