32話 やらかす男の予定調和
お疲れ様です。
・・・暑いですねorz
皆さんも熱中症には気をつけて下さい。
私も・・・気をつけます。
ブックマーク及び感想など宜しくお願いします。
それでは、32話をお楽しみ下さい。
悠斗はイリアに指摘されて、
岩場の聖域内の小屋に屋根がない事を忘れていた。
慌てた悠斗はロジーを背負いながら走り出す。
そしてそれに続くイリアと獣人の女。
獣人の女は悠斗が大きな岩に突っ込んで行くのを見た。
「お、おいっ!馬鹿!大岩に衝突するにゃ!!」
獣人の女は悠斗が大岩にぶつかる瞬間・・・目を閉じた。
何も音がしないので目を開けると、悠斗の姿が消えていた。
イリアは獣人の女を見て「クスッ」っと笑っていた。
「さぁ・・・行くわよ」
そう言うと、イリアも再び走り出し大岩にぶつかりそうになると・・・
イリアの姿は、大岩に溶けるように消えていった。
「わ、私も・・・い、行くにゃ!」
両手で顔を「パン!」と、叩くと・・・
「い、行く・・・にゃぁぁぁ!!」っと、気合を入れて大岩に駆け出す。
「ドンッ!」と、分厚い壁に衝突したような音がすると
派手にノックダウンしていた。
「・・・し、ぬ、・・・にゃ」
岩の中から悠斗が慌てて出てくる。
「お、おい・・・だ、大丈夫か?」
「い、い、・・・い、・・・」
「ん?い・・・何?」
「い、痛いにゃあああああ!!あほかー!お前ー!
死ぬかと思ったにゃぁぁぁ!!」
獣人の女は凄まじい勢いで抗議してくる。
「あは、あはは・・・わ、悪かったよ」
「悪かったじゃにゃいにゃあああ!!」
「い、今、治すからさ・・・勘弁してよ」
「がるるるるる」
悠斗は治療するため獣人の女にヒールを唱えると
負傷していた所が、あっという間に完治した。
それでも獣人の女が文句を言っていると・・・。
「此処って俺の承認がないと入れないんだよね。
すっかり忘れていたよ~・・・あはははは」
「あははって・・・笑い事じゃにゃいにゃー!
そんな大事な事、最初に言わないといけにゃいにゃ!!」
「あー。ほんとに悪かったって・・・ごめんな?」
謝りながら悠斗は、獣人の女の肩に手を置いた。
「・・・はい、これで承認OKだよ」
「にゃ?OKって?」
「あー、その説明はもう面倒臭いのでイリアに聞いてくれ。
それと、もう中に入れるからね」
獣人の女は、まだ疑いの目を向けていた。
「あはは・・・本当に大丈夫だから・・・」
そう言うと、獣人の手を取って、大岩の中へ入っていく。
入る直前、獣人の女は瞬間的に目を閉じていた。
「ブブン」と、空気が振動するような音が聞こえた。
そして・・・目を開けると、イリアが笑って二人を見ていた。
「うぅぅぅ。おい、ダークエルフ!笑い事じゃにゃいにゃ!」
笑われた事に対して、文句を言ったはずなのに
イリアは笑っていた。
そして、獣人の女に近づくと・・・
「私の名前はイリアよ。宜しくね♪」
「わ、私のにゃ・・・じゃにゃかった。
私の名は、セルカにゃ。こちらこそ世話ににゃるにゃ」
二人は笑顔で握手すると、セルカは恥ずかしいのか
悠斗に対し、俯きながら・・・
「セ、セルカ・・・にゃ。よ、宜しくー・・・にゃ?」
今そこに居たはずの悠斗がいない・・・。
「あ、あれ?あいつ・・・いにゃいんだけど?」
「ああ~。ユウトなら小屋に行ったわ♪」
「えっ?ふ、普通この場合って・・・自己紹介的にゃ事を・・・」
セルカは折角恥ずかしい思いまでして、
自ら自己紹介したのに、悠斗は居ない・・・。
顔を真赤にして怒るセルカは、怒りをぶつける相手が居らず
イリアにやつ当たるのだった。
その頃悠斗は、小屋の前で腕を組んで悩んでいた。
(んー・・・。このまま屋根だけを乗せるか、一度潰すか・・・
あー。建築とか全然わかんないから、何処をどうしていいのやら・・・)
そう悠斗が悩んでいると・・・
「ピローン」とメール音が為る。
(ん?誰だ・・・?なんた、ラウルか・・・)
ラウルからのメールが届いたので確認する。
件名 超久々だね悠斗君!
(ん?超久々って・・・メールで話したのは昨日だぞ? )
そう思いながらも内容を読んでいく。
「悠斗君、まずはお礼を言うよ。
ミスティの願いを聞いてくれて、本当にありがとう。
心から感謝しているよ。勿論、ミスティもね♪
今回メールをしたのは、聖域の範囲を広げてあるから
好きなようにしてもらっていいからね~♪
因みに聖域の範囲はというと・・・
んー。だいたい100m✕100mの正方形かな?
狭いようだったら、また魔改造しておくからね~
今後とも頑張って、自由に生きておくれー
またね~♪」
(えっと・・・100m✕100mって・・・何それ?)
色々と突っ込みたい事もあったが、
今はそんな事している暇はなく・・・
「まじで雨降ってきそうだな・・・」
雲が夜空に広がり湿気もかなり帯びてきていた。
(急がないと・・・でもな。建築の知識とか・・・
あー。もう面倒臭いから「とうふ」いいか・・・)
悠斗はそう決めると、一度作った小屋を解体した。
(次は・・・整地はしないとな・・・)
再び土魔法で整地すると、イメージを膨らませていった。
(って言うか。豆腐だからイメージも何もないんだけどね)
悠斗はそのまま豆腐をイメージして土魔法を使うと、
普通の、豆腐サイズの小屋が出現した。
「えっと・・・んと・・・。ちっさっ!まっ、こうなるよね?
うんうん。俺知ってたし・・・うんうん。どんまいどんまい!
さぁ、次行こう!」
小さな豆腐サイズの小屋を足で踏み潰すと
(今度は・・・でっかい豆腐・・・でっかい豆腐っと・・・
あっ、きっと今のイメージだったら、中が空洞になってない・・・
そのパターンだろうからっと・・・。
ふむふむ。中々いいイメージが出来た!)
イメージが固まり、土魔法を発動すると
馬鹿でかい小屋が出現した。
(あー・・・。高さだけでも5m以上あるなこれは・・・。
長さ的には・・・ふむ。考えるのはやめよう。
そして再び・・・入り口がない・・・うん、そうだと思った!
はぁ~・・・俺ってこんな馬鹿だっけ?
まぁ~今回も斬るか・・・)
悠斗は豆腐小屋まで近づくと、マジックボックスから
ショートソードを取り出した。
「さてっと、ちゃっちゃっとやりますかっ!気刃剣!」
悠斗は「サクッ」っと、入り口を作ると中へ入り、
壁面に空気穴等を作り、ランプ置き場的なモノを作った。
そして、再びマジックボックスの中から
ランプを取り出しセットしていく。
「とりあえず中は5つに区切っておいてっと・・・
まぁー。こんなものかな?」
次は地面を少しでも柔らかくと言う事で
土魔法を使い耕し、モコモコにしておく。
「次は寝床だけど・・・木の葉が足りないな~・・・
まぁ、とりあえずロジーのだけでいいか」
悠斗はマジックボックスから、森の中で集めていた木の葉を出すと
大きな布でくるみ、簡易ベッドを作った。
(これでなんとかなる・・・かな?)
一応完成した小屋の5つ目の部屋に行くと、
出入り口を作り、渡り廊下を製作し、再び小屋を製作して
食堂的なモノを製作した。
悠斗はイリア達の元へ戻ろうとすると・・・
「ん?雨か・・・」
慌ててイリア達の元へ戻ると、ロジーを抱え小屋へ移動した。
簡易ベッドに寝かせると・・・
「これで落ち着けるな・・・疲れた」
「クスッ♪ユウト、お疲れ様♪今度はちゃんと・・・屋根があるわね♪」
「あははは・・・がくっ」
項垂れる悠斗の頭を優しく撫でるイリアは、
とても楽しそうな顔をしていた。
セルカはそんな二人のやり取りを見て・・・
(にゃ?前は屋根がにゃかったのかにゃ?
・・・・こいつらの事を深く考えたらダメな気がするにゃ)
セルカは深い溜息を吐いていた。
「ん?君・・・ちょっと休憩しようか?」
「私の名はセルカにゃ!!」
思わずさっきの屈辱を思い出してしまった。
ちょっと驚いた様子を見せた悠斗だったが・・・
「俺は悠斗だ・・・セルカ宜しくな!」
悠斗はセルカの手を取り握手する。
「にゃ・・・よ、宜しくにゃ」
セルカの顔も今は笑顔だった。
「あっ・・・休憩だから、場所移動しますか・・・
付いてきてねー」
「はーい♪」
「わかったにゃ」
もう一つの出入り口に行き、屋根付きの渡り廊下を歩き
食堂的な所へ着くと・・・
「腹減ったから飯にしよう!」
悠斗はアイテムバッグをイリアから受け取ると
中からミスティに入れてもらっている食事を配った。
何気ない会話をしながら食事を終えると・・・
「イリア、コーヒー飲むか?」
「ええ、頂くわ♪」
悠斗は「チラッ」っとセルカを見て・・・
「セルカも良かったら、コーヒーを飲まないか?」
「にゃ?コーヒーってなんにゃ?」
説明しようとすると、イリアが口を挟んできたので
悠斗はお湯を沸かす準備をする。
因みにだが・・・今回悠斗が作ったテーブルは
中央部分に蓋があり、それを取ると・・・
囲炉裏のような機能が備わっていた。
(やれば出来る子なのですね♪)
「ん?何か言ったか?」
そう悠斗が聞くも、「「言ってないわ」にゃ」となった。
悠斗はコーヒーをカップに入れると湯を注ぐ・・・
「ん?なんにゃ?その黒い液体は!」
驚くセルカにイリアが説明をしていく。
「コーヒーって言うんだけど・・・このままだとちょっと苦いのよね
悠斗に教えてもらって、ハチミツを入れて飲むと・・・♪
すっごく美味しいのよ♪」
「ハ、ハチミツかにゃ!・・・飲むにゃ♪」
「あははは・・・ま、まぁー美味しいから飲んで見てよ」
セルカはカップの中の黒い液体の匂いを嗅ぐと少し顔を歪めたが
ハチミチをイリアから手渡されると「ドバドバ」と入れ始めた。
当然・・・飲むと・・・
「あ、甘いにゃ。激甘にゃ!」と、違う意味で顔しかめたが
「・・・あー。結局なんだかんだと言いながら、全部飲むんだね」
言葉では甘すぎると文句を言っていたが
飲んでいる時の顔は幸せそうだった。
おかわりを頼み再びハチミツを手にするセルカは
イリアに適量を教わったので、美味しく頂いたようである。
「コーヒーっていい香りなのにゃ~♪」
何故かうっとりしていたセルカだった。
ふと、外を見ると・・・それなりに激しく降っている。
悠斗もまた、コーヒーの香りが心を安らげてくれているのを感じた。
ラウル ・・・ 久々の登場~♪やっほーい♪
ミスティ ・・・ 「・・・・・・・#」
ラウル ・・・ 機嫌悪そうだな・・・僕だけ出たから・・・w
ミスティ ・・・ 私が早く出られるよう申告してきてくださいませ!
ラウル ・・・ だ、誰にだよ!
ミスティ ・・・ まずは天照様辺りから・・・など?
ラウル ・・・ 僕があの神が苦手な事わかってて言ってるでしょ?
ミスティ ・・・ 勿論ですわ♪一人で出るからこうなるのですわ・・・
ラウル ・・・ 声が怖いよ・・・まじじゃん
ってなことで、緋色火花でした。




